99歳の佐藤みい子さん "人と地域のつながり大切に"

仙台市内で約40年にわたってパッチワークを作り続けてきた大正13年生まれ、99歳の佐藤みい子さんが自分の作品を披露する展示会を開きました。
高齢になっても新しい趣味を始めるなど活動的な佐藤さんですが、いったいどんな人なのか。仙台放送局の井手上洋子記者が取材しました。


「展示された約50点色とりどりのパッチワーク」

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その展示会は5月上旬、仙台市青葉区のビルで開かれていました。
会場に展示されていたのは約50の作品。佐藤さんが40年以上にわたって手がけてきた作品です。

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こちらは98歳のとき、2か月半かけて仕上げた作品。タイトルは「私の好きな言葉」。
「希望」「夢」「感謝」の文字をパッチワークで表現しました。
 
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色や素材などが異なる布地を縫い合わせて作るパッチワーク。
佐藤さんが使用するのは知り合いから譲ってもらった古い着物や思い入れのある生地。
ミシンを使わずすべて手縫いで仕上げています。

佐藤みい子さん
「会場に並べてみたら『よくやったな』と、われながら感心します。作品のできた喜びが自分の活力になっているような気がします」

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佐藤さんがパッチワークを始めたのは55歳のとき。
夫が病死して、さみしさを紛らわす理由からだったといいます。

佐藤みい子さん
「主人が亡くなって時間が余りすぎて何か作ってみようと。もともと作るのが好きで、布があったので、たまたまパッチワークをするようになったと思います」

その後、教室に通い本格的にパッチワークを学んだ佐藤さん。40年近く1日も欠かさずパッチワークを続けてきました。

75歳からは自宅でパッチワーク教室を開き、多くの生徒たちを指導してきました。
74歳の時には宮城県パッチワークコンクールで県知事賞を受賞したこともあります。


「99歳、元気の秘けつは?」

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そんな佐藤さんに元気の秘けつを伺うと、ある場所を案内されました。
認知症予防を目的に週に1度、近所の集会所で開かれている「健康マージャン」の会場です。取材に伺った日、参加していたのは60代から99歳の佐藤さんまで約40人。
皆さん明るい表情で卓を囲みマージャンを楽しんでいました。
佐藤さんがマージャンを始めたのは90歳になってからですが、めきめきと腕を上げ、周囲からは手強い相手と思われています。
一緒に楽しんでいた80代の女性は「とても強いんですよ」と話していました。

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佐藤さんが健康を維持するために気をつけているのは、野菜や魚などバランスよく3食きちんと食べることです。いまも料理を続けています。


「人と地域のつながりを大切に」

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(佐藤さんが90歳ころの写真)

そんな佐藤さん、パッチワーク教室以外にも地域でさまざまな活動を行ってきました。
例えば、40代で料理教室を主催。ハーモニカ指導員の資格をとって20年余りハーモニカ教室を主催していたこともありました。
また、地域の民生委員を27年間、務めました。
長年、地域と関わってきたことで99歳になった今も多くの人とのつながりが続き、近所を歩くと「みい子さん」とよく声をかけられるそうです。
こうした関係は災害時の助け合いにも役立ってきました。

佐藤みい子さん
「東日本大震災の時は近所を1軒1軒まわって『給水車が来ているよ』と伝えたり、『食事を食べにおいで』と声をかけたりしていました。最近も、顔を見ていな人がいれば気になって訪ねることもあります」


「元気は減らないから持って行って」

佐藤さんが大事にしていることばは「生きることは日々挑戦すること」。生きる原動力にもなっています。

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佐藤みい子さん
「私のところに来るとみんな『元気をもらえる』と言うので『元気は減らないから持っていって』と伝えています。多くの人に伝えたいのは、何か趣味を持って打ち込んでほしいです。それを通していろいろな人とつながりをもってほしいと思います」

 


取材を終えて
「お話できてとても楽しかったですよ。ありがとうございました」
インタビューを終えた直後に佐藤さんからかけられたことばです。
展示会の時も、マージャンの時も佐藤さんはいつも多くの人に囲まれて、笑顔でいる姿が印象的でした。いろんなことに挑戦して“今”を大切に生き生きと過ごす。佐藤さんのように年を重ねられたらすてきだなと感じました。

【取材:井手上洋子 記者】


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