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ビクトリア愛あふれる街オアマル/ニュージーランド

初回放送
2020年6月16日
撮影時期
2020年2月
語り  
鈴木 杏

ニュージーランドの南島、海沿いに位置するオアマル。19世紀ビクトリア時代に築かれた石造りの建築物が立ち並ぶ真っ白い街です。ビクトリア時代を愛し、好きなことに思いきり打ち込む個性的な人たちに出会います。

歩き方

街の基礎情報 オアマル

場所:

ニュージーランドの南島 東海岸に位置する

人口:

1万4000(2020年現在)

景色:

青い海沿いの街に、ビクトリア時代の白い石造りの建物が並んでいる

人々:

個性的で明るく、好きなことにとことん打ち込む

産業:

観光業、小売業など

交通手段:

徒歩、タクシーなど

行き方:

日本からの直行便はありません。クライストチャーチやダニーデンなどニュージーランド南島の空港を経由して行くのが一般的。 クライストチャーチ空港→オアマル(車で約3.5時間)、ダニーデン空港→オアマル(車で約2時間)

通貨:

NZドル
1NZドル=約65円(2020年5月20日現在)

歩き方

歩き始めは街のメインストリートから。19世紀ビクトリア様式で建てられた真っ白い建物がずらりと並ぶ街並み。歴史地区では、ビクトリア時代の装いを楽しめる貸衣装屋や伝統の手仕事を続ける職人さんなど、街の歴史にどっぷりひたれます。ビクトリア時代の自転車に乗る青年やスチームパンクの愛好家たちのあふれる個性に圧倒されたり、手作りの機織り機で布を織るご夫婦の絆にふれたり。夕暮れの海辺ではペンギンたちの小さくてかわいらしい姿に癒されます。好きなことをとことん楽しむ人たちに出会う街歩きです。

街を歩いてみて(ディレクター談)

とにかく「ビクトリア愛」にあふれる街。歴史地区では人々は19世紀の倉庫をカフェやギャラリーに改造しておしゃれに使いこなしています。羊毛の倉庫だった建物は、今でも少し羊くさいとか!そんなことも当時の人々の物語を感じられる魅力なんだそうです。

写真ギャラリー

街のなりたち

街の開拓が始まったのは1853年。農業用地として開拓され、1860〜70年代にかけては穀物や羊毛の輸出で好景気に。同じ頃、オアマル周辺で金が発見され、ゴールドラッシュが起こります。ヨーロッパやアジアから多くの人が移り住み街は急速に発展。その頃建てられたのが、街の白い建築物です。しかしゴールドラッシュの終わりや、穀物や羊毛の価格の下落などが重なり、人々は街を去ります。皮肉なことに、半世紀以上も見放された状態だったことで、白い歴史的建築がそのまま残ることとなったのです。

出会い

街の「スチームパンクの愛好家たち」

ビクトリア時代の人々が空想した未来の世界を表現する「スチームパンク」がオアマルではブームに。身にまとっているのは、それぞれが手作りした自慢のコスチュームです。みなさんすっかりハマっていて、中にはこの服装で出勤する人もいるのだとか!

街の「機織り夫婦」

130年前の機織り機の美しさにご主人が一目ぼれ!買い取って独学で組み立てたと聞いてビックリ!でも実は、病気で長くふさぎこんでいたけれど、夢中になれたことで元気を取り戻せたんだそう。今は二人で仕事ができて幸せ、という笑顔がとびきり素敵でした。

街の「ペンギンとペンギンを見守る人々」

オアマルには体調30センチほどの世界最小のブルーペンギンが住んでいます。街の人たちは巣箱や道路標識をつくって、この「小さな住民」を大切にしています。日暮れどき、岩場を一生懸命登って巣箱へ帰ってくる姿には本当に癒されました。

グルメ

【第1位】ムール貝の地ビール蒸し

ニュージーランドで豊富にとれるムール貝。白ワインで蒸すのが一般的ですが、そこはオアマル流。街で醸造している地ビールを使って蒸します。プリプリのムール貝の食感に地ビールの苦味とコクがマッチして、一味違うムール貝を楽しめます。
<平均価格   29NZドル(約1900円)>

【第2位】ルバーブのチーズケーキ

日本のフキのような野菜、ルバーブ。ニュージーランドではスイーツによく使います。茎の部分を細かく切ってココナツシュガーと一緒にオーブンで焼くと、甘酸っぱいジャムのようになるんです。ルバーブをたっぷりトッピングしたチーズケーキは絶品です。
<平均価格   5.5NZドル(約360円)>

【第3位】ラムステーキ

ニュージーランドでは、何と言ってもラム肉がおすすめ!香ばしく焼いたステーキは、定番のごちそう。オーガニックで育てられた羊肉は臭みもなく軟らかくて、食べ応え十分。付け合わせには地元で採れるビーツのピクルスを添えてさっぱりと。
<平均価格   38NZドル(約2500円)>

ちょっとより道

ティマル マオリのアートを見に行こう

ティマルはオアマルから車でおよそ1時間半。16世紀ごろから、マオリの人々が住み始めたと言われています。そんなティマルの街には、マオリが残した壁画がたくさん。人や動物をモチーフにした絵の他に、最も大切に考えられているのが「タニファ」と呼ばれる森羅万象の神様を描いた壁画です。今でも自然に逆らうとタニファのバチが当たると信じられています。マオリは文字を持たない民族のため、先祖の暮らしや精神について記録が残っているわけではありません。アートを通して大切に語り継がれているのです。

語り:温水洋一