2019年07月18日 (木)

EU離脱で揺れるイギリス 次の首相は?

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2019年7月14日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの古坂大魔王さん、国際部の佐伯敏デスクです。

 

EU離脱で揺れるイギリスでは、次の首相の座をめぐって、激しい戦いが続いているんです。

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勝ちそうなのが、ボリス・ジョンソンさん。

宙づりになったり、水に入ったりして、イギリスでは人気者なんです。

でも、こんな過激な発言も。

「EUは、やり方は違うがヒトラーと同じようなことをやろうとしている」。

「ヒラリー・クリントン氏は、サディスティックな看護師みたいだ」。

イギリスの次のリーダーが、ボリス・ジョンソンさんになったら、EU離脱はどうなるのでしょうか。

 

国際部・佐伯敏デスクが解説しました。

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今行われているのは、与党・保守党の党首選挙です。

この選挙の結果が来週23日に決まって、翌日に首相に就任します。

候補者は、この2人に絞られました。

ボリス・ジョンソンさんと、ジェレミー・ハントさんです。

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最新の世論調査ではジョンソンさんが圧倒的に有利で、首相になるとみられているんです。

先日行われたテレビ討論会でジョンソンさんは、

「私には首相になる力と資質がある。我々は変われる!名声を回復するぞ」と、力強く言っていました。

  

いまイギリスの人はどうみているのでしょうか。

ロンドン支局の税所支局長に聞きました。

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混乱する国の進路をゆだねるリーダー選びとあって、党首選としては、異例の注目度です。

ジョンソン氏は、言葉を重んじるイギリスでは大事なやりとりの巧みさ、そして、ステージにあがったとたんに輝きを増すスター性を備え持っているとして、保守党の党員の間では絶大なる人気を誇っています。ただ、広く一般国民の間ではというと、そのキャラクターの濃さから、これほど好き嫌いが分かれる政治家はいないと言われていますが、それも注目度の高さの裏返しといえます。

党首選で投票できるのは16万の党員のみ。

国民は「ジョンソン首相誕生」に向けて、期待とともに心の準備をしている、といった状況です。

 

 

そもそも、ジョンソンさんってどんな人物なのでしょうか。

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イギリスの次の首相になりそうなボリス・ジョンソン氏のこと、オレが説明するヨーソロー

 

ジョンソンさんがなぜ支持されるのか、説明していきます。

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ジョンソンさんと言えば、なんといっても「キャラの濃さ」。

ユーモアや独特の話術、それにどこか抜けた憎めない行動が人々の心をつかんでいるんです。

その憎めなさが垣間見えるできごとがありました。

自宅から出てきたジョンソンさんが、記者たちが待ち構える中、紅茶を入れたカップをトレイに乗せて現れました。

実はこのとき、ジョンソンさんは過去の発言をめぐって、記者から質問攻めにあうはずだったんです。

でも笑いながら紅茶を勧めるばかりで、結局質問には答えなかったんです。

 

キャラに加えて、もう1つ支持される理由が「実績」です。

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ジョンソンさん、2012年ロンドンオリンピックのときのロンドン市長で

「オリンピックを成功させた市長」というイメージがあります。

 

そして、「ボリスバイク」。

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これは、ジョンソンさんがロンドン市長時代に導入した、町なかで自転車をシェアするサービスです。

今ではすっかりロンドンに定着していて、交通渋滞への対策としても評価されているんです。

  

しかし、油断は禁物。

ジョンソンさんにも「弱点」があるんです。

それがこちら。

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ジョンソンさん自身です。

とにかく“失言”がいっぱい。

冒頭にもありましたが、アメリカのヒラリー・クリントン元国務長官について、サディスティックな看護師みたいだ」と言いました。

他には、イスラム教徒の女性の姿について「郵便ポストか銀行強盗にしか見えない」とも。

 

そして「弱点」は失言だけではありません。

ジョンソンさんは、フェイクニュースの先駆者だとも言われています。

もともとは新聞記者でしたが、駆け出しの頃、人の発言をねつ造したとして解雇された経歴もあります。

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そんなジョンソンさんが、イギリスの首相になったら今一番の課題「EU離脱」はどうするのでしょうか。

ジョンソンさんは、「EUとわかり合えないまま離脱してもかまわない」=「合意なき離脱でもいい」という主張です。

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討論会でも「自分は期限になっている10月31日に絶対に離脱する」と対立候補に断言しました。

一方、離脱の期限をはっきり言わない対立候補に詰め寄る場面もありました。

 

イギリスの人たちはどう感じているのでしょうか。

再びロンドンの税所支局長に聞きました。

イギリスの人たちはジョンソン氏のこの強気の姿勢に、一抹の不安を抱えながら見つめていることは間違いありません。

ただ、離脱を巡って3年もの間、混乱が続きながら何も進んでいない現状に国民はうんざりしています。

その閉塞感の中で、脇の甘いところはありますが、前向きで勢いのあるジョンソンさんに「流れを変えてもらいたい」と期待する気持ちもわからないでもありません。

そして、与党・保守党の支持者は、もともと離脱を望む人が多くいます。

このため、離脱を成し遂げなければ支持者から見放され、政権維持はおろか党そのものが消滅しかねないという強烈な危機感があります。

ジョンソンさんが首相になれば、そうした支持者の声に応えなければなりません。

いざとなったら柔軟性を発揮するのでは、という見方もありますが、ジョンソン首相誕生を後押しした強硬派の人たちがそれで納得するのか、疑問です。

また、EUと再交渉すると言ってもEU側は拒否していますし、もうすぐ夏休みですから説得のための十分な時間すらありません。

「合意無き離脱」に向け、アクセルを踏み続けるかに見えるイギリスが、どこかでブレーキをかけるのか、そのタイミングが遅すぎないことを願うばかりです。

ジョンソンさんが心変わりでもしない限り「合意なき離脱」の現実味は増すばかりとなりそうです。

 

 

ジョンソンさん、日本との関係はと言うと、実は4年前、日本に来たことがあります。

ラグビーワールドカップに関連するイベントに参加し「一緒に、スクラムを、組もう」と日本語で話しました。

ここまではいいんですが、ラグビーをプレーしたジョンソンさんは熱が入りすぎて子どもを吹き飛ばす、はちゃめちゃぶりも見せました。

帰国したあと、ジョンソンさんはイギリスの雑誌に、日本について

「中国に注目するあまり、日本を見ないのは間違っている。この国はすごい」と書いています。

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日本との関わりを重視するような発言ですね。

伝統的に関係のある日本やアメリカ、インドなんかとの関係も強めていくのかもしれません。

 

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ジョンソンさんが首相になれば、イギリスは離脱に向かって「坂を転がるラグビーボール」です。

型にはまらないジョンソンさんですので、どこに転がるかわからない、予測不能な危うさも伴います。

もちろん、良い方に転がることだってあるかもしれません。 

 

 

 

【この日の時間割】

1. EU離脱で揺れるイギリス 次の首相どんな人

2. 月面着陸から50年 宇宙開発 各国はいま

3. 地雷に立ち向かう アフガニスタンの女性

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月21日のゲストは、濱田龍臣さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:25


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