ヨーロッパ ポルトガル

ファド響く坂の街リスボン/ポルトガル

初回放送
2019年4月2日
撮影時期
2019年1月
語り  
永作博美

坂道が多いポルトガルの首都リスボンは、伝統音楽ファドを愛する街です。哀愁ただよう旋律にのせて歌われるファドに耳をかたむけながら街をめぐり、かけがえのない思い出を胸に 今を楽しく生きる人々と出会います。

歩き方

街の基礎情報 リスボン

場所:

ポルトガルの南西部

人口:

約50万人(2018年時点)

景色:

起伏が多い地形から「7つの丘の街」とも呼ばれ、坂道が多い

人々:

おだやかで、やさしい、思い出を大切にしている

産業:

製造業、観光業など

交通手段:

電車、トラム、バスなど

行き方:

日本からの直行便はありません。ヨーロッパの主要な空港を経由してリスボンに入ります。空港から街の中心まではタクシーで20分程度です

通貨:

ユーロ
1ユーロ=約130円 (2019年現在)

歩き方

「7つの丘の街」と呼ばれるリスボンは坂だらけ。テージョ川沿いのコメルシオ広場から、勝利の門をくぐって旧市街の中心部へ向かうと、高さ45メートルのエレベーターが突如 現れます。坂の上で 14歳からギターを作っている職人さん、坂の途中で ポルトガル中の装飾タイルを扱っている お店や、プロのファド歌手の歌声が響く開店前のファドハウスなどを訪ねます。夕方は 再び坂を上って、美しく、どこか なつかしい夕焼けのリスボンが見渡せる展望台へ。夜は、街なかでファドを楽しむ人々とふれあいます。

街を歩いてみて(ディレクター談)

坂が多いリスボンはとても絵になる街です。古い教会前の坂を行き交う路面電車。坂の途中でふり返ると見える家々の屋根、その隙間から見えるテージョ川の青。坂を上りきった先の展望台からの眺め。坂があるからこそ、リスボンは美しいのだと教えてくれました。

写真ギャラリー

街のなりたち

リスボンは大航海時代に多くの冒険者が新世界を目指して旅立っていった街。ポルトガルは世界に先駆け次々と航路を開拓、15世紀以降、アフリカ、南米、アジアに植民地を獲得し、巨大な貿易網を築き上げました。しかし17世紀、植民地の維持が財政を圧迫、巨大地震にも見舞われ、国力は著しく低下します。20世紀、独裁政権の時代が40年余り続きますが、絶えない植民地での紛争に疲弊した軍によるクーデター「カーネーション革命」が1974年に起き、ほぼ無血で勝利。その後、民政に移行して現在に至ります。

出会い

街の「ギター職人」

住宅街の路地で出会ったギター職人さん。14歳の時、成績が悪くて お父さんにギターを買ってもらえず、独学で作ったことが職人を目指すきっかけになったそうです。その時に作ったギターを、「とても愛おしい」と抱きしめる笑顔はとてもすてきでした。

街の「人形の病院」

お店の軒先に、白雪姫の格好をした女性が。聞くと、そこは"人形の病院"で、壊れた人形を治療しているのだそう。院長は、人形には子ども時代や家族の思い出が詰まっているので、「人形を治療することは思い出を治療することなの」と教えてくれました。

街の「ファドの歌い手たち」

どこからともなく聞えてきたファドの歌声につられて路地裏を進むと、談笑する 男女2人に出会いました。ファドハウス店内で仲間が練習しているというので、のぞかせてもらうことに。みなさん、なんと第一線で活躍するプロの歌い手さん!圧倒的な美声でした。

グルメ

【第1位】パステル・デ・ナタ

ポルトガルを代表する伝統のスイーツ。バターをたっぷり使ったパイ生地を、小さな型に合わせて広げる。その中にカスタードクリームを絞り入れ、オーブンで焼き上げたら完成。サクサクでバターが香る生地と濃厚なカスタードクリームの相性が抜群です。
<平均価格 1ユーロ(約130円)>

【第2位】トルタ・デ・クララス

メレンゲの生地を作り、オーブンで表面に薄くオレンジ色の焦げ目がつくくらいまで数分焼き上げ、卵黄のソースをかけたら完成。フワフワした食感のメレンゲと鮮やかな黄色の卵黄ソースは見た目も味もベストマッチ。
<平均価格 3ユーロ(約400円)>

【第3位】パンデロー

日本のカステラの原型になったと言われるスイーツ。小麦粉と砂糖、卵黄をたっぷり使った生地を巧みな火加減で焼きあげます。周りはしっとり、真ん中は半熟という最高の仕上がり。味も絶品です。
<平均価格 3ユーロ(約400円)>

ちょっとより道

「エボラ 生産量世界一!コルクの秘密」

向かうのは、ワインの栓に使われるコルクの産地エボラ。意外に知らないコルクの原材料や作り方を、コルク工場で教えてもらいます。コルクはコルク樫という木の樹皮。木を火災や害虫から守るために薄い皮の周りにでき、しかも、一度、はがしても繰り返し再生するのだそう。コルク生産量世界一のポルトガルでは、採取は9年に一度と法律で定められ、資源は大切に守り継がれています。木から はがしたコルクはまとめて煮沸し、油分を除いて品質確認。その後、ワイン栓からイスやテーブルなど様々な用途に加工されます。

語り:つぶやきシロー