宮城の郷土お菓子『がんづき』、2種類あるのはどうして?
今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!
がんづきには2種類あるというのですが、本当でしょうか?
がんづきとは…
農林水産省のウェブサイトから、「がんづき」を調べてみました。
がんづき(雁月)は宮城全域で食べられる郷土菓子で「がんづき」という名前は雁の肉に似ていることからついた。など諸説あるそうです。
茶色系の蒸しパンを「黒がん」ういろうのようなものを「白がん」と、ここでも2種類のがんづきを紹介しています。
果たしてどんな違いがあるのか、実物を見に行ってみました!
2種類のがんづきを取り扱っているお店へ!
向かったのは青葉区・宮町。
2種類のがんづきを扱っているというお店に伺いました。
確かに白いものと黒いもの、2種類とも同じ名前ですね。
(こちらでは黒がんづき、白がんづきのほかに、みそがんづきというのも作っているそうです!)
黒がんづきはスポンジケーキのようにふわふわしているのに対し、白がんづきは滑らかな断面で、質感はかなり違います。
味の違いは?
これだけ見た目が違うなら、味も違うのでしょうか?
今回は特別に試食させていただきました!
※食レポ中はマスクをつけて喋っています。
安藤さん 「まずは黒いがんづきをいただきます。 しっとりと柔らかくてふわふわなんですが、とてもやさしい甘さが口の中に広がって、懐かしいような味がします。」 |
続いて白がんづきは…
安藤さん 「白いがんづきもいただきます。 あ、黒と全然違います! 触感がしっとり・ねっとりしていてとってもおいしいです。食感は全く違いますね…」 |
違いは〇〇!?
作り方や材料について、社長の細谷 ひろみさんにお話を伺いました。
細谷社長 「主たる原材料はどちらも小麦粉です。 そして材料をすべて合わせて蒸してお作りしています。 作る工程は一緒なんですよ。」 |
こちらのお店が作るがんづきの原材料です。
両方小麦粉がメインとして使われていますね。
黒糖と上白糖、もち粉や塩など若干の違いはありますが、どちらのがんづきもこれらの材料を合わせて蒸して作られます。
しかし、一つだけ大きな違いが…!
細谷社長 「黒の方は食用の重曹を使っていますが、白の方は使っていないんです。 主な違いとしては、食用重曹、つまり”膨らませる粉”を使っているかどうかです。」 |
食用重曹を入れたものはふっくらした「蒸しパン」タイプ、入れていないものはしっとりした「ういろう」タイプになるのだそう。
重曹が入っているかいないかだけで、こんなに変わるんですね!
どうして2種類あるのか?
細谷社長にこの疑問について伺ってみましたが、こちらのお店では50年以上前から2種類とも作ってきたということで、なぜかはわからないそうです…
そこで!
宮城の食を伝える活動をしている団体に、昔のがんづきはどのようなお菓子だったか聞いてみました。
宮城県食生活改善推進委員協議会の佐藤副会長は
「もともとがんづきは家で作るもので、味や作り方も様々だった。」
宮城の食を伝える会の庄司代表は
「昭和30年代、県北では黒がんづきは家で作るもの、白がんづきはお店で売っているものだった」
と教えてくれました。
お二人の話も踏まえて、がんづきを作る側である
宮城菓子工業組合の常務理事・熊谷さんにもお話を伺ったところ、
熊谷さん 「白がんづきは黒がんづきに比べ蒸し時間が倍になるなど手間がかかっています。 そうしたことから、お店で工夫を凝らした白がんづきが生まれ、2種類のがんづきになっていったのではないでしょうか。」 |
と話していました。
スタジオでも実食!
「がんづきを知らない」という岩野さんに、スタジオで実際に食べてもらいました!
初めて食べるがんづきのお味は…?
岩野さん 「食べていて思い出しました! 取材先の方にラップに包んだ黒がんづきのようなものをいただいた覚えがあります! 蒸しパンだと思って食べてました…」 |
なんて良い表情。笑
見かけたらぜひ買って食べたいと、とても気に入っている様子でした。
安藤のひとこと。
安藤さん 「黒と白だけでなく、実は昔から家庭によって、店によって色んな作り方がある。 ということは色んな種類があるということが分かりました。 この色んな味のがんづきがあるということは、まさに宮城の食文化の豊かさを物語っていると思いましたので、ぜひ残して、引き継いでいきたいなと思いました。」 |
編集後記
筆者は宮城県出身なので、そもそもがんづきが郷土のお菓子だということを知りませんでした。
(私は黒がんづきがいわゆる”がんづき”だと思っていました。)
今回の岩野さんのように、「がんづきを知らなかったけれど、おいしい!」と言ってもらえるのは、自分の故郷が褒められているようで嬉しかったです。
宮城のお菓子は?と聞かれて、他県の方もがんづきを思い浮かべるほど、色んな人に知ってもらいたいと感じました。
みなさんはどちらのがんづきに馴染みがあったでしょうか?
それともがんづき自体を知らなかったでしょうか?
なんだかほっとする、優しくてどこか懐かしい味のがんづき。
食べ比べてみるとまた新しい発見があるかもしれませんよ。
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