2018年12月06日 (木)

米中首脳会談&韓国 苦境のムン大統領

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2018年12月2日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、国際部布施谷博人デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの藤本隆宏さん、国際部佐々一渡デスクです。

 

この日、アメリカのトランプ大統領と、中国の習近平国家主席、約1年ぶりとなる首脳会談が行われました。

先週のせかいまで米中の“貿易戦争”を解説した、国際部経済担当・布施谷デスクが再び解説しました。

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会談が決裂して、アメリカと中国の貿易摩擦がさらに激しくなってしまうのか、それともいったん歩み寄るのかどうかが焦点でしたが、ひとまず最悪の事態は避けられました。

アメリカが、来年1月に予定していた関税の引き上げを一時的に見送り、

中国も、アメリカの貿易赤字を減らしますと約束したんです。

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トランプ大統領は会談のあと「両国の無限の可能性を引き出すことができる、すばらしく生産的な会合だった」と自画自賛しました。

また中国側は記者会見を開いて「すでに25%の関税をかけられている輸入品についても、関税をなくす方向で協議を続けることで合意した」と発表しました。

中国が、会談の直後に記者会見までするのは異例のことで、ほっとした様子がにじみ出ています。

 

しかし、残念ながらこれは一時休戦にすぎないと思います。

実は、今回の合意にはこんな内容が入りました。

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アメリカが不満を強めている、中国による知的財産権の侵害やサイバー攻撃の問題です。

中国は「そもそもそんなことはしていない」というスタンスですが、今回はその対応策を話し合うことで合意したとなっているんです。

これには「90日以内に合意できなければアメリカは1月の関税引き上げを復活させるぞ」と脅しをかける条件も盛り込まれています。

貿易摩擦がより激しくなる事態はいったん避けられる見通しですが、結局難しい問題を先送りにしただけ、というのが本当のところでもあります。

この問題は、まだまだ、ひとやまふたやまありそうです。

 

 

 

続いて、韓国のムン・ジェイン大統領について、国際部佐々一渡デスクが解説しました。

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まず注目したいのが韓国の最高裁判所が出した判決です。

裁判では、韓国の原告が太平洋戦争中に、「強制的に日本に連れて行かれて働かされた」と訴えていました。

韓国の最高裁判所は原告の訴えを認め、日本企業に賠償を命じたのです。

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この判決は日韓関係に大きな影響を与えるものでした。

 

日本と韓国は50年あまり前に国交を正常化しました。

その時に結んだ協定で、こうした賠償の問題については「完全かつ最終的に解決済みだ」というのが日本の立場です。

一方、韓国政府も、2005年に賠償などの責任は自分たちにあるという公式見解を出していました。

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ところが今回の最高裁判所の判決は、この前提を覆すのもでした。

日本でも立法、行政、司法の3つが独立していて三権分立と言いますが、韓国のムン政権も今回のことについて、「三権分立の原則で行政と司法は別だから、司法の判断は尊重しなければならない」と説明しています。

韓国では同じような判決が今年10月にも出ていて、日本政府は「国と国との約束を守っていない」と韓国政府に抗議しています。

さらに、同じような裁判がまだ10件以上あるとされていて、今後日本企業に賠償を命じる判決が相次ぐ可能性がありそうです。

 

この裁判だけでなく、日韓関係を冷え込ませる出来事がありました。

「慰安婦問題」に関わることです。

前のパク・クネ大統領の時に、韓国は、日本とこの問題の最終的な解決で合意していました。

その合意によって元慰安婦を支援する財団が作られました。

その財団には、日本政府が10億円を出していたんです。

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しかし、ムン政権はことし11月、財団を解散すると発表したんです。

 

ムン大統領は、前のパク政権がやってきたことを否定することで国民の支持を集めてきたと言えます。

このままだと、日韓関係はさらに悪くなりそうですが、ムン大統領も本音では関係を悪くさせたくないはずです。

ただ、日本に配慮しすぎると、韓国の国内から批判を受けることになりかねません。

つまり、韓国の世論と日本との関係で板挟みになっていて、対応に困っている状況だと言えます。

 

ムン大統領、他にも難しい立場に立たされているんです。

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こちらの模型を使って説明していきます。

周りに咲いている花は、ムン大統領が実現を目指す3つの「理想の花」です。

「日韓関係」の花は、これまで見てきたように裁判や慰安婦の問題を受けて、元気がない状態です。

 

他には、「国内経済」と「北朝鮮問題」の花がありますが…

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国内経済の花は、突然出てきたモグラに折られてしまいました。

 

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格差をなくして雇用を増やすって言って当選したムン大統領だけど、なかなかうまくいってないみたいなんだヨーソロー

 

韓国では、ムン大統領が経済や雇用の問題を改善できるのか、国民から厳しい目が向けられています。

最新の世論調査では、6割近くの人がムン大統領の経済政策を評価しないとしています。

 

そんな中、韓国の学生から就職先として注目されている国が、日本なんです。

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厳しい受験戦争など、努力を重ねても、韓国で望んだ仕事にはつけないという若者が少なくありません。

ソウルには日本企業への就職対策を学ぶ塾が人気を集めています。

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日韓関係も国内経済もうまくいっていないムン大統領ですが、過去の大統領と比べても支持率は高いんです。

その最も大きな理由が最後に残った花、「北朝鮮問題」で大きな評価を得ているからなんです。

 

ムン大統領はことしだけで、3度の南北首脳会談を行うなど、対北朝鮮政策に力を入れてきました。

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南北をつなぐ鉄道や道路など協力事業を進めようとしたり、北朝鮮のキム・ジョンウン委員長のソウル訪問を実現しようと模索してきました。

 

ムン大統領は、アルゼンチンで行われたG20サミットで、アメリカのトランプ大統領と会談して意見を交わしました。

韓国の大統領府はこの会談について、北朝鮮のキム委員長の韓国訪問が重要だという認識で一致したと説明しています。

実現すればムン大統領の大きな追い風となると思います。

ただ、北朝鮮の出方や、周辺国の思惑、様々なことが複雑に影響するため、いつ実現するのかはっきりとは見通せない状況です。

 

とは言っても、韓国の世論調査を見ると、6割近くの人がムン大統領の北朝鮮政策を評価するとしています。

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アメリカのトランプ大統領は2回目の米朝首脳会談を来年1月か2月に開催する見通しで、開催地として3つの場所を検討していると明らかにしました。

米朝の首脳が再び直接会談を行うことになれば、朝鮮半島情報が大きく動き出す可能性もあります。

会談がうまくいけばムン大統領にとって、対北朝鮮政策を進めやすい状況になるといえます。

 

北朝鮮をめぐる問題には積極的に取り組んでいるようですが、やはり気になるのは、元気のない“日韓関係の花”です。

韓国が日本を重要な国と考えていることは間違いありません。

経済や北朝鮮への対応など、こうした面から考えても日本との協力は欠かせないからです。

ムン大統領としても、日韓関係を修復するための方法を探っているはずです。

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ムン大統領の任期はまだ3年半ありますが、韓国の国内事情、あるいは対北朝鮮政策というのは日本にも何らかの形で影響してきます。

今後の韓国国内がどうなっていくのか、日本との関係はどうだろうかなどと考えながら見ていくと、今後の国際ニュースの理解が深まるかと思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年12月9日のゲストは、ハリー杉山さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:16:58


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