放置竹林問題(竹害)って、何が問題なの?
皆さんは、「放置竹林」という言葉をご存知ですか?
放置竹林とは、もともとはたけのこ栽培のためなどに植えられた竹林が
管理されなくなり、放置されてしまったものです。
この放置竹林が周囲に広がることで、全国で大きな問題となっています。
今回はこの放置竹林問題について調査しました。(11/18放送「みやぎUPDATE」より)
こちらの放置竹林、具体的にはどのような点が問題なのでしょうか?
みやぎUP-DATEでは宮城県丸森町の放置竹林を実際に訪ね、調査しました。
今回の調査を通じて、2つの問題点が浮かびあがりました。
問題1:土砂災害を引き起こす危険性がある
たけのこ栽培のために植えられる孟宗竹の竹林は、放置するとどんどん広がっていくという特徴を持っています。
さらに竹林には、森林と異なる大きな特徴があります。
それは、根を浅くはるという特徴です。
木は根を深くはるため、雨が降っても土をしっかりと支えますが、竹の根は横に広がり、深さは30cmほどしかありません。そのため、雨が降ると竹林ごと斜面を滑り落ちる危険があります。
竹の繁殖力の高さと根を浅くはるという特徴が重なると、山の広い範囲で土砂災害を引き起こす危険があります。
これが放置竹林の大きな問題の一つです。
問題2:竹が倒れる危険性がある
写真左側が整備された竹林、右側が放置竹林のようすです。
写真から、放置竹林には日があまり入ってきていないことがうかがえます。
放置竹林では日が差さず、竹が腐ってしまうため、倒れるリスクが高まります。
こうした問題を抱える放置竹林。
丸森町役場の林業振興班の方に伺ったところ、
「竹林整備の補助金を出しているが、私有地が多く実態を把握できていない」とのことでした。
どうすれば、この問題を解決していけるのでしょうか?
さらに調査を進めました。
宮城の放置竹林問題解決に向けた取り組み
調査をしていくと、県内の各地域の方たちが解決に向けて取り組んでいることがわかりました。
その一つが丸森町で行われている『竹あかりのイベント』です。
イベントを彩る竹飾りは、放置竹林の竹を用いて制作されています。
この問題を多くの人に知ってほしいと、開催されました。
さらに問題解決に向けて、県内各地で連携した取り組みもはじまっています。
その一つが「竹やぶ会議」。
農家やNPO、地元の企業などが集まり、竹林整備の講習会を開催したり、切った後の竹の活用法を考えたりしています。
たとえば、3m未満の竹はメンマに加工されています。さらに、畑に混ぜると土壌改良に役立つ竹チップや竹炭なども作られています。
地域と企業が連携する取り組みも!
更に調査を進めたところ、宮城県以外でも面白い取り組みを行っているところがありました。
場所は 鹿児島県の薩摩川内市(さつませんだいし)。
薩摩川内市はたけのこの一大産地ですが、伐採した竹の活用が問題になっていました。
困った住民が相談したのが、地元の製紙工場です。
相談を受けた工場は、竹を使った「竹紙」を開発。およそ10年前に生産を始めました。
今ではノートや折り紙などにしており、処分に困っていた竹が地域に年間数億円をもたらしているそうです。
宮城県内だけではなく、日本全国で起きている放置竹林問題。
様々な立場の人が協力していくことによって、解決していけるのかもしれません。
この問題について、引き続き調査した記事はこちら!
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