【手嶌真吾】AR・拡張現実で仙台の浸水リスクを「見える化」!

NHKが全国で展開する、「水害から命を守る」キャンペーン。
東北も梅雨入りが発表され、本格的な雨のシーズンを迎えています。
今回、AR・拡張現実という技術を使って街の浸水リスクを「見える化」してきました。

 

こちらはARのアプリを起動して、仙台局のスタジオでかざした様子。
キャスターの腰の辺りまで、水が迫っているように見えます。
CGで浸水の映像を、実際の景色に重ね合わせることができるのです。

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長町のハザードマップは

今回尋ねたのは、仙台市太白区の長町周辺。
住宅や商業施設など、近年開発が進むエリアです。
仙台市が制作した、周辺のハザードマップがこちら。

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一級河川の広瀬川と名取川が合流する地域。
地図全体に色が塗られ、
河川の氾濫や堤防の決壊が起きると、広い範囲で浸水が想定されていることが分かります。

 

1m近く浸水すると…

この想定を、先ほどのARアプリで「見える化」。
浸水想定が「0.5m~3m未満」の場所で、1m近く浸水した映像を表示しました。

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私の腰の辺りまで水に浸かりました。
多くの建物で、床上浸水が発生する高さ。
屋外に避難するのは難しい水位だということが分かります。

 

浸水3mだと…

続いて、近くのコミュニティセンターで試してみました。
この辺りで想定される浸水の深さは、「3m以上」です。

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私が持っている棒の長さが、ちょうど2m。
3mは、さらにその上です。

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別角度から浸水3mを重ねてみました。

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水は、建物の天井まで到達することが分かりました。
この辺りは建物2階以上に水が押し寄せ、家屋が倒壊するおそれもあり、
「早期の立退き避難が必要な区域」にも指定されています。

 

川から離れていても浸水リスクが

こうした浸水のリスクは、
JR仙台駅前のような、川から離れた市街地にも潜んでいます。

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それが、「内水氾濫」です。
2019年の台風19号では、大雨で下水道などの排水が追い付かなくなり、
仙台の中心市街地でも地上に水があふれ、道が冠水しました。

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仙台市は、こうした内水氾濫のハザードマップも作成しています。
仙台駅周辺も色が塗られていて、
青色が「20cm以上~45cm未満」、ピンクが「45センチ以上」です。

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ここでもAR機材をかざしてみました。
浸水30センチを重ねた映像です。車のタイヤは半分以上つかっています。
排気口まで水が届くとエンジンが停止するおそれがありますから、危険な状態です。

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さらに、道路のあちこちにあるマンホール。

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左の写真のように、浸水するとただでさえ見えにくい足下。
アプリの機能で、水を右の写真のように濁らせると、どこにマンホールがあるのか分からなくなりました。
もしもふたが外れていると、大変危険です。

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また、階段の段差も、1段目と2段目の境目が分からなくなっていました。
たとえ数十センチの浸水でも、転倒などのリスクが高まります。

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今回は、ハザードマップで想定された浸水のリスクを実感しました。
この機会にぜひ、お住まいの地域のハザードマップの確認をお願いします。