せかいま美術館

2020年06月04日 (木)

香港を狙う中国の新法制/アメリカが中国を見限った?

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2020年5月31日の出演者のみなさんです。

左から、坂下千里子さん、Mr.シップ、永井伸一キャスター、国際部・花澤雄一郎デスクです。

 

この日から、リモート出演を続けていた坂下千里子さんがスタジオに復帰しました。

スタジオ内でも間隔をあけて出演しています。

 

世界の新型コロナウイルス感染拡大が気になりますが、香港では大きなデモがありました。

香港のいまを、若槻支局長に聞きました。

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香港では、新型コロナウイルスの感染と対策として、9人以上で集まることが禁止されていて、しばらく抗議活動は姿を消していました。

しかし、この1週間ほどは連日、小規模ながら各地で抗議活動が行われています。

こうした活動ができるのも、香港が「一国二制度」のもとにあるからと言えます。

しかし今、その「一国二制度」が終わってしまうのではないかという事態になっています。

 

ここから、花澤デスクに聞いていきます。

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「一国二制度」とは「香港は中国の一部ではあるけれども、中国本土とは違う法律・仕組みでやっていきますよ」ということです。

しかし、5月28日、中国で、香港に「国家安全法制」というものを導入することが決まったんです。

 

[中国が導入しようとしている「国家安全法制」がどんなものか、オレが説明するヨーソロー]

 

今まで香港の人々は「一国二制度」のおかげで、自由に中国の政府を批判する集会を開いたり、新聞やテレビで批判することもできた。

ちょっと難しく言うと「高度な自治」ってやつだ。

だから中国の政府は、香港の人々を取り締まれなかったんだ。

そこで中国の政府は香港に「国家安全法制」を導入。

「香港では、今まで中国の法律は適用できなかったんだけど、これは例外なのだ」。

だからこれからは、必要なら中国の治安部門が、香港の中で活動できるんだ!

 

 

中国政府はあくまでも国家安全法制は、国家を分裂させたり、政権を転覆させたりする行為を取り締まるためだと言っています。

しかし、香港の民主派の人たちは「中国政府を批判すること」、「抗議デモ」、「外国に向けて中国の問題を訴えること」、こういうことが罪に問われることになると心配しています。

さらに中国の当局が、香港で直接、逮捕できるようになると懸念されています。

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新型コロナウイルスで世界が混乱している中で、なぜ中国は国家安全法制を導入したのでしょうか。

北京にいる中国総局・柳原記者に聞きました。

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ここまで強硬に進めるとは思っていませんでした。

しかし、香港の抗議活動は一向に収まらず、その批判の矛先は中国政府や共産党にも向かっていました。

一部ではありますが、中国国旗を燃やしたり、独立を主張したりする動きまで出てきているとしていて、許容できるレベルを超えたと判断したのだと思います。

世界からの批判は覚悟の上で、力で抑え込む方針をとることになりました。

 

 

「一国二制度」で最も大事なのは、言論や集会の自由です。

今回の事態は非常に深刻で「一国二制度は死んだ」とも言われています。

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この事態に香港の人たちの間には、いいようのない憤りと不安が広がっていると感じます。

去年6月から、香港では大規模で時には激しいデモが繰り返されてきましたが、国家安全法制が導入されると、こうしたデモが大幅に制限されるおそれがあり、いまのように自由にものが言えなくなるという危機感が強まっています。

 

1年前から毎週のようにデモに参加してきた、蕭浩然(しょう・こうぜん)さんです。

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「デモにはできるだけ参加しています。抗議活動の火は消えません」。

中国政府に批判的な議員のスタッフをしながら抗議活動を続けている蕭さん。

いま、全てをなげうって自由な香港を守らなければならないと考えています。

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「香港を取り戻せるならば犠牲もしかたありません。逮捕される覚悟はできています。刑務所に行く心の準備もできています」。

 

一方、抗議活動を続けることに限界を感じ始めている、易卓邦(えき・たくほう)さんです。

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大学卒業後に広告制作会社を立ち上げ「ユーチューバー」として活動してきましたが、去年11月、暴動に関わった疑いで逮捕されました。

若者と警察が激しく衝突した大規模なデモに参加したからです。

今月中旬には「暴動罪」で起訴されました。

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「起訴されてから、私は人生のレールから外れてしまいました。今後の仕事や人生が変わってしまったんです」。

裁判はすでに始まっていて、裁判中は週1回、警察署に行って居場所を報告しなければなりません。

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「暴動罪」の最高刑は、禁錮10年です。

裁判がいつ終わるのか先が見通せず、仕事で海外に行くことも許されません。

易さんは悩んだ末、当面の間は抗議活動への参加をやめることにしました。

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「いくら戦っても効果がありません。どうしたらいいか分からないんです。香港は行き止まりまで追い詰められました」。

 

香港の人たちの選択肢は、多くありません。

将来への強い不安から、香港から出ていこうという動きも出始めていて、台湾やヨーロッパなどへの移住手続きを代行する業者には問い合わせが殺到しています。

そんな中で、抗議活動では「香港の独立を」と、これまであまり見られなかった声が目立つようになりました。

その追い詰められた民主派の人たちが望みを託している手段があります。

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民主派の新聞は、アメリカ大統領に向けて「プリーズ・ヘルプ・アス」=「助けてください」と手紙を書こうと呼びかけています。

民主派の団体などはたびたび会見を開き、国家安全法制の導入を撤回させるため、中国に強い圧力をかけてほしいと、アメリカに訴えています。

香港の人々は、もはや外国の力に頼る以外方法がないと、アメリカの動きを見つめています。

 

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香港の問題も加わって、アメリカと中国の対立はますますエスカレートしています。

双方の強硬な姿勢が、かつてないレベルに達しています。

 

アメリカは、香港に対して、関税やビザを優遇するなどの特別扱いをしてきましたが、これをやめると発表しました。

アメリカが香港の特別扱いをやめると香港のビジネス環境が悪くなり、外国企業が香港で活動したり、投資をすることがしにくくなります。

実は、中国の企業は香港の市場でたくさんのお金を外国から集めていて、それを中国国内で使っています。

そのため香港の市場に魅力がなくなると、中国の経済全体にも打撃になるんです。

さらにアメリカは、中国人留学生を制限したり、中国企業のアメリカでのビジネスを制限する姿勢も示し、中国に対する厳しい姿勢を鮮明にしました。

アメリカと中国はこれまでも「貿易戦争」、「南シナ海・台湾」、「5Gなどのハイテク分野」でも対立してきました。

ただ、そうは言ってもアメリカ政府は、これまでは「結局、最終的には中国とはなんとか付き合っていくしかない」というのが基本的な考えでした。

それが最近、大きく方向転換しました。

トランプ政権が5月20日に出した中国政策の報告書には「アメリカがこれまでやってきた中国政策は甘すぎて間違いだった。期待していても中国は国際ルールを守る国にはならない」と書かれています。

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さらに、「中国はアメリカの国益を傷つける存在だ」とも言っています。

ほとんど中国を見限ったとも言える衝撃的な内容でした。

この厳しい姿勢の背景の1つが、アメリカが抱える軍事面での中国に対する危機感です。

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こちらは日本の周辺の地図です。

グアム、日本、韓国などに基地がありますし、海の上には「動く基地」である巨大な空母があります。

この地域では、これまでアメリカ軍が圧倒的に強い状態でした。

そこで中国が近年、急激に開発を進めたのが「中距離ミサイル」です。

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色々と開発していますが、そのうちの1つは、黄色の線まで届くミサイルです。

非常に精度が高く、動いている空母を撃沈できるとされていて「空母キラー」と呼ばれています。

アメリカの空母がこの中に入ってこられないようにしようという戦略です。

さらに、オレンジの線まで届くミサイルがあります。

「グアムキラー」と呼ばれ、アメリカ軍基地があるグアムも狙えます。

ミサイルは、数でもアメリカを圧倒しています。

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いっぺんに撃たれたら、アメリカ軍でもミサイルを全て撃ち落として空母を守ることはできないと言われています。

つまり、空母がこの範囲に入ると撃沈されるおそれがあるということで、外に出ざるを得なくなります。

アメリカ軍はこの地域で圧倒的に強かったのですが、いつの間にか、かなりまずい状況になったという焦りも感じます。

 

中国は、アメリカとどこまで対立していく構えなんでしょうか。

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中国が軍事力への自信を深めていることは確かです。

ただ、アメリカとの対立は織り込み済みとはいえ、軍事衝突は避けたいのが本音です。

それでも、アメリカが台湾にさらに支援するなど、中国にとって譲れない一線を超えてきた場合には緊張が一気に高まることもあり得ます。

今更、香港の国家安全法制を引っ込めることはありえませんが、対立が決定的にならないように、アメリカを過度に刺激していくことは避けていくと思います。

同時に中国への批判が広がらないように、各国の対応にも神経をとがらせています。

経済での関係をちらつかせながら他の国に働きかけて「なるべくアメリカを孤立させていく」、中国は今後、そうしたしたたかな戦略をすすめていくと思います。

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こういう様々な対立の緊張状態にある上に、今回の香港の問題がさらに加わったというのが現状です。

特にアメリカはこの報告書にあるように、これまで以上に中国に厳しい姿勢で臨もうとしています。

アメリカ国内世論は中国に対してより厳しくなっていて、議会はトランプ大統領以上に中国に厳しい姿勢です。

そしてトランプ大統領としても中国に対して厳しい姿勢をみせることは、ことし11月のアメリカ大統領選挙にもプラスになるという計算もあります。

つまり、アメリカ側にも、ブレーキはほとんど見当たらない状況です。

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世界をリードしてきたアメリカと、それに挑戦する中国が対立するのは必然でもあります。

放置すればエスカレートしていく危険な状況です。

秩序に挑戦する中国にはいま、世界中で警戒感が高まっています。

日本はそうした各国と連携して中国に対して声をあげ、協調に導いていけるのか、私たちの危機意識が問われています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.どうなる一国二制度 香港を狙う中国の新法制

  アメリカが中国を見限った?

2.感染拡大続くブラジル「それでも経済を!」

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

登録タグ:   

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:45 | 固定リンク


2020年05月28日 (木)

防げ!感染再拡大 タイ&ドイツの取り組み

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2020年5月24日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

放送日時点で、日本の緊急事態宣言の解除は、残り東京など首都圏1都3県と、北海道となりました。

 

新型コロナウイルス感染対策の参考となる海外の例を、国際部・花澤デスクが解説しました。

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経済を徐々に再開させる一方で、第2波は防ぎたいということで、いま盛んに言われているのが「新しい日常」、感染拡大を抑える生活、社会のあり方です。

東南アジアのタイと、ヨーロッパのドイツで見ていきます。

 

まずはタイの感染者のグラフを見てみます。

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1日の感染者数が少なくなったことから、5月3日から、経済活動を段階的に再開しました。

その後3週間経ちますが、感染者数は一桁の日が続いていて、第2波を防いでいると注目されています。

タイではどうやって第2波をおさえているのか、バンコクにあるアジア総局の藤田記者に聞きました。

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タイでは「工夫して暮らすこと」で、第2波を防いでいるんです。

 

バンコクの鉄道の駅では、37度5分以上の熱がある人やマスクをつけていない人は乗車できません。

車両の座席も、一席ごとに間隔を空けて座るよう配置されています。

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ピーク時の乗車人数を、感染拡大前の4分の1程度にまで制限しています。

 

エレベーターでは、足元にあるペダルを踏むと扉が開き、中でもペダルを踏むことで目的の階を指定できるようになっています。

 

およそ2か月ぶりに営業を再開した商業施設でも、新たな対策で感染を抑え込もうとしています。

ショッピングモールに入る際は、携帯電話でQRコードを読み取って入館手続きをします。

客が入店と退店の登録を行うことで、混雑状況がわかるほか、誰が、いつ、店に立ち寄ったのか把握して、クラスター対策に役立てています。

さらに、ひとりひとりの足元を消毒する徹底ぶりです。

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店内ではロボットが巡回しています。

20メートル以内にマスクをしていない人がいればタイ語と英語で注意します。

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「(タイ語&英語)マスクをつけてください」。

マスクを着けると、警告が止まります。

マスクの確認だけでなく、体温を測定しています。

 

タイではすでに5月3日の時点で、店内での食事が可能になりました。

テーブルとテーブルの間には、ついたてをたてて、隣り合って座らないようにシールも貼られています。

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しかし、夜の街のバーなどの飲み屋といった繁華街のお店は、まだ閉鎖されたままなんです。

こうした対策をとるタイですが、場所によっては混雑するなど、完ぺきとまではいえません。

今後も「新しい日常」を徹底できるかが焦点となっています。

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マスクとか人との距離とか、みんな分かってはいることですが、タイではそれをより守れるようにする細かい工夫が見られましたね。

私たちにも色々なヒントがありました。

そして、それをどれだけ徹底できるかということですね。

 

 

続いてはドイツの「新しい日常」を見ていきます。

ドイツの感染者数のグラフです。

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一時期に比べて、だいぶ減ってきたことを受けて、先月20日から一部の店舗が再開しています。

第2波を抑える徹底した対策の様子を、ドイツのベルリン支局・山口支局長に聞きました。

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ドイツではレストラン、カフェなども、州ごとに営業を再開しています。

これを受けて、街なかには人通りが戻ってきました。

 

買い物客がショッピングを楽しみ、日常の風景が戻りつつあります。

レストランも営業を再開し、大勢の人でにぎわっています。

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「外で飲むのは久しぶりよ。すばらしいわ」。

「天気もよくて良い気分だよ。感染対策は忘れちゃいけないけどね」。

 

感染対策も怠ってはいません。

こちらの店では、席と席の間をあけるため、客席をおよそ6割減らしました。

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多くの人が触れるテーブルの上の塩やこしょうもなくしています。

「感染対策の規則を守るのは義務ですし、すべてやっています。いつになるかは分かりませんが きっと元通りになると思います」。

 

ドイツは、感染の第1波でも十分な備えをしてきましたが、さらに第2波に備えて行っている「新しい日常」が「PCR検査と暮らす」です。

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ドイツでは、大量のPCR検査を行っています。

最大で、1週間に100万件のPCR検査が可能です。

なるべく早く感染者を見つけて自宅などに隔離するためです。

PCR検査では、まず検体を採取しますがドイツでは医師の判断で行われ、通い慣れた近所の「かかりつけ医」のもとで受けることができます。

大量の検体を検査・判定するのは「民間の研究所」。

普段は血液の分析などを行っているところです。

現在は、ドイツ国内の100を超える民間の研究所が、新型コロナウイルスのPCR検査を大量に行う態勢に切り替え、こうした研究所が採取した検体の9割以上を検査しているんです。

研究所のなかには、夜間や休日も検査を行っているところもあります。

検査態勢の充実ぶりに、研究所でつくる協会の幹部も自信を見せています。

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「これはドイツのさまざまな検査機関が力を合わせて達成したすばらしい業績です。十分な設備と、有能でやる気のあるスタッフによって可能になったのです」。

 

さらに、ドイツ政府は症状がない人へも検査を広げていく方針です。

例えば高齢者施設や病院などの入所者や患者については、入る前にまず検査する方針です。

場合によっては、症状が無くても職員を含めて全員の検査を定期的にすることも検討しています。

さらに、民間の研究所での大量の検査・分析を可能にしているものがあるんです。

それが「全自動PCR検査機」です。

こちらは全自動のPCR検査機の1つで、日本のメーカーのものです。

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このメーカーのものは、フランスやイタリアをはじめ多くの国で使われています。

手作業に比べて数倍から数十倍の処理能力があるそうです。

全自動検査機はドイツを始め、欧米ではすでにかなり使われていて、大量の検査数を支えています。

日本では、まだほとんど使われていなくて、ようやく導入されつつあるというところです。

そして、感染者が街中にたくさんいるかもしれないと思うと、人々は警戒してあまり外出せず、経済もなかなか回復しないと言われています。

だから「経済回復のためにもPCR検査を増やすべきだ」という声が日本でも上がっています。

欧米などではそれが既に実践されています。

 

さらにドイツは、第2波が起きたときの備えも着々と強化しているんです。

 

それは、集中治療用のベッドの増加です。

現在、4万床あり、第1波のピーク時にも1万床ぐらいの余裕がありました。

それでも、ドイツはさらに増やして5万6,000床までにする目標を掲げているんです。

第2波を防ぐ措置、そして第2波が起きた場合の備えを、緻密に着々と進めています。

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ドイツ政府は「第二波は必ず来る」と警戒を呼びかけています。

この徹底した対策は、それだけ「経済の再開はリスクが大きい」と心配していることを表しています。

私たちも、「大きなリスク」をしっかりと自覚できるかどうか、それが「新しい日常」の鍵を握っているようです。

 

 

 

【この日の時間割】

1.防げ!新型コロナウイルス 感染再拡大 タイ&ドイツの取り組み

2.“ほめられたい” あの国 EUが警戒 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

登録タグ:   

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:03 | 固定リンク


2020年05月21日 (木)

新型コロナウイルス 第2波 再拡大おそれ警戒続く

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2020年5月17日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

日本では14日、39の県で緊急事態宣言が解除されました。

 

世界中でも徐々に、いろいろな制限が緩和される動きがみられますが、一方で、第2波への不安が高まっています。

国際部の花澤デスクが解説しました。

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2つの地域「韓国」と中東地域の「イラン」の事例を見ていきます。

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まず韓国を通して見ていくのは、さまざまな制限が解除された後の「気の緩み」についてです。

 

ソウル支局・徳田記者に聞きました。

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こちらは、韓国で感染が確認された人の、日ごとのグラフです。

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韓国の感染拡大のピークは、ことし2月末でした。

このときは1日でおよそ900人が確認されましたが、先月に入ったあたりから、感染拡大の勢いが弱まり、新規の感染者数が1ケタとなる日が増えてきていました。

その背景には、大量のPCR検査や、軽症者の受け入れ先の整備の徹底などがありました。

5年前、MERS(マーズ)コロナウイルスの流行で38人が死亡した韓国は、その教訓を生かすことができたと言えます。

ところが、諸手を挙げて喜ぶ状況にはなりませんでした。

 

ソウルのイテウォンという繁華街にあるナイトクラブでの集団感染が発覚したのです。

韓国政府が「感染防止と経済の両立」をかかげて、さまざまな制限を大幅に緩和した矢先のことでした。

客やその家族、100人以上の感染が確認されました。

ソウルから遠く離れた南部プサンで、ナイトクラブの客から親戚の1歳の子どもが感染する事例も報告されるなど、感染が各地に広がりました。

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このため、急激に第2波への不安が高まっているんです。

 

感染が広がったイテウォンは、日本でいう東京の六本木のような繁華街で、以前は若者や外国人でいつもにぎわっていました。

普段は肩がぶつかるくらい人でにぎわう通りも、今はガラガラで、少し暗い印象があります。

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「新しい感染者です。全員、ナイトクラブと関連がありそうで、感染拡大が懸念されます」。

ソウル市は制限を緩和したばかりだったナイトクラブなどに対し、再び営業禁止を命じたのです。

 

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「もっと商売が厳しくなります。回復しつつあったのに、若者たちが気をつけるべきでした」。

「売り上げが、ほぼなくなりました。ここまでひどいのは初めてです」。

 

一方で、イテウォンから8キロほど離れたヨンドゥンポという繁華街に行ってみると、まったく違う印象を受けます。

営業しているお店が多くて明るい印象です。

政府が密集した場所には行かないようにと呼びかけてますが、実際にはかなり密集したような状況になっています。

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「(集団感染が起きて)怖いけど、家にいるばかりでは退屈です」。

営業する店側も深刻には受け止めていないように感じました。

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「ここは飲食店街で、普通の食堂がほとんどです。ナイトクラブなどとは全然違うから大丈夫ですよ」。

ナイトクラブから始まった感染は、国内全体のピーク時と比べればわずか5%。

そのため、市民の間ではあまり危機感が広がらず、全体的に「緩んでいる」ようです。

 

 

韓国は検査の徹底に加え、感染が疑われる人の行動を携帯電話の位置情報などを通じて監視し、感染拡大を防いできました。

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ムン・ジェイン大統領は「韓国の感染対策は世界の模範になっている」と成果を誇り、社会にも感染を抑え込んだという自信が広がっていました。

それが今回のナイトクラブでの集団感染につながったのだと思います。

一度緩んだ警戒はまだ戻りきっていないようで、さらなる感染拡大を抑えられるのか、懸念する声が強まっています。

 

韓国の感染はどう増えていくのかどうかは分かりませんが、その危うさは指摘されています。

実際に感染を抑え込んだ事実や、政府のメッセージが、感染に対する人々の「気の緩み」をどうしても生んでしまう、ということがよく分かります。

やはりワクチンや薬ができるまで、コロナとの戦いは終わりません。

どんなに感染を抑え込んでいても、クラブはもちろん飲み会などの濃厚な接触というのは大きなリスクになることが分かります。

 

 

続いて、中東の第2波の状況を見ていきます。

キーワードは「経済優先」。

イランの状況について、対岸にあるドバイ支局・吉永支局長に聞きました。

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イランは2月から急速に感染が拡大しました。

欧米より先に拡大が進み、死者は中東最大の6,900人余り。

ピーク時の3月下旬は1日3,000人を超える感染者が確認されていました。

政府が外出規制などの対策をした結果、先月からは減少傾向になったものの、依然として1日の感染者は1,000人を超えていました。

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しかし、イラン政府は経済活動の再開に舵をきってしまったんです。

 

首都テヘランは、4月中旬に外出規制が緩和され、企業や商店の営業が許可されました。

街では肩が触れ合うほどの混雑も見られ、道路も渋滞しています。

こうした状況に、ある医師は危機感を募らせていました。

「社会活動が戻っていっても、いまの状況では第2波が起こる可能性は極めて高いでしょう」。

 

そして、案の定、感染者は再びこのような状況になってしまいました。

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感染者が再び増加傾向になり、最近では第2波ともいえる状況になったんです。

経済活動の再開で、人と人が接触する機会が増え、感染が拡大したとみられます。

感染が特に深刻な9つの都市で、再びロックダウンを行う事態になっています。

 

[イランが、どうして経済活動の再開を急いだのか、オレが説明しヨーソロー]

イランを苦しめているのは、新型コロナウイルスだけじゃないんだ。

それは感染が広がる前から続いているアメリカの経済制裁なんだ。

経済制裁でイランのお金の価値は暴落し、物価が急上昇。

経済は厳しい状況だったんだ。

そこに新型コロナウイルスが広まって、人々の暮らしはどんどん悪化。

これを食い止めるためにも、早く経済活動を再開させたかったんだヨーソロー。

 

 

シップが説明した背景もあり、イランの政府は予防策を訴えるくらいしかできることがないというのが実情です。

そして、中東諸国ではイランほどではないにせよ、今、経済的に追い詰められている国が増えています。

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原油価格が低迷していることが経済を直撃していているんです。

こうしたこともあって経済活動の再開に踏み切る国が増えていて、その後、感染者が増えるという状況が起きているんです。

イランの対岸、UAE=アラブ首長国連邦でも、同じような状況です。

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UAEの日ごとの感染者を示したグラフです。

これまでドバイでも、先月まで外出は3日に1回、散歩もダメ、という厳しい措置をとってきましたが、徐々に緩和されています。

 

ドバイ最大級のショッピングモールでは、小売店やレストランが徐々に再開。

検温やマスクの着用を徹底しています。

店の入り口には、それぞれの店舗に入ることができる買い物客の数が表示されています。

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また、床に印をつけて、買い物客の距離を空けたり、テーブルの間隔を空けたりして、対策をしていました。

 

こうした対策をとっても感染者は増えているんです。

この時期、イスラム教の人たちは親族が集まって食事やお祈りをするんですが、政府は「集まるのは5人まで」と呼びかけています。

しかし、実際には30人もの人が集まって感染が起きたりというケースが起きています。

義務化されているマスクをしていても、口や鼻を覆っていない人が増えています。

政府が経済の再開を進めることで、人々は動き出しましたし、それが緩みにもつながってしまった、と言うことだと思います。

経済と感染対策の両立の難しさが浮き彫りになっています。

 

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経済が悪化すればするほど「経済を優先したい」という圧力が強まります。

経済の悪化を抑えることは感染対策に直結します。

そして「緩んじゃダメ」といくら言ってもこれを止めるのも容易ではありません。

新型コロナウイルスとの戦いはまだ始まったばかりです。

経済を動かしながら緩みを抑える。

長期戦を戦うには、ひとりひとりが油断せずに感染対策を徹底することが求められています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス 第2波 再拡大おそれ警戒続く

2.あすWHO総会 国連への影響力強める中国

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:48 | 固定リンク


2020年05月14日 (木)

新型コロナウイルスより仕事? 欧米で経済再開の動き

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2020年5月10日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

日本は緊急事態宣言が今月31日まで延長されました。(放送日時点)

 

今回も世界の新型コロナウイルスをめぐる状況を、花澤デスクとお伝えしていきます。

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感染対策と経済のバランスを各国がどうとっていくのか。

日本にとっても重要なポイントです。

経済活動の制限をゆるめ始めたアメリカとヨーロッパの状況を見ていきましょう。

 

まずは、アメリカ。

感染者は、130万9,541人。

死者は、7万8,794人。

 

アメリカは、政府が求めた外出自粛が4月いっぱいで期限を迎えました。

トランプ大統領は経済活動を再開させる3段階の目安を発表して、実際の判断は各州の知事が行っています。

そしていま、経済活動再開の動きが広がっています。

 

そのアメリカの現状について、ニューヨークにるアメリカ総局の及川利文記者に聞きましょう。

 

アメリカ総局・及川記者)

活動再開の動きを、アメリカの地図で見てみましょう。

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黄色が、経済活動を再開した州です。

一部の経済活動を再開させた州は、全米50州のうち7割以上の38州にのぼっています。

その背景にあるのは、経済へのあまりに大きな影響です。

 

今回の感染拡大で、新たな失業保険を申請が3000万件以上にのぼっています。

トランプ大統領も「国を元に戻さないといけない」と述べて、経済活動の早期再開の必要性を強調しています。

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「コロナより仕事」だという国民の声の高まりが再開を後押ししていると言えそうです。

 

アメリカでは感染拡大以降、各地でデモが起きています。

参加した人たちが「働かせて」とか「仕事に戻して」というメッセージを掲げ、経済活動の早期再開を求めているんです。

 

感染状況は州によって、だいぶ異なっています。

たとえば、西部のモンタナ州では、感染者は3週間以上一桁で、最近はゼロの日も多くなっています。

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このため経済活動を一部再開しました。

 

一方、ニューヨークは今も深刻な状況で、経済活動の再開にはまだ慎重です。

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問題は、まだ十分に感染者が減っていないのに、再開に踏み切る州があることです。

カリフォルニア州は8日から再開しましたが、新たな感染者数は増加傾向にあるんです。

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州知事は「科学的な判断」と言いながら、デモなどの圧力で再開に踏み切ったんじゃないかと報じられています。

そのため、また感染が拡大するのではないかと、非常に心配されています。

実際に経済を再開させた州のうち12の州で、新たな感染者が増え始めています。

アメリカは人々の声に押されるかたちで経済を再開を急いでいて、感染対策とのバランスに苦悩しています。

 

続いてはヨーロッパの再開の動きについて、見ていきます。

 

ヨーロッパでは厳しい制限措置が取られてきましたが、ここにきて、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリアなど、続々と経済活動を再開する動きが広がっています。

ただし、レストランなどでの店内の飲食はまだほとんど許されていません。

そしてフランスでは、11日から経済活動が一部再開されます。

 

フランスの様子を、ヨーロッパ総局・藤井俊宏記者に聞いてみましょう。

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ヨーロッパ総局・藤井記者)

感染者が17万人にのぼるフランスでは、7週間以上続けてきた外出制限が大幅に緩和されて

商店の営業が認められるなど、経済活動が動き出します。

 

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パリの観光名所シャンゼリゼ通りは、外出制限が始まったころに比べると、かなり車が戻ってきているようです。

まだ、お店は閉まっているので、歩く人の姿はあまりありません。

一方で、パリ東部の広場には多くの人が集まっていました。

フランスでは午前10時から午後7時までは、散歩や運動などもしてはいけませんが、たくさんの人がいます。

外出制限の緩和を前に人々はもう緩んでいる感じです。

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「天気がいいので、少し外に出ただけです。月曜には制限が解除されるからだんだん人が多くなっています」。

 

ヨーロッパ総局・藤井記者)

フランスが解除にふみきったのは経済への影響が深刻なことが背景にあります。

ただ最も大切にしたのは、“医療を守りながら再開する”ということです。

フランスでは新たな感染者とともに重症者の数も減ってきています。

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1か月前にはICU=集中治療室で治療を受ける人が7000人を超えていましたが、今では3000人を下回るまでに減っています。

医療現場に余裕が出てきていることが、大きな理由なんです。

 

それに加えフランスでは、医療データを細かく分析して地域ごとに解除の内容を変えているんです。

 

フランス政府が発表した地図がこちらです。

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フランス全土が赤と緑に色分けされています。

全土を101の地域に分け、地域ごとに医療崩壊に陥る危険性を分析しています。

赤は医療崩壊の危険がより高く、低いのが緑です。

救急外来を訪れた患者のうち、感染が疑われる人の割合やICUに占める感染者の割合などを細かく公開して、それをもとにレベル分けしているんです。

 

赤と緑の両方で11日から商店の営業の再開が認められますが、違いは公園と学校です。

緑の地域では、公園が開放され、学校は幼稚園から高校まで徐々に再開されます。

一方で、赤の地域では、公園の閉鎖は続き、中学校と高校は再開されません。

親が仕事を再開するには小さな子どもに行っていてもらう必要があるため、幼稚園と小学校だけは再開することになりました。

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さらに赤い地域では仕事には行っていいものの、可能な限り在宅勤務が求められます。

ただ、緑と赤、どちらの地域でも、まだ、レストランやカフェなどは店内での飲食はできません。

不安を募らせているフランス料理店の日本人シェフを取材しました。

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パリ南部でフランス料理店を営む紀川倫広(きがわ・みちひろ)さんです。

飲食店の営業制限が続くこの2か月近く、店内での営業はできず、持ち帰りの料理をつくる日々が続いています。

フランスで修行を重ね、9年前に念願の自分の店をオープンさせました。

去年、銀行から資金を借りて店を全面改装し、理想の店作りに向けて動き出した矢先の感染拡大でした。

営業制限で、売り上げは以前の2割にまで落ち込みました。

 

苦しい経営の中で、3人の従業員のうち2人を一時解雇しました。

2人にはフランス政府から、それまでの給与の85%が支給されています。

この苦境を乗り切ろうと、紀川さんは調理するだけでなく自ら配達も行っています。

 

フランスでは、借金の返済や家賃の支払いは国の措置で、当面、猶予されています。

それでも、いつになれば店を再開し従業員を呼び戻せるのか、客足は戻るのか、不安はつきません。

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「再開許可が下りるまでは、配達とテイクアウトをやるしかない。明けた後にローンや家賃の支払いが始まります。お客さんはそんなに入りません、ということになると自動的に倒産になるので、収束した後からのことのほうが怖いですね」。

 

制限を緩和した結果、再び感染者が増えれば、結局、厳しい制限に逆戻りということになります。

 

第2波はアメリカでもヨーロッパでも心配されています。

その中でも、ひとりひとりが感染を防ぐ行動を徹底できれば、経済活動の幅をより広げることにつながります。

感染対策と経済をなるべく高いレベルで実現するために、今後も私たちひとりひとりの意識と行動が問われていくことになりそうです。

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【この日の時間割】

1.新型コロナウイルスより仕事? 欧米で経済再開の動き

2.感染対策で進む強権化

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

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投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:33 | 固定リンク


2020年04月29日 (水)

ドイツの医療崩壊対策&経済悪化にブラジルは

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2020年4月26日の出演者のみなさんです。

左から、国際部・花澤雄一郎デスク、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

今回も世界の新型コロナウイルスをめぐる状況を、花澤デスクとお伝えしていきます。

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今回のテーマは2つです。

「医療崩壊をどう防ぐのか」そして感染を防ぎながら「経済をどう守っていくのか」。

日本にも突きつけられている重要な問題です。

 

ドイツ・ベルリンの山口支局長と、ブラジル・サンパウロの小宮支局長が現地の状況を伝えました。

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まずは「医療崩壊をどう防ぐのか」。

ドイツは医療崩壊を防いだことで死者を少なく抑えられた、と評価されています。

こちら、世界の感染状況の最新のデータです。

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ドイツの感染者数は15万6,513人と、5番目に多くなっています。

ただ死者数は、5,877人でほかの国に比べてかなり少ないんです。

医療崩壊を防ぐことで多くの命を救ったと言われています。

 

なぜ死者が抑えられているのか、ベルリンの山口支局長に聞きました。

 

ベルリン・山口支局長)

ドイツはそもそも医療先進国で集中治療のベッドの数も多かったのですが、対策も早かったんです。

ポイントは2つ。

「軽症者の早期発見」と「病院のベッド確保」です。

まずは「軽症者の早期発見」についてですが、ドイツではものすごい多くのPCR検査が実施されているんです。

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その数は、ピーク時には1週間に40万件にのぼります。

日本はきのうまでの1週間でおよそ3万6000人が検査を受けているので、日本の10倍以上の検査が行われているということになります。

これによって、重症化する前の感染者をいち早く見つけ出しているんです。

そして、軽症者は基本的には、自宅療養となるのですが、その間も患者のサポートを徹底的に行っています。

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医師がテレビ電話で話しているのは、自宅療養中の患者です。

かかりつけ医が毎日、午前と午後の2回、症状を確認しています。

症状が悪化する兆候があれば専門の病院へ連絡し、すぐに入院することができます。

 

もうひとつのポイント「病院のベッドの確保」を見ていきます。

日本でも、すでに病床のひっ迫が報告されてきていますが、ドイツの状況は?

 

ベルリン・山口支局長)

ドイツはひとまず、最初の感染のピークを過ぎたと言われています。

そのピーク時でも、重症患者を治療するための集中治療のベッドはかなり余裕がありました。

いまも1万床の空きがあると言われています。

それは、政府がベッドを確保するために政策をとってきたからなんです。

 

[ドイツの「病院のベッドの確保」については、オレが説明するヨーソロー]

 

ドイツは、感染者が急増する前から、着々と準備を進めていたんだ。

3月中ごろには、病院に対して、急ぎじゃない手術を延期してベッドをあけるように求めたのさ。

そしてベッドをあけた病院には、1床につき1日およそ6万5000円の補助金を出すことにしたんだ。

さらに、症状が重い患者のための集中治療のベッドを新しく用意したら、1床につきおよそ580万円を出すんだぜ!

おかげで集中治療のベッドは、これまでの1.4倍の4万床にまで増えたんだってヨーソロー!

 

花澤デスク)

医療崩壊を防ぐには、結果、余っても良いから医療体制を大幅に増やしておくこと。

そして、軽症者にはきめ細かく対応してすぐに入院できるようにすること。

これが非常に重要だということがわかります。

それにはやはり政府の政策、リーダーシップが鍵を握っているようです。

 

続いては、もうひとつのテーマ「経済をどう守る」のか、見ていきましょう。

感染対策と、それによっておきる経済の悪化を防ぐ、このバランスにいま多くの国が悩んでいます。

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こうした中で、ブラジルのボルソナロ大統領は、徹底して「経済」を重視しているんです。

ブラジルではいま感染者が5万人を超え、死者も4,057人と感染が拡大しています。

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サンパウロの小宮支局長に聞きました。

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サンパウロ・小宮支局長)

ボルソナロ大統領は、高齢者には外出を控えるよう求める一方で、21才から64才までの人は働くべきだと言っているんです。

感染対策による経済の停滞をとても恐れているからです。

そして、新型コロナウイルスが深刻な病気であること自体、認めていないんです。

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「私にとっては、こんなものに感染する心配もないし、かかったとしても軽いインフルエンザか、ただのカゼだ」。

毎週、自らのSNS上に、マスクをせずに国民と記念撮影をしたり、握手をしたりする映像を繰り返し投稿しています。

ボルソナロ大統領が感染対策よりも経済を優先する背景には、人口の20%とされる貧困層の問題があります。

感染対策で経済が悪化すれば貧しい人々が生活できなくなり、命に関わると考えているのです。

こうした大統領の姿勢は貧困層を中心に支持を集めています。

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「失業は貧困、飢餓を死をもたらしてしまう。貧しい国は、日々の食糧を求めて働かなくてはならないんだ」。

 

さらにボルソナロ大統領は、経済が悪化すれば、犯罪も増えると心配しています。

そこで、貧しい人たちへの対策を強化しているんです。

まずは、給付金です。

ブラジルには、月収が1万円以下の人たちが、およそ2000万人います。

こうした人たちに、毎月収入とほぼ同額の給付を始めました。

申請はネットで行って、2日後にはお金を受け取ることができます。

また、仕事を増やそうともしています。

目をつけたのは感染拡大で需要が増えている宅配の仕事です。

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サンパウロでは、ご覧のように自転車を使って、配達の仕事をする人が増えています。

宅配をする人を新しく雇う企業や店舗に対して政府が助成金を出しているんです。

この取り組みで新しく仕事を得た人はサンパウロだけで10万人を超えました。

こうした取り組みで、大統領の支持率も上がり始めています。

 

ただ、その一方で、このままでは感染が拡大してしまうのではないかと、心配の声も上がっています。

 

ドイツにも「経済をどう守るか」について、聞いてみました。

 

ベルリン・山口支局長)

ドイツも、感染拡大は抑えなければならないんですが、経済への悪影響も抑えようと、先週から、小規模なお店などの営業再開を認めたんです。

徐々に町に人が戻りつつあります。

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店も対策を取った上で、営業を再開しています。

本屋の店先には「マスクをして、間隔を空け、店に入れるのは5人まで」と書かれた看板が置かれています。

自動車メーカーも止まっていた工場を再開させるなど、町全体に活気が戻りつつあるんです。

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「みんな距離を取ってびくびくしているけど、やっぱり町には活気が必要よね」。

「再開には賛成だけど、感染対策もしっかりしてほしいね」。

 

メルケル首相は、早すぎる緩和には慎重なんですが、経済のことも考えなければならず迷いも見られます。

ドイツはいま、国民も、そして政府も、経済の再開と感染対策という2つの間で揺れています。

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ベルリン・山口支局長とサンパウロ・小宮支局長のまとめはこちら。

 

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サンパウロ・小宮支局長)

「ウイルスとともに」。

ボルソナロ大統領の姿勢は、一見無茶に見えますが、それだけブラジルは貧困や犯罪が深刻だ、とも言えます。

しかし、感染者が増えれば、国民の考えも変わるかもしれません。

ブラジルの取り組みが今後どんな結果につながるのか。

多くの国にとって重要なものとなりそうです。

 

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ベルリン・山口支局長)

「感染の初期段階」。

メルケル首相も専門家も一貫して「ドイツは感染の初期段階にある」と言い続けています。

第一の波は越えつつあるが、今は第二の波がくることに警戒を続けている。

経済とのバランスに神経を使いながら、ウイルスの脅威が長期にわたって続くことを覚悟して乗り越えようとしています。

 

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花澤デスク)

日本では、まず、外出や人との接触を避けて徹底した感染対策をしなければなりません。

そして同時に、医療崩壊を防ぐ取り組みは徹底して行う、人員もそのためのお金も十分に投じる必要があります。

「やり過ぎ」ということはありません。

そのうえで経済へのダメージをどう小さくしていくのか、ということになります。

ウイルスとの戦いは長期戦です。

各国の経験から学びそれを生かせるのか、多くの命を左右することになります。

 

 

 

【この日の時間割】

1.ドイツの医療崩壊対策&経済悪化にブラジルは

2.新型コロナウイルス 発生源は?

 

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これでわかった!世界のいま

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2020年04月23日 (木)

新型コロナウイルス 感染拡大と抑え込みの分かれ目は

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2020年4月19日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、Mr.シップ、国際部・花澤雄一郎デスクです。

坂下千里子さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワーク出演しました。

 

スタジオの人数を最小限にしてお伝えしました。

 

世界の新型コロナウイルスをめぐる状況を、花澤デスクとお伝えしていきます。

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世界では感染者が233万259人、死者はおよそ16万917万人となっています。

依然としてペースを落とすことなく広がっています。

そして、感染者、死者ともに最も多いのはアメリカとなっています。

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アメリカの感染者は、73万5,242人、死者3万9,089人となっています。

 

まずはアメリカの最新状況を、アメリカ総局の添記者に聞きました。

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アメリカ総局・添記者)

アメリカではまだまだ厳しい状況が続いています。

特に感染者が多いニューヨーク州では、医療現場は引き続き深刻です。

 

ニューヨーク近郊にある病院の救急救命室で治療にあたる斎藤孝医師に現在の状況を聞きました。

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まだ毎日かなりの人数が亡くなっています。

(感染者数の)山は高くはならないが、同じ高さで推移したままです。

秋口ぐらいまでかかるのではないでしょうか。

専門家によると年内かかるんじゃないかというところもあります。

 

アメリカ総局・添記者)

ニューヨーク州では新たな感染者の数自体は、ようやく横ばいから下降気味になってきていますが、医療現場が落ち着くのは、まだだいぶ先になりそうです。

さらに、アメリカ全体を見ると、感染者の数がまだまだ増えていきそうなんです。

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フロリダ州やテキサス州などでは、ピークは来月頭になると予想されています。

感染拡大の歯止めには、まだ時間がかかる見通しです。

 

花澤デスク)

日本は、ここまでの事態にならないように、いま取り組んでいく必要があります。

そのためには、どうしたらいいのか。

それを考えていく上で、アジアの状況を見ていきたいと思います。

それが、こちら。

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シンガポールと台湾です。

実は、対応のわずかな違いが、いま大きな差になって表れているんです。

 

台北の高田支局長と、シンガポールの山元支局長に聞きます。

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はじめに、高田支局長に台湾のいまの様子を聞きました。

 

台湾・高田支局長)

台湾では、市民の危機意識の高さが感じられる光景が増えています。

通勤ラッシュの時間帯の台北駅です。

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看板には「マスクを着用しなければ罰金」と書かれています。

台北の地下鉄では38度以上の熱があると乗れないんですが、そのために赤外線カメラが設置され、熱があると赤く表示されるようになっています。

さらに、係員が体温をチェックしています。

 

お昼どきの繁華街は、以前は多くの人でにぎわっていましたが、ほとんど人の姿は見られません。

台湾でも人気のかき氷のお店にも、お客さんはいません。

1月に初めて感染が確認されて以降、市民が外出を自粛するようになり、繁華街ではこうした状況が続いています。

店に入ってみると、QRコードで連絡先を入力してほしいとのことでした。

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お店に来た人に感染が確認された場合、連絡できるようにということです。

それぞれの店が自主的にこうした対策を行うことで、感染経路がたどりやすくなっています。

この店では従業員の検温や、接客後の消毒・手洗いも義務づけ、守らなければ解雇するといいます。

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「予防の対策は、飲食業に限らず、私たち1人1人がやらなければなりません。台湾をよくしたい、この感染症を収束させたい、という気持ちがあるから、いまは不便でも我慢できるはずです」。

 

では次に山元支局長、シンガポールのいまの様子はどうなっているのでしょうか。

 

シンガポール・山元支局長)

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シンガポールの観光名所マーライオンの前は、ふだん大勢の観光客でにぎわう場所なんですが、今はひとりもいません。

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シンガポールでは今月に入って、感染が急速に拡大してしまったため、企業はオフィスを閉鎖され、外出も厳しく制限する措置がとられています。

必要最小限の外出であっても、人と人との間隔をあけるようにと、白いシャツを着た監視員が食料品の買い出しなど、注意して回ります。

違反すると罰金が科せられ、繰り返すと起訴されることもあります。

 

花澤デスク)

シンガポールのほうが、より厳しく外出を抑えていますが、実は感染の現状は大きく違っているんです。

台湾とシンガポールの感染者は、しばらくの間はほぼ変わらず推移していました。

しかし、その後はこんなに差が出ているんです。

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台湾の感染者の数が420人、シンガポールはおよそ6,588人です。

人口10万人あたりの感染者の数で比較しますと、台湾は1.7人、シンガポールは116.8人となります。

シンガポール政府は感染者が急増し始めていると感じ、4月3日、一気に厳しい姿勢にシフトしました。

学校や企業のオフィスを閉鎖して外出も原則禁止にしたんです。

しかし、すでに感染は広がっていて、その後、この急増となっています。

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ちなみに日本の人口10万人あたりの感染者は8.2人。

東京に限ると21.3人です。

 

なぜ違いが出たのか。

 

それぞれの政府や当局がとった対応について、見ていきたいと思います。

まずは、ウイルスが海外から入ってくるのを食い止める「水際対策」。

 

台湾・高田支局長)

台湾の水際対策は素早かったといえます。

中国・湖北省の武漢からの飛行機に対する検疫を去年の12月末の時点で実施。

さらに、1月26日には湖北省で暮らす中国籍の人が、台湾に入ることを禁止しました。

その後、2月11日に中国から台湾に入ることを、原則、禁止としています。

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シンガポール・山元支局長)

シンガポールも水際対策は早かったんです。

1月29日に中国・湖北省で暮らす人や2週間以内に湖北省を訪れた人の入国禁止。

さらに、2月1日に中国全土からの入国を禁止しました。

 

ここまではほぼ一緒だったのが、何が分かれ目となったのか。

 

それぞれの「自粛」を巡る取り組みに違いが見えてきているんです。

 

台湾・高田支局長)

台湾では当局による外出の自粛要請に市民が非常に真剣に取り組んでいます。

その理由は、台湾のトップである蔡英文総統が率いる政権の危機感です。

台湾と中国の間では、多くの人が行き来しますから、一気に感染が広がりかねないと蔡政権は強く警戒しました。

連日、記者会見で国民に警戒を訴え、さらに多くの人が公平にマスクを買える仕組みを作ったり、公共交通機関でのマスクの着用を義務づけたりしてきました。

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こうした当局の対応が市民の意識を高めたと思います。

 

シンガポール・山元支局長)

シンガポールでは逆に、国民の「自粛」がうまく根づかなかったんです。

最大の原因は政府の「あいまい」な態度です。

政府は当初、経済や社会活動に、強い制限をかけませんでした。

たとえば、マスクについては「症状がないなら着用するな」と繰り返していたくらいなんです。

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そうした政府の姿勢によって生まれたのが「油断」です。

お酒を飲みに行ったりジムでトレーニングしたりと、市民はそれまでと同じような生活を送ってしまい、その結果、レストランや保育園、企業などで集団感染が起きたんです。

さらに外国人労働者にも感染が広がってしまい、政府は慌てて厳しい措置に踏み切りましたが遅すぎました。

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このように、早い水際対策でともに効果を上げましたが、行政のメッセージの違いが人々の意識と行動に差を生んでしまいました。

メッセージの重要性がよく分かります。

 

最後にまとめです。

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台湾・高田支局長)

「危機意識の徹底」。

台湾では、1日の感染者が数人程度に抑えられていますが、それでも市民は自粛にきちんと取り組んでいます。

当局の呼びかけを受けて、ひとりひとりが真剣に考えることが重要だと思います。

 

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シンガポール・山元支局長)

「油断禁物」。

「自分は大丈夫」といった「油断は禁物」だということです。

政府は、当初、国民の生活を混乱させないよう、日本と近い「お願いベース」の自粛要請を選択しましたが、それが油断を生み、被害の拡大につながりました。

わずかな気の緩みがどれだけ危険かきちんと認識してほしいと思います。

 

 

花澤デスク)

日本は、いままさに感染が急激に拡大するか、抑え込めるのかの重要な分かれ目にいます。

わたしたち、ひとりひとりの意識と行動が問われています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス 感染拡大と抑え込みの分かれ目は

2.トランプ大統領の中国批判 新型コロナでも

Mr.シップ[ アメリカが、WHOが中国寄りだと思っている理由をオレがアニメで説明しヨーソロー。]

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

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投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:45 | 固定リンク


2020年04月16日 (木)

新型コロナウイルス 医療崩壊危機の欧米は

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2020年4月12日の出演者のみなさんです。

左から、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

 

新型コロナウイルスの感染防止のため、スタジオの人数を最小限にしてお伝えしました。

(岡田結実さんも出演の予定でしたが、番組からお願いして、千里子さんのみとなりました。)

 

日本国内の危機感も日々増す中ですが、世界のいまでは、感染拡大が続く世界を見ていきます。

アメリカの大学の集計によりますと、世界で亡くなった人は10万人を超えました。

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今回は、パリの藤井記者、北京の大山記者、ニューヨークの添記者の3つの国から、テーマごとに話を聞きました。

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Q.アメリカでの感染拡大は「ピーク」を迎えたのでしょうか。

 

アメリカではニューヨーク州などではピークを迎えつつありますが、ほかの州では、これからのところが多いと考えられます。

私がいるニューヨーク州は、感染者数が全米のおよそ3分の1を占めます。

ただ、新たな感染者の数は横ばいになっていて、ニューヨーク州知事は「ピークにさしかかっている」という見方を示しています。

しかし、アメリカ全体では新たな感染者数は増加傾向で、全米でピークを迎えるのはまだ先になりそうです。

 

Q.はじめに感染が広がった中国、「ピーク」は?

 

中国でのピークはすでに過ぎ、政府は「国内の感染を基本的に抑え込んだ」としています。

新たに発表される感染者数は、このところ100人未満となっていて、そのほとんどが海外から入国した人だといいます。

最も深刻だった武漢でも、先月下旬以降、ほとんどの日で新たな感染者が、ゼロとなっています。

ただ、こうした当局の統計には、無症状の感染者が含まれていません。

実際の感染者は、発表より多いのではないかという指摘も出ています。

 

Q.ヨーロッパの感染の「ピーク」は?

 

ヨーロッパ全体では、まだ感染が広がる厳しい状況です。

しかし多くの死者を出したイタリア、スペインは感染者の増加が落ち着いてきました。

こちらはイタリアの新たな感染者数のグラフです。

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減少傾向が見られることでイタリア政府は3日に「危機的な状況を脱した」と発表しました。

少しずつ、状況に変化も起き始めています。

 

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次に2つ目のテーマ「外出制限」を見ていきたいと思います。

ヨーロッパも中国もアメリカも「厳しい」外出制限行っていました。

 

Q.ヨーロッパでは「外出制限」の効果はあったのでしょうか。

 

外出制限を始めてから、3週間以上たったあたりで変化が表れています。

イタリアでは先月10日から、スペインでは先月14日から、外出制限が始まりました。

生活必需品の販売以外は、店や会社は休みとなりました。

外出を禁止して、従わなければ罰金も科されます。

しかし、売り上げや収入がなくなってしまう会社や個人への支援も行っています。

スペインやフランスをはじめ多くの国で、所得の7、8割の休業補償も行われています。

こうした厳しい外出制限が3週間から1か月続けられた結果、ようやく新たに感染する人の数が減り始めました。

ただ、この間にイタリアもスペインも1万人以上の死者を出しました。

両国の医療関係者からは「外出制限をもっと早く始めていれば犠牲は少なかったはずだ」と悔やむ声が聞かれます。

そしてここフランスでも政府の外出制限が遅れたと根強い批判があって、政府に厳しい目が向けられています。

 

感染拡大を防止するには、やっぱり外出しないことが大切みたいですね。

 

Q.「外出制限」を最初に行った中国は、どうなっていますか。

 

Mr.シップが中国・武漢の街を見てきました。

4月8日、水曜日の午前0時。

2か月半ぶりに武漢にいる人が他の地域に出られるようになったんだ。

これに合わせて街はライトアップされたんだ。

お店が並ぶ街なかを見ると、たくさんの人が出てきてるんだ。

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「外で体操したりラーメンを食べにいったりしたいよ」。

「70日くらい家にいたよ。これからは何事もなく暮らしたいね」。

駅や空港が再開されたぞ。

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「春節に帰省できなくて『いつ帰ってくるんだ』って毎日家族に言われてたのよ」。

 

いま中国は、徐々に規制を緩めていて観光に出かける人も増えてるみたいだ。

世界遺産にもなっている観光地は、混雑ですごい行列になっちゃったんだよなあ。

入場をただにしたら、お客さんが殺到して、途中で規制したらしいぞ。

 

Q.封鎖解除に心配の声も出ていますが、どうですか?

 

武漢の封鎖解除は中国政府にとっては一種の「勝利宣言」です。

一方で中国メディアは、武漢には無症状の感染者が1万人から2万人いるという専門家の見方も伝えています。

人々が動き出せば、感染拡大の第2波、第3波が来ることも懸念されます。

そのため、当局は、いまも通勤など以外の不要不急の外出をしないよう求めているのですが、現実には人々の意識は緩んできていると感じます。

そして、中国政府がとりわけ感染の再拡大に神経をとがらせているのが、首都・北京です。

 

北京市内のショッピングセンターは、店はほぼ営業していますがお客さんは少ないです。

街角で目につくのは、消毒液を散布する作業員。

住宅地には、出入りを制限するゲートも設置されています。

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「配達員の人は、いま自由に団地の中に入ることができません。商品を置く棚がこのように住宅地の周りに置かれているんです」。

 

さらに建物の入り口にはQRコードが張り出されていて、携帯電話の番号から情報が取られます。

このように、直近の14日間は北京にずっといたことが証明されています。

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北京では市の外から来た人に14日間の隔離が義務づけられていて、市内にいたことが証明できないとお店などに入ることができません。

 

 

3つ目のテーマは「足りない」。

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伸さん「シップ、ただいま~!買いものから帰ってきたよ!!」。

Mr.シップ「おかえり伸さん、何を買ってきたんだ?」。

伸さん「カップラーメンに、ジュースに、お菓子。おうちで過ごす時間が多くなるからね」。

Mr.シップ「でもな伸さん、食べるものも使うものも足らなくならないように、みんなで大切にしたいよな!」。

伸さん「そうだね!シップ。大事なものが足りなくて、本当に困っている人たちがいるからね」。

 

まさに、足りなくて困っているのがアメリカの医療現場です。

 

Q.ニューヨークの添記者、何が「足りない」のでしょうか。

 

何もかもが足りていません。

まず、ベッドですが、ニューヨーク州では、病院船や野戦病院を設置して5万3000から9万まで増やしました。

しかし、それでも一部の病院では足りていません。

そして人工呼吸器については、1台を2人で共有するという、通常では考えられない措置も行われています。

さらに、医療用マスクも足りず、その結果、多くの医療従事者が感染しています。

そのため、医師の数がさらに足りなくなって、医学生まで現場に派遣する事態となっています。

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Q.足りないものだらけで、アメリカの医療現場は混乱していますか?

 

はい、いわゆる「医療崩壊」といえる現象が各地で起きています。

現場で働く医師に話を聞きました。

 

ニューヨークで救急救命医として働くサン医師は、マスクなどの医療用品も、診療にあたる人手も「まったく足りない」と訴えています。

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「1枚のマスクを8日から9日間、使い続けています。1枚を、ですよ。ウイルスは休憩室にもまん延しています。マスクをとって食事をする、そこで感染が広がります。多くの同僚が発症して入院し、人手が足りません。それで私は27日間も働いています」。

病院の対応能力を超える患者が殺到し、すでに「医療崩壊」が始まっているとサン医師は話します。

「入院まで80時間も待たされる患者もいます。2人の診療を頼まれて行ってみたら、数時間前に亡くなっていたこともありました。これが医療崩壊でなかったら何でしょうか」。

 

Q.足りないことで、命が救えなくなるのは切ないですね。

 

現場の医師が、人工呼吸器をどの患者につけるのか、つまり誰を生かすのかという選択を日々迫られている壮絶な状況です。

 

さらに異常なことも起きています。

それは、奪い合いです。

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足りない医療機器やマスクをめぐって、連邦政府と州、さらに医療機関などが争奪戦を繰り広げています。

ある州は、「他の州にマスクを横取りされた」と非難しています。

また、各州がトランプ政権に人工呼吸器を要請したところ、政権幹部が「これは我々のものだ」と発言しました。

もはや誰のために備蓄をしているのかわからない状態です。

 

Q.アメリカ国内で奪い合っているんですか。

 

アメリカ国内だけではありません。

アメリカやドイツ、フランスなどはマスクの輸出を止めています。

また、フランスやドイツは、中国から来るはずだったマスクが途中でアメリカ企業に横取りされたと訴えています。

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一方、フランスも、イタリアやスペインに向かっていた数100万枚のマスクを途中で没収しています。

各国が入り乱れた争奪戦となっているんです。

 

Q.マスクが足りないヨーロッパの状況は、どうなっていますか。

 

こちらも「足りない」状態になったことで、イタリアやスペインなどで実際に医療崩壊が起きました。

特にスペインでは、症状の重い患者が急増し、ベッドが足りなくなりました。

マドリード郊外のある総合病院では、受け入れ可能な数の4倍を超える患者が殺到しました。

その結果、床にまで患者が横たわる事態になり、丸一日たってもみてもらえない患者さえいたといいます。

なぜこうしたことが起きたのか、その鍵は重症患者だったんです。

スペインやフランスも日本と似た形で症状の軽い人は病院に行かず、症状の重い患者だけを受け入れるというやり方をとりました。

しかし、さらに深刻な重症患者の増え方が尋常じゃありませんでした。

ICU=集中治療室を増やしましたが、追いつかなかったんです。

現場の医師が「誰を助け、誰をあきらめるか」という判断をせざるを得ない状況が多くの現場で起きました。

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こうした各国の経験を踏まえると、日本について心配な点が見えてきます。

 

[欧米と日本の医療がいまどうなっているか、オレが調べてきたヨーソロー]

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日本は集中治療室も、人工呼吸器も足りないみたいだぞ。

医学界からも「医療体制」が早く崩壊するおそれがあるって声が上がっているんだヨーソロー。

 

 

Q.ニューヨークの添記者、日本の「足りない」について、どうですか。

 

欧米に比べれば日本にはこれまでに、十分、時間がありました。

感染が急激に拡大する前に、最悪の事態に備える体制作りをどこまでできたか、日本も問われることになります。

 

Q.大山さん、中国でも「足りない」状況になりましたよね。

 

そうなんですが、いまや中国は、その医療物資を使って積極的な外交を展開しています。

イタリアなど10か国余りに医療チームを派遣したほか、マスクや防護服、呼吸器などの医療物資をおよそ130か国に提供したとしています。

ニューヨーク州にも人工呼吸器を1000台寄付しています。

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初動の遅れへの国内外の批判を封じ込めたいという、したたかな思惑がうかがえます。

 

 

きょうのまとめです。

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中国総局の大山記者は「感染拡大防止と経済復興」と書きました。

中国当局は感染対策から冷え込んだ経済をどう立て直していくかという方向にシフトしています。

しかし、世界が混乱する中で先行きは不透明です。

そのうえ、復興を急げば、再び感染が拡大するおそれもあります。

再び感染を広げたくないと神経を使う中国の現状から、コロナとの闘いは長く難しいものになることを思い知らされています。

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続いて、ヨーロッパ総局の藤井記者は「危機感の共有」と書きました。

ヨーロッパ各国は外出を厳しく制限する一方で、収入を失う会社や個人に対する手厚い支援策も打ち出してきました。

全ては感染拡大を食い止めるためです。

それでも重症患者が押し寄せて医療崩壊が起きました。

いまの東京は患者が急増していた1か月前のスペインの首都マドリードをみているように思います。

ヨーロッパの経緯からは、危機感を国民全員が共有し、行動することの重要性が浮かび上がっています。

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最後に、アメリカ総局の添記者は「ニューヨークで起きることは、東京でも起きる」と書きました。

日本を知る医師や専門家からは「いまの東京は2、3週間前のニューヨークと一緒だ」と懸念して、厳しい外出制限を行うべきだという声を頻繁に耳にします。

ニューヨークでは厳しい外出制限をつづけていますがまだ出口は見えません。

日本はニューヨークの現実を我がこととしてとらえて、備えて欲しいと感じています。

 

 

 

【この日の時間割】

1. 新型コロナウイルス 医療崩壊危機の欧米は

2. 東欧にIT人材の宝庫が!?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:44 | 固定リンク


2020年04月01日 (水)

原油で対立 ロシアvsサウジアラビア

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2020年3月29日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山さん、岩田明子解説委員です。

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス アメリカは今&日本の対応は

2.原油で対立 ロシアvsサウジアラビア

 

 

1時間目は、新型コロナウイルスの感染が急激に加速しているアメリカについてアメリカ総局の添(そえ)徹太郎記者が、ヨーロッパについてロンドンの向井麻里支局長が解説しました。

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そして、日本国内の動きについて岩田明子解説委員が解説しました。

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2時間目は、こちら。

 

Mr.シップ「ずっと家の中にいると、体がなまるな~伸さん!」。

伸さん「そうだね、シップ。体動かしたいね!」。

シップ&伸さん「筋肉体操だ!」。

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Mr.シップ「お!スクワットだな」。

伸さん「やってみるか~?これは下半身にきくね!」。

Mr.シップ「そうだなあ、大丈夫か~?伸さん!どこまでできるか、意地の張り合いだ~!」

 

世界でいま意地を張り合っているのが、ロシアとサウジアラビアです。

主役はこの2人。

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原油生産量2位のロシア・プーチン大統領と、3位のサウジアラビア・ムハンマド皇太子です。

この2か国が、いま意地の張り合いをしています。

 

ロシア・モスクワ支局の北村記者、そして、サウジアラビアの隣の国・UAEのドバイから吉永支局長が解説しました。

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まず、どんな意地の張り合いなのか、吉永支局長に聞きました。

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問題となっている原油ですが、いま価格が大きく下がっています。

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これに伴って、日本ではレギュラーガソリンが9週連続で下がっています。

日本人にとっては、ガソリンが下がるのは良いことです。

ただ、今回、原油価格が急落したことも、日本や世界の株式の今の記録的な値下がりに拍車をかけたともいわれているんです。

 

原油価格の下落がなぜ起きたのか。

それは、サウジアラビアやロシアなど世界の産油国が「たくさん原油を生産するようになる」ということで価格が下がっているんです。

たくさん生産する理由、それがロシアとサウジアラビアのケンカ別れなのです。

 

[原油価格が下落する前は、みんなで協力して、高い価格で原油を売っていたんだヨーソロー]

 

サウジアラビアにとって原油は、とっても大事な資源です。

おかげで所得税はないし、医療費は基本タダ、社会福祉だって手厚いんです。

だから、原油の価格が下がることは国家を揺るがす一大事。

必要とされる量より多く生産すると、原油の価値が下がって高く売れなくなり、収入が減ってしまいます。

つまり「たくさん」生産しすぎるのは、よくないんです。

そこで、サウジアラビアは、産油国のみんなで協力してほどほどに生産し、高い値段のまま原油を売ろうと呼びかけました。

そして、最近はみんなで協力して「ほどほど」に作ってきたんですが…。

3月に入って、サウジアラビアとロシアが、決裂。

そのせいで「ほどほど」に生産していた原油を、お互い「たくさん」生産することになってしまったんだヨーソロー。

 

 

サウジアラビアは中東諸国を中心に、産油国の利益を守ろうという集まり「OPEC=石油輸出国機構」のリーダーです。

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そして、OPECだけじゃなくてロシアなども一緒に「これまでよりも、もっと大規模に原油の減産をしましょう」と提案していました。

こんな提案した理由は、新型コロナウイルスの影響です。

原油を一番輸入してるのは中国ですが、感染の拡大で工場が止まったり、経済活動が大きく落ち込みました。

このため、必要な原油の量が一気に少なくなりました。

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さらに影響は世界に広がっています。

このままだと、さらに原油が余って、値段が下がってしまうので「一緒に生産量を減らしましょう。それで価格を維持しましょう」と提案したんです。

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でも、この提案をロシアが拒否しました。

 

なぜ、ロシアが拒否をしたのか、モスクワの北村記者に聞いてみました。

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減産すると、原油収入が大きく減ってしまいます。

それに自分たちが減らしている間に顧客を奪われる可能性もあります。

そうした事態を嫌がった、というのが大きな理由です。

だから「やりたいなら他の皆さんでどうぞ」と提案に乗りませんでした。

そうすれば「価格は維持されて、自分たちの収入は維持できる」と考えました。

 

 

それに対してサウジアラビアは「ロシアが協力しないのはずるいし、それでは減産の効果が弱い」と考えました。

原油生産量が世界2位のロシアと3位のサウジアラビアが組んで減産するから効果が大きいし、原油の価格も維持できる、はずだったんです。

怒ったサウジアラビアは、減らさないどころか最大限まで生産を増やすことにしました。

さらに、輸出先の国々にさらなる値引きも持ちかけています。

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ロシアが協力しないなら、こうしてやる!とばかりに「価格戦争」を仕掛けたんです。

サウジの強みは、世界一安いとされる「生産コスト」と自在に生産量を変えられる「調整力」です。

これを武器に安い原油をどんどん市場に供給すれば、ロシアは苦しくなって「すいません、やっぱり一緒に減産します」と言うしかないだろう、と考えていると思います。

しかし、ロシアは今のところ譲る気配がないんです。

 

とは言っても、ロシアは国家財政のおよそ4割を石油に頼っており、苦しくなっています。

しかし、サウジアラビアは6割ともっと依存しています。

なので「先に音を上げるのはサウジアラビアだ」とロシアは考えています。

しかも今回、サウジアラビアは正面切ってロシアにケンカを売った形です。

これに対して簡単に折れてしまっては「強いリーダー」が売りであるプーチン大統領としては格好がつきません。

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さらに、このロシアの強硬姿勢はサウジアラビア以外に、アメリカを強く意識したものなんです。

アメリカはいま、原油生産、世界一です。

仮に今、ロシアが減産に協力すると、価格が上がり、アメリカは減産もせず恩恵だけを受けることになります。

ロシアが減らした分の顧客をアメリカに奪われたら最悪だ、という危機感もあります。

さらにロシアは、6年前からアメリカによる経済制裁を受けています。

国内経済へのダメージは深刻で、アメリカへの恨みつらみが積み重なっていますから、アメリカが利益を得るようにはしたくありません。

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この戦いは、プーチン大統領にとって、アメリカを世界一の産油国の座から引きずり下ろす戦いでもあるんです。

 

この意地の張り合いはどうなるのでしょうか。

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「勝者なき戦争」。「崖っぷち」。

 

モスクワの北村記者は「崖っぷち」と書きました。

ロシア経済は、新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けていて、今後、悪化が予想されていました。

そこにこの原油の暴落で追い打ちをかけられ、持ちこたえられるのか、という不安が国民の間で広がっています。

プーチン大統領は「崖っぷち」に追い込まれていると思います。

ロシアが先に音を上げるわけにはいかない、というジレンマに陥っています。

この先しばらくは資源大国の威信をかけた「崖っぷち」での攻防が続くと思います。

 

続いて吉永支局長は「勝者なき戦争」と書きました。

この意地の張り合いはがまん比べです。

原油価格の下落は、産油国や石油産業の全てにとって、大きな打撃です。

このままいけば、サウジアラビアやロシアよりも前に他の産油国が「がまん比べ」に耐えられなくなって経済・社会が崩壊、混乱する国も出てくる可能性があると思います。

そして、中東などで混乱が広がれば、今度は逆に安定的に原油が来なくなるリスクもあります。

さらに、世界経済全体への悪影響も出始めています。

日本にとって、いまガソリンが安くなると喜んでいるだけでは、のちのち大変なことになってしまう恐れがあります。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年4月12日のゲストは、岡田結実さんです。

登録タグ:   

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:32 | 固定リンク


2020年03月26日 (木)

プーチン大統領 任期後にまた任期?

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2020年3月22日の出演者のみなさんです。

左から、ゲストの小林綾子さん、Mr.シップ、永井伸一キャスター、坂下千里子さんです。

 

 

【この日の時間割】

1.欧州で感染拡大 新型コロナウイルス2元中継

2.プーチン大統領 任期後にまた任期?

3.アイヌの高校生が見た ニュージーランド・マオリの町

 

 

1時間目は、新型コロナウイルスの世界的大流行、パンデミックの中心地となっているヨーロッパについて、パリ・ヨーロッパ総局の藤井記者と、ベルリン支局の山口支局長が解説しました。

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2時間目はこちら。

 

Mr.シップ「外に出ないで、家でゲームばっかり。オセロに将棋。もう飽きちゃったよ~、伸さん」。

伸さん「そう?シップ。でも大丈夫。面白いゲーム見つけたんだ。これ!ロシアのすごろく!」。

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Mr.シップ「いや~、楽しかったよ伸さん、きょうはもう、ここまでにしようか」。

伸さん「え~、まだまだだよシップ、もっとやろうよ~!」。

Mr.シップ「まだやるのか~?」。

 

「まだやるの~?」といえば、ロシアのプーチン大統領。

もう「大統領をやらない」と言われていたのに、あと10年以上も続ける可能性が出てきたんです。

モスクワの松尾支局長が解説しました。

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プーチン大統領、さらに2期、続けられる可能性がでてきました。

このまま続けたら、プーチン大統領は、83歳です。

任期が終わってからは、大統領を上回る力を持って裏から政治を操る「院政」をすると思われていました。

しかし、ここにきて覆ったんです。

これには、松尾支局長も驚きました。

 

[そもそもプーチン大統領は「大統領をやめる」って思わせぶりなことしてたんだヨーソロー]

 

ことし1月、ロシアのプーチン大統領は突然、憲法を変え、大統領の任期を変えたいと言いだしました。

いまの憲法では、大統領をやれるのは2期までです。

しかし、いったん別の人がやった後なら、再び大統領になることができます。

プーチン大統領もこの手を使って、あわせて4期も大統領をやっているんです。

ところがプーチン大統領は憲法を変えて、2期やった人は二度と大統領になれないようにしたいと言い出したんです。

4期もやってるプーチン大統領は、これで最後?って、そのときはみ~んな思ったんだクマ-ソロー! 

 

 

任期以降は続けないと思われていたプーチン大統領。

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しかし、憲法改正の案が、先週、議会で修正されたんです。

“大統領は2期まで”というのは変わらないんですが「これまでに大統領を務めていた分は、カウントしないことにしましょうよ」という提案が採用されたんです。

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この提案をしたのが、テレシコワ議員です。

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女性として世界初の宇宙飛行士で、ロシアでは英雄的な存在です。

ロシアの人たちも「この人が言うなら」と耳を傾けたと思います。

テレシコワ議員は、

「いまの世界は不安定だからプーチン大統領の存在が必要だ」

「次の大統領選挙も出られるようにすべきだ」と訴えました。

この提案自体、実はプーチン大統領側が用意していたのではないかとも見られています。

 

では、プーチン大統領は、あと2回大統領を続けるつもりなのかというと「次も大統領をやる」とまでは言っていません。

しかし、仮にいまの任期の後に「院政」を行った場合に、次の大統領が自分を上回る力をつけることにならないか、プーチン大統領にとっては気がかりだったと思います。

そして今回「大統領もできるし、一歩引いて『院政』をすることもできる」状態にしたことで、その心配は小さくなりました。

また、大統領の影響力は、任期の終わりが近づくことで低下していきます。

だから「また大統領をやるかも知れないぞ」というメッセージを任期が終わる2024年、ギリギリまで出せることは、力を維持する上でもとても重要なんです。

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これについて、国民の賛否は半々だと見られています。

 

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「生まれてから、ずっとプーチン政権なんです。おかしいでしょ」。

「なんとも言えないけど、代わりがいないので仕方ないわ」。

「何もなかった90年代に比べていまやなんでもある。この安定を歓迎します」。

 

モスクワなどでは新型コロナウイルスの感染拡大で、大規模な集会を開催することが禁止されていて、反対だとしても、抗議集会などで声を上げることができません。

言ってみればプーチン大統領にとって都合の良い状況ともなっている。

 

プーチン大統領がこのまま大統領を続けて、足下を固めることができれば、外交問題にいっそう力を入れていくことが考えられます。

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プーチン大統領は、ことし、ロシアが中心となってアメリカ、中国、イギリス、フランスの5か国で首脳会議を行おうとしています。

実現すればロシアの存在感や影響力をアピールすることができます。

プーチン大統領の目標は、アメリカ1国だけが物事を決めるのではなく、ロシアも意思決定に参加できる世界秩序を作ることです。

それに向けて今後、動きが強まっていくこともありえます。

 

ロシアとアメリカが対立を深めていることが、世界をより不安定にしています。

憲法改正によってプーチン大統領が足下を固めることができれば、アメリカに対して歩み寄っていく余裕も生まれると思います。

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さらに日本との北方領土交渉を進めるにも強い指導力が必要ですから、同じように、プラスの効果があるのではないか、という声もあります。

今回のロシアの憲法改正は、日本を含めて世界に大きな影響を与えるものとして各国が注視しています。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月29日のゲストは、ハリー杉山さんです。

登録タグ:  

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:16:30 | 固定リンク


2020年03月19日 (木)

イギリス離脱で 揺れるEU

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2020年3月15日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、坂下千里子さんです。

 

 

新型コロナウイルスの影響で、家の中で過ごす時間が長くなりましたね。

 

伸さん「シップ。ゲームでもする?」。

Mr.シップ「よーし、将棋しようぜ!」。

伸さん「いやいや、ゲームと言えば、オセロでしょ」。

Mr.シップ「いや、将棋だろ」。

伸さん「オセロでしょ」。

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Mr.シップ&伸さん「ぜんぜんまとまらないよー!」。

 

まとまらないといえば、EU。

イギリスの離脱をめぐるゴタゴタが落ち着いたと思ったら、なんだか、まだもめているみたいなんです。

いったいどういうことなのか、国際部ヨーロッパ担当・長尾香里デスクが解説しました。

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EUといえば、1月末にイギリスが離脱しました。

これをきっかけにバラバラになってしまう心配が出てきているんです。

 

こちらを使って説明をしていきます。

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EUということで「いい湯~」のお風呂「EU浴場」です。

大きなお風呂に、EU加盟国が入っています。

EUは大勢の仲間が協力しあう必要があります。

ここにはイギリスも含めて、28か国がお風呂に入っていました。

このお風呂のお湯のタンクには「予算」と書かれています。

お金は、EUの加盟国が出し合っているんです。

その内訳を見てみると…。

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国の経済力によって違っているのですが、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの4か国で全体のおよそ6割を負担していました。

しかし、全体の1割余りを負担していたイギリスがEUから離脱したんです。

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すると、お湯の量にも変化が出てきます。

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なんだか寒そうにしている人たちがいます。

ポーランドやハンガリーなどといった比較的経済規模が小さな国々です。

こうした国々は、道路の建設などが遅れていることもあって、EUから支援を受けていますが

「支援が減れば、EUに入ったメリットが小さくなってしまう」と感じています。

そこで…。

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予算を減らさずに、お金を持っている国が、減った分の穴埋めをしてほしいと主張しています。

これについて、EUは先月、首脳たちが集まって予算について話し合いましたが、結論を出すことができませんでした。

このままもめ続けると、イギリス以外にも「EUにいても意味ある?」と言い出す国が出てくるかもしれません。

このままではバラバラになってしまうかもしれないと、EUにとって大きな悩みの種となっているんです。

 

そしてEUは、ほかにも悩みを抱えているんです。

それは、こちらの国々に関することです。

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ヨーロッパの南東にあるバルカン半島とよばれる地域です。

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この地域にある6か国(モンテネグロ/セルビア/北マケドニア/アルバニア/ボスニア・ヘルツェゴビナ/コソボ)は、イギリスとは逆にEUに入りたがっているんです。

 

[EU に入りたがってる国々についてオレが説明するマケ~!]

 

6か国は、EUに入って、豊かになりたいと思っています。

中でもマケドニアは、EUに入るために、国の名前を「北マケドニア」に変えました。

北マケドニアになって、念願のEUに入れると思ったら、EUから“今は無理”と断られてしまいました。

 

 

Mr.シップの話に出てきた「北マケドニア」はこちら。

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この北マケドニアのEU入りに反対したのは、フランスなどです。

バルカン半島の国々も経済規模が小さく、もっと支援しなければいけなくなるため、これ以上お金を出したくないと言っているんです。

そして、北マケドニアだけではなく、ほかの5か国もEUに加盟できるかどうか、見通しがたっていません。

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EU(いい湯~)に入れてもらえない状態なんです。

この6か国は、EUから冷たくされているわけですが、この隙に、こうした国々に近づいている国があるんです。

 

それが、中国です。

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中国はアジアとヨーロッパを結ぶ「中国主導の経済圏」を作ろうと考えています。

その上で、バルカン半島の6か国を巻き込みたいと考えているんです。

 

もうひとつ接近してきている国があるんです。

それが、ロシアです。

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東ヨーロッパの国々は、もともとはロシア側の勢力圏でした。

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ですが今ではEUに加盟しています。

この6か国までEUに入ってしまうと、ロシアはますます影響力を失ってしまうということで、ロシアはそうならないように、いろいろ介入しようとしているんです。

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中国とロシアが実際に何をしているのか。

6か国のうちの1つ、モンテネグロの様子を取材しました。

 

2025年のEU加盟を目指すモンテネグロ。

人口わずか60万あまりの小さなこの国で、いま「世紀のプロジェクト」と呼ばれる大規模な高速道路の建設が行われています。

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工事現場で目にするのは中国語です。

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『橋をつくり社会に貢献する』。

建設費用は3000億円近くに上るとみられますが、その多くが中国からの借金です。

町の人は…

「高速道路を作るお金なんて、この小さな国にはないんだから、中国からの資金はなくてはなりません」。

 

中国の狙いの1つが、高速道路の出発点にあるモンテネグロ最大の港だとみられています。

軍港としての機能もあり、軍事的にも重要な拠点です。

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中国は、この港を起点にヨーロッパ内陸部まで至る巨大な物流網を築き上げようとしているのです。

この中国の計画を「危険なワナ」だと懸念する声があがっています。

モンテネグロ最大の新聞の編集長は、このままでは中国への借金が膨らんで返済できなくなり、経済だけでなく、政治や軍事の面でも中国の言いなりになってしまうと懸念しています。

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「借金を返せなければ、中国に港を支配される可能性もあります。EUが内部に抱える問題を中国は見透かし、その隙を突いてこの地域で影響力を持とうとしているのです」。

 

中国だけでなく、ロシアの影も忍び寄っています。

モンテネグロは歴史的にロシアと深いつながりを持つセルビア系住民が3割を占めています。

ロシアはこうした人たちを通じて、モンテネグロに影響を及ぼしているとみられています。

4年前には、クーデター未遂事件が起きました。

首相を殺害しロシア寄りの政権を作ろうとしたとされています。

検察はロシアの情報機関が関与していたとしています。

与党の幹部は、EUへの加盟が遅れれば、ロシアがいっそう、この地域への関与を深めると警戒を強めています。

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「ロシアは長いあいだ、この地域に干渉し続けています。もしモンテネグロがEUに加盟できなければ、ロシアのような国につけ込まれることになるのです」。

 

 

ロシアは、EUがもめているのはチャンスだと、いろいろ暗躍しているとされています。

ロシアや中国は、それぞれ、「自分たちのあたたかいお風呂に入らないか」と、この6か国を誘っているんです。

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改めて、6か国の場所を見てみると、EUの加盟国に囲まれているような形になっています。

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ここが、中国やロシア寄りになったり、さらに軍事拠点ができたりすれば、EUにとって脅威です。

中国やロシアのしたたかな戦略がじわじわと進む中で、EUはうかうか内輪もめしている場合ではありません。

 

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「湯(EU)冷めにご用心」

EUがまとまらずに、お金や方針をめぐって対立ばかりしていると、EUの魅力は薄れて、加盟国や加盟国になりたい国にとっては「湯冷め」の状態に。

EUが豊かさや安定のシンボルでもあり続けるにはいま、団結できるかが問われています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス 感染拡大アメリカも

2.イギリス離脱で 揺れるEU

3.宇宙でなに食べる?

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月22日のゲストは、小林綾子さんです。

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投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:15:30 | 固定リンク


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