せかいま美術館

2020年01月22日 (水)

一時休戦したけれど... 米中貿易戦争その先は

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2020年1月19日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの東貴博さん、国際部の田中健太郎デスクです。

 

「受験シーズンということで、学問の神様、湯島天神に来たぞ!」。

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「皆さんの受験がうまくいきますように!」。

 

うまくいってほしいといえば、あの2つの国も…。

 

貿易をめぐって激しく対立してきた、アメリカと中国。

先週、トランプ大統領がにんまりするような、大きな出来事がありました。

「アメリカと中国は、かつてない重要な一歩を踏み出した」。

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仲直り…したようにも見えるけど、うまくいくのでしょうか。

国際部経済担当、田中健太郎デスクが解説しました。

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アメリカと中国の貿易戦争はおととしから始まりましたが、1月16日に大きな動きがありました。

それがこちら。

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両国が初めて合意にこぎつけて、文書に署名したんです。

世界経済の最大のリスクだった米中の貿易戦争が、これ以上は悪化しないと世界に安心感が広がりました。

 

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[そもそも、どうしてトランプ大統領が中国に貿易戦争をしかけたのか、説明しヨーソロー]

 

トランプ大統領は“アメリカは損している”と、猛烈に怒っていました。

中国との「貿易赤字」が史上最大に膨らんでいたためです。

さらに、トランプ大統領は、

“中国は、ロボットやコンピュータなどのハイテク技術をズルして手に入れている”

“「知的財産」を奪っている”

とも言っています。

そして、

“中国は国のお金をたくさん使って、中国企業の成長を助けている”

“こんなんじゃ、アメリカ企業は中国企業と公平に競争できない”

“「巨額の補助金」は許さない”

と、中国に貿易戦争をふっかけたのです。

 

 

これらのトランプ大統領の不満は、今回、解消されたのでしょうか。

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まず、中国に対する「貿易赤字」は「◯」です。

中国がアメリカから購入する農産物などを大幅に増やすことになり、赤字が減る可能性があります。

 

次に「知的財産」は「△」です。

“中国が取り締まるよう頑張ります”ということが盛り込まれましたが、実効性があるか不透明だという指摘もあります。

 

そして「巨額の補助金」は「×」です。

合意に盛り込まれてすらいないんです。

 

トランプ大統領は、不十分でもいいから合意して、貿易戦争を「一時休戦」にしました。

なぜ「一時休戦」したのか。

その背景をこちらのセットを使って、見ていきましょう。

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中国には“ビル群”、そしてアメリカには“農地”が広がっていますね。

 

まず、アメリカがどうして一時休戦したのか。

東さんが“アメリカボタン”を押してみると…

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アメリカの農家の人たちが傾きました。

農産物が中国に売れなくなって、アメリカの農家が大きな打撃を受けたんです。

中国への農産物の輸出が、半分以下にまで減少したというデータもあります。

 

これが11月に控える「大統領選挙」と関係してくるんです。

実はこの農家の人たちは、トランプ大統領にとって大切な支持基盤なんです。

トランプ大統領は再選を目指すため、農家の支持をつなぎ止めたいと思ったはずです。

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とりわけ合意の成果としてアピールしたのが、アメリカの農産物をたくさん買うことを約束させたことです。

 

合意文書に署名したとき、トランプ大統領は会場を埋め尽くす人を前にこう成果を強調しました。

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「農家はとても喜ぶぞ。中国は牛肉・豚肉・鶏肉などさらにたくさん買ってくれるぞ」。

トランプ大統領は、中国がどのくらい買うか具体的な金額を書かせたことも誇っています。

今後2年間で、農産物やエネルギーなど日本円にしてなんと20兆円余りです。

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貿易戦争の前の1.5倍にものぼる量になります。

そのため、たった1つの「◯」でも合意したということなんです。

 

一方、中国の習主席はどうして合意しようと思ったのでしょうか。

千里子さんが“中国ボタン”を押してみると…

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中国のビルが傾きました。

理由は、景気です。

中国は、貿易戦争の影響で景気が悪くなっていました。

17日に発表された去年1年間の経済成長率も、29年ぶりの低い水準まで落ち込みました。

習主席はなんとか改善させたいと思っていたはずです。

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今回の合意で、中国はアメリカにかけられていた関税の一部引き下げを約束させました。

景気減速に歯止めがかかるのを期待しています。

 

選挙を前に手柄を得たかったトランプ大統領と、景気の減速に歯止めをかけたかった習主席。

いったん妥協点を見つけて合意したということです。

 

一見収まったようにみえますが、対立はまた深まるかもしれないんです。

というのも、両国には根深い問題がいろいろあるんです。

 

それはいったい何なのか?

アメリカと中国、2つのボタンを一緒に押してみると…

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2人の下に、いつ噴き出してもおかしくなさそうな火種が…。

「中国企業排除」と書かれています。

 

アメリカで進む「中国企業排除」の実態を取材しました。

 

6年前にアメリカに進出した中国国有の鉄道車両メーカーは、ボストンやロサンゼルスの路線で受注を重ね、年々シェアを広げてきました。

ところがそこに、アメリカ政府から待ったがかかりました。

去年暮れ、中国企業の締め出しを狙った法律が成立。

中国政府の支援を受けてつくる鉄道やバスの車両について、販売を制限する条項が盛り込まれました。

この中国メーカーもその対象になりました。

スパイ行為の疑いがあると指摘されたのです。

その理由のひとつが、車両に設置されたカメラです。

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アメリカ政府は、AIを使った顔認証技術が使われ、乗客が中国政府に監視されるおそれがあるとして規制の対象にしたのです。

中国メーカーは、アメリカ側の指摘には根拠がないと反発しています。

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「車内の設備はアメリカで定められた基準をクリアしています。企業の活動を制限するようなやり方は公平ではありません」。

 

アメリカが、強硬に中国企業の排除に乗り出す背景に何があるのか。

今回NHKは、法律の成立に携わったエリック・オルソンさんに、話を聞くことができました。

オルソンさんは、企業や団体からの要望を受け、議員に制度の変更を働きかけるロビイストです。

与野党の議員の事務所を個別に訪ね、中国の車両を導入する危険性を訴えました。

乗客だけでなく、アメリカ政府中枢の情報も狙われるのではないかという懸念が法律制定につながったと証言します。

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「鉄道車両の監視カメラや車両がリモートコントロールされる危険性について、広く報じられています。中国製の鉄道車両が国防総省の近くや議事堂の下を通るとなれば、みな心配します。これが法案提出の後押しになったのです」。

 

オルソンさんに法律の制定を依頼したのは、アメリカの産業界でした。

このままでは、中国政府から巨額の補助金を受ける中国企業にアメリカの市場が独占されると危機感を強めたのです。

こうした声を背景に、アメリカ議会では、与野党を問わず中国への危機感がかつてなく高まっています。

民主党の上院議員は「中国は間違いなくアメリカの最大のライバルだ。アメリカは技術革新のリーダーの座を奪い返さなければならない」と発言しています。

 

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「この巨大国家、そして中国共産党と密接に結びつく国有企業にどうやって対抗するのでしょうか。アメリカの企業はみな民間で、それが国有の企業と競争するのは公正とはいえません」。

 

 

産業界の声を受けてアメリカ議会では、中国の脅威論が強まっています。

あのスマホで有名なハイテク企業「ファーウェイ」も排除する動きが進んでいます。

そして根深い問題はまだあります。

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「台湾」・「香港」・「ウイグル族」と書いてあります。

総統選挙が終わったばかりの台湾は、アメリカとの連携を深めていくでしょうから、中国のいらだちが強まりそうです。

また中国が、少数民族ウイグル族の多くの人を、不当に拘束しているとされる問題、

さらには、香港の問題でも、アメリカはさらに批判を強めていきそうです。

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つまり、こういったものがいつ噴き出すかわからない状態なんです。

 

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キーワードは「つかの間の休戦?」。

トランプ大統領はこの「一時休戦」を大統領選挙後まで続けるような発言もしています。

けれどそれはもっと短い「つかの間」にすぎないかもしれません。

中国が「アメリカから、たくさん買うよ」と約束しても、さすがに1.5倍という数字は、現実的ではないという指摘もあります。

これが達成できなければ、トランプ大統領は、大統領選挙を前に、また強硬な姿勢に転じる可能性もあります。

世界中がひとまず安堵したアメリカと中国の「一時休戦」。

そう長くは続かないかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.イギリス王室衝撃発表 王子夫妻が公務退く

2.一時休戦したけれど… 米中貿易戦争その先は

3.“Theyと呼ばれたい”

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年1月26日のゲストは、渡辺徹さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:23:54 | 固定リンク


2019年12月26日 (木)

中国のスパイも暗躍? どうなる台湾総統選挙

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2019年12月22日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、岩田明子解説委員、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの高橋真麻さん、国際部の藤田正洋デスクです。

 

 

伸さん「熱っ!熱い熱い!アツアツだね~、シップ、アツアツだよ!」。

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シップ「伸さん!いま台湾で熱いのは、ショーロンポーだけじゃないんだぜ~?」。

 

台湾で、熱く盛り上がっているのが「総統選挙」です。

ところがこの選挙、裏には中国のスパイの影が…。

 

台湾のトップを決める選挙の行方はどうなるのか、国際部、中国・台湾担当の藤田正洋デスクが解説しました。

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総統選挙は、年明けの1月11日に投票が行われます。

 

最大の争点は「中国との距離感」です。

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いま、台湾と中国の関係が、とても冷え込んでいるんです。

 

中国はさまざまな手段で、台湾に圧力をかけています。

4年前には400万人近くいた中国人観光客は、およそ半分にまで減りました。

さらに中国の圧力で、台湾と外交関係がある国が減少し続けています。

4年前の22か国から、これまでで最も少ない15か国にまで減りました。

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そもそも中国は「台湾は中国の一部」と主張しています。

ただ、今の政権は「台湾は中国に属していない」と主張しています。

こうした姿勢に、中国が怒って圧力をかけているんです。

 

その中国と「どう向き合っていくか」というのが、今回の選挙なんです。

 

今回の総統選挙で争っているのが、少数野党、親民党トップの宋楚瑜氏、最大野党・国民党の韓国瑜氏、そして与党・民進党の蔡英文総統の3人です。

ただ、事実上、韓氏と蔡総統の2人の争いとなっています。

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2人の中国との距離感ですが、韓氏は「中国との経済的な結びつきを強めよう」という立場です。

蔡総統は「中国と距離を置く」という立場です。

まさに「距離感」をめぐって対立している2人なんです。

 

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[台湾の総統選挙では、いつも「中国との距離感」というのが争点になってきたんだヨーソロー]

 

1996年、台湾市民は、初めて総統を選挙で直接選べることになりました。

しかし、それを聞きつけた中国は「台湾は独立しようとしているに違いない!許さん!」と、台湾の近くにミサイルを撃ち込んだりしました。

猛反発して選挙に臨んだ台湾市民が選んだのは、中国に屈しない総統でした。

そして、台湾と中国との距離は離れていきました。

その後、2008年、台湾市民は「経済を発展させるために中国と仲よくしよう」という総統を選びました。

「これからは中国との貿易をどんどん増やす」。

「観光客もたくさん受け入れて、中国との距離を近づける」。

しかし、「中国と仲よくし過ぎではないか」、「中国に飲み込まれるのではないか」と思った台湾市民が次に選んだのが “中国と距離を置く” 蔡英文総統でした。

 

 

こちらの台湾名物の屋台を使って、今回の総統選挙を説明していきます。

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韓氏、蔡総統が、お客さんを奪い合っている状態ですね。

蔡総統は3年前から総統を務めていますが、期待されていたほど経済が振るわず、人気が低迷していました。

対する韓氏は、中国との関係を改善して地域経済を良くすると訴えて人気を集めていました。

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ところが今、状況が大きく変わっているんです。

 

大きく流れを変えたのがこの人。

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中国の習近平国家主席です。

習主席はことし1月、台湾に「一国二制度」を適用して、将来、統一を目指す決意を示しました。

「一国二制度」は、中国の一部になるけど、いろんなことを自分たちで決めたり、言論の自由もあるというものです。

蔡総統は間髪入れずに「絶対受け入れられない」と反論したんです。

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台湾の多くの人たちが「一国二制度は嫌だ」と感じていたので、蔡総統が人気を回復し始めたんです。

 

さらに「きょうの香港はあすの台湾」という危機感です。

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香港で続く抗議活動に対する中国の強硬な姿勢を見て、台湾の人たちは「香港みたいになりたくない」という思いを強くしました。

これが蔡総統の人気をさらに高めることになりました。

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蔡総統の屋台に客が向かうようになりましたね。

 

そしてここにきて、さらに蔡総統を後押しするような出来事が明るみに出たんです。

それが「スパイ疑惑」です。

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スパイが持っている本の中を開くと、「世論操作せよ」「再選を阻止せよ」と書いてあります。

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どういうことかというと、台湾でスパイ活動を行っていたと、先月、メディアに告白した中国人男性が現れたんです。

去年の選挙でネットやメディアを駆使して、中国寄りの候補が勝つように世論操作していたと明らかにしました。

さらに、今回の総統選挙でも、蔡総統の再選を阻止するよう指示を受けていたということです。

ただ、中国政府は「でっち上げだ」と真っ向から否定しています。

しかし、台湾の人たちの間では「世論を操作するな」と、中国への警戒感はさらに強まりました。

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これも、蔡総統にとって追い風となっているんです。

 

しかし、韓氏にとってはピンチです。

 

スパイ疑惑について、それぞれの候補はどう主張しているのか、また、台湾の人たちはどう感じているのでしょうか。

 

高まる中国への危機感は、蔡英文総統を勢いづけています。

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「中国は台湾の選挙に介入している。事実を明らかにしなければならない」。

蔡総統の与党・民進党は、中国の介入を防ぐための新たな法案を提出しました。

中国に対する蔡総統の強い姿勢に支持が集まっています。

 

台北市で英会話を教える林ウン霏さんは、中国が、露骨に台湾に介入しようとしていると、かつてない危機感を抱いています。

「このニュースを聞いた時、とても怒りを感じました。中国は選挙だけではなく、経済や外交にも介入しています。私たちはとても大きな圧力を受けています」。

林さんは、蔡総統でなければ台湾を守ることができないと考えています。

「いまの香港の状況を見て、恐怖を感じている。もし中国が介入すれば、本当に『きょうの香港はあすの台湾』ということになるかもしれない」。

 

一方、劣勢に立たされている国民党の韓国瑜氏は、中国による選挙介入は事実ではないと主張しています。

蔡政権が、これを利用して危機感をあおっていると批判しています。

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「完全なでっち上げだ。選挙後にこれがうそだとわかったらどうするのか」。

 

韓氏を支持する人たちも、蔡政権の独立志向の強さこそが、中国の圧力を招いているのだと考えています。

「蔡総統は独立を主張している。このままでは経済や軍事状況は、さらに悪くなる」。

「台湾も中国もルーツは一緒だ。アメリカや日本だけでなく、中国とも仲よくするべきだ」。

 

中国との関係が改善すれば、景気もよくなるはずだと期待する声も上がっています。

韓氏を支持する卓文後さんは、韓氏が市長を務める高雄市で、バナナ農家を営んでいます。

卓さんは、韓氏の手腕を高く評価しています。

韓氏が市長として中国などを訪れ、180億円あまりの農産物の注文を取り付けてきたからです。

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「もし中国がバナナを買ってくれなかったら台湾のバナナが余ってしまう。中国は欠かせない市場だ」。

卓さんは、韓氏が勝利すれば中国との取り引きが増えて経済が上向くと期待しています。

「韓氏が総統になったら私たちを助けてくれると思うよ。バナナの値段もさらに上げてくれるはずだ」。

 

 

ここで、最新の支持率を見てましょう。

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地元のテレビ局が調べた数字です。

蔡総統が50%、対する韓氏は31%となっています。

 

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キーワードは「間合い」。

柔道では相手と向き合う時に、この「間合い」がとても重要なんです。(藤田デスクは柔道五段)

日本や世界の多くの国もそうであるように、世界の巨大市場となった中国は、多くの台湾企業にとっても、切っても切れない関係となっています。

中国との「間合い」をいかにとっていくのかが問われる今回の選挙で、台湾の人たちがどのような結論を下すのか注目されます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.中国のスパイも暗躍? どうなる台湾総統選挙

2.日韓首脳会談 “徴用”めぐる問題は

3.パリのエコなクリスマス

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年1月12日のゲストは、藤本隆宏さんです。

 

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:15:47 | 固定リンク


2019年12月19日 (木)

ロヒンギャ迫害で批判 どうするスー・チー氏

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2019年12月15日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの榊原郁恵さん、国際部の清水一臣デスクです。

 

 

伸さんとMr.シップ、この日は東京・高田馬場へ。

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「あ、こんなところに、ミャンマー!」。

 

ミャンマーと言えば、民主化運動のリーダーとして活躍した、アウン・サン・スー・チー国家顧問。

ノーベル平和賞も受賞し、国民からの人気は絶大です。

ところが、国内で起きている「ある問題」をめぐって、いま、国際的な裁判の被告側に…。

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いったいどういうことなのか、国際部・アジア担当の清水一臣デスクが解説しました。

 

まず、スー・チー氏について説明します。

スー・チー氏は、50年近く軍が政権を握っていたミャンマーで、民主化運動のリーダーとして国民を導いてきました。

長く自宅に閉じ込められていたんですが、1991年にノーベル平和賞を受賞しました。

ようやく自由の身になったあと、選挙で圧勝。

3年前に「国家顧問」という、国の実質的なトップに就任しました。

国民の間では絶大な人気があり、私も実際取材したことがありますが、背筋をのばし民族衣装に身を包んだ姿には、カリスマとしてのオーラのようなものも感じました。

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でも、そのカリスマがいま「国際司法裁判所」というところで、裁判の「被告側」として法廷に立っているんです。

スー・チー氏が率いるミャンマーは、ロヒンギャと呼ばれる人たちへの迫害をめぐって、訴えられているんです。

 

ロヒンギャの難民キャンプでは、竹などで作られた小屋がひしめくように建っています。

雨が降れば、土砂崩れで亡くなる人もいます。

迫害から隣の国に逃れてきた90万人以上ものロヒンギャの人たちが、いまもこうした生活を強いられています。

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ひどい衛生状態で、病気になる人があとをたちません。

子どもたちも十分な教育を受けられず、今世紀のアジアで最大の人道危機とも言われています。

 

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[ミャンマー西部で暮らしているロヒンギャについて、オレが説明するヨーソロー]

 

ミャンマー人とロヒンギャでは、話す言語が違います。

そして、宗教も、ミャンマー人は仏教徒が多く、ロヒンギャはイスラム教徒が多いんです。

ミャンマー人はロヒンギャに対して「“よそ者”のくせにずっとミャンマーにいて、いつか侵略しようとしている」と思っています。

ロヒンギャは、ミャンマー人から嫌われ、ひどい差別を受け、国籍すら与えてもらえませんでした。

迫害を受け「もうこんな状況我慢出来ない」と怒った一部のロヒンギャの武装勢力が、ミャンマー軍や警察の施設を襲撃しました。

これを受けてミャンマー軍は、ロヒンギャ武装勢力の掃討作戦にのりだしました。

ロヒンギャはこの時、仲間が殺されたり暴力を受けたり、家を焼かれたりしたと訴えています。

そのため、ロヒンギャの人たちは国外で避難生活を送ることになってしまいました。

 

 

国連の報告では、掃討作戦のなかで、1万人ものロヒンギャの人たちが亡くなったとされています。

スー・チー氏は、なにもしなかったわけでないんですが、消極的な姿勢が目立ちます。

ミャンマーの国民感情に配慮する必要もあるからです。 

 

しかし、イスラム教徒と、これまでスー・チー氏に期待していた欧米の国々や人権団体などはいらだちを募らせていて、「ノーベル賞を返上しろ」という声まであがっています。

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スー・チー氏が、なぜ消極的なのか、それはミャンマー国内を見るとわかります。

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スー・チー氏が国のトップとはいえ、ミャンマーでは軍がいまだに強い権力を持っているんです。

 

その軍の権力というのが…

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「政治に口出し」。

議会の議席の4分の1は、憲法で、はじめから軍に割り当てられています。

ロヒンギャの問題で軍の責任を追及すれば、反感を買い大事な決定も邪魔されてしまうかもしれません。

「政治に口出し」できるのが軍なんです。

 

そして、もう1つは…

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「言うことを聞かない」。

スー・チー氏には、軍の指揮権がないんです。

軍がロヒンギャの人たちをいじめていても、止めることができません。

 

これまでスー・チー氏は、2つの武器を持って軍と対抗してきました。

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ところが、「世界の評価」という武器は、ロヒンギャ問題の対応のまずさから、失いつつあります。

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そして、最大の武器だった国民からの圧倒的な支持さえも、最近、錆び付きが目立つようになっています。

スー・チー氏の人気は健在ですが、その影響力にかげりがでてくるかもしれない事態なんです。

実は来年、総選挙を控えていますが、カリスマとは思えない必死な姿も見られるようになっています。

 

 

総選挙を控えたスー・チー氏は、自ら国内各地を駆け回り、与党への支持を訴える異例の活動を行っています。

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「みなさんに寄り添うために集会を開き、質問も受け付けます」。

地元当局者に対し、インフラ整備の遅れを厳しく問いただし、有権者にアピールするような様子も見られました。

 

スー・チー氏が必死に支持を訴える背景にあるのは、国民に広がる失望感です。

民主化運動を支えてきた中心人物、コー・コー・ジー氏は、およそ30年間、スー・チー氏と歩みをともにし、与党・NLDを支援してきました。

「かつての民主化運動は、国民の手による革命であり、純粋に国民自身の運動であったということを忘れてはならない」。

しかし、去年「スーチー氏の与党には民主化の進展を期待できない」として、新たな政党・人民党を設立しました。

これまで、民主化を求めてスー・チー氏を支えてきた人たちが、見切りをつけて離れつつあるのです。

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「私たちのように、与党に不満があるから党をつくった人はたくさんいます。もっとできることがあるはずなんです」。

 

さらに、これまでスー・チー氏や与党を支持してきた少数民族の間でも、失望と反発が広がっています。

ミャンマー東部の少数民族の村に住む男性は、長年、工場の排水による悪臭や農作物への悪影響などに悩まされてきました。

前回・4年前の選挙では「スー・チー氏なら、少数民族の権利も尊重し、生活環境を改善してくれるはずだ」と与党に投票しましたが、いまだに状況は改善されず、裏切られたと感じています。

「暮らしが良くなると期待したけど。ことばもありません。もう諦めました」。

こうした不満を背景に、スー・チー氏の与党に対抗しようと少数民族の政党が協力する動きが進んでいます。

 

 

こうしたなか、スー・チー氏本人が裁判に出てきたのは、戦略なのではという見方もできるんです。

 

まず、1つ目の戦略は、いま持っているこの武器を強くすることです。

そもそもミャンマーの人たちはロヒンギャを嫌っているわけですから、スー・チー氏が裁判所で反論してくれれば、国民はうれしいと感じます。

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スー・チー氏が持っている武器が強くなりました。

 

2つめは、軍の力を弱めるきっかけをつくること。

ロヒンギャへの迫害をめぐって高まる批判を、スー・チー氏が軍の代わりに受けることで、軍に貸しをつくれる。

すると軍はスー・チー氏にモノを言いづらくなります。

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ただ、これはあくまでもスー・チー氏の事情です。

キャンプでは、いまも多くのロヒンギャの人たちが、厳しい状況におかれていることを見過ごすことはできません。

 

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キーワードは「具体的な行動を」。

裁判で被告側として立ったスー・チー氏の口からは、反論ばかりで、ロヒンギャの人たちへの謝罪の言葉は聞かれませんでした。

年明けには、裁判所からミャンマー政府に対して、ロヒンギャへの迫害をすぐにやめさせるための暫定的な指示が出される可能性もあります。

この問題を解決に導くことができるのは、スー・チー氏をおいてほかにはいません。 

目の前で刻々と進む危機に対して、具体的な行動こそが求められています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.ロヒンギャ迫害で批判 どうするスー・チー氏

2.大統領は元コメディアン ウクライナに ロシアが…

3.地球温暖化が影響 変わる!?ワイン産地

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月22日のゲストは、高橋真麻さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:45 | 固定リンク


2019年12月12日 (木)

イギリス総選挙 これで決まる?EU離脱

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2019年12月8日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、国際部の大庭雄樹デスク、千里子さん、Mr.シップ、ゲストの小林綾子さん、国際部の佐伯敏デスクです。

 

 

Mr.シップ「おっ立体迷路だ!よし、行ってみよー」。

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「行き止まりだ。まずいな~」。

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「これは、完全に迷ったな~。出口が見えないよ~」。

 

出口が見えないと言えば、迷路に迷い込んでしまったイギリスの「EU離脱」。

12月12日、いよいよ総選挙が行われます。(12月8日の放送日時点)

EU離脱問題に、出口はあるのでしょうか。

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国際部・ヨーロッパ担当の佐伯デスクが解説しました。

 

今回の選挙、結果によっては、今度こそ、EU離脱へ大きく前に進むかもしれません。

選挙では小選挙区の650議席が争われます。

 

まず、ジョンソン首相が率いる与党。

「来年1月末に離脱する」と主張しています。

 

一方、ライバルの野党。

野党は「このままの離脱はだめ」という立場で、離脱するかどうかを決めるための「国民投票」をもう一回、行うと訴えています。

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こちらは、選挙戦の様子です。

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クリスマスマーケットでは、ジョンソン首相が握手や話をして支持を訴えています。

 

ここでひとつ、今回の選挙を表すことばがあります。

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「ブレクスマス」です。

「ブレグジット」はEU離脱という意味で、イギリスの「ブリテン」と、出口の「エグジッド」を掛け合わせた造語です。

さらに、この「ブレグジット」と「クリスマス」を掛け合わせてできた造語が「ブレクスマス」なんです。

 

実は12月の選挙は、イギリスでは100年ぶり。

暗くて寒い冬であることに加えて、クリスマス休暇もあるので、政治家たちは12月の選挙を避けてきたとも言われています。

 

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[なぜイギリスが総選挙をすることになったのか、オレが説明するヨーソロー]

 

国民の期待を一身に背負って、ことし7月に首相になったボリス・ジョンソン氏。

”必ずイギリスをEUから離脱させる”と、約束しました。

ジョンソン首相は、さっそくEUと話し合い、就任からたった3か月で合意することができました。

しかし、イギリス議会には認められず…。

議会には、与党が半分以下のため、ジョンソン首相は総選挙をやろう!ということになりました。

「議会を味方だらけにすれば、EU離脱を邪魔されることはない」と考えたのです。

 

ジョンソン首相が考えるように、総選挙をすれば、EU離脱ができるのでしょうか。

こちらを使って、説明していきます。

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こちらは「うんざり霧」。

この“霧”は、最近のイギリス国内の空気です。

先の見えない離脱の議論が3年も続いたので、国民はいいかげん“うんざり”しています。

そんな空気のなかで「離脱をジョンソン首相に実現してもらおう」と言う声が目立っているんです。

 

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「私も友だちも、離脱についての議論が長引いていることに、うんざりしています」。

「誰もがうんざりしています。企業も家庭も先の見通しをたてることができません」。

 

そんな中、イギリスのテレビでは、連日の報道に飽き飽きしたという声を受けて、離脱問題を扱わないニュース番組も始まりました。

さらにネットメディアには「“離脱不安”私は眠れない」という見出しも。

ことし3月に行われた世論調査では、64%の人が離脱問題によって不安にさいなまれていると回答しています。

別の調査でも、大人の3分の1の心の健康に影響していることが分かりました。

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深刻な場合は、うつ病の原因にもなっているというのです。

 

離脱問題に早く決着をつけてほしいという思いから、支持する政党を変える人まで出てきています。

 

もともとは野党の労働党を支持し、3年前の国民投票では「EU残留」に投票したスティーブンスさんは、住宅を回ってチラシを配るなど、ジョンソン首相率いる保守党を支える活動を行っています。

しかし、今回の選挙では逆に「離脱」に突き進む保守党を支持することに決めたのです。

出口が見えない議論に、うんざりしたからだと言います。

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「国が前へ進むためにはEU離脱という保守党の主張は正しいと思う」。

スティーブンスさんは、不動産への投資や人材を紹介する事業を行っています。

先行きが見えないことで不動産価格は安定せず、優秀な人材も海外に流出し、経営への不安はつきないといいます。

「どういう形でも、いまの状況を抜け出して前に進んでいかなければなりません」。

 

 

イギリスの研究所が行った調査では「離脱のことを聞きたくないから、もうニュースは見ない。」と言う人も増えているそうです。

また、医療や教育など、生活に関わる大切な政策が後回しにされていると感じている人たちもいます。

 

そんな人たちにジョンソン首相は…

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“うんざりの霧”を掃除機で吸っています。

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晴れ間から「離脱にケリをつける」と出てきました。

うんざりした人たちに「自分が勝てば、このもやもやを終わらせる!」と訴えているんです。

就任からたった3か月でEUと合意を結ぶことに成功したわけですから「実行力のある首相」という評価もあり、ジョンソン首相を支持する人は多いんです。

調査会社は、与党が議席の過半数を確保すると予測しています。

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つまり、うんざりしていた人たちがジョンソンさん側へ行ったということです。

 

しかし、選挙の結果がどうなるのか、まだわかりません。

なぜなら、ここにきて「離脱はしたくない」と言う人たちが活動を活発化させているからです。

それが若者たちです。

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若者たちの多くは「EUから離れたくない」と考えていて、選挙では野党に投票するとみられています。

 

EU残留へ国民投票の実施を求める市民のデモには、多くの若者が参加しています。

3年前の国民投票が行われた時、投票権がなかった若者たちもいます。

「EU離脱」という結果に、自分たちの声が十分反映されなかったと強い憤りを感じているのです。

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「前回は投票できませんでした。若者だけでなく、みんなの声が無視されてきたの」。

「今回、18歳で初めて投票します。政府に怒りを感じています」。

 

そうした若者のひとり、18歳のフランク・チェンバレンさんは、生まれたときからイギリスがEUの一員であることが当たり前でした。

“離脱か残留かをめぐる国民投票を再び行う”と訴える野党の労働党を支持し、選挙活動に参加しています。

将来は通訳や外交関係の仕事に就いて、EUのほかの加盟国で働くことを目指しています。

しかし、離脱すれば、ほかの国で働けなくなり、夢を実現できないのではないかと不安を募らせています。

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「なぜチャンスを僕らから奪うのか理解できないよ。EUを離脱すれば移動の自由がなくなってしまう。EUからの離脱を止めたいんだ」。

 

それを裏付けるデータがあります。

「離脱したくない」と答えた人は、18歳から24歳までの若者では実に8割に達しています。

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しかし、年齢が高くなっていくと、その数は減っていきます。

つまり、「離脱したい」という人が増えていくのです。

「離脱したい」という人の中には、年配の世代が多いと言われているんです。

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EU離脱の問題は、「世代間の対立」という側面もあるんです。

 

では、選挙はいったいどうなるのか、今度こそ、EU離脱となるのでしょうか。

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「クリスマスに欲しいのは…」。

イギリスの人たちが何よりも欲しいプレゼントは、どうやら「今のうんざりの状態を早く終わらせる」ということみたいです。

でも、選挙でどちらが勝つにしても、あまり差がつかなければ、これまでの決められない議会になってしまいます。

欲しかったプレゼントはもらえるのか、選挙の結果に注目です。

 

     

 

【この日の時間割】

1. イギリス総選挙 これで決まる?EU離脱

2. 東京2020 ロシア選手の出場は

3. 太りにくい糖がメキシコを救う?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月15日のゲストは、初登場!榊原郁恵さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:37 | 固定リンク


2019年12月05日 (木)

30年前から...プーチン大統領 怒りのワケ

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2019年12月1日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、国際部の石川慎介デスクです。

 

「東京の阿佐ヶ谷にやって来たぞ!紅葉がきれいだな~。」

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Mr.シップと伸さんが訪れたのは、ロシア雑貨のお店。

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「おい伸さん!これ、ロシアのプーチン大統領じゃねえか?」

 

このロシアのプーチン大統領が、いま、アメリカに、とても怒っているようなんです。

そのわけは、30年前の12月3日の出来事にあります。

いったい何があったのか、プーチン大統領のいまを国際部ロシア担当、石川慎介デスクが解説しました。

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30年前の12月3日の出来事を語る上で欠かせないのが「冷戦」です。

第2次世界大戦の直後から、40年以上に渡って続いていました。

冷戦はアメリカ中心のグループと、かつてのソビエト、いまのロシア中心のグループの2つに世界が分かれて起きた対立です。

当時、アメリカとソビエトは、核兵器を次々に開発し、核戦争の恐怖が広がっていました。

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その後、1989年12月3日に会談が行われ「冷戦」が終わりました。

 

しかし、30年がたち「新冷戦」時代に突入したと言われています。

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去年、プーチン大統領がみずからロシア軍の次世代兵器を紹介していました。

実は、その紹介映像のCGの中で、核弾頭を搭載したミサイルが向かった先が、アメリカのフロリダ半島にそっくりな地形だったのです。

フロリダには、トランプ大統領の別荘があるんです。

 

プーチン大統領が強める、アメリカへの対決姿勢。

その意味で、いま「新冷戦」時代だと言われています。

 

プーチン大統領はなぜ、アメリカに対して怒っているのでしょうか。

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怒ったプーチン大統領が入ってきました。

 

まず1つめのプーチン大統領の「怒り」は「約束を守れ!」。

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こちらは冷戦が終結したときのアメリカ中心のグループと、ソビエト中心のグループの勢力図です。

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冷戦終結を宣言した会談のあと、アメリカは「ソビエトのグループを仲間に入れない」、つまり「拡大しない」という約束をしたとされています。

 

冷戦が終わるとソビエト中心のグループはバラバラになり、ソビエトも崩壊しました。

すると、アメリカはみずからが率いる軍事同盟にソビエトの仲間だった国々を、次々に引き込みました。

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アメリカ側のグループは「そんな約束はしていない」と言っていますが、プーチン大統領としては“アメリカの脅威がロシアまで迫ってきている”という意識です。

 

さらに「怒り」の理由2つめは「“弟”を取るな!」です。

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“弟”というのは、ウクライナのことです。

プーチン大統領が「兄弟国家」と言うほど、ロシアにとって特別な国なんです。

その「ウクライナ」でも、5年前に政変が起きてアメリカ寄りの政権が発足しました。

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プーチン大統領は「アメリカが後ろで糸を引いたからだ」と主張しています。

そのため「国を守らなければならない」という思いを強くしているんです。

その思いの原点には、冷戦時代の、みずからの経験があるんです。

 

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[プーチン大統領の冷戦時代の経験を、オレが説明するヨーソロー]

 

ソビエト率いる東側とアメリカ率いる西側が世界を巻き込み争っていた東西冷戦の終わりごろ、プーチン大統領は、東ドイツでスパイ活動をしていました。

そのときベルリンの壁が崩壊。

東側の国がなくなっていくのを目の当たりにしたプーチン大統領は「このままではわが国も…。今こそ国を守ろう」と、思いを強くしました。

 

 

プーチン大統領がアメリカに怒る理由は、まだあります。

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「口出しするな!」です。

 

7年前の映像を見てみると…

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苦戦を強いられた大統領選で、勝利が決まった直後のプーチン大統領が涙を流しています。

本人は「冷たい風で目がしみた」と否定しています。

石川デスクは何度もプーチン大統領を取材しましたが、いつも目が笑っていない印象だったので、このときの大統領の涙には驚いたそうです。

 

この大統領選では、かつてないほどプーチン大統領への批判が高まりました。

実は、当時アメリカが、反プーチン勢力を支援して勢いが増していたのです。

プーチン大統領は、苦戦の原因を作ったのはアメリカだったと思っています。

政権を転覆させられるのではないかという危機感すら抱いたと思います。

だから当選したときに涙が出たのかもしれません。

 

アメリカへの対抗意識を強めるプーチン大統領の姿勢を、ロシアの人たちははどう感じているのか取材しました。

 

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「アメリカは、ロシアを支配しようとしている」。

「アメリカは破壊的で明らかに間違っている政策を続けている」。

プーチン大統領や政権は国営テレビなどを使ってアメリカ批判を展開し、国民の反米感情をあおっています。

 

アメリカへの不信感は、国民の間にも広がっています。

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「アメリカはいつだって敵だ。これからも変わらない」。

プーチン大統領と同様に、冷戦の終結後、ロシアは屈辱的な道のりをたどったととらえる声が根強いのが現状です。

冷戦当時、軍に所属していた男性は、冷戦後のロシアはアメリカに対して弱腰だったと考えています。

「プーチン以前の大統領がアメリカの前にひざまずいて、負けを認めるような姿勢を見せてしまい、経済も軍事力も崩壊してしまった」。

 

こうした状況を一変させたのがプーチン大統領だといいます。

低迷する国内経済を立て直し、外交でも欧米諸国への対抗姿勢を強め「強いロシア」を復活させたと評価しています。

「プーチンは非常に力のある外交官です。彼が外交で負けたことを私は知りません。彼は言葉だけでなく、きちんと実行します。これが私が彼を評価する点です」。

 

ロシア外交の専門家は、アメリカとの緊張関係は今後も続くと指摘します。

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「アメリカとの関係は停滞というより、深刻な崩壊状態にあります。かつての冷戦よりもっと冷たい戦争が始まっているのです」。

 

 

冷戦が終わって、私たちにとっては「平和な時代が来た」と前向きでしたが、ロシアにとっては、むしろ屈辱の歴史の始まりだったんです。

 

そんなロシアが、アメリカに対して具体的にどんなことを行っているかというと「新型兵器」の開発です。

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ロシアは、とんでもなく速い核ミサイルや、探知の難しい核魚雷などの開発を進めています。

さらに、中国との関係を深め、タッグを組んでアメリカに対抗しようとしています。

このほかにも世界各地で、アメリカと対立する国を支援しています。

プーチン大統領のアメリカに対する強硬な姿勢は、当面、変わらないとみられています。

 

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「核の恐怖再び」。

冷戦が終わり、ロシアとアメリカの間には、核兵器を減らしていこうという動きがあったんですが、これが大きな転機を迎えています。

このまま軍拡競争がエスカレートすれば、再び核戦争の恐怖におびえることになるのではないか、世界ではそんな懸念が高まっています。

 

     

 

【この日の時間割】

1.30年前から…プーチン大統領 怒りのワケ

2.さらに悪化? アメリカvs中国

3.オーストラリア 新開発ラム肉のヒミツ

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月8日のゲストは、小林綾子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:51 | 固定リンク


2019年11月28日 (木)

長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

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2019年11月24日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの濱田龍臣さん、国際部の香月隆之デスクです。

 

この日、バチカンから来日したローマ教皇が、長崎・広島を訪問しました。

せかいまでは、被爆地を訪問するローマ教皇の様子をお伝えしました。

 

24日午後、広島空港に到着した、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇です。

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大勢の人から、歓迎されています。

この後、空港から広島市内の平和公園に向かいました。

平和公園には、教皇を心待ちにする大勢の人の姿が見えました。

 

フランシスコ教皇は、どんな人で、なぜ日本を訪れたのか、国際部の香月隆之デスクが解説しました。

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日本に教皇がやって来るのは、ヨハネ・パウロ2世教皇以来、実に38年ぶり。

今回の訪問では、長崎と広島の2つの被爆地を訪れます。

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スケジュールは、こちらです。

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教皇は23日に来日、24日に長崎・広島を訪れています。

24日の午前中には、長崎でスピーチをしました。

その様子をご覧下さい。

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「長崎は、わたしたち人間が過ちを犯しうる存在であるということを、悲しみとおそれとともに意識させてくれます。長崎の浦上教会の被爆十字架とマリア像は、被爆者とその家族が生身に受けられた筆舌に尽くしがたい苦しみを、あらためて思い起こさせてくれる」。

 

フランシスコ教皇がどんな人なのか、こちらを使って説明していきます。

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フランシスコ教皇は6年前にローマ教皇に就任しました。

現在82歳で、実に266代目のローマ教皇とされています。

その歴史は非常に長く、およそ2000年間続いていると言われています。

そして教皇が普段いるのは、バチカンという世界で最も小さい国。

イタリアの首都ローマの中にあります。

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広さは東京ディズニーランドよりも、狭いくらいです。

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[ローマ教皇がキリスト教の中でどんな存在なのか、オレが説明しヨーソロー]

 

まずはプロテスタントです。

プロテスタントは何より聖書が大事。

日曜日の礼拝でも聖書の言葉を聞くことを重視しています。

世界でおよそ5億5千万人の信者がいると言われています。

 

そしてもう1つはカトリック。

カトリックは教会での儀式を大事にします。

教会も豪華で日曜日のミサには毎週大勢の信者が集まります。

信者はおよそ13億人いるといわれていて、日本に来ているローマ教皇が、このカトリックのトップ、最高指導者です。

あの「イエス・キリストの代理人」とされる人なんです。 

 

ローマ教皇には、すごく大きな影響力があります。

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それは、信者だけではなくて、各国の政治家も無視できないほどです。

ヨーロッパやアメリカなどに多くの信者がいますが、そうした国々の政治家たちは、教皇の考えや発言に反対する政策は取りにくくなります。

すると、そうした国々と関わりがある日本のような国も影響を受ける形になるんです。

これまでの教皇の中には、第2次世界大戦のあと、世界が2つに分かれて対立していた「東西冷戦」を終わらせることに大きな役割を果たしたとされる人もいます。

 

今回、日本を訪れたフランシスコ教皇は、ひと言でいうと「改革者」。

教皇が取り組んできた、改革を見ていきます。

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1つ目の改革は「腐敗の防止」です。

教皇のいるバチカンでは、これまで「マフィアとも関係がある」と指摘されたりしていました。

そこでフランシスコ教皇は、外部の企業によってお金の流れをチェックしてもらって、怪しいやりとりが紛れ込んでいないかなどを監視できるようにしました。

 

さらに取り組んだのが、こちら。

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カトリック教会では、聖職者による性的虐待が大問題に。

しかし、問題を起こした聖職者が罰をうけないどころか、それを隠そうとした疑いもありました。

そこでフランシスコ教皇は、虐待に気がついた場合はすぐに連絡するように求めるなど、厳しい対応を打ち出しました。

このほかにも、これまでのカトリック教会にはなかった改革に取り組んできました。

 

 

ことし11月17日、フランシスコ教皇はこの日を「貧しい人のための日」に定め、苦しい生活を送っている人たちばかり、およそ1500人を招いて食事会を行いました。

これまで教皇は雲の上の存在で、そのことが権威につながってきました。

しかし、フランシスコ教皇は人々に寄り添う存在に大きく変えようとしています。

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「助けが必要な人に寄り添ってくれてありがたいです」。

 

同性愛や人工妊娠中絶を認めない立場を維持してきた教会ですが、フランシスコ教皇はそうした人たちを排除するのではなく、困っていれば手をさしのべるべきだという方針を打ち出しました。

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「教会が扉を閉ざしてしまったらその使命を果たせません。懸け橋になるのではなく障害になってしまうのです」。

また、死刑については、一定の条件のもとで認めてきた教会の教えそのものを改めました。

どんな条件でも一切認めず、全世界で廃止されるよう取り組むとしました。

さらに、これまで禁じてきた既婚男性の司祭も、一部の地域では認めるのではないかとみられています。

 

40年以上バチカンを取材してきたジャーナリストのマルコ・ポリティさんは、フランシスコ教皇が進める改革は、カトリック教会を現代の価値観に順応させたと指摘します。

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「これらはすべて新しい、これまでになかった改革です。教皇は、これまでカトリック教会にあった性についてのこだわりを取り除きました。避妊薬や離婚、結婚せずに同棲する若者たち、こんな問題に対する説教はなくなりました。非常に重要な変化です」。

ポリティさんは、保守派の間で反発がくすぶり、教会内でも抵抗は根強いと指摘する一方、それでも教皇は改革を進めていくだろうと言います。

「教会の有力者達の中には教皇が同性愛を敵視しないことをよく思わない人たちがいます。教皇は難しい立場にあります。教会の内部にも外部にも反対勢力が存在するからです。しかし、ゆっくりとではありますが改革は着実に進んでいます」。

 

 

このようにフランシスコ教皇は、これまでにない教皇といえるのですが、日本にとっても関わりの深い分野で力を入れていることがあるんです。

それは…

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「核兵器をなくす」。

これまでのカトリック教会は、相手の攻撃を防ぐために核を「持つ」こともあることは否定していませんでした。

しかし、フランシスコ教皇はこれまでの方針を変えて「核兵器を持つこと自体も断固として許されない」と強い姿勢を示しています。

 

フランシスコ教皇が、どうして、ここまで核兵器をなくすことに強い思いを持っているのか。

こちらをご覧下さい。

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こちらは原爆が投下された直後の長崎で撮影された写真で、亡くなった弟を背負った少年が写っているとされています。

教皇はこの写真に、心を動かされたといいます。

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「この写真を見たとき、胸を打たれた。千の言葉よりも人の心を動かす」。

 

教皇は去年1月、核兵器の悲惨さを知ってもらおうと、この写真をいろんな人に配ったとのことです。 

こうしたきっかけは教皇が20代のときに、広島に原爆が投下された直後の悲惨な様子を聞いたことだといいます。

それ以来、日本を訪れ核兵器をなくすことを訴えたいという思いを抱いていたということです。

今回の訪問は、長年の念願がかなった形なんです。

 

そして、そのフランシスコ教皇が、この写真が撮影されたとされる長崎で、核兵器をなくすことについての思いを語りました。

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「長崎は、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である街です。日ごと武器は、いっそう破壊的になっています。これらは途方もないテロ行為です。核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信を持って、政治をつかさどる指導者の皆さんにお願いします。核兵器は、今日の国際的または国家の、安全保障への脅威から、わたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください」。

このように、核兵器をなくすことを強い言葉で訴えました。

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核兵器の開発自体が「途方もないテロ行為だ」と述べて、きわめて厳しい表現を使ったのが印象的でした。各国の指導者対して、国際的な協力がこれまで以上に必要だというメッセージを伝えたのです。

 

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「被爆者への思い」。

核兵器の使用によって最も影響を受けるのが間違いなく一般の人々です。

フランシスコ教皇はいま核兵器をなくすための議論が進まないからこそ、いま長崎・広島を訪問し、被爆者の苦しみをあらためて世界に発信することが大切だと考えたと思われます。

今回の訪問をきっかけに、核兵器をなくす動きに変化があるのかどうか注目されます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

2.イラクのデモでピンチ!? シーア派ベルトって何

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月1日のゲストは、鈴木ちなみさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:57 | 固定リンク


2019年11月21日 (木)

先の見えない抗議活動 香港どこに向かうの?

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2019年11月17日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの武井壮さん、国際部の小田真デスクです。

 

香港で政府への抗議活動が始まって5か月がたちました。

ついには、死者が出てしまう事態に…。

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対立がますます激しくなる香港。どこに向かっているのでしょうか。

 

香港の若槻支局長に、現地の様子を聞きました。

こちらではきょうも集会が呼びかけられていて、大勢の市民が政府や警察への怒りを表そうと集まりました。

そして、別の場所では、きょうもデモ隊と警察の激しい衝突が起きました。

香港を象徴するような金融街で、先週は毎日、抗議活動が行われ会社員も大勢参加しました。

警察がそうしたスーツ姿のビジネスマンに向けて催涙弾を撃っているのを見ると、取り締まりが急激に強まったと実感します。

そしてきのう、香港に駐留する中国の軍の兵士たちが、施設の近くの道路で散乱したがれきなどの撤去を行ないました。

施設の外に出るのは異例のことで、「ボランティア活動に見せかけたデモ隊への威嚇だ」との反発も起きています。

さらに、交通機関がマヒするなど、市民生活にも影響が出ていることで、抗議活動に反対する市民とデモ隊との衝突も起きています。

抗議活動の長期化で、デモ隊と政府との対立が激化していることに加えて、社会全体の亀裂も深まっていて香港は出口の見えない重苦しい空気に包まれています。

 

どうしてここまで激しくなったのか、国際部中国担当・小田真デスクが解説しました。

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当初、デモは平和的に行われていました。

しかし、いくら抗議活動をしても香港政府が要求に応じようとしないので、過激な行動に出るようになっているんです。

そもそもなぜ市民がこんなに怒っているのかというと、中国が香港についての「約束」を守っていないと感じているからなんです。

 

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[香港と中国がした“約束”のことを、オレが説明しヨーソロー]

 

19世紀半ばから150年ぐらいの間、香港はイギリスの植民地でした。

それが1997年、中国に返されることになったんです。

しかし、中国は共産党がすべてをコントロールする「一党支配」の国。

中国に戻ったら、生活が変わってしまうのではないか、自由にものを言うこともできなくなるのではないかと、香港の人たちは不安になりました。 

そこで中国は、

「香港の政治や裁判、経済活動などは、香港の人たちでやっていいよ。」

「言いたいことを言える社会も守るよ。」

「こうした制度は、50年間は変えたりしないよ。」と約束しました。

さらに「将来的には、香港政府のトップを香港の人たちが選挙で選べるようにするよ。」と…。

こうして香港は、中国に返されたんです。

本当なら、今から30年ぐらい先までは、自由な社会が約束されていたはずだったんです。

 

香港と中国の約束については、こちらで説明していきます。

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市民、香港政府と警察、そして中国を象徴する龍です。

龍は約束を掲げていますが、今の香港では、これらが守られていないんです。

 

まず「将来的に自分たちでトップを選んでもいい」という約束について。

香港政府のトップは行政長官といいますが、もともとは一部の人たちだけで長官を決めていました。

「それでは約束と違うじゃないか」ということで、 中国は一度は「市民の投票で選べるようにする」と言ったんです。

 

しかし、ふたを開けると、結局、中国寄りの人しか立候補できない仕組みだったんです。

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次は「言いたいことを言える社会を守る」という約束。

実は今、香港では、中国の悪口を言うような本を出すとつかまったり、新聞社やテレビ局にも中国の資金がどんどん流れ込んでいて、中国寄りの報道が目立つようになっています。

 

中国が約束を守ろうとしないのはなぜか。

それは、この人が大いに関係していると言われているんです。

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習近平国家主席になってから、国内の締めつけを強めているんです。

香港との約束を認めてしまうと、中国本土でも同じような要求が出てくるのではないかと恐れているんです。

そのため、抗議活動をする人たちの要求は、絶対に認めません。

 

今月初めには、習主席が香港の行政長官と会談し、抗議活動を徹底的に力で抑え込めという指示を、直接会って伝えました。

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これをきっかけに香港の取り締まりが一気に厳しくなったと感じます。

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2人の会談後に行われた香港警察の取り締まりでは、デモに参加していた学生に対して、至近距離から実弾を発砲しました。

ところかまわず催涙弾を発射し、もはや市民の反応など気にしなくなっています。

逮捕された人の数もこの1週間だけで700人を超えています。

 

「自由が奪われてしまうのならば、香港そのものを壊してしまえ」と、過激な行動に出る若者もいます。

香港のデモに参加する若者を取材しました。

 

ガスマスクやゴーグルを身につけた女性。

過激な抗議活動を行うグループに加わって、最前線で警察と向き合っています。

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「私はバリケードを設置したり、催涙弾を投げ返したりしています。警察と向き合うと、その時は恐怖を感じるけど、怖がってはだめだと自分に言い聞かせています」。

女性も、当初は平和的に抗議活動に参加していました。

ところが、6月12日、警察が大量の催涙弾を打ち込むのを間近で目にしたことが、過激な抗議活動に加わるきっかけになったといいます。

「何も武器を持たないデモ参加者にやさしく対応しようとは、少しも思っていないんだと感じました。それで、私たちは制圧されるだけではなく、過激化すべきではないかと考えたんです。逮捕されて懲役刑になる覚悟はあります。すばらしい香港になってほしいから参加し続けます」。

 

最前線での抗議活動に加わり火炎瓶を投げたりしている男性に、抗議活動に参加する際に持っていく荷物を見せてもらいました。

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「防毒マスク、水泳用ゴーグル。どっちも催涙ガス対策です。それからミニライト。これはいろいろ役に立ちます。夜、道を照らせるし、突然襲撃されたら相手の目に光をあてて、動きを止められるんです」。

 

なぜ、過激な行為を続けるのか。

男性は、警察に対抗するだけでなく、香港の評判を落とすことも目的だと言います。

「『香港は安全ではない』と世界中の人に知ってもらい『国際都市・香港』の価値を落とさないと政府は動かない。力のかぎり抗議活動を続けたい」。

「我々を攻撃するなら、お前たちも道連れだ」。

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このような考え方は、広東語で「攬炒(らむちゃお)」と言われています。

「敵を道連れにして死ぬ」という意味で、一部の若者の間で広がっています。

香港の価値を落とすことで政府を困らせ、そこから突破口を開こうというのです。

「もう香港は安全じゃない。混乱が続けば、ますます安全でなくなるでしょう」。

 

過激な行為には直接参加せず、別の形で支援している人も少なくありません。

けが人の手当てをするボランティアに加わっている男性もいます。

抗議活動に参加する時には止血に使う道具など救急グッズを持ち歩き、いつでも手当てができるようにしています。

「自由な香港」を守りたい気持ちは同じだからです。

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「彼らの苦しみや怒りは理解できます。同じ目標に向かってやっているのだから協力しようと思うんです。抗議活動に参加する人がいるかぎり、けが人が出るかぎり、僕も活動を続けます」。

 

 

彼らはマスクを取ると、どこにでもいるような穏やかな若者です。

そんな若者たちが「ここでやめてしまえば、自分たちの未来はない。」というところまで追い詰められているんです。

いわば「最後の闘い」なんです。

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過激化した香港のデモ、どうすれば解決するのか。

中国が力で抑え込むという指示を出した以上、市民がどんなに声を上げても、事態は変わりません。

そこでカギとなるのが「世界の目」です。

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例えばアメリカやイギリスは「これらの約束を守らないと制裁を加えるぞ」と、にらみをきかせています。

習主席としては、中国の経済にかげりが見える中で、こうした「世界の目」を無視できなくなっているんです。

来年の春には習主席が日本に来る予定ですが、日本の政治家からもこのまま呼んでいいのかという声も出ています。

 

こうした中、市民の声を中国、そして世界に伝える大きなチャンスが1週間後に予定されています。

日本でいうと、地方議会の選挙にあたる「区議会議員選挙」で、行政長官と違い、市民が直接議員を選べます。

市民の意見を届けやすい選挙なんです。

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なので、今回は中国に批判的な人たちが議席を大きく伸ばすのではないかと見られています。

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香港の人たちは今、大きな犠牲を払いながら、ずっと大事にしてきた自由な社会を守ろうとしています。

自由というと空気のように当たり前にあるものだと考えがちだが、実は、意識しなければ、いつかはなくなってしまうものだと教えてくれています。

日本にいる私たちも香港の行く末に思いを寄せることが大切なんだと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1.先の見えない抗議活動 香港どこに向かうの?

2.身柄受け入れで押し問答 男の正体は…

3.「貧困・障害に乗り越えて」ベトナム人デザイナーの挑戦

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月24日のゲストは、濱田龍臣さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:24 | 固定リンク


2019年11月14日 (木)

ベルリンの壁崩壊 30年たったけれど

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2019年11月10日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの井頭愛海さん、国際部の長尾香里デスクです。

 

崩壊から30年を迎えたベルリンの壁。

ベルリンの壁の崩壊は、国際的にも大事件でした。

9日に行われた式典では、メルケル首相など多くの人たちが、ベルリンの壁を越えようとして犠牲になった人々を追悼しました。

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「自由を求めてこの壁で亡くなった人々を忘れない」。

夜には、記念のイベントも行われ、会場には数千人の人々が集まり壁の崩壊から30年を祝いました。

 

「30年前にベルリンで壁がなくなり、自由に行き来できるようになったんだ」。

「私たちがずっと夢見ていたことが現実となったの」。

 

壁がなくなった後、今のドイツがどうなっているのか、国際部の長尾香里デスクが解説しました。

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ベルリンの壁は1961年から1989年まで、あった壁です。

高さ3メートルを超え、距離は155キロありました。

ベルリンの西半分を、ぐるっと取り囲むように立っていました。

 

こちら、ベルリンの壁があった時代の地図です。

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ベルリンの壁は、「自由な経済」を目指すアメリカ中心の資本主義陣営と、貧富の差がない「平等な社会」を目指すソビエト中心の社会主義陣営との、戦いの象徴だったんです。

「自由な経済」を目指す資本主義の国は主に西側、

「平等な社会」を目指す社会主義の国は主に東側にあったので、

第2次世界大戦のあとの40年以上は、「東西冷戦」の時代と呼ばれ、世界は2つに分かれて、対立していたんです。

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ドイツも、「西ドイツ」と「東ドイツ」に分かれていました。

冷戦のころは、核戦争が起きるかもしれないと、おびえるような時代だったんです。

なぜ、ベルリンに壁が必要だったのでしょうか。

 

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[どうしてベルリンの壁が建てられたのか、オレが説明するヨーソロー] 

 

第2次世界大戦後、1949年に西ドイツと東ドイツに分けられたドイツ。

首都があったベルリンは、さらに西と東に分けられました。

西ドイツは、アメリカなどの支援もあってぐんぐん経済成長していきました。

 

一方で、東ドイツは物を手に入れるのもひと苦労で、秘密警察に監視されていて、人々は自由のない生活を強いられていました。

自由で良い暮らしを求めた東ドイツの人々の多くが西ドイツに逃げ、人口の15%が逃げたとも言われています。

そして1961年、突如として現れたのが、ベルリンの壁。

東ドイツは、ベルリンの西側をグルッと壁で囲って、西ドイツに逃げられないようにしてしまいました。

 

 

東ドイツは、平等を目指す社会主義だったため、物は安かったんですが、売られている量が少なくて並ばないと買えない状況でした。

また「秘密警察」と言われる人たちが市民の会話を盗聴するのも当たり前で、自由のない監視社会だったんです。

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ベルリンの壁の近くにあった監視塔では、人々が壁を越えないように監視をしていて、壁を超えようとした人たちのなかには、射殺された人もいました。

 

こうした状態が続いたため、人々の自由を求める気持ちが高まり…

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ベルリンの壁が崩壊したんです。

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壁が壊れたことで、西ドイツと東ドイツの人たちは、両方を行き来できるようになりました。

自由に行き来できるようになったということは、監視する必要がなくなり、物もいっぱい入ってくるようになったので、物が少なくて困るということもなくなりました。

 

こうして、東ドイツの人たちは喜んだわけです。

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そして、東ドイツがなくなって、1つの国になりました。

ドイツだけでなく、東側の他の国も次々と「自由な経済」を目指す国に変わっていきました。

そして、東西冷戦がついに終わったんです。

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壁崩壊から30年がたちましたが、ベルリン中心部のベルナウアー通りには、いまも壁の一部が残されています。

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大規模な開発が進んだポツダム広場は、近代的な建物が建ち並び、壁は記念碑に変わりました。

ほかの地区でも大部分の壁が壊されてしまいました。

 

そうしたなか、ベルリンの壁の姿を実感したいという声に応えて、新しい試みが始まっているんです。

スマホのカメラをかざすと、そこにあったかつての壁を立体的に再現してくれるアプリです。

実際の映像にすぐCGを合成する拡張現実の技術を使ったアプリで、多くの観光客が使っています。

 

 

ベルリンの壁が崩壊して、確かに旧東ドイツの経済は成長しました。

しかし、人々が期待したほど、豊かにはならなかったんです。

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旧東ドイツ市民に対する調査では「東西統一が成功したと感じている」と答えた人は、38%しかいないんです。

さらに、57%が自分のことを「2級市民」と思っています。

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2級市民とは、つまり「劣等感」。

旧東ドイツの人たちは、旧西ドイツにいた人たちに対して、いまだに劣等感を抱いているんです。

現在の給料の平均を比べてみると、東ドイツだった地域の人の給料は、西ドイツだった地域の人より15%安く、さらに企業の幹部も、西側の人たちが占めていることが多いんです。

明らかに差別されている訳ではないけれど、東側の人たちは出世しにくい実態があるそうです。

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どうして、こういう差が生まれたのかというと、東ドイツの人のなかには「競争に馴染めない人」も多くいました。

旧東ドイツの人たちにとっては、これまで生きてきた環境がガラッと変わってしまったというのが大きいです。

壁を崩壊前は、平等が大事な社会主義だったので、多くを望まなければ安定した暮らしを続けることができました。

ところが突然、自由な経済を求める西側の国の人たちと同じように競争しなければいけなくなって、ついていけなくなりました。

特に30代や40代以上など、年齢が上になるほど、そのような傾向があるようです。

 

東側のほかの国は、どうなっているのでしょうか。

ルーマニアを見てみましょう。

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ルーマニアは、東ヨーロッパの国です。

かつては、四半世紀にわたり、チャウシェスク元大統領による独裁体制が続く社会主義国でした。

しかし、ベルリンの壁の崩壊後、民衆が立ち上がり終止符が打たれます。

 

2007年にはEUにも加盟し、市民は自由や繁栄を期待していました。

しかし、今では「安定した未来が見えない」「革命前と比べて発達していない」「国を離れようと考えたことがある」など、失望や不満の声が相次いでいます。

 

その要因は、西側の国々との経済格差です。

ルーマニアの国民1人あたりのGDPはEU平均の3分の1ほどで、EUで最も貧しい国の1つとも言われています。

専門家は、経済格差を背景に、賃金が高く、社会制度が充実した西側の国に人々が流出する動きが強まっていると指摘します。

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「ルーマニアの人口減少は、シリアなど紛争国と同じペースになっています。さらに深刻なのが、労働力人口の3割が国外に出てしまっていることです」。

 

人口流出の影響は、医療の現場にも及んでいます。

首都ブカレストで最大級の病院では、この30年で優秀な若い医師の多くが、イギリスやドイツへ出て行ったと言います。

給与が高く、医療設備も充実していて、キャリアアップが望めるからです。

その結果、ルーマニアでは医師が不足し、患者に十分な医療を提供できない事態に陥っているのです。

 

地方の人口流出は、いっそう深刻です。

かつて炭鉱業などが盛んだったボティザ村は、炭鉱が12年前に閉鎖され、地元には仕事がありません。

働き盛りの若者たちは出稼ぎに出るしかなく、村には老人と子どもばかりです。

村の住民のマリア・ペトレウッシュさんは夫と娘がイギリスやドイツへ出稼ぎに出ていて、生活の多くをその仕送りに頼っています。

ペトレウッシュさんは、若者が次々と国を離れてしまうルーマニアの将来に希望を見いだせないと感じています。

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「もっと生活が良くなると思っていたけど、もう希望はありません。30年間、何も変わらなかったし、これからもっと悪くなるかもしれない。チャウシェスク元大統領も良くなかったけど、今よりはマシだわ」。

 

 

こうした状況になっているのは、ルーマニアだけではありません。

東側だった国の人たちは、豊かになれないと不満を募らせているんです。

この状況は、ベルリンの壁がなくなって東と西の分断が終わって以降、国外に出ていってしまった人の数を見てみるとわかります。

ルーマニアでは人口の10%以上、ブルガリアとエストニアでは15%以上、ラトビアでは25%以上というように、各国で、特に若者を中心に西側の国へ出る人が相次いでいます。  

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ベルリンの壁の崩壊は「みんなが豊かで自由になりたい」という人々の強い思いからでした。

でもいざ壁がなくなってみると、豊かな人はより豊かになったけど、変化について行けなかった人は、ドイツで見たように「出世できない」「給料が低い」というように、取り残されてしまう状況が、東ヨーロッパの国々で起こっているんです。

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「新しい壁」。

東西を隔てていたコンクリートの壁はなくなったけれど、埋まらない格差が、さらに高い新しい壁となっています。

ヨーロッパは、戦争や対立を繰り返さないために壁を取り払って、一生懸命、統合を進めてましたが、格差がそれを阻んでいます。

格差がまた新しい対立を生むようなことにはなってほしくないと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1. ベルリンの壁崩壊 30年たったけれど

2. イラクの避難民キャンプ なぜ?学校に行けない子

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月17日のゲストは、武井壮さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:04 | 固定リンク


2019年11月07日 (木)

キャラが濃い顔ぶれ!?アメリカ大統領選挙あと1年

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2019年11月3日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

 

「ついにアメリカにやって来たぜ!!」。

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Mr.シップと永井キャスターが訪れたのは、東京の福生市。

ここにはアメリカ軍の基地があり、アメリカが感じられる街なんです。

 

アメリカ大統領選挙まで、あと1年。

再選を目指すトランプ大統領は、誰とたたかうのでしょうか?

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国際部・アメリカ担当の花澤雄一郎デスクが解説しました。

トランプ大統領は、来年11月3日の大統領選挙での再選を目指していますが、その戦う相手が、いよいよ見え始めています。

その相手も負けず劣らず「キャラの濃い人」になるかもしれないんです。

誰がいったい大統領になるのか、世界にも影響が大きいですし、私たち日本への影響も大きいので、どうなるのか、見ていきましょう。

 

まずはこちら。

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アメリカには、共和党と民主党の2つの大きな政党があります。

そして、トランプ大統領は共和党の代表です。

その対戦相手となる民主党の候補者選びが、年が明けると始まります。

中でも有力な3人について説明していきます。

 

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来年のアメリカ大統領選挙で、トランプ大統領とたたかう民主党の有力な3人を紹介するヨーソロー

 

打倒トランプ大統領を目指す、つわものは、全員、元気な70代です。

 

1人目は、バイデン氏、76歳。

いわゆる「フツーのおじさん」です。

オバマ政権で、副大統領をつとめました。

 

2人目は、ウォーレン氏、70歳。

大企業が嫌いで、大統領になったら大企業を解体すると言っています。

 

3人目は、サンダース氏、78歳。

最高齢の「ミスター格差」。

むかしから、貧しい人とお金持ちの間に広がる格差を縮めようと、訴えてきました。

 

この人たちの考えを知るためには、まず2つの政党の考え方を知る必要があります。

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トランプ大統領がいる共和党が大切にしているのは「強いアメリカ」や「伝統」です。

「強いアメリカこそが、国を発展させていく」という考え方です。

 

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一方で、民主党が大切にしているのは「弱者に優しい」社会。

貧しい人、弱い人は、政府が支えるべきだという考え方です。

 

ただ、どちらの党も人によってこうした考えが強かったり弱かったりします。

どういうことなのか、みなさんの考え方をこちらのメーターで見ていきましょう。

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より共和党度の高い人たちは、どんどん色の濃い赤色にいって、より民主党度の高い人たちは、どんどん青色の濃い左にいきます。

 

トランプ大統領は共和党の考えが特に濃い存在です。

「アメリカファースト」「強いアメリカ」を訴えていますよね。

 

対する民主党ですが、まず「ふつーのおじさん」のバイデン氏は、民主党の中でも、濃度は薄めです。

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オバマ政権では8年間副大統領をつとめたので、知名度もありますし、安定感も売りです。

 

続いて、「ミスター格差」のサンダース氏。

この人は、民主党的考え方の濃度が、限界ぎりぎりというぐらい濃い人です。

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格差の解消が最大の目的で「1%の富裕層が富を独占しているのはおかしい」というのが決まり文句です。

前回4年前の民主党の候補者選びでも、この主張1本で若者の絶大な支持を集めました。

まだ人気があるんですが、78歳と高齢ですし、健康不安もあります。

 

そこで、代わりに台頭しているのが「大企業嫌い」のウォーレン氏。

民主党の濃度がどっちが濃いかと、サンダース氏と競い合ってるような状況です。

やはり格差の解消を求めていて、怒りの矛先は大企業や富裕層に向いています。

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この2人のような民主党濃度の高い人たちは、「急進左派」と呼ばれています。

 

こちらが、最新の世論調査です。

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いろいろな調査の平均値なんですが、

1位 バイデン氏 28%。

2位 ウォーレン氏 20%。

3位 サンダース氏 17%。

となっていて、それ以下を引き離しています。

 

バイデン氏がトップですが、勢いがあるのは「急進左派」です。

2人をあわせた支持は4割強を占めます。

それだけ、いまアメリカでは格差に対する不満が強いんです。

 

ただ、両極端の考えは、危険な一面もあります。

例えば「経済政策」で見ていきましょう。

まず共和党ですが、企業にできるだけ自由に競争させた方が経済が成長する、それがアメリカを強くする、という考えがあります。

トランプ大統領は企業が払う税金を安くするなど「大企業に優しい」政策を取りました。

実際、景気もよくなったし、失業率も非常に低くなった。

ただ、一方で金持ちはどんどん豊かになり、格差がより広がっていくという危険も指摘されています。

 

一方、「弱者に優しい」サンダース氏とウォーレン氏は、格差を縮めようと、逆に「企業やお金持ちの税金を高くするべき」など「大企業と富裕層に厳しい」政策をとっています。

 

「大企業嫌い」なウォーレン氏は、グーグルなど大手IT企業の「GAFA(ガーファ)」を解体すべきだ、とまで訴えているんです。

「大企業を解体しよう。フェイスブックのザッカーバーグCEO!あなたのことよ!」。

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アメリカ経済をひっぱってきた大企業をばらばらにしてしまうと、経済に悪影響が出て、逆に貧しい人が増える、格差が広がる、と危険性を懸念する声もあります。

 

もうひとつ「移民政策」を例に見ていきましょう。

トランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を作るなど「不法移民に厳しい」姿勢を取っています。

 

これに対して、サンダースさんとウォーレンさんは「不法移民にも寛容」な対応を訴えています。

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この両極端の考え方で、いまアメリカ社会は、大きく分断される深刻な事態になっているんです。

 

 

民主党支持者が多いカリフォルニア州では、移民を積極的に受け入れていて、全米の4分の1・300万人近くの不法移民が暮らしているという推計もあります。

そうした移民に対しては、手厚い支援が行われています。

 

特に目立つのが、教育面での支援です。

カリフォルニア州には、不法入国の学生らを対象にした専門の窓口を設けて、経済面での相談に応じる大学があります。

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「不法移民の学生でももらえる、州の奨学金があります」。

「相談窓口の人たちは、親切でとてもうれしいです」。

「肌の色や国籍は関係ありません。私たちは差別しません。カリフォルニアは移民に優しいんです」。

 

しかし、カリフォルニア州に住む共和党支持者からは、州が進める移民への寛容な政策や貧困層の支援といったいわゆる「リベラル」な政策に反対する声もあがっています。

カリフォルニア州がリベラル化することに反対する人が集まり集会が開かれました。

参加した人たちは「不法移民反対派と賛成派でカリフォルニア州を2つに分割しよう」という目標を掲げていました。

 

移民に寛容なカリフォルニア州に耐えられないと、共和党支持者が多いテキサス州に移住した人もいます。共和党支持者のポール・シャボーさんは、3年前、4人の子どもと妻とともにカリフォルニアからテキサスに引っ越しました。

不法移民が増えて治安が悪化したと感じていましたが、民主党に支配されたカリフォルニア州は、対応を変えないだろうと考えたからです。

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「学校は荒れていて、治安も制御不能です。でも民主党がすべてを牛耳っているから、わたしたち共和党の意見は通らないんです」。

シャボーさんは、カリフォルニアに住む共和党支持者に対して「移住しよう」と呼びかけています。

「ウェブサイトなどへのアクセスが1日に数万件あるんですよ」。

 

最近の世論調査では、カリフォルニアの共和党支持者の4分の3が「もうカリフォルニアには住みたくない」と回答したといいます。

 

シャボーさんの呼びかけに応じて、実際に移住を決めた共和党支持者もいます。

生まれ故郷のカリフォルニアを離れ、テキサスに永住する決意をした男性は、

「カリフォルニアのリベラルな地域では、自分が共和党支持者だなんて怖くて言えない。考えを口にすることすらできないんです」。

 

「住み分け」とも言えるこうした行動が、社会の二極化をあおっているのではないか。

シャボーさんにそう質問すると「民主党が極端すぎるせいだ」という答えが返ってきました。

「私たち共和党は、以前と変わっていません。民主党が、あまりにも極端になってしまった。私たちにとって話し合う余地はありません」。

 

 

両極端に見えるトランプ大統領と民主党の急進左派ですが、実はそもそも根っこは同じものなんです。

それは、「現状への不満」です。

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自分たちの不満や怒りを胸のすくような言葉で代弁してくれる政治家を強く支持する、という現象です。

例えば、大企業や富裕層に不満を持つ人たちは、サンダース氏やウォーレン氏の言葉に吸い寄せられ、また別の人たちは不法移民が仕事を奪っている、とか、ルールを破る中国が仕事を奪っている、というトランプ大統領の言葉にそうだ!と熱狂します。

考え方の違いから2つに分かれ、互いを憎しみ合うところまで分断が進んできました。

 

一方、バイデン氏なら、比較的常識的な政策になりそうですが、それだとこの人たちの不満はさらに大きくなる可能性もあります。

 

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「感情の政治」。

アメリカ社会が真っ二つに割れ両極化した結果、どちらが大統領になるかで、政策も極端から極端に触れることになります。

その根本にある人々の不満を解消しない限り、この流れは止まらないのかもしれません。

世界のリーダーであるはずのアメリカは、不満に根ざした極端な政治を続けるのか、それとも安定を目指すのか。

来年2月に始まる民主党の候補者選びが大きなカギを握っています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.キャラが濃い顔ぶれ!? アメリカ大統領選挙あと1年

2.イギリスまさかの総選挙 さらに混迷?EU離脱

3.ニューヨーク式 クールなリサイクル

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月10日のゲストは、初登場!井頭愛海さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:20 | 固定リンク


2019年10月31日 (木)

大統領にガッカリだ!インドネシア抗議デモ

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2019年9月27日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山、国際部の清水一臣デスクです。

 

 

「突然だが、オレ、Mr.シップからクイズだ!」

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「あるときはボクシング。そして、あるときはオートバイでツーリング。誰かわかるかな?」

 

・・・・・・・

 

「正解はインドネシアのジョコ大統領。『国民の平等を実現するために闘いたい』。選挙で当選した時は、こんなこと言ってたんだけど…。」

 

 

いま、インドネシアでは、各地でデモが起きています。

いったいどうなっているのか、ジャカルタ支局の川島支局長に現地の状況を聞きました。

 

先月下旬以降、首都ジャカルタだけでなく、国内各地で大規模なデモが行われてきましたが、最近は警察が参加者を監視するなどして、取り締まりを強化するようになっています。

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一連のデモは、国民の声を無視した政策を相次いで打ち出す政府や議会に対して、学生らが抗議しているもので、警察との衝突で2人が死亡しています。

ジャカルタではデモが数万人規模まで膨れあがり、道路が封鎖されるなど市民生活にも影響が出ました。

それでも世論調査では、6割以上の国民がデモを支持していて政府への反発は強まっています。

こうしたなか、ジョコ大統領は最大野党の党首を新政権の閣僚に選びました。

野党も政権に取り込まれたことで、国民の間では、このままでは政府への批判が許されない強権的な国になってしまうという、懸念や不満が高まっています。

再び大規模なデモに発展する可能性も指摘されています。

 

 

いまのインドネシアについて、国際部・アジア担当の清水一臣デスクが解説しました。             

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なぜデモがおきているのかというと、国民が「大統領に期待を裏切られた」という不満をつのらせているからなんです。

裏切りとはどういうことなのか、その大統領登場です。

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インドネシアのジョコ大統領です。

インドネシアの街なかを気持ち良さそうに走っています。

 

ジョコ大統領は、貧しい家庭の出身だったのですが、苦労を重ね大統領にまで登り詰めました。

庶民的な大統領として国民から高い人気を集めてきました。

人気の理由は汚職などとは無縁の「クリーン」なイメージ。

そして「市民との対話」も重視。

さらに、宗教や性別で差別しないと「多様性」も大切にしてきました。

つまり「国民のため」の政治を掲げてきました。

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でも、こちらをご覧下さい。

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インドネシアの週刊誌の表紙です。

このジョコ大統領の影、鼻が高くなっているように見えますよね?

うそをつけばつくほど、鼻がのびるピノキオになぞらえて、大統領は嘘つきではないかと批判する、風刺になっています。

ことし4月に行われた大統領選でも再選を果たしたんですが、選挙のあと、急激に政策が変わってきたことでデモが起きてるんです。

 

ジョコ大統領はどう変わったのでしょうか。

まずはひとつめ、ジョコ大統領はもともと「クリーン」な姿勢でしたが、「政治家や公務員の汚職に甘い」国に戻してしまおうとしているんです。

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「クリーン」のタイヤを置き去りにして、「汚職に甘い」というタイヤが出てきました。

というのも、インドネシアはもともと「汚職は文化」とも言われるほど、社会にまん延しているんです。

どんな汚職があるのかというと、例えばこちら。

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役所の窓口に長い列ができているとき、インドネシアでは申請書類の間に現金をはさんで受付に渡して、順番を早めてもうらうのが常識なんです。

政治家や役人が多額の現金を受け取ることも多く、市民生活から政治の世界まで汚職がはびこっているんです。

 

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[インドネシアには「汚職撲滅委員会(KPK)」っていう組織があるんだヨーソロー]

 

2003年に汚職を一掃しようと生まれた組織が、KPK。

汚職事件を専門的に扱い、政治家や役人、裁判官などが汚職に手を染めていないか、常に目を光らせています。

汚職が疑われる人には、国の外に出ることを禁じたり、会話を盗聴することも認められていて、警察と同じように、逮捕することもできます。

そして何より、政府や警察、検察から完全に独立しているため、圧力を受けることなく、どんな偉い人でも調べることができるのです。

これまでに議会の議長や、現職の大臣など、権力の中枢にいる超大物も捕まえてきました。

 

国民の絶大な支持を集めるKPKなんですが、いま、ジョコ大統領にとって、どんどんわずらわしい存在になってきている面があるんです。

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というのも、国をあげての大きなプロジェクトを進めようとするとき、KPKに目をつけられると、なかなか先に進めるのが難しくなってしまいます。

シップにもあったように、議員もこれまでKPKに逮捕されてきました。

そうしたなかで、先月、KPKの捜査の権限などを大幅に制限する改正案が、あっという間に可決されてしまったんです。

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看板がかたむいてしまいました。

このままでは、さらに「汚職に甘い」国になってしまうかもしれないということですね。

 

続いて「市民との対話」はどう変わってしまうのか。

市民との対話を大切にするといっていたジョコ大統領でしたが、「自分に対する批判は許さない」という姿勢に変わったんです。

政府が議会と提案した刑法の改正案の中には、「大統領と副大統領を中傷する行為は違法」という内容が含まれていました。

つまり、ジョコ大統領を批判したら逮捕されてしまうという法律をつくってしまおうというものです。

 

さらに「多様性」を大切にしてきたジョコ大統領ですが、「多様な考えは認めない」という考えに変わろうとしています。

というのも、刑法の改正案にはこんな内容が含まれているんです。

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「同性愛の禁止」

 

「人工妊娠中絶禁止」

 

「結婚前のカップルが一緒に住んではいけない」

個人の自由やプライバシーを侵害する内容ですよね。

外国人にも適用されるおそれもあって、私たちが旅行するときも関係するかもしれません。

 

なぜこんなふうに変わってしまったのでしょうか。

 

内容よく見てみると、イスラム教の教えを重視する人たちの考えを色濃く反映したものになっているんです。

ジョコ大統領は、2期目の選挙でこうしたイスラム教の教えを重視する人たちに大きな支援を受けたので、彼らの考えを政策に反映しなくてはいけない事態になっているからです。

もし、「批判はダメ」「多様な考え認めない」といった2つの内容を含む法案が通ってしまえば、自由な発言も許されず、少数派の人たちの意見も権利も認めてもらえなくなってしまいます。

かつてインドネシアにあった、独裁的な政権のようになってしまうかもしれません。

 

国民はいまどんなことを感じているのか、デモに参加する学生を取材しました。

 

ジャカルタの大学で機械工学を学ぶムハマッドさんは、学生の自治組織の代表を務めデモに参加しています。

かつてはジョコ大統領を支持していましたが、再選後の大統領の姿勢に“このままでは自由が奪われる”と危機感を抱いています。

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「ジョコ大統領は政治的利益ばかり考えているんだ。刑法が改正され、大統領を批判するだけで刑務所に入れられてしまう、そういう事態を私たちはおそれているんです」。

 

ムハマッドさんの呼びかけで、6000人もの学生がデモに参加しました。

いまは、抗議活動をどうひろげていくのか、仲間たちと話し合いを続けています。

 

大統領の姿勢に市民からも懸念の声が上がっています。

「驚いています。よく知らされないまま法律が改正されています」。

「私の考えでは民主主義が後退しています」。

 

政治と民主化運動の専門家は、このまま法改正が続けば少数派を差別し、政府批判を許さない国になると

ジョコ大統領を厳しく批判しています。

「ジョコ大統領は非常に視野が狭くインフラ整備や経済発展しか考えていない。厳しい法律ができていけばインドネシアは破滅的な事態となるでしょう」。

 

ムハマッドさんは、大統領が人々の訴えを聞き入れるまで闘い続けるつもりです。

「民主主義がいま、逆戻りしています。私たちは通りに出てデモを続けます。国民の願う社会になるまで。それが私たちの義務です」。

 

 

このままではインドネシアは破滅的な事態に向かっていくかもしれません。

さきほど中継でも触れた最大野党の党首ですが、実はかつての独裁政権で、軍の幹部として民主活動家の拉致事件に関与した疑いもあるいわくつきの人物です。

当時の記憶が、いまだ多くの国民の脳裏に残っています。

新しい法律に加え、最大野党まで政府と一体となったことで、国民の危機感は、さらに高まっています。

 

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インドネシアを取り巻く状況は、「崖っぷち」です。

20年ほど前、インドネシアの国民は30年以上続いた独裁政権に、怒りの声をあげて退陣に追い込み、政治を自分たちの手に取り戻しました。

多くの犠牲を払って政治を取り戻したはずが、いま、再び独裁政治に向かっていきかねない状況です。

今後、国民の反発を無視して法律が成立するのか。

インドネシアの今後を大きく左右する重大な局面を迎えています。

 

 

【この日の時間割】

1.大統領にガッカリだ! インドネシア抗議デモ

2.アメリカ軍が撤退&トルコが攻撃 怒るクルド人

3.目指せニッポンの酒蔵 ラオス酒造りの村

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月3日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:36 | 固定リンク


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