せかいま美術館

2019年08月08日 (木)

優遇対象国から除外 "戦後最悪" 日韓関係は

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2019年8月4日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの高橋真麻さん、国際部の岩田明子解説委員です。

 

いま、韓国で反日感情が高まっています。

プサンの日本総領事館の壁には、日本政府を批判するチラシ。

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そして、こんな声も。

「私たちは、日本がどんなに悪いか、声をあげるべきだ」。

「東京オリンピックもボイコットだ」。

 

日本では、8月2日の金曜日、政府が韓国への輸出管理を厳しくすることを決めました。

“戦後最悪”とも言われている日韓関係、どうなるのでしょうか。

岩田明子解説委員が解説しました。

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ここからは、こちらのセットを使って説明していきます。

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日本と韓国の間に荷物を積んだMr.シップがいます。

貿易を表しています。

そして韓国には「優遇国」という看板が立っています。

「優遇国」とは、これまで「ホワイト国」と呼ばれていたものです。

 

日本は、8月2日の金曜日、大きな決断をしました。

韓国を、この「優遇国」から外すことにしたんです。

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実際には8月28日からスタートします。

「優遇国」から外れるということは、輸出管理を厳しくするということなんです。

 

そもそも「優遇国」とは何なのか、シップが説明しました。

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最近よく聞く「優遇国」ってのが何なのか、オレが説明しヨーソロー

 

全ての輸出品をチェックするのは、時間も手間もかかりすごく大変なため、

モノを「正しく管理してくれる国にはチェックを簡単にして輸出しますよ」と、日本が「特別扱い」しているのが「優遇国」です。

現在、優遇対象国はアメリカやイギリスなど、27か国。(8月4日の放送日時点)。

日本はこれまでに「優遇国」の認定を見直したことはなく、今回の「除外」は韓国が初めてのケースとなります。

 

「特別扱い」から外れた場合はどうなるのでしょうか。

日本からモノを輸出する場合には、どこでどう使われるのか毎回チェックを受けることが必要にはなりますが、宛先や用途が正しければ輸出はされるんです。

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Mr.シップが荷物を載せて、動き出しました。

荷物もちゃんと韓国に着きました。

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大事なポイントは「韓国に輸出を禁止するということではない」ということです。

チェックさえ通れば、輸出されるんです。

つまり、アジアのほかの国などと、おおむね同じ扱いなるということです。

 

では、韓国側は、禁止ではないのになぜそこまで怒っているのでしょうか。

韓国側は、今回の決定は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題に対する報復だと主張しているんです。

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韓国の人たちがどう考えているのか、せかいま独自に取材しました。

 

「日本製品を買うのをやめよう」という呼びかけが、いま韓国国内のあちこちで行われています。

広場では抗議デモが行われ、日本に抗議の声をあげる人たちが大勢集まり、夜になってもおさまりません。

背景にあるのが、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題です。

去年、韓国の最高裁判所は、日本企業に賠償を命じる判決を相次いで言い渡しました。

韓国の人たちは、その報復として、日本が輸出管理を厳しくすることに踏み切ったと考えているのです。

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「恥知らずの図々しい経済報復をやめるべき」。

インターネット上にも、激しい怒りの声が書き込まれています。

「日本の韓国いじめが終わっても、日本製品を買わず、旅行もせず、この機会に生活習慣にしよう」。

 

その一方で、反発する韓国社会を冷ややかに見る声も上がっています。

「日本は嫌いだけど正直、筋が通っている」。

「客観的にみて日本の主張が正しい。われわれも冷静に考えるべき」。

 

SNSを使って韓国社会が冷静になるよう呼びかけている20代の男性は、日本製品を買わない運動をしている人たちに、こう呼びかけました。

「不買運動をするなら、自分たちの日韓関係の知識が本当に正しいのか、立ち止まって考えてほしい」。

「不買運動で行きすぎた行動をとる人たちだけではなくて、傍観することも状況を悪化させていると私は思います」。

 

ムン・ジェイン政権の対応にこそ問題があるという声も上がっています。

以前、大手新聞社で編集・論説の責任者だった、チョン・ギュジェさんです。

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「徴用をめぐる問題も慰安婦問題も、日本政府との合意を、ムン政権が破ったのです」。

チョンさんは、今回の日本の対応も理解できると言います。

「これまで、さまざまな問題が積み重なったために、日本政府としても、これ以上は見過ごせないと判断したのだろうと思います。決していい流れではありませんが、日本としても避けられなかった選択だったのでしょう」。

 

韓国の世論がどんな状況か、ソウルの高野支局長に聞きました。

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世論調査でもおよそ8割の人が「日本製品の購入を避ける」と答えています。

しかし、知り合いの韓国人たちと話すと、表向きは日本に否定的なことを言わざるを得ない空気があるものの、冷静な対応を望んでいる韓国人は少なくないと言います。

 

そもそも、不買運動や抗議集会などを主導しているのは、ムン政権を支持する革新系の団体で、それ以外の人たちは、まゆをひそめている面もあります。

そして、ムン政権が北朝鮮の方ばかりを見て、日韓関係を放置したためここまで悪化したんだといった声も聞かれます。

 

とはいえ、優遇される国から外されたことで国民感情が刺激されて、反日意識が高まることはありえます。

ムン政権は世論を気にしていますので、これが今後どちらに流れていくのか、注意深く見ていく必要があると思います。

 

 

日本政府は「徴用」をめぐる問題とは別だと説明しています。

韓国で多く見つかっていた不正な輸出を問題視しています。

たとえば、化学兵器の原料となるものや生物・化学兵器の実験に使える設備などが他の国に不正に輸出されていました。

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こうした兵器に転用可能なモノを不正に輸出して摘発された件数が、この4年で156件にも上っているんです。

ちなみに「優遇的な措置」を与えていない、台湾・香港は2年間で4件しかないんです。

日本は3年もの間「ちゃんと貿易管理の制度を整えて」と、韓国側に対話を呼びかけてきたんですが、応じてこなかったんです。

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だからもう「優遇国」という“特別扱い”をやめましょうということになったんです。

つまり、今回の措置は報復ではなく、安全保障が理由なんです。

日本政府は「徴用」をめぐる問題とは別だと説明していますが、これまでにも踏み切る機会はありましたので全く別物とも言い切れないと思います。

「徴用」をめぐる問題を発端に「お互いの“信頼関係”が急速に揺らいでしまったこと」。

これが背景にあると思います。

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ここで、アメリカ国旗の飛行機が飛んできました。

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今後のポイントとなるのがアメリカなんです。

アメリカのトランプ大統領は、今回、ポンペイオ国務長官に対応を任せたそうなんです。

2日、日米韓の3か国の外相の話し合いが行われましたが、その場でポンペイオ長官は「日本と韓国で仲よくして」と、深入りしませんでした。

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でも実は、その前日、日米の外相が通訳だけを交えた2人だけのやりとりをしていたんです。

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河野外相が、今回の措置や「徴用」をめぐる問題の日本の立場を説明すると、ポンペイオ長官は、「よく分かっている」と理解を示したそうです。

 

 

韓国側はどう考えているのでしょうか。再び、ソウルの高野支局長に聞きました。

実は韓国側には、日本に対して打つ手があまりない状態です。

ムン大統領は2日の閣議で「ぬすっとたけだけしい」などと、反日感情をあおるような発言を繰り返しました。

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具体策が少ない中で、国民感情に訴えて求心力を高めたいという思惑がうかがえました。

というのも、ムン大統領、いま苦しい状況にあるんです。

最優先にしてきた北朝鮮との関係は行き詰まっています。

さらに、経済が減速し失業率も上昇して、批判を浴びてきました。

そんな厳しい中で、ムン政権は来年4月に総選挙を迎えるので日本への反発を高めることで国民の目をそらし、支持を得ようとしている、そんな指摘がされています。

実際、「日本に厳しい姿勢を取ることが選挙にプラスになる」と書かれた与党の内部文書が報じられているんです。

韓国社会で、冷静な意見が強まり、大統領への批判が高まらない限り、ムン政権は、強硬な立場を維持して国際社会にアピールし、外圧によって日本の姿勢を変えようとする戦術を続けていきそうです。

 

 

日本としては、韓国がルールに則ってきちんとした対応をするまで韓国の除外を続ける方針で、その点は譲らない構えです。

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キーワードは「8月24日」。

日本と韓国は安全保障上の機密情報を共有するための協定を結んでいますが、この日が更新期限なんです。 21

韓国は「更新しないかも」と言いだしています。

ただ、北朝鮮問題もあるので、更新しないとなると、日本もアメリカも、そして韓国自身も困ることになります。

なので、アメリカのポンペイオ長官は、韓国側には、協定の更新を改めて求めると話していたそうです。

この日に向けて、アメリカ側が大きく事態を動かすような具体的な仲裁に乗り出してくるのか。

そして韓国側は、「徴用」をめぐる問題や貿易管理の制度の改善で、何らかの具体的な提案を示してくるのか、注目点です。

そして解決に向けた知恵が求められます。 

 

 

 

【この日の時間割】

1.優遇対象国から除外 “戦後最悪” 日韓関係は

2.プーチン大統領に異変!? 広がる反政権デモ

3.加速するAI兵器開発 どうする規制&歯止め

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年8月25日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

 

※8月11日、18日の放送はありません。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:09 | 固定リンク


2019年08月01日 (木)

南シナ海は誰のモノ? 中国にフィリピンが反発

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2019年7月28日の出演者のみなさんです。

左から、坂下千里子さん、永井伸一キャスター、国際部の清水一臣デスク、Mr.シップ、ゲストの宮川一朗太さんです。

 

「暑いヨーソロー。こんな時はバナナジュースで元気になるヨーソロー。」

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日本にやってくるバナナの8割以上が、フィリピン産。

そのフィリピンの人たちが今、中国に怒っているんです。

 

国際部アジア担当の清水一臣デスクが解説しました。

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フィリピンのドゥテルテ大統領、中国に対し厳しい姿勢を示すようになっています。

その原因が、南シナ海です。

こちらを使って説明していきます。

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南シナ海は、日本のさらに南にあり、中国とベトナム、フィリピン、インドネシアなどの東南アジアの国々に囲まれた海です。

しかし、中国はこちらの線で囲まれた内側の海や島はすべて自分たちのものだと主張しているんです。

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フィリピンなど周辺の国々は中国の主張に反発しています。

そして、フィリピンもこの辺の海は自分たちのものだと主張しているんです。

 

その南シナ海で、衝撃的なニュースが入ってきました。

中国が弾道ミサイル6発を南シナ海に向けて発射したんです。

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これは、新型ミサイルの発射実験だと見られていて、フィリピンはこうした中国の主張や行動に対して警戒感を強めています。

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中国は、この離れた海「南シナ海」を全部自分たちのものだと主張しています。

 

さらに中国の海南島にはこんな博物館があります。  

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南シナ海の昔の地図や沈没船から引き上げられたとする陶器などが展示されています。

博物館では2000年あまり前から中国人が南シナ海で活動していたと主張しています。

日本円で150億円以上もかけて施設を作り、南シナ海は昔から中国のものだとアピールを強めているんです。

 

そんな中、その姿勢が注目されているのがフィリピンのドゥテルテ大統領です。

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実は、ドゥテルテ大統領はこれまで中国を批判していませんでした。

なぜなら、中国と「ある取り引き」をしていたんです。

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[フィリピンのドゥテルテ大統領、南シナ海について中国と“ある取り引き”をしてたんだヨーソロー]

 

裁判でフィリピンの主張が国際的に認められましたが、ドゥテルテ大統領としては南シナ海の問題で対立を深めるよりも「いまは経済成長が大事だ、支援を引き出したほうが得だ」という考えがあり、中国から2兆5000億円もの経済支援を約束してもらったんです。

 

しかし、最近、中国への姿勢が厳しくなっています。

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「中国出て行け!」。

「フィリピンは私たちのものだ!」。

フィリピンで相次ぐ、中国への抗議デモ。

きっかけは先月、南シナ海で起きた、中国とフィリピンの漁船の衝突です。

フィリピン漁船の乗組員が海に投げ出されたのに、中国の漁船は救助せずに立ち去りました。

これで、フィリピンの人たちの怒りに火が付きました。

非難の矛先は、中国寄りの政策を進めるドゥテルテ大統領にも向けられています。

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「ドゥテルテ大統領は(帝国主義的な)中国に従う子犬のようだ。フィリピンの国民を裏切っている」。

中国の支援で作られている橋の工事は、1年経った今も1割程度しか進んでいません。

そして、合意したはずの2兆円を超える経済支援もほとんど実行されていません。

 

さらに、中国寄りの政策が原因で、生活に困る人も出ています。

街なかで目につくのは、中国人向けのレストランやスーパー。

ドゥテルテ政権は、中国人がフィリピンで働く許可を受けやすくしました。

その影響で、中国人が急増したのです。

そのため、フィリピンの人々のなかには、仕事を失った人や、家の立ち退きを迫られた人もいます。

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「ここはまるで、『中国のフィリピン省』みたい」。

 

フィリピンの多くの若者も中国のふるまいを見過ごす政府に怒りを感じています。

「中国を優遇して、フィリピン人が差別されるべきではない」。

「すでに中国人が多すぎて危機的状況だわ」。

「中国に対する政府の政策に失望しています。フィリピンの将来を中国の支配から守らなくてはいけません」。

「南シナ海を差し出した上に、何の見返りも得られていない」。

いまドゥテルテ大統領に対し、国民から厳しい目が向けられています。

 

 

中国がなぜそこまでして南シナ海にこだわるのか?

南シナ海には、石油や天然ガスなどの海底資源が豊富にあると言われているんです。

さらに、中国や日本など多くの国の船が行き交う重要な海の交通路なんです。

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ただそれ以上に中国がこだわる大きな理由があります。

それが国防です。

フィリピンの東側にはグアムがあり、アメリカ軍の基地があります。  

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沖縄などにもアメリカ軍の基地がありますが、実は中国は国防上重視している線があるんです。

それがこの線。

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アメリカに攻め込まれないように、日本から南シナ海にかけてのこの線の内側にアメリカ軍が入れないようにしたいんです。

南シナ海を支配するために中国は軍事拠点を作っています。

南シナ海にある浅瀬を埋め立てて、滑走路やレーダー施設などを作っているんです。

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さらに冒頭でお伝えした中国のミサイル発射がありましたよね。

このミサイル、新型で、狙われたら打ち落とすのが難しく、アメリカへの強いけん制だと見られています。

 

ただ、アメリカとしても中国が南シナ海でこれ以上やりたい放題にさせるわけにはいきません。

トランプ政権も一歩も退かない考えです。

特に新型のミサイルには危機感を強めて、対抗していこうとしていて米中の対立はさらに深まっています。

そのなかでフィリピンのドゥテルテ大統領も最近、こんな発言をしています。

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「アメリカが中国の前に艦隊を送るならそれに加わる」。

 

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今回のキーワードは「待ったなし」。

ミサイル発射で米中の緊張が一段と高まったのは間違いありません。

日本の船も南シナ海を多く行き交っているだけに、決して他人事ではありません。

「争いの海」とも言える南シナ海を「平和な海」にするため、有効な手立てを見つけることが出来るのか、まさに「待ったなし」の状況です。

 

 

 

【この日の時間割】

1. 南シナ海は誰のモノ? 中国にフィリピンが反発

2. イギリスとも対立イラン 「ウラン濃縮●%」に注目

3. 日本人の若者がケニアへ アフリカ農業に流通を

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年8月4日のゲストは、高橋真麻さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:01 | 固定リンク


2019年07月25日 (木)

貿易戦争だけじゃない!? 世界経済ピンチの理由

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2019年7月21日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの濱田龍臣さん、国際部の田中健太郎デスクです。

 

きょうのテーマはずばり、「世界経済」です。

いま「世界経済」が心配な状況なんです。

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国際部・経済担当の田中健太郎デスクが解説しました。

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中国やアメリカ、それに日本やヨーロッパ、世界中で景気の雲行きがあやしくなっています。

 

こちらのセットで解説していきます。

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砂浜には中国の習近平国家主席と、アメリカのトランプ大統領が日光浴しています。

トランプさんの方は晴れていますが、習さんの頭上には雲が広がっていますね。

 

まず中国ですが、先週発表された最新の経済成長率が「リーマンショック」の影響を受けたときを下回るほど悪かったんです。

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11年前の2008年に、リーマン・ブラザーズというアメリカの大きな証券会社が破綻しました。

深刻な不況になって家を手放す人が相次いで、アメリカでは住宅価格が暴落しました。

影響は世界中に広がり、多くの人が仕事を失いました。

日本でも、仕事を失う人が続出し、炊き出しにも長い列ができました。

アメリカの不況が日本にも影響したんですね。

 

しかし、なぜ中国経済がリーマンショックの影響をうけた時よりも悪くなっているのでしょう。

1つはアメリカとの貿易戦争ですが、もう1つがこちら。

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「借金問題」です。

これが実は大きな大きな問題なんです。

そもそもこの「借金問題」は先ほどの「リーマンショック」の時までさかのぼります。

この「海の家」を中国の企業だと思って下さい。

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「リーマンショック」のとき、中国も景気がとても悪くなりました。

そこで中国政府はどうしたかというと、たくさんの「海の家」を作りました。

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その「海の家」に「どんどん借金してもいいから営業して」と言ったんです。

働く従業員が増えて、モノを買うから景気もよくなりました。

しかし、その後、中国政府は「借金が増えすぎたから借金するのはもうやめましょう」と言い出したんです。

すると、経営できなくなる「海の家」が出てきて仕事を失う人も出てきました。

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これを現実の世界に戻すと、自動車とかモノが売れなくなったりして景気が悪くなってきたということなんです。

いまや、中国は、日本やヨーロッパからもあまりモノを買わないということになってしまいました。

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日本もヨーロッパも、中国の影響をまともに受けてしまっているんです。

中国経済、厳しい面が現れてきているんですが、中国の若者達は、それを肌で感じているようです。

 

いま、中国の若者たちの間では、喪失感や自虐的な感情など自分たちの内面を表す言葉「喪」という文字が流行しています。

喪失感など“ネガティブな感情を表現することはカッコいい”という新たな価値観を持つ若者たちが増えているのです。

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こちらは、ネガティブな感情を音楽に込めて活動している大学生の張さんです。

自虐的な歌詞が人気を集めています。

張さんは北京中心部の住宅街に自宅があり、祖父と母親と弟の4人家族です。

母親が家計を支えていますが、生活は苦しいと言います。

「中国でお金を稼ぐなんて難しいよ、この時代に生まれたからこうなったと思う」。

 

張さんは中国の急速な経済成長をみてきました。

自分も豊かになれると信じて、激しい受験競争をくぐり抜けてきましたが、経済が減速する中で、自分たちの世代は、これまでの世代ほど簡単に、豊かにはなっていかないと感じています。

「いい仕事に就いても、結局、中国ではお金を稼げないよね」。

「金持ちの子は一生金持ちだけど、貧乏の子は一生貧乏だよ」。

 

張さんは、どうすることもできない「あきらめ」や「無力感」を歌詞に込めています。

ライブには、同じ世代の若者達がつめかけ、張さんの歌に自らを重ね合わせていました。

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「私自身がネガティブなので、彼の曲を聴くと、魂が癒やされることが多いです」。

「彼らの歌は、現代社会で傷ついた若者たちのネガティブで廃れた生活を代弁していると思います」。

 

急速な経済成長に陰りが見える中国。

明るい未来を描けない若者たちに現実が重くのしかかっています。

 

 

ここまで中国をみてきましたが、アメリカの方は太陽が降り注いでいますね。

アメリカは「いいニュース」が多いんです。

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株価は最高値、失業率も50年で最低です。

しかし、中国の景気が悪くなっているので、中国と取り引きのあるアメリカの企業が工場の建設を控えるなど「悪い」動きも出てきています。

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つまり中国を覆うこの雲がアメリカにもかかり始めているんです。

こうした不安を払おうと、アメリカは、あることを10年半ぶりにやろうとしているんです。

それがこちら。

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「利下げ」です。

「利下げ」を行って、中国から伸びる雲を、アメリカにかからないようにしようとしているんです。

 

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経済の話でよく聞く「利下げ」ってのが何なのかオレが説明しヨーソロー

 

「利下げ」とは利子を下げることです。

そのため、金融機関からお金が借りやすくなり、住宅ローンや車のローンなどが組みやすくなります。

つまり、「利下げ」をすると景気が良くなるんです。

 

しかし、「利下げ」は、ここぞというときにやるものです。

今回のように景気が悪くないなかでアメリカが「利下げ」を行おうとしていることにはリスクもあるんです。

それが「バブル」です。

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かつての日本も「バブル」が崩壊し、長い不況になりました。

景気がいいのに、みんながお金を使うと、家の値段が異常に上がるなど「バブル」になる心配があります。

 

この「利下げ」を行うかどうかは今月末に決まる予定です。

まとめはこちら。

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「景気を良くする薬は」

中国はいま、莫大な「借金」を抱えながらも、景気を良くするため、実は、再び「借金」を増やそうと考えています。

一方アメリカは、株価が最高値を続ける中でも「利下げ」に踏み切ろうとしています。

いずれも景気に対する「薬」なんですが、飲む量やタイミングを誤れば、逆に、健康を損なうおそれもあります。

暗雲たれこめる世界経済は、「薬」によって、雲が晴れるのか、副作用によってさらに雲が広がるのか。

その効き目に注目すると、景気の行方を見極める手がかりが得られそうです。

 

 

 

【この日の時間割】

1. 貿易戦争だけじゃない!? 世界経済ピンチの理由

2. なぜ?NATOのトルコにロシアのミサイル

3. 治安悪化のブラジル 銃規制緩和 の波紋

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月28日のゲストは、初登場!宮川一朗太さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:07 | 固定リンク


2019年07月18日 (木)

EU離脱で揺れるイギリス 次の首相は?

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2019年7月14日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの古坂大魔王さん、国際部の佐伯敏デスクです。

 

EU離脱で揺れるイギリスでは、次の首相の座をめぐって、激しい戦いが続いているんです。

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勝ちそうなのが、ボリス・ジョンソンさん。

宙づりになったり、水に入ったりして、イギリスでは人気者なんです。

でも、こんな過激な発言も。

「EUは、やり方は違うがヒトラーと同じようなことをやろうとしている」。

「ヒラリー・クリントン氏は、サディスティックな看護師みたいだ」。

イギリスの次のリーダーが、ボリス・ジョンソンさんになったら、EU離脱はどうなるのでしょうか。

 

国際部・佐伯敏デスクが解説しました。

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今行われているのは、与党・保守党の党首選挙です。

この選挙の結果が来週23日に決まって、翌日に首相に就任します。

候補者は、この2人に絞られました。

ボリス・ジョンソンさんと、ジェレミー・ハントさんです。

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最新の世論調査ではジョンソンさんが圧倒的に有利で、首相になるとみられているんです。

先日行われたテレビ討論会でジョンソンさんは、

「私には首相になる力と資質がある。我々は変われる!名声を回復するぞ」と、力強く言っていました。

  

いまイギリスの人はどうみているのでしょうか。

ロンドン支局の税所支局長に聞きました。

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混乱する国の進路をゆだねるリーダー選びとあって、党首選としては、異例の注目度です。

ジョンソン氏は、言葉を重んじるイギリスでは大事なやりとりの巧みさ、そして、ステージにあがったとたんに輝きを増すスター性を備え持っているとして、保守党の党員の間では絶大なる人気を誇っています。ただ、広く一般国民の間ではというと、そのキャラクターの濃さから、これほど好き嫌いが分かれる政治家はいないと言われていますが、それも注目度の高さの裏返しといえます。

党首選で投票できるのは16万の党員のみ。

国民は「ジョンソン首相誕生」に向けて、期待とともに心の準備をしている、といった状況です。

 

 

そもそも、ジョンソンさんってどんな人物なのでしょうか。

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イギリスの次の首相になりそうなボリス・ジョンソン氏のこと、オレが説明するヨーソロー

 

ジョンソンさんがなぜ支持されるのか、説明していきます。

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ジョンソンさんと言えば、なんといっても「キャラの濃さ」。

ユーモアや独特の話術、それにどこか抜けた憎めない行動が人々の心をつかんでいるんです。

その憎めなさが垣間見えるできごとがありました。

自宅から出てきたジョンソンさんが、記者たちが待ち構える中、紅茶を入れたカップをトレイに乗せて現れました。

実はこのとき、ジョンソンさんは過去の発言をめぐって、記者から質問攻めにあうはずだったんです。

でも笑いながら紅茶を勧めるばかりで、結局質問には答えなかったんです。

 

キャラに加えて、もう1つ支持される理由が「実績」です。

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ジョンソンさん、2012年ロンドンオリンピックのときのロンドン市長で

「オリンピックを成功させた市長」というイメージがあります。

 

そして、「ボリスバイク」。

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これは、ジョンソンさんがロンドン市長時代に導入した、町なかで自転車をシェアするサービスです。

今ではすっかりロンドンに定着していて、交通渋滞への対策としても評価されているんです。

  

しかし、油断は禁物。

ジョンソンさんにも「弱点」があるんです。

それがこちら。

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ジョンソンさん自身です。

とにかく“失言”がいっぱい。

冒頭にもありましたが、アメリカのヒラリー・クリントン元国務長官について、サディスティックな看護師みたいだ」と言いました。

他には、イスラム教徒の女性の姿について「郵便ポストか銀行強盗にしか見えない」とも。

 

そして「弱点」は失言だけではありません。

ジョンソンさんは、フェイクニュースの先駆者だとも言われています。

もともとは新聞記者でしたが、駆け出しの頃、人の発言をねつ造したとして解雇された経歴もあります。

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そんなジョンソンさんが、イギリスの首相になったら今一番の課題「EU離脱」はどうするのでしょうか。

ジョンソンさんは、「EUとわかり合えないまま離脱してもかまわない」=「合意なき離脱でもいい」という主張です。

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討論会でも「自分は期限になっている10月31日に絶対に離脱する」と対立候補に断言しました。

一方、離脱の期限をはっきり言わない対立候補に詰め寄る場面もありました。

 

イギリスの人たちはどう感じているのでしょうか。

再びロンドンの税所支局長に聞きました。

イギリスの人たちはジョンソン氏のこの強気の姿勢に、一抹の不安を抱えながら見つめていることは間違いありません。

ただ、離脱を巡って3年もの間、混乱が続きながら何も進んでいない現状に国民はうんざりしています。

その閉塞感の中で、脇の甘いところはありますが、前向きで勢いのあるジョンソンさんに「流れを変えてもらいたい」と期待する気持ちもわからないでもありません。

そして、与党・保守党の支持者は、もともと離脱を望む人が多くいます。

このため、離脱を成し遂げなければ支持者から見放され、政権維持はおろか党そのものが消滅しかねないという強烈な危機感があります。

ジョンソンさんが首相になれば、そうした支持者の声に応えなければなりません。

いざとなったら柔軟性を発揮するのでは、という見方もありますが、ジョンソン首相誕生を後押しした強硬派の人たちがそれで納得するのか、疑問です。

また、EUと再交渉すると言ってもEU側は拒否していますし、もうすぐ夏休みですから説得のための十分な時間すらありません。

「合意無き離脱」に向け、アクセルを踏み続けるかに見えるイギリスが、どこかでブレーキをかけるのか、そのタイミングが遅すぎないことを願うばかりです。

ジョンソンさんが心変わりでもしない限り「合意なき離脱」の現実味は増すばかりとなりそうです。

 

 

ジョンソンさん、日本との関係はと言うと、実は4年前、日本に来たことがあります。

ラグビーワールドカップに関連するイベントに参加し「一緒に、スクラムを、組もう」と日本語で話しました。

ここまではいいんですが、ラグビーをプレーしたジョンソンさんは熱が入りすぎて子どもを吹き飛ばす、はちゃめちゃぶりも見せました。

帰国したあと、ジョンソンさんはイギリスの雑誌に、日本について

「中国に注目するあまり、日本を見ないのは間違っている。この国はすごい」と書いています。

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日本との関わりを重視するような発言ですね。

伝統的に関係のある日本やアメリカ、インドなんかとの関係も強めていくのかもしれません。

 

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ジョンソンさんが首相になれば、イギリスは離脱に向かって「坂を転がるラグビーボール」です。

型にはまらないジョンソンさんですので、どこに転がるかわからない、予測不能な危うさも伴います。

もちろん、良い方に転がることだってあるかもしれません。 

 

 

 

【この日の時間割】

1. EU離脱で揺れるイギリス 次の首相どんな人

2. 月面着陸から50年 宇宙開発 各国はいま

3. 地雷に立ち向かう アフガニスタンの女性

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月21日のゲストは、濱田龍臣さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:25 | 固定リンク


2019年07月11日 (木)

香港デモ、きょうの香港はあすの台湾!?

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2019年7月7日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの平泉成さん、国際部の大山吉弘デスクです。

 

政府への抗議活動が続く香港。

この日も大勢の人がデモを行っていました。

場所はこれまで議会がある中心部でしたが、この日は初めて旅行者の多い繁華街でデモが行われました。

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実は、台湾もひと事ではないんです。

「きょうの香港は、あすの台湾」。

台湾の市民からは、こんな声も聞こえてきます。

香港のデモと台湾、どんな関係があるのでしょうか。

国際部・大山吉弘デスクが解説しました。

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実は香港のデモが、台湾で行われている政治的な一大イベントに大きな影響を与えています。

それがこちら。

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台湾の総統選挙です。

台湾では、トップ=総統を決める選挙が、事実上スタートしています。

台湾には、与党・民進党と、野党・国民党の2大政党があるんですが、今、注目されているのが民進党の蔡英文(さい・えいぶん)総統です。

去年の統一地方選挙で大敗して、支持率が低迷。

党首の座も追われてしまいました。

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しかし、香港で起きている一連のデモの影響で、支持率を一気に回復させているんです。

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台湾の蔡英文総統の支持率に、なぜ香港のデモが関係しているのでしょうか。

それを知るには、まず香港と台湾の“意外な関係”について知る必要があるんです。

 

香港と台湾を結びつけるキーワードが「1国2制度」です。

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[香港の「1国2制度」についてオレが説明しヨーソロー]

 

「1国2制度」のおかげで、香港には独自通貨があり、議員も選挙で選べます。

そして、デモをしたり、自由に政府を批判したりすることができるんです。

でも、その「1国2制度」が今、揺らいでいます。

そのあらわれが香港のデモなんです。

デモのきっかけとなったのが、こちらの条例の改正案です。

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香港にいる容疑者の身柄を、中国本土に引き渡すことができるようにするものです。

「中国がこの改正案を悪用して、中国政府を批判する人たちを引き渡すよう求めてくるかもしれない」と、香港市民は心配したわけです。

そして「それでは『1国2制度』が守られていないじゃないか」とデモに発展したんです。

 

そもそも、この「1国2制度」は、実は、中国が台湾を統一するために考えた制度なんです。

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そして、その考えは今も変わっていません。

中国の習近平国家主席は、ことし1月、月1回の演説で台湾について、

「台湾独立は歴史への逆行で、滅びの道だ」

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「台湾との統一には『1国2制度』が最良だ」と発言しています。

 

台湾の人たちは香港の混乱ぶりを、自分たちの未来のように受け止めています。

“きょうの香港はあすの台湾”ということばは、

「中国に統一されて『1国2制度』が導入されれば香港の二の舞になってしまう」「中国に飲み込まれてしまう」という中国への警戒感のあらわれなんです。

 

だから今、台湾で始まった選挙の最大の焦点が「中国との距離感」なんです。

それぞれの党をみていくと、与党・民進党は“中国に対して強硬”です。

独立志向が高く「中国と台湾は別々の国だ」と主張しています。

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一方の野党・国民党は“中国寄り”。

「中国とは仲よくやっていこう、そうすれば経済がよくなるよ」という融和的な立場です。

その国民党の有力候補が、こちらの2人。

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ただ今、中国寄りの姿勢から苦しい選挙戦を強いられています。

 

国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)さんは、香港のデモについて「知らない」と発言し、メディアに取り上げられたあと、支持率が急落しました。

これまで韓さんを支持していた人も、その言動を批判しています。

若い世代に影響力をもつユーチューバーの陳之漢(ちん・しかん)さんは、自分の動画投稿サイトに韓さんを出演させるなどして応援していましたが、「知らない」と発言したのを批判し「もう支持しない」と話しています。

 

国民党のもうひとりの有力候補、ホンハイ精密工業の創業者で、シャープを買収した郭台銘(かく・たいめい)さんも、伸び悩んでいます。

中国に多くの工場を持ち、つながりの強い郭さんは中国との距離の取り方について、明言を避けてきましたが、台湾で中国への警戒感が強まると態度を一変させて、1国2制度を批判しました。

 

台湾では中国に対してきぜんとした態度を取ってほしいと考える有権者が増えています。そんな中、与党・民進党の蔡英文総統は「香港のデモを支持する」と、いち早く表明し、有権者の支持を集め順調に選挙戦を進めています。

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台湾で広がる中国への警戒感が、来年の選挙結果を大きく左右しそうです。

 

 

といっても、選挙は来年1月です。

あと半年の間にどうなるかは分かりませんが、鍵を握るのは、やはり、中国の対応になります。

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“中国のジレンマ”。

中国政府にとって、香港のデモが中国に強硬な蔡英文総統を有利にする展開は、完全に誤算だったといえます。

ただ、香港のデモの収束を図ろうと強硬な姿勢に出れば、結果として台湾での反発につながりますし、かといって弱気に出るわけにもいきません。

つまり、ジレンマというわけです。

台湾は、日本にとっても結びつきが強いですから、今後も、中国の出方、

そして、台湾の人たちの選択をじっくり見ていく必要があると思います。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月14日のゲストは、古坂大魔王さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:43 | 固定リンク


2019年07月04日 (木)

3回目米朝首脳会談とEUがピンチ!?

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2019年6月30日の出演者のみなさんです。

左から、Mr.シップ、ゲストの和田アキ子さん、国際部の花澤雄一郎デスク、国際部の長尾香里デスク、永井伸一キャスター、坂下千里子さんです。

 

この日は、急きょ行われた3回目の米朝首脳会談と、EUのピンチについてお伝えしました。

 

アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が

この日、南北の軍事境界線にあるパンムンジョムで面会。

およそ4か月ぶりに顔を合わせ、3回目となる首脳会談を行いました。

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現職のアメリカ大統領としては初めて軍事境界線を超えて北朝鮮側に入り「素晴らしい気分だ」と述べました。

パンムンジョムでアメリカと北朝鮮の首脳と会談を行うのは、朝鮮戦争の休戦以降66年間で初めてです。

今回の会談はトランプ大統領がツイッターを通して呼びかけ、これに北朝鮮側が応じる形で急きょ実現しました。

ワシントンとソウルに駐在したことがある国際部の花澤雄一郎デスクが解説しました。

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今回の首脳会談ですが「会うのでは」という見方は、少し前の段階ではありましたが、話は進んでおらず「今回はない」という認識でした。

そのため、あまりにギリギリのことでさすがに驚きました。

ただし今回の面会は、確かに歴史的なことですが事前の準備もないですし、直接「非核化」が前に進む

とは思えず、そこは冷静に見る必要があります。

 

トランプ大統領がなぜキム委員長に会いたいと言い出したのかというと、

「こう着状態となっている北朝鮮との交渉をなんとか動かしたい」という考えがあり、さらに会うこと自体が「政治的な利益」という面もあります。

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ことし2月の2回目の首脳会談では、非核化の段階ごとに見返りを与えるかどうかで双方譲らず、決裂しました。

その後、圧力を掛け合うチキンレースになりました。

そして先月、北朝鮮は再び、弾道ミサイルを発射しました。

さらにエスカレートしていきトランプ大統領としては「北朝鮮との交渉に失敗した」と言われることを嫌がったんだと思います。

トランプ大統領は来年に大統領選挙がありますので、なんとか交渉を動かしたい、あるいは進まなくても「北朝鮮との交渉は続いていて、良い方向に向かっている」というイメージをアメリカ国民に持たせたいという狙いがあります。

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中国総局北朝鮮担当 長野記者)

キム委員長が、なぜ今回の首脳会談の呼びかけに応じたのかというと、今のこう着状態を打開するため直接トランプ大統領に直談判するしかないと考えたのだと思います。

そして今後は国営メディアなどで「トランプ大統領とキム委員長が一層親密になった」とアピールするとみられます。

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北朝鮮は米朝交渉がうまくいかなくなったのは、トランプ大統領の側近が交渉を複雑にしているからだと主張しています。

こうした側近を交渉から外しトップ同士の決断を求めてくることもありえます。

また今後、制裁解除の前向きな動きが見えなければ再びミサイルの発射など軍事的な動きも予想されます。

 

花澤デスク)

つまり、トランプ大統領もキム委員長も、ともに今回「会うこと自体に利益がある」ということです。

しかし、北朝鮮の非核化は簡単ではありません。

そもそも、2回の首脳会談がありましたが、非核化は実質的にはまったく進展していないんです。

北朝鮮は「非核化を目指します」と言いながら、核開発は続けています。

でも、核実験や大陸間弾道ミサイル発射さえしなければ、アメリカは怒らないというのが現状なんです。

これは、このまま核兵器を持ちつづけたい北朝鮮には都合がいい、つまり北朝鮮ペースがズルズルと続いている状態なんです。

 

一方でアメリカは「非核化させたい、できる」と思って最初の首脳会談をしましたが全然進んでいません。

「失敗した」というワケにはいかないから「交渉を続け、非核化に向けて進んでいる」というアピールを続けている状況になっています。

私は長年、北朝鮮問題を担当してきたアメリカ政府の元高官と話しましたが、トランプ大統領は「非核化に向かっているという幻想」を振りまき続けている、と言っていました。

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あたかも非核化が進んでいるような、つまりある種の「壮大なウソ」を続けていると、そしてそれが政治的利益があるという受け止めです。

今後、アメリカはなんとか交渉を進めようとするでしょうが、北朝鮮は全く譲る気配はありません。

となると、アメリカが多少柔軟性を示すのかが焦点になります。

譲らなければこう着した状態が続きながらトランプ大統領が「うまく行っている」と言い続けることになります。

核兵器を持つ北朝鮮という既成事実化が進み、事実上、世界が受け入れるという状況に向かっているのが現状です。

 

記者会見でアメリカメディアから「会談では譲らず決裂し、ミサイルも撃ったのに、会うのがふさわしいのか?」という厳しい質問が飛び、その後の報道でも「これが何の役に立つ?」という厳しい声も上がっています。

トランプ大統領は、来年の大統領選挙での再選を最大の目的にしていますが、アメリカ世論が「より厳しく対処すべき」となっていけばトランプ大統領の対応も変化する可能性はあります。

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▼2時間目はこちら。

 

イギリスがEUからの離脱を決めましたが、EUに対する反発はほかの国でもが広がっています。

国際部・ヨーロッパ担当の長尾香里デスクが解説しました。

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EUは、ヨーロッパの28か国の集まりです。

そのEUが、いま、危うい状況になっているんです。

EUの抱える問題は、イギリスの離脱問題だけではないんです。

いまヨーロッパのあちらこちらで、「○○ファースト」という風が巻き上がっています。

自分の国の利益が最優先だと主張する国が増えてきました。

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そんななかで、EUとしてのまとまりがなくなって結束が緩んでしまうのではないかという状況になっているんです。

 

そもそもEUとは、どんな集まりなんでしょう?

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こちらのロボットをEUに見立てて説明します。

「EUの原型」と書いてあります。

EUの起源は、第2次世界大戦が終わってまもない1952年に集まった6か国でした。

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「戦争を二度と繰り返さない」という目標を掲げたのです。

その後、どんどん仲間に加わる国が増えていきました。

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パーツが増えることが、国が増えることを表しています。

そして1993年に、ついに今のEUになりました。

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欧州合体「イーユーダー」完成!

EUは、28か国、総人口5億人にまで拡大しました。

ヨーロッパの平和と共存に貢献したとしてノーベル平和賞までもらっているんです。

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こうやって、ひとつになることで、世界の中で存在感を強めてきたんです。

 

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[1つになるとどれだけ強いのか、オレとイーユーダーが説明するヨーソロー]

 

イーユーダーの強さの秘密をみていくために、ここからはその心臓部をみていきましょう。

EUにはヨーロッパ議会という議会があります。

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イーユーダーを動かす大事な回路のようなものです。

ちょっと変わった議会で議席の数は28の加盟国ごとに割り振られていて、議員は、各国それぞれの有権者が投票して選びます。

議会は、EUの共通の政策について話し合います。

つまり、加盟国みんなで守るべきルールを決めているんです。

 

ところが先月、このヨーロッパ議会に異変が起きました。

5年に1度の選挙が行われたんですが、投票の結果、EUのやり方は「ウザい」と、反発する議員が各国で勢いを見せたんです。

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つまりEUそのものが、YESかNOかを問われたシビアな選挙になったんです。

 

なんでそんなことになったのかというと、原因の1つがここ数年、中東やアフリカなどから押し寄せている「難民・移民」の問題です。

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受け入れるのは大きな負担だとか、治安の悪化につながるといって反発する声が、加盟する国の人たちの間で高まったんです。

中にはこれまで事実上、なかった国境を復活させるべきじゃないかと訴える国まで出てきました。

そして、EUに反発する声が広がったもうひとつの原因がこちら。

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「格差」問題です。

人やモノが自由に移動できる集まりがEUです。

1つの市場になったことで、EUの中で競争が激しくなって、勝ち残れる人とそうでない人の差が大きくなった面もあるんです。

それでEUに加盟したら、メリットどころか暮らしにくくなったと考えている人も増えてきました。

こうした不満の大元をたどれば「EU」に行き着くと。

だからもうEUのルールに縛られず、自分たちで決めたいという声が増え、先月の選挙結果につながったんです。

 

このピンチに、これまでEUを引っ張ってきた国のひとつ、フランスに改めてスポットがあたっています。

フランスのトップがマクロン大統領です。まだ41歳の若きリーダー。

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先週、NHKが単独でインタビューしたんですが「ヨーロッパが成長していくためには、EUの結束を強めていくことが唯一の道」だと話しました。

マクロン大統領は、EUは良い政策を色々作っているのに、そのメリットが市民に伝わっていないのが一番の問題だと考えています。

だから「EUのルールを見直したり、もっと機能を高めたりして良さをわかってもらおう」と、マクロン大統領は言いたいようです。

ただ、マクロン大統領、フランス国内での支持率は決して高いわけではありません。

そういうなかで、問題が山積みのEUを引っ張っていけるのか、相当の手腕と気合いが必要だと思います。

最後に、こちら。

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ギリシャ神話にでてくるパンドラの箱、抑え込んできた災いがいっきに噴き出すことの例えによく使われます。

今のEUはまさにそんな感じです。

でも神話で、パンドラの箱に最後に残ったものは「希望」だと言われています。

EUは大きな経済圏で外交力も大きく、日本にとっても大事なパートナーです。

希望を絶望にしないために、これからがEUのふんばりどころです。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年7月7日のゲストは、平泉成さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:30 | 固定リンク


2019年06月27日 (木)

世界の首脳が大阪に G20サミット

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2019年6月23日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのベッキーさん、国際部 辻浩平デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「世界の首脳が大阪に いよいよG20サミット」

2時間目「香港で続く抗議活動 中国とアメリカは」

3時間目「女性が平均7人出産 影を落とす貧困問題(ニジェール)」

 

今週末に迫ったG20大阪サミット!

世界のトップが大阪に集まる一大イベントです。

初めて日本が会場となって、6月28日と29日に開かれます。

G20サミットを知ると世界のいまが、これでわかった!となるんです。

 

国際部・辻浩平デスクが解説しました。

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G20に入っているのがこちらです。

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「G20」の「G」は「グループ(Group)」の「G」です。

この20の国などのトップが毎年集まって、世界で起きている問題について話し合います。

「G7」という似た名前も聞いたことがあるかもしれませんが、「G7」は上にある1列、先進国などのグループです。

この7つに、中国やインドなど経済力をつけて影響力を増してきている国が加わったグループが「G20」なんです。

G20の国々にも参加してもらわないと世界の問題が解決できなくなってきたという事情があるんです。

 

そのG20のサミットが大阪で開かれるということで、開催直前の現地に永井キャスターが行ってきました。

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開催の1週間前でしたが、どこに行っても警察官がいて、ものものしい雰囲気でした。

警戒にあたっていたのは、警視庁をはじめ全国各地から応援に来た警察官でした。

空の玄関口、関西空港でも特別な警戒が始まっていました。

G20サミット用に、通り抜けるだけで服の下や荷物に隠された爆発物などを発見できる特別な検査機が設置されていました。

 

世界の国々のトップが集まるG20サミットですが、私たちに身近な話題も話し合うんです。

こちらを使って説明します。

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G20サミットを大阪のお好み焼き店にみたてて説明します。

 

話し合われるテーマの1つが「貿易」です。

せかいまでも取り上げていますが、自由に貿易をするべきか、それとも関税をかけて自分の国の産業を守るべきか。

そういったことを話し合います。

 

2つ目は「海洋プラスチック」です。

海のプラスチックごみをどうするのかを話し合います。

 

そして3つ目がこちら。

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「データ」です。

データを知るのに欠かせない言葉があります。

「GAFA」です。

GAFAとは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの巨大IT企業の頭文字をとったものです。

みなさんが毎日使っているものもあると思いますが、こうした企業はみなさんのさまざまな個人情報、データを持っています。

どんな買い物をしたか、何を検索したか、どんな関心をもっているかなどです。

それが広告などに使われて企業は利益をあげています。

今はルールがないので、安全に取引きするためにどんな国際的なルールを作ったらいいのかということも話し合います。

さらに、データにまつわる税金の問題も話し合います。

IT企業はネット上のサービスですから、国をまたいで活動しています。

でもそれだと各国は企業の活動を把握できないので、十分な税金がかけられていません。

そのため、どのように税金をかけるのかも議論されるんですね。

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貿易、海のプラスチックごみ、そしてデータ。

こうしたテーマを議長国の日本が中心となって、共同声明をまとめていくことになります。

 

でも、首脳たちはG20サミットのためだけで大阪に来るわけではないんです。

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[G20は、それぞれの国が個別に会談するチャンスでもあるんだヨーソロー]

 

こちらのお好み焼き店には個別のテーブル席があり、お好み焼きとはまったく違った料理があります。

すき焼き、鉄板焼き、天ぷら。

首脳たちは、テーブルで1対1の「さし」で食べたいってことなんですね。

みんながいる円卓から離れて、個別テーブルで2人だけで食べたいと思っている人たち。

せかいまが注目したのは、まずこの2人です。

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アメリカのトランプ大統領と、中国の習近平国家主席による会談です。

そこで食べるメニュー、つまり話し合う議題は「貿易摩擦」です。

アメリカと中国は互いに輸入品に対して高い関税を掛け合って、いわば「大げんか」をしている状態です。習主席は「関税をやめてほしい」と思っていて、トランプ大統領は「関税を下げてほしければ中国がアメリカの技術などを盗むのをやめるべきだ」という主張しています。

 

そこで習主席は解決に向けて話し合いを進めたいと、先週ピョンヤンを訪問して、キム・ジョンウン委員長と会談しました。

アメリカは北朝鮮と核問題をめぐって交渉をしていますがうまくいっていません。

中国は、北朝鮮といういわばスパイスを持ってトランプ大統領との会談に臨むというわけです。

アメリカに「中国は北朝鮮との強い関係があるんだよ」と示しているんです。

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それが「貿易摩擦」とどう関係しているのかというと、

習主席にしてみたら「トランプ大統領が北朝鮮との交渉をうまく進めたいなら、中国が手伝ってあげてもいいですよ、その代わり貿易問題で一歩譲ってね。」というメッセージなのかもしれません。

 

そして、アメリカ側でも動きがありました。

先週、トランプ大統領が来年の大統領選挙に向けて立候補を正式に表明しました。

選挙で勝つためには有権者に成果をアピールしないといけません。

中国との貿易摩擦をどう扱うのが一番有権者の支持を得やすいのか、トランプ大統領は考えるはずです。

貿易摩擦が続けばアメリカでもモノの値段が上がって困る有権者も出てくる一方、アメリカの立場を脅かす中国に対して、厳しい態度を取って欲しいという有権者もいます。

2人の会談の行方次第で今後の世界経済が大きく左右されるかもしれません。

 

2つ目のテーブルにいきましょう。

すき焼きを食べるのは、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領。

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アメリカとロシアの会談も注目です。

ポイントは「ようやく話せるね」です。

両国は対立していますが、2人の指導者は本当は関係をよくしたいと思っています。

ただ、トランプ大統領はロシアとやましい関係にあると疑われてきたので、会うのは簡単ではありませんでした。

それがことし4月、その証拠は十分じゃないとして、捜査が終わったんです。

これで堂々とプーチン大統領と会談をできるというわけです。

会談のテーマの1つは「核軍縮」です。

アメリカとロシアがこれまで進めてきた核兵器を減らす取り組みを、これからも続けていくかどうかといった話し合いが進むのでしょうか。

 

では、最後のテーブルです。

天ぷらを食べているのは、習主席と韓国のムン・ジェイン大統領です。

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中国と韓国の首脳会談では新しいインフラとも言える通信規格5Gを扱う中国企業「ファーウェイ」と韓国が取引を続けるのかが注目点です。

中国は自国の会社ですから当然「ファーウェイ使って」という立場です。

これに対して韓国は、同盟国のアメリカからはやめろと言われているので板挟みになっているんです。

韓国が中国にどうこたえるのか、世界が関心をもってみています。

 

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「世界の縮図を見る場 G20」。

G20では世界が直面する課題を話し合う場なので、それに対する各国の立場が明らかになります。

さらに首脳会談では、どの国とどの国がどんな問題を抱えているというのが浮き彫りになり、まさに世界の縮図が見える場といえます。

それがそのまま日本の大阪に来るわけなので、ぜひ注目していただきたいです。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年6月30日のゲストは、和田アキ子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:30 | 固定リンク


2019年06月13日 (木)

米中貿易戦争 中国が奥の手?

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2019年6月9日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの虻川美穂子さん、国際部・経済担当の布施谷博人デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「米中貿易戦争 中国が奥の手?」

2時間目「アメリカvsイラン 仲介役は安倍首相」

3時間目「アメリカの高校 生徒全員が虐待被害者」

 

ヒートアップする米中貿易戦争。

新たなステージに突入し、中国の猛反撃が始まろうとしています。

どうやら戦いは、これまでと違ったものになってきたようです。

 

国際部・経済担当の布施谷博人デスクが解説しました。

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もともとこの対立は、アメリカが「中国との貿易で赤字が出て損している。貿易赤字を何とかしろ」と言い出したものです。

 

こちらのセットを使って説明していきます。

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中国・習近平国家主席とアメリカ・トランプ大統領がそれぞれカードを持っています。

まさにカードゲームのように、これまで互いにカードを切り合って激しい応酬を繰り広げてきたんです。

 

まずはこのカード。

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「関税引き上げ」です。

互いに高い関税をかけて、相手の輸出を減らしてやろうというのが狙いです。

そしてアメリカはさらに、とどめのカードを切ろうとしています。

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それが「さらに?関税の引き上げ」です。

なんと、一気にほぼすべての輸入品に関税をかけてしまおうという手続きに入っているんです。

これでますます中国の輸出は減ってしまいます。

ただ、戦いは、単なる関税の引き上げにとどまらないものに変わってきています。

先月行われていた米中の貿易交渉で、決裂してしまったんです。

 

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[アメリカは貿易赤字だけじゃなくて、中国の企業支援のやり方にも怒っているんだヨーソロー]

 

アメリカは貿易赤字をなくすことだけではなくて、中国の国の仕組みについても文句をつけ始めたんです。

しかし、中国にとって企業への資金援助は経済成長の根幹に関わるものなので、そこは譲らなかったんです。

そこでアメリカは、さらに次のカードを切りました。

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「ファーウェイ排除」です。

ファーウェイといえば、中国を代表する企業でスマホのシェアで世界2位を誇る巨大ハイテク企業です。

アメリカは政府の許可なしにアメリカの企業がファーウェイと取り引きすることを禁止したんです。

ファーウェイにとっては、スマホにどうしても必要な半導体などの部品を手に入れられなくなって、思うようにモノをつくれなくなるおそれがあります。

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アメリカは、ハイテク分野で中国に絶対に負けたくないと思っているので、徹底的に叩いているんです。

つまり、米中の貿易戦争は、どちらが世界のトップの座につくのかという「覇権争い」なんです。

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もちろん、高い関税をかけ合ったりすれば、当然、企業や消費者も困ります。

その痛みを我慢させてでも覇権を勝ち取りたいという戦いになってきたんです。

 

やられっぱなしに見える中国ですが、ここにきて徹底的に対抗する構えを見せてきました。

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中国が繰り出したカードが「長期戦」です。

何年かかろうが、この戦いに勝ち抜くんだという覚悟を固めたとみられます。

先月下旬、習近平国家主席は中国の“ある場所”を訪問しました。

その際、中国国営テレビのアナウンサーは「今、新たな“長征(ちょうせい)”が始まった。国内外の重大リスクに打ち勝ち、新たな勝利を手にしなければならない」と伝えました。

“長征”というのは、1930年代、共産党が国民党と内戦していた当時行った長期間の遠征のことです。この遠征は非常に厳しいものだったんですが、なんとか耐え切って内戦を乗り越えたんです。この長征があって、今の共産党、今の中国があるというふうに思われているんです。

習主席が訪れていた“ある場所”というのは、長征の出発地点、まさに“聖地”だったんです。

つまり、貿易戦争も厳しい苦難が続くが「長期戦を耐え抜こう」と国民に呼びかけたということです。

習主席の本気度のあらわれだとも言えます。

その証拠に中国の国営テレビ局では、1950年代の朝鮮戦争を扱った映画を、6日間連続で放送するキャンペーンも展開しました。

映画はアメリカに対抗して戦った「抗米(こうべい)」をテーマにしたもので、絶対にアメリカの圧力には屈しないというアピールとも受け取れます。

 

さらに最近“奥の手”とされる、あるカードを切ることをほのめかしているんです。

それがこちらのカード、

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「レアアースの輸出規制?」です。

レアアースというのは、地中にごくわずかに含まれる希少資源です。

スマホの液晶画面など、ハイテク産業に欠かすことのできない資源です。

そのほとんどは中国で生産されていて、ダントツのトップなんです。

そして…

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アメリカも、このレアアースの80%近くを中国に依存しています。

実は習主席、“長征”の出発地点を訪問したその足で、レアアースの生産基地も視察しているんですが、そこに“ある人物”が同行していたんです。

それが、この人。

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中国の劉鶴(りゅうかく)副首相です。

トランプ大統領とも複数回、会談している貿易交渉の中国側の代表です。

貿易交渉の責任者でもある劉鶴副首相が何度もテレビ画面に映り込んでいたんですが、ということは「レアアースが貿易交渉のカードになり得るんだぞ」とアピールしているとも受け取れます。

つまり「輸出をとめるかも」という構えをちらつかせるだけでも、アメリカに対する十分なけん制、脅しになる可能性があるんですね。

 

3週間後には大阪で世界のトップが集まるG20サミットが開かれます。

トランプ大統領と習近平国家主席が同じ会議に出席することになります。

しかし今のところは、首脳会談がやれるかどうか見通しも立っていないんです。

トランプ大統領は会談に意欲を示していますが、習主席は迷っていると思います。

というのも、会談を断ってしまうと今後トランプ大統領とは会えなくなってしまうかもしれません。

一方で、会談をしたところで、何の成果も得られない可能性もあるからです。

 

こうした中、気になる動きがありました。

習主席がおととい行ったスピーチです。

この中で習主席は、トランプ大統領を「友人」と呼びました。

そして「友人も米中が完全に決裂することは望んでいないだろう」と話したんです。

大阪での首脳会談を意識した発言ではないかと思いますが、今のところは、話が急に進むとは考えにくい状況です。

 

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「米中の“はざま”で、日本はどう生きる?」

これを真剣に考えなければならなくなったと思います。

貿易戦争で困るのは、企業、消費者で、関税をかけ合うような争いは、いつまでも続けられないはずです。

ただ、米中があらゆる分野で覇権を争う対立がずっと続くことは、覚悟しなければなりません。

争うアメリカと中国、それぞれとのつきあい方を、難しいですけれども、日本は決めていかなければならない時代に入ったんだと思います。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年6月16日のゲストは、藤本隆宏さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:14 | 固定リンク


2019年06月06日 (木)

天安門事件を見ると いまの中国がわかる!

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2019年6月2日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの伍代夏子さん、国際部藤田正洋デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「天安門事件を見ると いまの中国がわかる!」

2時間目「国連に“ニッポン”を売り込め」

 

ちょうど30年前、中国で世界を驚かせる事件が起きました。

天安門事件です。

学生や市民たちの運動が武力で抑え込まれ、多くの死者が出ました。

天安門事件を振り返ると、中国のいまが見えてきます。

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国際部・中国担当の藤田正洋デスクが解説しました。

藤田デスクが2年前に上海に駐在していたとき、日本人学校に通っていた子どもが修学旅行で天安門を訪れました。

その時、引率の先生が突然警察に連れていかれました。

その原因が、この「64」という数字です。

天安門事件は、1989年6月4日に起きたため、中国では「64(ろくよん)」と言われています。

子どものクラスが6年4組で、先生は「64」という旗をもっていただけなのにそんなことが起きたんです。

その後、先生は無事戻ってきたんですが、記念写真には一緒に写ることができませんでした。

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それぐらい天安門事件は触れてはいけない事件、つまり中国では「最大のタブー」なんです。

 

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天安門事件がどんな事件だったのか、オレが説明するヨーソロー

 

なぜ天安門事件は中国にとって最大のタブーなのか。

それを知るには事件を隠そうとしているものの正体を知ることが必要です。

それがこちらです。

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赤い龍が出てきました。

龍は中国では強さの象徴でもある伝説上の生き物です。

龍を中国共産党にみたてて説明していきます。

中国は、共産党が国を統治しているので、中国共産党=中国政府と言えます。

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その共産党が事件を隠そうとしているんです。

中国政府は、明確な結論を出しているとして改めて言う必要はないという立場なんです。

もし事件を見直す動きが起きれば、当然責任を追及されるでしょうし、言論の自由などを認めることにつながってしまうかもしれない。

そうなると、自分たちの立場を揺るがしかねないと考えているんです。

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そのため、天安門事件をきっかけに国民への締めつけをどんどん強めていくようになりました。

共産党や政府を批判する動きがあれば、その芽を摘んでおこうとしているんです。

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4年前には、弱い立場にある市民の問題解決に一生懸命に取り組む弁護士、つまり「人権派弁護士」など300人以上が、一斉に拘束されたり取り調べを受けたりしました。

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共産党や政府は、自分たちにとって批判的な動きに発展するのをおそれているんです。

 

そして、次はこちら。

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中国の人たちがインターネットを見ています。

国民がインターネット上で共産党の批判をしないように監視も強めているんです。

こちらも手が伸びてきました。

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共産党や政府に批判的な書き込みをしないように監視しているんです。

政府にとって有害な書き込みを見つけて通報する監視員がいて、人海戦術で書き込みを削除したり、最近ではAI・人工知能も使っているといわれています。

 

それに中国では、共産党や政府にとって不都合な事実は報道されません。

外国のメディアが衛星放送でそういったニュースを放送しても、中国国内で当局によって遮断されてしまいます。

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おととし、NHKが天安門事件から28年のニュースを放送したところ、突然画面が真っ暗になってしまいました。

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6月4日が近づいて現地の様子を北京にいる奥谷記者に聞くと…。

一見すると何の変哲もないふだんと同じ日曜日ですが、中国政府は事件を思い起こさせることはすべてシャットアウトしています。

中国の高速鉄道の列車には4けたの数字が割りふられていますが、あさっては8964号の列車が

運休になったようで予約ができないんです。

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この8964という数字が1989年6月4日という事件が起きた日を想い起こさせるということで、運休になったようです。

また、タクシーに乗って運転手に事件を覚えているかと聞いたら、「ああ、そういえばそうだなぁ」とやっと思い出したようでした。

中国政府の忘れさせる政策がかなりうまくいっていると感じますが、実際は口づてなどで、なんとなく知っている人は大勢います。

当時、学生や市民は政府を倒そうとデモを始めたわけではなく、中国をよい国にしたいという純粋な気持ちからデモに参加していました。

この30年、多くの市民は、あえて政治のことには関わらず、自分の生活をよくすることだけを考えるようにしてきました。

国がよくなってほしいという気持ちはあるけれど、タブーに触れて当局の監視が強くなったり、自分の生活に影響が出るのが怖いという一種の恐怖感で今のところは黙り込んでいると感じます。

 

天安門事件の活動に関わった学生たちを取材しました。

 

30年前、天安門広場で運動に参加していた王治新さんです。

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「心の痛みは長い時間がたっても消えていません。今も忘れることはできません。」

 

大学で法律を学んでいた王さんは、運動を率いる学生リーダーの1人でした。

運動が始まってからおよそ1か月。

政権指導部と学生側の異例の話し合いが行われ、王さんも参加しました。

その話し合いは平行線で終わりました。

その後、学生たちは武力で鎮圧され、多くの犠牲者がでました。

「とても悲しかったです。こんなに多くの人たちが命の代償を払ったことは、自分にも責任があると感じました」。

その後、21人の学生リーダーたちは「国の体制を揺るがそうとした」などとして指名手配されました。

王さんも拘束され、1年近く収容されました。

事件から30年たった今も、王さんは当局に監視されています。

いつかは海外で法律を学び、弁護士になりたいと考えていた王さんですが、指名手配されたことが影響して、仕事はなかなか見つかりませんでした。

今は親戚の仕事を手伝って生計を立てています。

王さんは、自分たちが率いた運動で多くの仲間が犠牲になったことに責任を感じています。

今は政治活動からは距離を置き、当時のことについてはずっと口を閉ざしてきました。

しかし、あれから30年、王さんは、事件の記憶が消し去られようとしていることに危機感を抱いています。

「何が起きたのかを知らなければ反省もできません。それはとても残念なことです。若い世代が事件を知ることができれば、未来の参考になるし、価値があることです。」

 

 

 

中国共産党は、中国の人たちが怒りを爆発させることはないように、人権派の弁護士を拘束したり、国民への情報を遮断したり、芽を摘んできたんです。

そして、国民に不満を持たせないように徹底してきたことがあります。

それが経済成長です。国民の生活を豊かにしようとしてきたんです。

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国民に生活の豊かさを実感してもらうため必死に経済成長を続け、世界第2の経済大国に成長することにつながったと言えます。

これがみなさんが感じる「強い中国」のイメージかもしれません。

 

ところが、経済成長をするなかで、最近、中国にとって困った人が出てきました。

アメリカのトランプ大統領です。

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いま、中国とアメリカは貿易摩擦をめぐって対立が激しくなっています。

トランプ政権の圧力によって中国の経済が悪化して、国民が生活の豊かさを感じられなくなった時には

不満が高まって、共産党や政府への批判が出るかもしれません。

中国は常に強気の姿勢を見せていますが、裏を返せば、天安門事件のあと、必死で成長させてきた経済を悪化させてはならないという危機感や弱さも持っているんです。

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「強さと弱さが表裏一体」

中国はいつも「強気」とイメージがあるかもしれませんが、それは危機感という「弱さ」の裏返しでもあるんです。

中国は国民に対しても、外国に対しても弱みを見せられない。だから、われわれには常にこわもての態度に見えるんです。

中国は「強さと弱さが表裏一体」ということを知って、これからも中国の動向を見ていく、つきあっていくことが大事だと思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年6月9日のゲストは、虻川美穂子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:18:00 | 固定リンク


2019年05月30日 (木)

トランプ大統領 大相撲観戦から夕食会へ

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2019年5月26日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの吉沢悠さん、禰津博人デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「トランプ大統領 大相撲観戦から夕食会へ」

2時間目「メイ首相 辞任 イギリスのEU離脱は」

 

5月25日に日本へやってきたトランプ大統領。

放送日のこの日は、安倍首相とともに大相撲夏場所の観戦を終え、東京・両国の国技館から六本木の炉端焼き店に向かっているところでした。

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せかいまの放送が始まってまもなく、トランプ大統領の車列が見え、両首脳が炉端焼き店へ入って行きました。

今回のトランプ大統領来日について、国際部・アメリカ担当の禰津博人デスクが解説しました。 04

トランプ大統領、来日は2回目ですが、今回は特別なんです。

というのも「令和初の国賓」だからです。

国賓とは、政府が外国の首脳などを招く際に最も格式が高い待遇で、滞在費は日本政府が負担します。

トランプ大統領は「日本の歴史的な時期に世界の中で唯一の主賓として招かれた」と期待を示していました。

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なぜトランプ大統領が「令和初の国賓」に選ばれたのかというと、日本にとってアメリカは唯一の同盟国であり、経済的にもつながりの深い重要な国だからです。

「令和初の来日」を通じ、緊密な関係をいかに「演出するか」という要素が強そうです。

そのため、日本側もトランプ大統領を“おもてなし”するさまざまな工夫を凝らしています。

 

ここで炉端焼きの店内の様子です。

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トランプ大統領は「相撲が印象的だった。日本の歴史的なタイミングで招いてくれてありがとう」と感謝の気持ちを述べていました。

 

ということで、スタジオにも夕食会の会場をイメージした炉端焼き店を準備しました。

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炉端焼き店は、このように長いヘラで料理をお客さんに提供します。

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トランプ大統領へのおもてなしの1つ目は「夕食会」。

実は永井キャスター、一足先にこの炉端焼き店に取材に行ってきたんです。

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店内はコの字型のカウンターが2つあって活気に満ちています。中にいる焼き物の担当者が料理を提供してくれました。

カジュアルな感じもしますが、日本政府は「日本文化が感じられる居酒屋でリラックスした雰囲気で意見交換したい」と説明しています。

また、トランプ大統領はお酒は飲みませんが、素材を活かした料理が好きとも言われています。そのため、こうしたお店になったのではないかと思われます。

 

続いてトランプ大統領に提供されたおもてなしが、こちら。

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「大相撲」観戦です。

トランプ大統領は格闘技好きとして知られていて、日本の伝統的な大相撲にも関心があったようです。

観戦中もいたるところにおもてなしが隠されていました。

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土俵に近い場所に「マス席」を設ける工事を行い、ソファーも設置するという極めて異例の対応を取りました。

あぐらをかく習慣がないため、今回特別に準備したようです。

また厳しい厳戒態勢もとられました。

瓶や缶入りの飲み物の販売を制限したほか、「座布団を投げないように」とチラシを配るなどして注意を呼びかけました。

そして海外の首脳としては史上初めて、優勝力士に「アメリカ合衆国大統領杯」という特別杯を直接贈呈しました。

ホワイトハウスによると特別杯は、アメリカで作られ、重さはおよそ30キロ、高さは137センチあるということです。

今後も毎年5月の夏場所で、優勝力士に贈られる予定だということです。

 

調べてみると、日米の外交の舞台に大相撲が選ばれたのは今回だけではないことがわかりました。

19世紀の幕末にペリー提督の一行が来日した際、江戸幕府はペリー提督たちに相撲を披露したそうなんです。

黒船の襲来で江戸幕府に動揺が走る中、アメリカに力強い力士を見せることで、日本人のたくましさをアピールして、けん制したのではないかと言われています。

 

さらにはこんなことも。

1907年には、セオドア・ルーズベルト大統領が当時の横綱・常陸山(ひたちやま)をホワイトハウスに招きました。

ホワイトハウスの部屋に用意された、土俵の形をしたマットの上で横綱が稽古相撲を披露したところ、大統領は歓声をあげて喜んだとされています。

“大相撲外交”は160年以上前から日米の間で行われていたのかもしれません。

 

そして、今朝はこんなおもてなしもありました。

ハンバーガーにゴルフと書かれていますね。

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安倍首相とトランプ大統領といえば「ゴルフ外交」です。

ハンバーガーはトランプ大統領の好物で、この日、ゴルフの合間の昼食にもチーズバーガーが出されました。そしてこちらは、安倍首相のツイッターに投稿された写真です。

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両首脳の仲を一気に近づけたものが、共通の趣味であるゴルフです。

そのゴルフも今回で5回目。

トランプ大統領が就任して初めて行われたおととしの首脳会談では、両首脳は1日で2つのゴルフ場をはしごするほどでした。

トランプ大統領はゴルフもビジネスの交渉に利用すべきという考えを持っていて、今回もゴルフを通じて意見交換が行われた可能性もあります。

 

安倍首相とトランプ大統領は、世界の首脳で最も多く会っていると言われています。

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今回の来日でも良好な関係を強調しているトランプ大統領ですが、実はもう1つの表情が隠されています。

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この日まではおもてなし要素が強かったのですが、このあと重要な日程がたくさん組まれています。

特に27日は、トランプ大統領にとって大切な1日となりそうです。

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まずは外国の首脳として、初めて天皇皇后両陛下との会見、夜には晩さん会も行われます。

そして日米首脳会談、さらには北朝鮮の拉致被害者家族との面会などが予定されています。

 

ここで注目したいのが、日米首脳会談です。

トランプ大統領は多くの外交問題を抱えていますが、これは日本にとっても大きな影響を及ぼすものばかりなんです。

 

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トランプ大統領の外交問題は日本にも関係することばかりなんだヨーソロー

 

安倍首相は来月中旬にもイランを訪問し、ロウハニ大統領との首脳会談に臨む方向で検討しています。

イラン情勢が緊迫化する中、安倍総理はアメリカとイランの仲介役を担いたいと考えていると思います。

この訪問が実現できるか、その最終的な対応はトランプ大統領との会談の結果も踏まえて決めるものとみられます。

 

さらにアメリカは中国との貿易交渉が激しくなっていますが、それだけでなく、私たち日本にも直接関わる問題が、あすの首脳会談で話し合われる見通しです。

それが、日本とアメリカの間の貿易交渉の課題です。

特に重要なのが、日本の自動車とアメリカの農産物をめぐるものです。

この貿易問題はまだ交渉中で、トランプ大統領はツイッターで「夏の日本の参議院選挙まで待つ」などと投稿しています。

ということで、月曜日の首脳会談で何かを具体的に合意するということにはならなそうです。

 

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「新時代もアツアツ。でもヒヤリ…も?」

今回の大統領訪日は令和新時代の幕開けをお祝いし、日米の蜜月な関係をアピールすることが最大の目的です。

しかし、不確定要素があるとすれば、そこは予測不可能とされるトランプ大統領本人となるでしょう。

突然、貿易赤字の問題などで日本に要求を迫ってくる可能性もあるかもしれません。

あすは首脳会談の後、共同記者会見も予定されており、トランプ大統領の言動から目が離せません。

 

 

2時間目は、イギリスのメイ首相の辞任についてお伝えしました。

EUとの離脱交渉を進めてきたメイ首相、ついに辞任を表明しました。

次の与党の党首候補として世論調査でトップを走るのが、前の外相のボリス・ジョンソン氏です。

EU離脱を主張している「離脱派」の顔と言える人物です。

ジョンソン氏は、メイ首相の離脱方針に反発して去年、外相を辞めました。

2012年のロンドン・オリンピックの時の市長で派手なパフォーマンスでも知られています。

失言が多く、リーダーとしての資質を疑問視する声もありますが国民には人気があります。

離脱問題で行き詰まっている保守党にとっては、国民からの支持を取り戻すきっかけになるかもしれないと、そんな期待もあるようです。

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もしもジョンソン氏が首相になったら、EUとの交渉はさらに難しいものになりそうです。

EUに対して強気な姿勢で交渉に臨み、例えば今ある合意を見直してほしいとEUに求めるとみられます。しかし、離脱の期限は10月末です。

メイ首相が2年あまりかけてもまとめられなかったことを短い時間でやるのはかなり難しいと思います。

「合意なき離脱」になれば、EUとイギリス双方にとって最悪のシナリオになり、イギリスの混乱は続くことになりそうです。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年6月2日のゲストは、伍代夏子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:55 | 固定リンク


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