せかいま美術館

2019年12月12日 (木)

イギリス総選挙 これで決まる?EU離脱

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2019年12月8日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、国際部の大庭雄樹デスク、千里子さん、Mr.シップ、ゲストの小林綾子さん、国際部の佐伯敏デスクです。

 

 

Mr.シップ「おっ立体迷路だ!よし、行ってみよー」。

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「行き止まりだ。まずいな~」。

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「これは、完全に迷ったな~。出口が見えないよ~」。

 

出口が見えないと言えば、迷路に迷い込んでしまったイギリスの「EU離脱」。

12月12日、いよいよ総選挙が行われます。(12月8日の放送日時点)

EU離脱問題に、出口はあるのでしょうか。

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国際部・ヨーロッパ担当の佐伯デスクが解説しました。

 

今回の選挙、結果によっては、今度こそ、EU離脱へ大きく前に進むかもしれません。

選挙では小選挙区の650議席が争われます。

 

まず、ジョンソン首相が率いる与党。

「来年1月末に離脱する」と主張しています。

 

一方、ライバルの野党。

野党は「このままの離脱はだめ」という立場で、離脱するかどうかを決めるための「国民投票」をもう一回、行うと訴えています。

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こちらは、選挙戦の様子です。

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クリスマスマーケットでは、ジョンソン首相が握手や話をして支持を訴えています。

 

ここでひとつ、今回の選挙を表すことばがあります。

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「ブレクスマス」です。

「ブレグジット」はEU離脱という意味で、イギリスの「ブリテン」と、出口の「エグジッド」を掛け合わせた造語です。

さらに、この「ブレグジット」と「クリスマス」を掛け合わせてできた造語が「ブレクスマス」なんです。

 

実は12月の選挙は、イギリスでは100年ぶり。

暗くて寒い冬であることに加えて、クリスマス休暇もあるので、政治家たちは12月の選挙を避けてきたとも言われています。

 

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[なぜイギリスが総選挙をすることになったのか、オレが説明するヨーソロー]

 

国民の期待を一身に背負って、ことし7月に首相になったボリス・ジョンソン氏。

”必ずイギリスをEUから離脱させる”と、約束しました。

ジョンソン首相は、さっそくEUと話し合い、就任からたった3か月で合意することができました。

しかし、イギリス議会には認められず…。

議会には、与党が半分以下のため、ジョンソン首相は総選挙をやろう!ということになりました。

「議会を味方だらけにすれば、EU離脱を邪魔されることはない」と考えたのです。

 

ジョンソン首相が考えるように、総選挙をすれば、EU離脱ができるのでしょうか。

こちらを使って、説明していきます。

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こちらは「うんざり霧」。

この“霧”は、最近のイギリス国内の空気です。

先の見えない離脱の議論が3年も続いたので、国民はいいかげん“うんざり”しています。

そんな空気のなかで「離脱をジョンソン首相に実現してもらおう」と言う声が目立っているんです。

 

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「私も友だちも、離脱についての議論が長引いていることに、うんざりしています」。

「誰もがうんざりしています。企業も家庭も先の見通しをたてることができません」。

 

そんな中、イギリスのテレビでは、連日の報道に飽き飽きしたという声を受けて、離脱問題を扱わないニュース番組も始まりました。

さらにネットメディアには「“離脱不安”私は眠れない」という見出しも。

ことし3月に行われた世論調査では、64%の人が離脱問題によって不安にさいなまれていると回答しています。

別の調査でも、大人の3分の1の心の健康に影響していることが分かりました。

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深刻な場合は、うつ病の原因にもなっているというのです。

 

離脱問題に早く決着をつけてほしいという思いから、支持する政党を変える人まで出てきています。

 

もともとは野党の労働党を支持し、3年前の国民投票では「EU残留」に投票したスティーブンスさんは、住宅を回ってチラシを配るなど、ジョンソン首相率いる保守党を支える活動を行っています。

しかし、今回の選挙では逆に「離脱」に突き進む保守党を支持することに決めたのです。

出口が見えない議論に、うんざりしたからだと言います。

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「国が前へ進むためにはEU離脱という保守党の主張は正しいと思う」。

スティーブンスさんは、不動産への投資や人材を紹介する事業を行っています。

先行きが見えないことで不動産価格は安定せず、優秀な人材も海外に流出し、経営への不安はつきないといいます。

「どういう形でも、いまの状況を抜け出して前に進んでいかなければなりません」。

 

 

イギリスの研究所が行った調査では「離脱のことを聞きたくないから、もうニュースは見ない。」と言う人も増えているそうです。

また、医療や教育など、生活に関わる大切な政策が後回しにされていると感じている人たちもいます。

 

そんな人たちにジョンソン首相は…

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“うんざりの霧”を掃除機で吸っています。

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晴れ間から「離脱にケリをつける」と出てきました。

うんざりした人たちに「自分が勝てば、このもやもやを終わらせる!」と訴えているんです。

就任からたった3か月でEUと合意を結ぶことに成功したわけですから「実行力のある首相」という評価もあり、ジョンソン首相を支持する人は多いんです。

調査会社は、与党が議席の過半数を確保すると予測しています。

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つまり、うんざりしていた人たちがジョンソンさん側へ行ったということです。

 

しかし、選挙の結果がどうなるのか、まだわかりません。

なぜなら、ここにきて「離脱はしたくない」と言う人たちが活動を活発化させているからです。

それが若者たちです。

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若者たちの多くは「EUから離れたくない」と考えていて、選挙では野党に投票するとみられています。

 

EU残留へ国民投票の実施を求める市民のデモには、多くの若者が参加しています。

3年前の国民投票が行われた時、投票権がなかった若者たちもいます。

「EU離脱」という結果に、自分たちの声が十分反映されなかったと強い憤りを感じているのです。

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「前回は投票できませんでした。若者だけでなく、みんなの声が無視されてきたの」。

「今回、18歳で初めて投票します。政府に怒りを感じています」。

 

そうした若者のひとり、18歳のフランク・チェンバレンさんは、生まれたときからイギリスがEUの一員であることが当たり前でした。

“離脱か残留かをめぐる国民投票を再び行う”と訴える野党の労働党を支持し、選挙活動に参加しています。

将来は通訳や外交関係の仕事に就いて、EUのほかの加盟国で働くことを目指しています。

しかし、離脱すれば、ほかの国で働けなくなり、夢を実現できないのではないかと不安を募らせています。

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「なぜチャンスを僕らから奪うのか理解できないよ。EUを離脱すれば移動の自由がなくなってしまう。EUからの離脱を止めたいんだ」。

 

それを裏付けるデータがあります。

「離脱したくない」と答えた人は、18歳から24歳までの若者では実に8割に達しています。

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しかし、年齢が高くなっていくと、その数は減っていきます。

つまり、「離脱したい」という人が増えていくのです。

「離脱したい」という人の中には、年配の世代が多いと言われているんです。

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EU離脱の問題は、「世代間の対立」という側面もあるんです。

 

では、選挙はいったいどうなるのか、今度こそ、EU離脱となるのでしょうか。

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「クリスマスに欲しいのは…」。

イギリスの人たちが何よりも欲しいプレゼントは、どうやら「今のうんざりの状態を早く終わらせる」ということみたいです。

でも、選挙でどちらが勝つにしても、あまり差がつかなければ、これまでの決められない議会になってしまいます。

欲しかったプレゼントはもらえるのか、選挙の結果に注目です。

 

     

 

【この日の時間割】

1. イギリス総選挙 これで決まる?EU離脱

2. 東京2020 ロシア選手の出場は

3. 太りにくい糖がメキシコを救う?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月15日のゲストは、初登場!榊原郁恵さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:37 | 固定リンク


2019年12月05日 (木)

30年前から...プーチン大統領 怒りのワケ

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2019年12月1日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、国際部の石川慎介デスクです。

 

「東京の阿佐ヶ谷にやって来たぞ!紅葉がきれいだな~。」

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Mr.シップと伸さんが訪れたのは、ロシア雑貨のお店。

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「おい伸さん!これ、ロシアのプーチン大統領じゃねえか?」

 

このロシアのプーチン大統領が、いま、アメリカに、とても怒っているようなんです。

そのわけは、30年前の12月3日の出来事にあります。

いったい何があったのか、プーチン大統領のいまを国際部ロシア担当、石川慎介デスクが解説しました。

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30年前の12月3日の出来事を語る上で欠かせないのが「冷戦」です。

第2次世界大戦の直後から、40年以上に渡って続いていました。

冷戦はアメリカ中心のグループと、かつてのソビエト、いまのロシア中心のグループの2つに世界が分かれて起きた対立です。

当時、アメリカとソビエトは、核兵器を次々に開発し、核戦争の恐怖が広がっていました。

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その後、1989年12月3日に会談が行われ「冷戦」が終わりました。

 

しかし、30年がたち「新冷戦」時代に突入したと言われています。

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去年、プーチン大統領がみずからロシア軍の次世代兵器を紹介していました。

実は、その紹介映像のCGの中で、核弾頭を搭載したミサイルが向かった先が、アメリカのフロリダ半島にそっくりな地形だったのです。

フロリダには、トランプ大統領の別荘があるんです。

 

プーチン大統領が強める、アメリカへの対決姿勢。

その意味で、いま「新冷戦」時代だと言われています。

 

プーチン大統領はなぜ、アメリカに対して怒っているのでしょうか。

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怒ったプーチン大統領が入ってきました。

 

まず1つめのプーチン大統領の「怒り」は「約束を守れ!」。

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こちらは冷戦が終結したときのアメリカ中心のグループと、ソビエト中心のグループの勢力図です。

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冷戦終結を宣言した会談のあと、アメリカは「ソビエトのグループを仲間に入れない」、つまり「拡大しない」という約束をしたとされています。

 

冷戦が終わるとソビエト中心のグループはバラバラになり、ソビエトも崩壊しました。

すると、アメリカはみずからが率いる軍事同盟にソビエトの仲間だった国々を、次々に引き込みました。

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アメリカ側のグループは「そんな約束はしていない」と言っていますが、プーチン大統領としては“アメリカの脅威がロシアまで迫ってきている”という意識です。

 

さらに「怒り」の理由2つめは「“弟”を取るな!」です。

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“弟”というのは、ウクライナのことです。

プーチン大統領が「兄弟国家」と言うほど、ロシアにとって特別な国なんです。

その「ウクライナ」でも、5年前に政変が起きてアメリカ寄りの政権が発足しました。

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プーチン大統領は「アメリカが後ろで糸を引いたからだ」と主張しています。

そのため「国を守らなければならない」という思いを強くしているんです。

その思いの原点には、冷戦時代の、みずからの経験があるんです。

 

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[プーチン大統領の冷戦時代の経験を、オレが説明するヨーソロー]

 

ソビエト率いる東側とアメリカ率いる西側が世界を巻き込み争っていた東西冷戦の終わりごろ、プーチン大統領は、東ドイツでスパイ活動をしていました。

そのときベルリンの壁が崩壊。

東側の国がなくなっていくのを目の当たりにしたプーチン大統領は「このままではわが国も…。今こそ国を守ろう」と、思いを強くしました。

 

 

プーチン大統領がアメリカに怒る理由は、まだあります。

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「口出しするな!」です。

 

7年前の映像を見てみると…

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苦戦を強いられた大統領選で、勝利が決まった直後のプーチン大統領が涙を流しています。

本人は「冷たい風で目がしみた」と否定しています。

石川デスクは何度もプーチン大統領を取材しましたが、いつも目が笑っていない印象だったので、このときの大統領の涙には驚いたそうです。

 

この大統領選では、かつてないほどプーチン大統領への批判が高まりました。

実は、当時アメリカが、反プーチン勢力を支援して勢いが増していたのです。

プーチン大統領は、苦戦の原因を作ったのはアメリカだったと思っています。

政権を転覆させられるのではないかという危機感すら抱いたと思います。

だから当選したときに涙が出たのかもしれません。

 

アメリカへの対抗意識を強めるプーチン大統領の姿勢を、ロシアの人たちははどう感じているのか取材しました。

 

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「アメリカは、ロシアを支配しようとしている」。

「アメリカは破壊的で明らかに間違っている政策を続けている」。

プーチン大統領や政権は国営テレビなどを使ってアメリカ批判を展開し、国民の反米感情をあおっています。

 

アメリカへの不信感は、国民の間にも広がっています。

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「アメリカはいつだって敵だ。これからも変わらない」。

プーチン大統領と同様に、冷戦の終結後、ロシアは屈辱的な道のりをたどったととらえる声が根強いのが現状です。

冷戦当時、軍に所属していた男性は、冷戦後のロシアはアメリカに対して弱腰だったと考えています。

「プーチン以前の大統領がアメリカの前にひざまずいて、負けを認めるような姿勢を見せてしまい、経済も軍事力も崩壊してしまった」。

 

こうした状況を一変させたのがプーチン大統領だといいます。

低迷する国内経済を立て直し、外交でも欧米諸国への対抗姿勢を強め「強いロシア」を復活させたと評価しています。

「プーチンは非常に力のある外交官です。彼が外交で負けたことを私は知りません。彼は言葉だけでなく、きちんと実行します。これが私が彼を評価する点です」。

 

ロシア外交の専門家は、アメリカとの緊張関係は今後も続くと指摘します。

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「アメリカとの関係は停滞というより、深刻な崩壊状態にあります。かつての冷戦よりもっと冷たい戦争が始まっているのです」。

 

 

冷戦が終わって、私たちにとっては「平和な時代が来た」と前向きでしたが、ロシアにとっては、むしろ屈辱の歴史の始まりだったんです。

 

そんなロシアが、アメリカに対して具体的にどんなことを行っているかというと「新型兵器」の開発です。

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ロシアは、とんでもなく速い核ミサイルや、探知の難しい核魚雷などの開発を進めています。

さらに、中国との関係を深め、タッグを組んでアメリカに対抗しようとしています。

このほかにも世界各地で、アメリカと対立する国を支援しています。

プーチン大統領のアメリカに対する強硬な姿勢は、当面、変わらないとみられています。

 

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「核の恐怖再び」。

冷戦が終わり、ロシアとアメリカの間には、核兵器を減らしていこうという動きがあったんですが、これが大きな転機を迎えています。

このまま軍拡競争がエスカレートすれば、再び核戦争の恐怖におびえることになるのではないか、世界ではそんな懸念が高まっています。

 

     

 

【この日の時間割】

1.30年前から…プーチン大統領 怒りのワケ

2.さらに悪化? アメリカvs中国

3.オーストラリア 新開発ラム肉のヒミツ

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月8日のゲストは、小林綾子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:51 | 固定リンク


2019年11月28日 (木)

長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

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2019年11月24日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの濱田龍臣さん、国際部の香月隆之デスクです。

 

この日、バチカンから来日したローマ教皇が、長崎・広島を訪問しました。

せかいまでは、被爆地を訪問するローマ教皇の様子をお伝えしました。

 

24日午後、広島空港に到着した、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇です。

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大勢の人から、歓迎されています。

この後、空港から広島市内の平和公園に向かいました。

平和公園には、教皇を心待ちにする大勢の人の姿が見えました。

 

フランシスコ教皇は、どんな人で、なぜ日本を訪れたのか、国際部の香月隆之デスクが解説しました。

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日本に教皇がやって来るのは、ヨハネ・パウロ2世教皇以来、実に38年ぶり。

今回の訪問では、長崎と広島の2つの被爆地を訪れます。

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スケジュールは、こちらです。

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教皇は23日に来日、24日に長崎・広島を訪れています。

24日の午前中には、長崎でスピーチをしました。

その様子をご覧下さい。

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「長崎は、わたしたち人間が過ちを犯しうる存在であるということを、悲しみとおそれとともに意識させてくれます。長崎の浦上教会の被爆十字架とマリア像は、被爆者とその家族が生身に受けられた筆舌に尽くしがたい苦しみを、あらためて思い起こさせてくれる」。

 

フランシスコ教皇がどんな人なのか、こちらを使って説明していきます。

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フランシスコ教皇は6年前にローマ教皇に就任しました。

現在82歳で、実に266代目のローマ教皇とされています。

その歴史は非常に長く、およそ2000年間続いていると言われています。

そして教皇が普段いるのは、バチカンという世界で最も小さい国。

イタリアの首都ローマの中にあります。

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広さは東京ディズニーランドよりも、狭いくらいです。

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[ローマ教皇がキリスト教の中でどんな存在なのか、オレが説明しヨーソロー]

 

まずはプロテスタントです。

プロテスタントは何より聖書が大事。

日曜日の礼拝でも聖書の言葉を聞くことを重視しています。

世界でおよそ5億5千万人の信者がいると言われています。

 

そしてもう1つはカトリック。

カトリックは教会での儀式を大事にします。

教会も豪華で日曜日のミサには毎週大勢の信者が集まります。

信者はおよそ13億人いるといわれていて、日本に来ているローマ教皇が、このカトリックのトップ、最高指導者です。

あの「イエス・キリストの代理人」とされる人なんです。 

 

ローマ教皇には、すごく大きな影響力があります。

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それは、信者だけではなくて、各国の政治家も無視できないほどです。

ヨーロッパやアメリカなどに多くの信者がいますが、そうした国々の政治家たちは、教皇の考えや発言に反対する政策は取りにくくなります。

すると、そうした国々と関わりがある日本のような国も影響を受ける形になるんです。

これまでの教皇の中には、第2次世界大戦のあと、世界が2つに分かれて対立していた「東西冷戦」を終わらせることに大きな役割を果たしたとされる人もいます。

 

今回、日本を訪れたフランシスコ教皇は、ひと言でいうと「改革者」。

教皇が取り組んできた、改革を見ていきます。

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1つ目の改革は「腐敗の防止」です。

教皇のいるバチカンでは、これまで「マフィアとも関係がある」と指摘されたりしていました。

そこでフランシスコ教皇は、外部の企業によってお金の流れをチェックしてもらって、怪しいやりとりが紛れ込んでいないかなどを監視できるようにしました。

 

さらに取り組んだのが、こちら。

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カトリック教会では、聖職者による性的虐待が大問題に。

しかし、問題を起こした聖職者が罰をうけないどころか、それを隠そうとした疑いもありました。

そこでフランシスコ教皇は、虐待に気がついた場合はすぐに連絡するように求めるなど、厳しい対応を打ち出しました。

このほかにも、これまでのカトリック教会にはなかった改革に取り組んできました。

 

 

ことし11月17日、フランシスコ教皇はこの日を「貧しい人のための日」に定め、苦しい生活を送っている人たちばかり、およそ1500人を招いて食事会を行いました。

これまで教皇は雲の上の存在で、そのことが権威につながってきました。

しかし、フランシスコ教皇は人々に寄り添う存在に大きく変えようとしています。

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「助けが必要な人に寄り添ってくれてありがたいです」。

 

同性愛や人工妊娠中絶を認めない立場を維持してきた教会ですが、フランシスコ教皇はそうした人たちを排除するのではなく、困っていれば手をさしのべるべきだという方針を打ち出しました。

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「教会が扉を閉ざしてしまったらその使命を果たせません。懸け橋になるのではなく障害になってしまうのです」。

また、死刑については、一定の条件のもとで認めてきた教会の教えそのものを改めました。

どんな条件でも一切認めず、全世界で廃止されるよう取り組むとしました。

さらに、これまで禁じてきた既婚男性の司祭も、一部の地域では認めるのではないかとみられています。

 

40年以上バチカンを取材してきたジャーナリストのマルコ・ポリティさんは、フランシスコ教皇が進める改革は、カトリック教会を現代の価値観に順応させたと指摘します。

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「これらはすべて新しい、これまでになかった改革です。教皇は、これまでカトリック教会にあった性についてのこだわりを取り除きました。避妊薬や離婚、結婚せずに同棲する若者たち、こんな問題に対する説教はなくなりました。非常に重要な変化です」。

ポリティさんは、保守派の間で反発がくすぶり、教会内でも抵抗は根強いと指摘する一方、それでも教皇は改革を進めていくだろうと言います。

「教会の有力者達の中には教皇が同性愛を敵視しないことをよく思わない人たちがいます。教皇は難しい立場にあります。教会の内部にも外部にも反対勢力が存在するからです。しかし、ゆっくりとではありますが改革は着実に進んでいます」。

 

 

このようにフランシスコ教皇は、これまでにない教皇といえるのですが、日本にとっても関わりの深い分野で力を入れていることがあるんです。

それは…

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「核兵器をなくす」。

これまでのカトリック教会は、相手の攻撃を防ぐために核を「持つ」こともあることは否定していませんでした。

しかし、フランシスコ教皇はこれまでの方針を変えて「核兵器を持つこと自体も断固として許されない」と強い姿勢を示しています。

 

フランシスコ教皇が、どうして、ここまで核兵器をなくすことに強い思いを持っているのか。

こちらをご覧下さい。

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こちらは原爆が投下された直後の長崎で撮影された写真で、亡くなった弟を背負った少年が写っているとされています。

教皇はこの写真に、心を動かされたといいます。

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「この写真を見たとき、胸を打たれた。千の言葉よりも人の心を動かす」。

 

教皇は去年1月、核兵器の悲惨さを知ってもらおうと、この写真をいろんな人に配ったとのことです。 

こうしたきっかけは教皇が20代のときに、広島に原爆が投下された直後の悲惨な様子を聞いたことだといいます。

それ以来、日本を訪れ核兵器をなくすことを訴えたいという思いを抱いていたということです。

今回の訪問は、長年の念願がかなった形なんです。

 

そして、そのフランシスコ教皇が、この写真が撮影されたとされる長崎で、核兵器をなくすことについての思いを語りました。

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「長崎は、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である街です。日ごと武器は、いっそう破壊的になっています。これらは途方もないテロ行為です。核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信を持って、政治をつかさどる指導者の皆さんにお願いします。核兵器は、今日の国際的または国家の、安全保障への脅威から、わたしたちを守ってくれるものではない、そう心に刻んでください」。

このように、核兵器をなくすことを強い言葉で訴えました。

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核兵器の開発自体が「途方もないテロ行為だ」と述べて、きわめて厳しい表現を使ったのが印象的でした。各国の指導者対して、国際的な協力がこれまで以上に必要だというメッセージを伝えたのです。

 

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「被爆者への思い」。

核兵器の使用によって最も影響を受けるのが間違いなく一般の人々です。

フランシスコ教皇はいま核兵器をなくすための議論が進まないからこそ、いま長崎・広島を訪問し、被爆者の苦しみをあらためて世界に発信することが大切だと考えたと思われます。

今回の訪問をきっかけに、核兵器をなくす動きに変化があるのかどうか注目されます。

 

 

 

【この日の時間割】

1.長崎訪問そして広島へ 核廃絶願うローマ教皇

2.イラクのデモでピンチ!? シーア派ベルトって何

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年12月1日のゲストは、鈴木ちなみさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:57 | 固定リンク


2019年11月21日 (木)

先の見えない抗議活動 香港どこに向かうの?

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2019年11月17日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの武井壮さん、国際部の小田真デスクです。

 

香港で政府への抗議活動が始まって5か月がたちました。

ついには、死者が出てしまう事態に…。

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対立がますます激しくなる香港。どこに向かっているのでしょうか。

 

香港の若槻支局長に、現地の様子を聞きました。

こちらではきょうも集会が呼びかけられていて、大勢の市民が政府や警察への怒りを表そうと集まりました。

そして、別の場所では、きょうもデモ隊と警察の激しい衝突が起きました。

香港を象徴するような金融街で、先週は毎日、抗議活動が行われ会社員も大勢参加しました。

警察がそうしたスーツ姿のビジネスマンに向けて催涙弾を撃っているのを見ると、取り締まりが急激に強まったと実感します。

そしてきのう、香港に駐留する中国の軍の兵士たちが、施設の近くの道路で散乱したがれきなどの撤去を行ないました。

施設の外に出るのは異例のことで、「ボランティア活動に見せかけたデモ隊への威嚇だ」との反発も起きています。

さらに、交通機関がマヒするなど、市民生活にも影響が出ていることで、抗議活動に反対する市民とデモ隊との衝突も起きています。

抗議活動の長期化で、デモ隊と政府との対立が激化していることに加えて、社会全体の亀裂も深まっていて香港は出口の見えない重苦しい空気に包まれています。

 

どうしてここまで激しくなったのか、国際部中国担当・小田真デスクが解説しました。

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当初、デモは平和的に行われていました。

しかし、いくら抗議活動をしても香港政府が要求に応じようとしないので、過激な行動に出るようになっているんです。

そもそもなぜ市民がこんなに怒っているのかというと、中国が香港についての「約束」を守っていないと感じているからなんです。

 

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[香港と中国がした“約束”のことを、オレが説明しヨーソロー]

 

19世紀半ばから150年ぐらいの間、香港はイギリスの植民地でした。

それが1997年、中国に返されることになったんです。

しかし、中国は共産党がすべてをコントロールする「一党支配」の国。

中国に戻ったら、生活が変わってしまうのではないか、自由にものを言うこともできなくなるのではないかと、香港の人たちは不安になりました。 

そこで中国は、

「香港の政治や裁判、経済活動などは、香港の人たちでやっていいよ。」

「言いたいことを言える社会も守るよ。」

「こうした制度は、50年間は変えたりしないよ。」と約束しました。

さらに「将来的には、香港政府のトップを香港の人たちが選挙で選べるようにするよ。」と…。

こうして香港は、中国に返されたんです。

本当なら、今から30年ぐらい先までは、自由な社会が約束されていたはずだったんです。

 

香港と中国の約束については、こちらで説明していきます。

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市民、香港政府と警察、そして中国を象徴する龍です。

龍は約束を掲げていますが、今の香港では、これらが守られていないんです。

 

まず「将来的に自分たちでトップを選んでもいい」という約束について。

香港政府のトップは行政長官といいますが、もともとは一部の人たちだけで長官を決めていました。

「それでは約束と違うじゃないか」ということで、 中国は一度は「市民の投票で選べるようにする」と言ったんです。

 

しかし、ふたを開けると、結局、中国寄りの人しか立候補できない仕組みだったんです。

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次は「言いたいことを言える社会を守る」という約束。

実は今、香港では、中国の悪口を言うような本を出すとつかまったり、新聞社やテレビ局にも中国の資金がどんどん流れ込んでいて、中国寄りの報道が目立つようになっています。

 

中国が約束を守ろうとしないのはなぜか。

それは、この人が大いに関係していると言われているんです。

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習近平国家主席になってから、国内の締めつけを強めているんです。

香港との約束を認めてしまうと、中国本土でも同じような要求が出てくるのではないかと恐れているんです。

そのため、抗議活動をする人たちの要求は、絶対に認めません。

 

今月初めには、習主席が香港の行政長官と会談し、抗議活動を徹底的に力で抑え込めという指示を、直接会って伝えました。

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これをきっかけに香港の取り締まりが一気に厳しくなったと感じます。

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2人の会談後に行われた香港警察の取り締まりでは、デモに参加していた学生に対して、至近距離から実弾を発砲しました。

ところかまわず催涙弾を発射し、もはや市民の反応など気にしなくなっています。

逮捕された人の数もこの1週間だけで700人を超えています。

 

「自由が奪われてしまうのならば、香港そのものを壊してしまえ」と、過激な行動に出る若者もいます。

香港のデモに参加する若者を取材しました。

 

ガスマスクやゴーグルを身につけた女性。

過激な抗議活動を行うグループに加わって、最前線で警察と向き合っています。

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「私はバリケードを設置したり、催涙弾を投げ返したりしています。警察と向き合うと、その時は恐怖を感じるけど、怖がってはだめだと自分に言い聞かせています」。

女性も、当初は平和的に抗議活動に参加していました。

ところが、6月12日、警察が大量の催涙弾を打ち込むのを間近で目にしたことが、過激な抗議活動に加わるきっかけになったといいます。

「何も武器を持たないデモ参加者にやさしく対応しようとは、少しも思っていないんだと感じました。それで、私たちは制圧されるだけではなく、過激化すべきではないかと考えたんです。逮捕されて懲役刑になる覚悟はあります。すばらしい香港になってほしいから参加し続けます」。

 

最前線での抗議活動に加わり火炎瓶を投げたりしている男性に、抗議活動に参加する際に持っていく荷物を見せてもらいました。

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「防毒マスク、水泳用ゴーグル。どっちも催涙ガス対策です。それからミニライト。これはいろいろ役に立ちます。夜、道を照らせるし、突然襲撃されたら相手の目に光をあてて、動きを止められるんです」。

 

なぜ、過激な行為を続けるのか。

男性は、警察に対抗するだけでなく、香港の評判を落とすことも目的だと言います。

「『香港は安全ではない』と世界中の人に知ってもらい『国際都市・香港』の価値を落とさないと政府は動かない。力のかぎり抗議活動を続けたい」。

「我々を攻撃するなら、お前たちも道連れだ」。

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このような考え方は、広東語で「攬炒(らむちゃお)」と言われています。

「敵を道連れにして死ぬ」という意味で、一部の若者の間で広がっています。

香港の価値を落とすことで政府を困らせ、そこから突破口を開こうというのです。

「もう香港は安全じゃない。混乱が続けば、ますます安全でなくなるでしょう」。

 

過激な行為には直接参加せず、別の形で支援している人も少なくありません。

けが人の手当てをするボランティアに加わっている男性もいます。

抗議活動に参加する時には止血に使う道具など救急グッズを持ち歩き、いつでも手当てができるようにしています。

「自由な香港」を守りたい気持ちは同じだからです。

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「彼らの苦しみや怒りは理解できます。同じ目標に向かってやっているのだから協力しようと思うんです。抗議活動に参加する人がいるかぎり、けが人が出るかぎり、僕も活動を続けます」。

 

 

彼らはマスクを取ると、どこにでもいるような穏やかな若者です。

そんな若者たちが「ここでやめてしまえば、自分たちの未来はない。」というところまで追い詰められているんです。

いわば「最後の闘い」なんです。

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過激化した香港のデモ、どうすれば解決するのか。

中国が力で抑え込むという指示を出した以上、市民がどんなに声を上げても、事態は変わりません。

そこでカギとなるのが「世界の目」です。

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例えばアメリカやイギリスは「これらの約束を守らないと制裁を加えるぞ」と、にらみをきかせています。

習主席としては、中国の経済にかげりが見える中で、こうした「世界の目」を無視できなくなっているんです。

来年の春には習主席が日本に来る予定ですが、日本の政治家からもこのまま呼んでいいのかという声も出ています。

 

こうした中、市民の声を中国、そして世界に伝える大きなチャンスが1週間後に予定されています。

日本でいうと、地方議会の選挙にあたる「区議会議員選挙」で、行政長官と違い、市民が直接議員を選べます。

市民の意見を届けやすい選挙なんです。

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なので、今回は中国に批判的な人たちが議席を大きく伸ばすのではないかと見られています。

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香港の人たちは今、大きな犠牲を払いながら、ずっと大事にしてきた自由な社会を守ろうとしています。

自由というと空気のように当たり前にあるものだと考えがちだが、実は、意識しなければ、いつかはなくなってしまうものだと教えてくれています。

日本にいる私たちも香港の行く末に思いを寄せることが大切なんだと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1.先の見えない抗議活動 香港どこに向かうの?

2.身柄受け入れで押し問答 男の正体は…

3.「貧困・障害に乗り越えて」ベトナム人デザイナーの挑戦

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月24日のゲストは、濱田龍臣さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:24 | 固定リンク


2019年11月14日 (木)

ベルリンの壁崩壊 30年たったけれど

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2019年11月10日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの井頭愛海さん、国際部の長尾香里デスクです。

 

崩壊から30年を迎えたベルリンの壁。

ベルリンの壁の崩壊は、国際的にも大事件でした。

9日に行われた式典では、メルケル首相など多くの人たちが、ベルリンの壁を越えようとして犠牲になった人々を追悼しました。

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「自由を求めてこの壁で亡くなった人々を忘れない」。

夜には、記念のイベントも行われ、会場には数千人の人々が集まり壁の崩壊から30年を祝いました。

 

「30年前にベルリンで壁がなくなり、自由に行き来できるようになったんだ」。

「私たちがずっと夢見ていたことが現実となったの」。

 

壁がなくなった後、今のドイツがどうなっているのか、国際部の長尾香里デスクが解説しました。

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ベルリンの壁は1961年から1989年まで、あった壁です。

高さ3メートルを超え、距離は155キロありました。

ベルリンの西半分を、ぐるっと取り囲むように立っていました。

 

こちら、ベルリンの壁があった時代の地図です。

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ベルリンの壁は、「自由な経済」を目指すアメリカ中心の資本主義陣営と、貧富の差がない「平等な社会」を目指すソビエト中心の社会主義陣営との、戦いの象徴だったんです。

「自由な経済」を目指す資本主義の国は主に西側、

「平等な社会」を目指す社会主義の国は主に東側にあったので、

第2次世界大戦のあとの40年以上は、「東西冷戦」の時代と呼ばれ、世界は2つに分かれて、対立していたんです。

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ドイツも、「西ドイツ」と「東ドイツ」に分かれていました。

冷戦のころは、核戦争が起きるかもしれないと、おびえるような時代だったんです。

なぜ、ベルリンに壁が必要だったのでしょうか。

 

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[どうしてベルリンの壁が建てられたのか、オレが説明するヨーソロー] 

 

第2次世界大戦後、1949年に西ドイツと東ドイツに分けられたドイツ。

首都があったベルリンは、さらに西と東に分けられました。

西ドイツは、アメリカなどの支援もあってぐんぐん経済成長していきました。

 

一方で、東ドイツは物を手に入れるのもひと苦労で、秘密警察に監視されていて、人々は自由のない生活を強いられていました。

自由で良い暮らしを求めた東ドイツの人々の多くが西ドイツに逃げ、人口の15%が逃げたとも言われています。

そして1961年、突如として現れたのが、ベルリンの壁。

東ドイツは、ベルリンの西側をグルッと壁で囲って、西ドイツに逃げられないようにしてしまいました。

 

 

東ドイツは、平等を目指す社会主義だったため、物は安かったんですが、売られている量が少なくて並ばないと買えない状況でした。

また「秘密警察」と言われる人たちが市民の会話を盗聴するのも当たり前で、自由のない監視社会だったんです。

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ベルリンの壁の近くにあった監視塔では、人々が壁を越えないように監視をしていて、壁を超えようとした人たちのなかには、射殺された人もいました。

 

こうした状態が続いたため、人々の自由を求める気持ちが高まり…

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ベルリンの壁が崩壊したんです。

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壁が壊れたことで、西ドイツと東ドイツの人たちは、両方を行き来できるようになりました。

自由に行き来できるようになったということは、監視する必要がなくなり、物もいっぱい入ってくるようになったので、物が少なくて困るということもなくなりました。

 

こうして、東ドイツの人たちは喜んだわけです。

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そして、東ドイツがなくなって、1つの国になりました。

ドイツだけでなく、東側の他の国も次々と「自由な経済」を目指す国に変わっていきました。

そして、東西冷戦がついに終わったんです。

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壁崩壊から30年がたちましたが、ベルリン中心部のベルナウアー通りには、いまも壁の一部が残されています。

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大規模な開発が進んだポツダム広場は、近代的な建物が建ち並び、壁は記念碑に変わりました。

ほかの地区でも大部分の壁が壊されてしまいました。

 

そうしたなか、ベルリンの壁の姿を実感したいという声に応えて、新しい試みが始まっているんです。

スマホのカメラをかざすと、そこにあったかつての壁を立体的に再現してくれるアプリです。

実際の映像にすぐCGを合成する拡張現実の技術を使ったアプリで、多くの観光客が使っています。

 

 

ベルリンの壁が崩壊して、確かに旧東ドイツの経済は成長しました。

しかし、人々が期待したほど、豊かにはならなかったんです。

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旧東ドイツ市民に対する調査では「東西統一が成功したと感じている」と答えた人は、38%しかいないんです。

さらに、57%が自分のことを「2級市民」と思っています。

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2級市民とは、つまり「劣等感」。

旧東ドイツの人たちは、旧西ドイツにいた人たちに対して、いまだに劣等感を抱いているんです。

現在の給料の平均を比べてみると、東ドイツだった地域の人の給料は、西ドイツだった地域の人より15%安く、さらに企業の幹部も、西側の人たちが占めていることが多いんです。

明らかに差別されている訳ではないけれど、東側の人たちは出世しにくい実態があるそうです。

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どうして、こういう差が生まれたのかというと、東ドイツの人のなかには「競争に馴染めない人」も多くいました。

旧東ドイツの人たちにとっては、これまで生きてきた環境がガラッと変わってしまったというのが大きいです。

壁を崩壊前は、平等が大事な社会主義だったので、多くを望まなければ安定した暮らしを続けることができました。

ところが突然、自由な経済を求める西側の国の人たちと同じように競争しなければいけなくなって、ついていけなくなりました。

特に30代や40代以上など、年齢が上になるほど、そのような傾向があるようです。

 

東側のほかの国は、どうなっているのでしょうか。

ルーマニアを見てみましょう。

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ルーマニアは、東ヨーロッパの国です。

かつては、四半世紀にわたり、チャウシェスク元大統領による独裁体制が続く社会主義国でした。

しかし、ベルリンの壁の崩壊後、民衆が立ち上がり終止符が打たれます。

 

2007年にはEUにも加盟し、市民は自由や繁栄を期待していました。

しかし、今では「安定した未来が見えない」「革命前と比べて発達していない」「国を離れようと考えたことがある」など、失望や不満の声が相次いでいます。

 

その要因は、西側の国々との経済格差です。

ルーマニアの国民1人あたりのGDPはEU平均の3分の1ほどで、EUで最も貧しい国の1つとも言われています。

専門家は、経済格差を背景に、賃金が高く、社会制度が充実した西側の国に人々が流出する動きが強まっていると指摘します。

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「ルーマニアの人口減少は、シリアなど紛争国と同じペースになっています。さらに深刻なのが、労働力人口の3割が国外に出てしまっていることです」。

 

人口流出の影響は、医療の現場にも及んでいます。

首都ブカレストで最大級の病院では、この30年で優秀な若い医師の多くが、イギリスやドイツへ出て行ったと言います。

給与が高く、医療設備も充実していて、キャリアアップが望めるからです。

その結果、ルーマニアでは医師が不足し、患者に十分な医療を提供できない事態に陥っているのです。

 

地方の人口流出は、いっそう深刻です。

かつて炭鉱業などが盛んだったボティザ村は、炭鉱が12年前に閉鎖され、地元には仕事がありません。

働き盛りの若者たちは出稼ぎに出るしかなく、村には老人と子どもばかりです。

村の住民のマリア・ペトレウッシュさんは夫と娘がイギリスやドイツへ出稼ぎに出ていて、生活の多くをその仕送りに頼っています。

ペトレウッシュさんは、若者が次々と国を離れてしまうルーマニアの将来に希望を見いだせないと感じています。

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「もっと生活が良くなると思っていたけど、もう希望はありません。30年間、何も変わらなかったし、これからもっと悪くなるかもしれない。チャウシェスク元大統領も良くなかったけど、今よりはマシだわ」。

 

 

こうした状況になっているのは、ルーマニアだけではありません。

東側だった国の人たちは、豊かになれないと不満を募らせているんです。

この状況は、ベルリンの壁がなくなって東と西の分断が終わって以降、国外に出ていってしまった人の数を見てみるとわかります。

ルーマニアでは人口の10%以上、ブルガリアとエストニアでは15%以上、ラトビアでは25%以上というように、各国で、特に若者を中心に西側の国へ出る人が相次いでいます。  

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ベルリンの壁の崩壊は「みんなが豊かで自由になりたい」という人々の強い思いからでした。

でもいざ壁がなくなってみると、豊かな人はより豊かになったけど、変化について行けなかった人は、ドイツで見たように「出世できない」「給料が低い」というように、取り残されてしまう状況が、東ヨーロッパの国々で起こっているんです。

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「新しい壁」。

東西を隔てていたコンクリートの壁はなくなったけれど、埋まらない格差が、さらに高い新しい壁となっています。

ヨーロッパは、戦争や対立を繰り返さないために壁を取り払って、一生懸命、統合を進めてましたが、格差がそれを阻んでいます。

格差がまた新しい対立を生むようなことにはなってほしくないと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1. ベルリンの壁崩壊 30年たったけれど

2. イラクの避難民キャンプ なぜ?学校に行けない子

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月17日のゲストは、武井壮さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:04 | 固定リンク


2019年11月07日 (木)

キャラが濃い顔ぶれ!?アメリカ大統領選挙あと1年

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2019年11月3日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

 

「ついにアメリカにやって来たぜ!!」。

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Mr.シップと永井キャスターが訪れたのは、東京の福生市。

ここにはアメリカ軍の基地があり、アメリカが感じられる街なんです。

 

アメリカ大統領選挙まで、あと1年。

再選を目指すトランプ大統領は、誰とたたかうのでしょうか?

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国際部・アメリカ担当の花澤雄一郎デスクが解説しました。

トランプ大統領は、来年11月3日の大統領選挙での再選を目指していますが、その戦う相手が、いよいよ見え始めています。

その相手も負けず劣らず「キャラの濃い人」になるかもしれないんです。

誰がいったい大統領になるのか、世界にも影響が大きいですし、私たち日本への影響も大きいので、どうなるのか、見ていきましょう。

 

まずはこちら。

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アメリカには、共和党と民主党の2つの大きな政党があります。

そして、トランプ大統領は共和党の代表です。

その対戦相手となる民主党の候補者選びが、年が明けると始まります。

中でも有力な3人について説明していきます。

 

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来年のアメリカ大統領選挙で、トランプ大統領とたたかう民主党の有力な3人を紹介するヨーソロー

 

打倒トランプ大統領を目指す、つわものは、全員、元気な70代です。

 

1人目は、バイデン氏、76歳。

いわゆる「フツーのおじさん」です。

オバマ政権で、副大統領をつとめました。

 

2人目は、ウォーレン氏、70歳。

大企業が嫌いで、大統領になったら大企業を解体すると言っています。

 

3人目は、サンダース氏、78歳。

最高齢の「ミスター格差」。

むかしから、貧しい人とお金持ちの間に広がる格差を縮めようと、訴えてきました。

 

この人たちの考えを知るためには、まず2つの政党の考え方を知る必要があります。

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トランプ大統領がいる共和党が大切にしているのは「強いアメリカ」や「伝統」です。

「強いアメリカこそが、国を発展させていく」という考え方です。

 

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一方で、民主党が大切にしているのは「弱者に優しい」社会。

貧しい人、弱い人は、政府が支えるべきだという考え方です。

 

ただ、どちらの党も人によってこうした考えが強かったり弱かったりします。

どういうことなのか、みなさんの考え方をこちらのメーターで見ていきましょう。

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より共和党度の高い人たちは、どんどん色の濃い赤色にいって、より民主党度の高い人たちは、どんどん青色の濃い左にいきます。

 

トランプ大統領は共和党の考えが特に濃い存在です。

「アメリカファースト」「強いアメリカ」を訴えていますよね。

 

対する民主党ですが、まず「ふつーのおじさん」のバイデン氏は、民主党の中でも、濃度は薄めです。

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オバマ政権では8年間副大統領をつとめたので、知名度もありますし、安定感も売りです。

 

続いて、「ミスター格差」のサンダース氏。

この人は、民主党的考え方の濃度が、限界ぎりぎりというぐらい濃い人です。

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格差の解消が最大の目的で「1%の富裕層が富を独占しているのはおかしい」というのが決まり文句です。

前回4年前の民主党の候補者選びでも、この主張1本で若者の絶大な支持を集めました。

まだ人気があるんですが、78歳と高齢ですし、健康不安もあります。

 

そこで、代わりに台頭しているのが「大企業嫌い」のウォーレン氏。

民主党の濃度がどっちが濃いかと、サンダース氏と競い合ってるような状況です。

やはり格差の解消を求めていて、怒りの矛先は大企業や富裕層に向いています。

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この2人のような民主党濃度の高い人たちは、「急進左派」と呼ばれています。

 

こちらが、最新の世論調査です。

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いろいろな調査の平均値なんですが、

1位 バイデン氏 28%。

2位 ウォーレン氏 20%。

3位 サンダース氏 17%。

となっていて、それ以下を引き離しています。

 

バイデン氏がトップですが、勢いがあるのは「急進左派」です。

2人をあわせた支持は4割強を占めます。

それだけ、いまアメリカでは格差に対する不満が強いんです。

 

ただ、両極端の考えは、危険な一面もあります。

例えば「経済政策」で見ていきましょう。

まず共和党ですが、企業にできるだけ自由に競争させた方が経済が成長する、それがアメリカを強くする、という考えがあります。

トランプ大統領は企業が払う税金を安くするなど「大企業に優しい」政策を取りました。

実際、景気もよくなったし、失業率も非常に低くなった。

ただ、一方で金持ちはどんどん豊かになり、格差がより広がっていくという危険も指摘されています。

 

一方、「弱者に優しい」サンダース氏とウォーレン氏は、格差を縮めようと、逆に「企業やお金持ちの税金を高くするべき」など「大企業と富裕層に厳しい」政策をとっています。

 

「大企業嫌い」なウォーレン氏は、グーグルなど大手IT企業の「GAFA(ガーファ)」を解体すべきだ、とまで訴えているんです。

「大企業を解体しよう。フェイスブックのザッカーバーグCEO!あなたのことよ!」。

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アメリカ経済をひっぱってきた大企業をばらばらにしてしまうと、経済に悪影響が出て、逆に貧しい人が増える、格差が広がる、と危険性を懸念する声もあります。

 

もうひとつ「移民政策」を例に見ていきましょう。

トランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を作るなど「不法移民に厳しい」姿勢を取っています。

 

これに対して、サンダースさんとウォーレンさんは「不法移民にも寛容」な対応を訴えています。

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この両極端の考え方で、いまアメリカ社会は、大きく分断される深刻な事態になっているんです。

 

 

民主党支持者が多いカリフォルニア州では、移民を積極的に受け入れていて、全米の4分の1・300万人近くの不法移民が暮らしているという推計もあります。

そうした移民に対しては、手厚い支援が行われています。

 

特に目立つのが、教育面での支援です。

カリフォルニア州には、不法入国の学生らを対象にした専門の窓口を設けて、経済面での相談に応じる大学があります。

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「不法移民の学生でももらえる、州の奨学金があります」。

「相談窓口の人たちは、親切でとてもうれしいです」。

「肌の色や国籍は関係ありません。私たちは差別しません。カリフォルニアは移民に優しいんです」。

 

しかし、カリフォルニア州に住む共和党支持者からは、州が進める移民への寛容な政策や貧困層の支援といったいわゆる「リベラル」な政策に反対する声もあがっています。

カリフォルニア州がリベラル化することに反対する人が集まり集会が開かれました。

参加した人たちは「不法移民反対派と賛成派でカリフォルニア州を2つに分割しよう」という目標を掲げていました。

 

移民に寛容なカリフォルニア州に耐えられないと、共和党支持者が多いテキサス州に移住した人もいます。共和党支持者のポール・シャボーさんは、3年前、4人の子どもと妻とともにカリフォルニアからテキサスに引っ越しました。

不法移民が増えて治安が悪化したと感じていましたが、民主党に支配されたカリフォルニア州は、対応を変えないだろうと考えたからです。

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「学校は荒れていて、治安も制御不能です。でも民主党がすべてを牛耳っているから、わたしたち共和党の意見は通らないんです」。

シャボーさんは、カリフォルニアに住む共和党支持者に対して「移住しよう」と呼びかけています。

「ウェブサイトなどへのアクセスが1日に数万件あるんですよ」。

 

最近の世論調査では、カリフォルニアの共和党支持者の4分の3が「もうカリフォルニアには住みたくない」と回答したといいます。

 

シャボーさんの呼びかけに応じて、実際に移住を決めた共和党支持者もいます。

生まれ故郷のカリフォルニアを離れ、テキサスに永住する決意をした男性は、

「カリフォルニアのリベラルな地域では、自分が共和党支持者だなんて怖くて言えない。考えを口にすることすらできないんです」。

 

「住み分け」とも言えるこうした行動が、社会の二極化をあおっているのではないか。

シャボーさんにそう質問すると「民主党が極端すぎるせいだ」という答えが返ってきました。

「私たち共和党は、以前と変わっていません。民主党が、あまりにも極端になってしまった。私たちにとって話し合う余地はありません」。

 

 

両極端に見えるトランプ大統領と民主党の急進左派ですが、実はそもそも根っこは同じものなんです。

それは、「現状への不満」です。

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自分たちの不満や怒りを胸のすくような言葉で代弁してくれる政治家を強く支持する、という現象です。

例えば、大企業や富裕層に不満を持つ人たちは、サンダース氏やウォーレン氏の言葉に吸い寄せられ、また別の人たちは不法移民が仕事を奪っている、とか、ルールを破る中国が仕事を奪っている、というトランプ大統領の言葉にそうだ!と熱狂します。

考え方の違いから2つに分かれ、互いを憎しみ合うところまで分断が進んできました。

 

一方、バイデン氏なら、比較的常識的な政策になりそうですが、それだとこの人たちの不満はさらに大きくなる可能性もあります。

 

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「感情の政治」。

アメリカ社会が真っ二つに割れ両極化した結果、どちらが大統領になるかで、政策も極端から極端に触れることになります。

その根本にある人々の不満を解消しない限り、この流れは止まらないのかもしれません。

世界のリーダーであるはずのアメリカは、不満に根ざした極端な政治を続けるのか、それとも安定を目指すのか。

来年2月に始まる民主党の候補者選びが大きなカギを握っています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.キャラが濃い顔ぶれ!? アメリカ大統領選挙あと1年

2.イギリスまさかの総選挙 さらに混迷?EU離脱

3.ニューヨーク式 クールなリサイクル

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月10日のゲストは、初登場!井頭愛海さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:20 | 固定リンク


2019年10月31日 (木)

大統領にガッカリだ!インドネシア抗議デモ

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2019年9月27日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山、国際部の清水一臣デスクです。

 

 

「突然だが、オレ、Mr.シップからクイズだ!」

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「あるときはボクシング。そして、あるときはオートバイでツーリング。誰かわかるかな?」

 

・・・・・・・

 

「正解はインドネシアのジョコ大統領。『国民の平等を実現するために闘いたい』。選挙で当選した時は、こんなこと言ってたんだけど…。」

 

 

いま、インドネシアでは、各地でデモが起きています。

いったいどうなっているのか、ジャカルタ支局の川島支局長に現地の状況を聞きました。

 

先月下旬以降、首都ジャカルタだけでなく、国内各地で大規模なデモが行われてきましたが、最近は警察が参加者を監視するなどして、取り締まりを強化するようになっています。

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一連のデモは、国民の声を無視した政策を相次いで打ち出す政府や議会に対して、学生らが抗議しているもので、警察との衝突で2人が死亡しています。

ジャカルタではデモが数万人規模まで膨れあがり、道路が封鎖されるなど市民生活にも影響が出ました。

それでも世論調査では、6割以上の国民がデモを支持していて政府への反発は強まっています。

こうしたなか、ジョコ大統領は最大野党の党首を新政権の閣僚に選びました。

野党も政権に取り込まれたことで、国民の間では、このままでは政府への批判が許されない強権的な国になってしまうという、懸念や不満が高まっています。

再び大規模なデモに発展する可能性も指摘されています。

 

 

いまのインドネシアについて、国際部・アジア担当の清水一臣デスクが解説しました。             

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なぜデモがおきているのかというと、国民が「大統領に期待を裏切られた」という不満をつのらせているからなんです。

裏切りとはどういうことなのか、その大統領登場です。

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インドネシアのジョコ大統領です。

インドネシアの街なかを気持ち良さそうに走っています。

 

ジョコ大統領は、貧しい家庭の出身だったのですが、苦労を重ね大統領にまで登り詰めました。

庶民的な大統領として国民から高い人気を集めてきました。

人気の理由は汚職などとは無縁の「クリーン」なイメージ。

そして「市民との対話」も重視。

さらに、宗教や性別で差別しないと「多様性」も大切にしてきました。

つまり「国民のため」の政治を掲げてきました。

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でも、こちらをご覧下さい。

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インドネシアの週刊誌の表紙です。

このジョコ大統領の影、鼻が高くなっているように見えますよね?

うそをつけばつくほど、鼻がのびるピノキオになぞらえて、大統領は嘘つきではないかと批判する、風刺になっています。

ことし4月に行われた大統領選でも再選を果たしたんですが、選挙のあと、急激に政策が変わってきたことでデモが起きてるんです。

 

ジョコ大統領はどう変わったのでしょうか。

まずはひとつめ、ジョコ大統領はもともと「クリーン」な姿勢でしたが、「政治家や公務員の汚職に甘い」国に戻してしまおうとしているんです。

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「クリーン」のタイヤを置き去りにして、「汚職に甘い」というタイヤが出てきました。

というのも、インドネシアはもともと「汚職は文化」とも言われるほど、社会にまん延しているんです。

どんな汚職があるのかというと、例えばこちら。

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役所の窓口に長い列ができているとき、インドネシアでは申請書類の間に現金をはさんで受付に渡して、順番を早めてもうらうのが常識なんです。

政治家や役人が多額の現金を受け取ることも多く、市民生活から政治の世界まで汚職がはびこっているんです。

 

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[インドネシアには「汚職撲滅委員会(KPK)」っていう組織があるんだヨーソロー]

 

2003年に汚職を一掃しようと生まれた組織が、KPK。

汚職事件を専門的に扱い、政治家や役人、裁判官などが汚職に手を染めていないか、常に目を光らせています。

汚職が疑われる人には、国の外に出ることを禁じたり、会話を盗聴することも認められていて、警察と同じように、逮捕することもできます。

そして何より、政府や警察、検察から完全に独立しているため、圧力を受けることなく、どんな偉い人でも調べることができるのです。

これまでに議会の議長や、現職の大臣など、権力の中枢にいる超大物も捕まえてきました。

 

国民の絶大な支持を集めるKPKなんですが、いま、ジョコ大統領にとって、どんどんわずらわしい存在になってきている面があるんです。

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というのも、国をあげての大きなプロジェクトを進めようとするとき、KPKに目をつけられると、なかなか先に進めるのが難しくなってしまいます。

シップにもあったように、議員もこれまでKPKに逮捕されてきました。

そうしたなかで、先月、KPKの捜査の権限などを大幅に制限する改正案が、あっという間に可決されてしまったんです。

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看板がかたむいてしまいました。

このままでは、さらに「汚職に甘い」国になってしまうかもしれないということですね。

 

続いて「市民との対話」はどう変わってしまうのか。

市民との対話を大切にするといっていたジョコ大統領でしたが、「自分に対する批判は許さない」という姿勢に変わったんです。

政府が議会と提案した刑法の改正案の中には、「大統領と副大統領を中傷する行為は違法」という内容が含まれていました。

つまり、ジョコ大統領を批判したら逮捕されてしまうという法律をつくってしまおうというものです。

 

さらに「多様性」を大切にしてきたジョコ大統領ですが、「多様な考えは認めない」という考えに変わろうとしています。

というのも、刑法の改正案にはこんな内容が含まれているんです。

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「同性愛の禁止」

 

「人工妊娠中絶禁止」

 

「結婚前のカップルが一緒に住んではいけない」

個人の自由やプライバシーを侵害する内容ですよね。

外国人にも適用されるおそれもあって、私たちが旅行するときも関係するかもしれません。

 

なぜこんなふうに変わってしまったのでしょうか。

 

内容よく見てみると、イスラム教の教えを重視する人たちの考えを色濃く反映したものになっているんです。

ジョコ大統領は、2期目の選挙でこうしたイスラム教の教えを重視する人たちに大きな支援を受けたので、彼らの考えを政策に反映しなくてはいけない事態になっているからです。

もし、「批判はダメ」「多様な考え認めない」といった2つの内容を含む法案が通ってしまえば、自由な発言も許されず、少数派の人たちの意見も権利も認めてもらえなくなってしまいます。

かつてインドネシアにあった、独裁的な政権のようになってしまうかもしれません。

 

国民はいまどんなことを感じているのか、デモに参加する学生を取材しました。

 

ジャカルタの大学で機械工学を学ぶムハマッドさんは、学生の自治組織の代表を務めデモに参加しています。

かつてはジョコ大統領を支持していましたが、再選後の大統領の姿勢に“このままでは自由が奪われる”と危機感を抱いています。

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「ジョコ大統領は政治的利益ばかり考えているんだ。刑法が改正され、大統領を批判するだけで刑務所に入れられてしまう、そういう事態を私たちはおそれているんです」。

 

ムハマッドさんの呼びかけで、6000人もの学生がデモに参加しました。

いまは、抗議活動をどうひろげていくのか、仲間たちと話し合いを続けています。

 

大統領の姿勢に市民からも懸念の声が上がっています。

「驚いています。よく知らされないまま法律が改正されています」。

「私の考えでは民主主義が後退しています」。

 

政治と民主化運動の専門家は、このまま法改正が続けば少数派を差別し、政府批判を許さない国になると

ジョコ大統領を厳しく批判しています。

「ジョコ大統領は非常に視野が狭くインフラ整備や経済発展しか考えていない。厳しい法律ができていけばインドネシアは破滅的な事態となるでしょう」。

 

ムハマッドさんは、大統領が人々の訴えを聞き入れるまで闘い続けるつもりです。

「民主主義がいま、逆戻りしています。私たちは通りに出てデモを続けます。国民の願う社会になるまで。それが私たちの義務です」。

 

 

このままではインドネシアは破滅的な事態に向かっていくかもしれません。

さきほど中継でも触れた最大野党の党首ですが、実はかつての独裁政権で、軍の幹部として民主活動家の拉致事件に関与した疑いもあるいわくつきの人物です。

当時の記憶が、いまだ多くの国民の脳裏に残っています。

新しい法律に加え、最大野党まで政府と一体となったことで、国民の危機感は、さらに高まっています。

 

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インドネシアを取り巻く状況は、「崖っぷち」です。

20年ほど前、インドネシアの国民は30年以上続いた独裁政権に、怒りの声をあげて退陣に追い込み、政治を自分たちの手に取り戻しました。

多くの犠牲を払って政治を取り戻したはずが、いま、再び独裁政治に向かっていきかねない状況です。

今後、国民の反発を無視して法律が成立するのか。

インドネシアの今後を大きく左右する重大な局面を迎えています。

 

 

【この日の時間割】

1.大統領にガッカリだ! インドネシア抗議デモ

2.アメリカ軍が撤退&トルコが攻撃 怒るクルド人

3.目指せニッポンの酒蔵 ラオス酒造りの村

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年11月3日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:36 | 固定リンク


2019年10月10日 (木)

"使い捨てプラ"禁止に... インドで深刻ごみ事情

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2019年10月6日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのトラウデン直美さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

西葛西を歩けば、あっちにもこっちにも、インドの人たち。

このあたりは「リトル・インディア」と呼ばれ、インドの食材を扱うお店がたくさん並んでいます。

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こうしたカラフルなスパイス、インドではこのような袋での販売ができなくなるかもしれません。

 

世界中で大きな問題となっているのが、プラスチックごみ。

ここインドでも、深刻な事態を引き起こしています。

そこで、インドのモディ首相が大きな決断をしました。

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ニューデリー支局の小林潤支局長が中継で解説しました。

実はモディ首相は今月2日の演説で、使い捨てプラスチックを3年後の2022年までに全面的に禁止する方針を示したんです。

インドでは、プラスチックごみは、健康や生活への直接的な脅威となっているんです。

こちらをご覧ください。

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ニューデリーの中心部からそんなに遠くない所ですが、道端にごみが散乱しています。

レジ袋、プラスチックカップなど、あらゆる使い捨てのプラスチックが捨てられています。

特に貧困層が住んでいる地域では、ごみの収集が十分に行われていないため、そのまま捨てられてしまっています。

捨てられたごみを、動物たちが食べる姿も見られます。

地域にはごみを回収するボックスがありますが、誰もこの中に捨てず、子どもの遊び場になっています。

公式のごみ捨て場ではないと思われる、列車の操車場の前の広場にも、地域のごみ捨て場になってます。

 

ニューデリー近郊にはこんな場所もあります。

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積み上げられたごみの山です。高さは65m。

来年には、高さ73mの世界遺産「タージマハル」を超えるのではないかと言われています。

 

インドではプラスチックごみによると見られる健康被害も報告されています。

また、プラスチックごみが排水をつまらせて洪水を引き起こしたり、都市機能を停止させるかもしれないと心配されているんです。

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そのため、いっそのことプラスチックごみを禁止しようということなんです。

モディ首相は、環境の改善は国家の緊急の課題だとしています。

 

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[インドのモディ首相は「きれいなインド運動」を提唱していろんなことをしてきたんだヨーソロー!] 

 

インドでは昔から地方を中心にトイレがない家が多く、感染症がまん延し、命を落とす子どももいました。

このままではいけないと、政府がお金を投じて国中にトイレを整備。

おかげでこの5年間で家庭用トイレが爆発的に普及したんです。

 

他にも、大気汚染が酷くなったため、電気自動車を普及させたりしました。

こうしてモディ首相は、就任以来「きれいなインド運動」を提唱しいろんなことをしてきたんです。

だから、町中がごみで散らかってることが許せないんです。

 

とは言っても、使い捨てプラスチックを禁止するというのは可能なのでしょうか。

 

実は去年から、使い捨てプラスチック製品の使用を禁止している州があるんです。

インドで最も多くの人が暮らす都市、ムンバイを含むマハラシュトラ州では、去年6月から全面的なプラスチック規制を行っています。

いわゆるレジ袋や、スプーン、フォークなどの食器、小さいペットボトルなど、使い捨てのプラスチック製品の製造や使用を禁止しています。

違反すると、企業や店だけでなく一般の人も処罰されます。

1回目の違反で5000ルピー、日本円で8000円近い罰金が科せられます。

3回目以降の違反では、罰金が5倍になり、3か月の禁固刑も科せられます。

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いまでは布や紙の買い物袋を持つ人が増え、規制を歓迎する声も出ていました。

町の人は。

「排水溝にプラスチックごみがつまると水があふれ、家が水浸しになることもあるんです。布の袋を持って歩くのは当然のことです」。

「神聖な牛がプラスチックを食べたら大問題です。プラスチックが禁止されてよかったです」。

 

一方で、規制を守らない人たちもいます。

市場にある果物を売る店では、カットした新鮮なパイナップルをプラスチック製の袋に入れて販売しています。

州の規制では、食品を包むプラスチック製の袋は、一定の厚さがあってリサイクルできるものに限られています。

ところが、この店では禁止されている薄い袋を今も使っています。

リサイクル可能な厚い袋は色が濃いので、中のパイナップルが新鮮に見えないというのです。

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「薄い袋だと見栄えがいいですが、厚い袋だと、パイナップルを切ってから時間が経ったように見えるんです」。

別の店を経営する人は。

「許可された袋は高くて、われわれが買える範囲を超えています。禁止するのはいいですが、その前に代わりをどうするか決めるべきです」。

 

行政は規制や罰則を設けて、強い姿勢で臨みましたが、小売業界などからの反発は強く、規制は形だけになっているという指摘もあります。

産業界からも、モディ首相の政策は「急ぎすぎだ」という声が上がっています。

「あまりにも急に政策を変更すると、われわれの生計の手段を奪ってしまいます。消費者は分別せずごみを出し続け、政府も適切に機能していないのに、流通全体のほんの一部のプラスチック業者ばかり責められています」。

 

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「環境・衛生」と「経済」のボールを持ったインド象が出てきました。

 

モディ首相は環境を良くしようと取り組んでいますが、安くて加工しやすいプラスチック製品を禁止すれば、当然、困る会社も出てきます。

環境を重視すれば、経済が下がってしまいます。

今回、モディ首相は一部のプラスチック製品を、直ちに全面禁止にするのではないかという見方もあったんですが、そこまでは踏み込みませんでした。

経済への悪影響を考えたためだと思います。

しかし、経済だけを重視して環境が悪いままだと、イメージも悪いですし海外からの投資が減るなど経済にもブレーキがかかってしまいます。

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だからこそ、モディ首相は2022年と具体的に時期を区切って、やり遂げると表明したのだと思います。

 

プラスチックごみに対する危機感はインド以外のアジアの国々でも高まっています。

こんな取り組みも行われているんです。

タイの南部には“脱プラスチック”を掲げる市場「ごみゼロマーケット」があります。

使われているのは、竹の容器。

ストローも竹でできています。

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市場には150以上の店が集まっていて、出店の条件は「プラスチックを使わないこと」です。

こうした珍しい取り組みが評判を呼び、多くの客が訪れるようになりました。

 

一方、インドネシアのビーチリゾートとして人気のバリ島でも、脱プラスチックを呼びかける動きが広がり始めています。

きっかけは、バリ島の海に漂う大量のプラスチックごみと、その中を泳ぐエイの映像が公開されたことでした。

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こちらの買い物袋は「タピオカ」の原料にもなっている、キャッサバという芋から作られているんです。

キャッサバは、インドネシア各地で栽培されています。

デンプンを固めて薄く伸ばしたもので、自然に分解し環境への悪影響もないといいます。

「インドネシアではキャッサバは簡単に、安く手に入ります。世界中に広めていきたい」。

 

 

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「持続可能な脱プラスチックを」。

この問題の難しさは、人々の生活や企業活動がいかに使い捨てプラスチックの使用を前提としたものになっているかということではないでしょうか。

その意味では私たちの社会全体が納得しながら、持続的に脱プラスチックに取り組んでいかなければなりません。

インドの現状は禁止措置の難しさという意味で、日本や世界にとって参考になるはずです。

3年後にむけてインドがどのように「脱使い捨てプラスチック」を進めるのか、注目してほしいと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1.“使い捨てプラ”禁止に…インドで深刻ごみ事情

2.渦中のトランプ大統領 ウクライナ疑惑って何?

3.日本人女性が挑戦!イスラム伝統衣装おしゃれに

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年10月13日のゲストは、初登場!八木沼純子さんです。

 

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:14:40 | 固定リンク


2019年10月03日 (木)

お祝いムードのウラに課題も 中国建国70年

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2019年9月29日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、国際部の為井貴規デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの虻川美穂子さん、岩田明子解説委員です。

 

※中国の建国記念日(10月1日)の2日前の放送内容をテキストにしています。

 

パンダのふるさと・中国は、10月1日が70年目の誕生日。

あちこちでイベントが開かれて、お祝いムードでいっぱい!

これまでものすごい勢いで発展してきた中国だけど誕生日を前に、なにやら心配事も多いようです。

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国際部中国担当、為井貴規デスクが解説しました。

 

10月1日は中国にとって、一番大切な日です。

こちらのカラー映像、建国記念日を前に中国政府が、初めて公開しました。

70年前の10月1日の天安門広場。

中国・建国の父とされる、毛沢東の演説です。

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「中華人民共和国の成立を宣言する」。

まさに、いまの中国が立ち上がった歴史的な瞬間なんです。

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いまの中国は毛沢東をリーダーとする中国共産党のもと立ち上がりました。

その後、海外から資本や技術を導入するなどして、経済を成長させていきます。

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世界第2の経済大国にまで成長し「豊か」になりました。

そして、いま、目指すのは「強国」。

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政治や軍事、経済、あらゆる分野で世界をリードする強い国です。

共産党は中国を統治する唯一の政党です。

70年間、このやり方で中国を発展させてきました。

こちらの塔、名付けて「共産党一党支配塔」です。

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今のトップがこの人、習近平国家主席です。

中国のリーダーたちは、これまで、発展の成果を内外に知らしめるように建国記念日を祝ってきました。

なかでも、10年ごとの節目には、威信をかけた軍事パレードを行ってきました。

習主席も、10月1日は過去最大規模の軍事パレードを行って盛大に祝う予定です。

 

 

直前の様子を取材しました。

建国記念日まであとわずかとなった北京では、国旗や「熱烈に祝う」などという横断幕が至るところに掲げられています。

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書かれていたのは「習主席のもと団結し、社会主義の偉大な勝利へ!」という勇ましいスローガン。

その前で、市民が記念撮影をしていました。

 

国をたたえる歌を歌っているグループもいました。

「親愛なる祖国よ、これから豊かで強い国に」。

「ワクワクしているわ!中国で生きることは誇りよ」。

当日の行事に向けた訓練や準備も加速しています。

 

この日、カメラマンが家族と街中を歩いていると…。

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上空を、70という数字をつくったヘリコプターの編隊が飛んでいきます。

通行止めになっている道路では、武装警察などが警戒し緊張感が高まっています。

テレビでも、連日、建国記念日のニュースが放送されています。

9月に入って3回、週末の深夜に外国メディアを排除して予行練習が行われました。

市民や兵士のべおよそ70万人が動員されたといいます。

 

こうした行事の中でも、習近平指導部がとりわけ重要だと位置づけているのが、軍事パレードです。

強力な軍事力を国内外に示し国威発揚につなげようとしています。

パレードでは「世界一流の軍隊」を目指して開発してきたさまざまな兵器が、お披露目されます。

中でも注目は、初めて公開される可能性がある新型のICBM=大陸間弾道ミサイルです。

アメリカ全土を射程におさめるものでアメリカへの強い牽制となります。

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「皆さん、楽しみにしていてください。失望はさせません」。

 

 

10月1日に向けて盛り上がっていますが…

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習主席、顔色が変わりました。

習主席の内心は、やや不安を抱えながらということになるかもしれません。

というのも、この「一党支配塔」を、ともすれば揺るがしかねない事態が起きているんです。

 

鍵を握るのは、この人、トランプ大統領です。

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塔が揺れ、一部が剥がれました。

剥がれた場所には「経済減速」と書いてあります。

いま、中国では経済の減速が鮮明になっています。

原因の1つは、トランプ大統領率いるアメリカとの貿易戦争です。

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アメリカによる関税の上乗せは確実に中国経済に打撃を与えています。

対立の出口が見えない中で、今後も、安定した経済成長を続けられるか見通せなくなっているんです。

 

そして、この「一塔支配塔」を揺るがしかねない要因はまだあります。

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また揺れて、そして、また何か剥れました。

「香港問題」と書いてあります。

香港といえば、連日報道されている、デモ。

「一党支配塔」を揺るがしかねないもうひとつの要因が、長期化する香港政府に対する抗議活動です。

依然として、収まる気配はありません。

中国共産党としては、中国の一部である香港での抗議活動をいつまでも解決できなければ、いずれは、中国本土にも、民主化を求める動きとして、飛び火しかねないと恐れているんです。

 

 

香港の様子を現地の若槻支局長に聞きました。

 

こちらではお祝いとは正反対の雰囲気です。

いまこの時間も、ネット上の呼びかけに応じて、大勢の市民がデモ行進をしていて、一部で、警官隊が催涙弾を発射するなど衝突も起きています。

10月1日当日には再び、デモ行進が呼びかけられています。

香港政府は先週、事態の打開を図ろうという行政長官と市民150人との対話を行ったんですが、

「3か月以上、市民が街に出て要求を突きつけているのに、何を求めているのか、まだわからないのか?」と不満をぶつける人たちが相次ぎました。

「対話は無意味だった」と切り捨てる人たちも多く、政府や警察に対する反発は全く弱まっていないと感じます。

 

一連の抗議活動は、すでに100日が過ぎました。

10月1日はひとつの山ではありますが、むしろ多くの人は11月下旬に行われる各地区の議員選挙を見据えています。

デモに参加している若者達が多く立候補すると見られていて、抗議活動が選挙活動と一体となって大きなエネルギーになると見られています。

5年前の雨傘運動はデモへの反発の声も上がり、およそ2か月半で収束しました。

しかし今回は政府や中国に対する反発が日を追うごとに増し、市民がより団結していて収まる気配はありません。

11月の選挙で民主派の立候補が認められないケースなどがあれば人々の反発はいっそう激しさを増し、

香港の混乱はさらに深まっていくことになります。

 

 

このままで、中国共産党の「一党支配塔」は大丈夫なのでしょうか。

 

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[中国共産党は、一党支配を守るために、いろんな事をしてるんだヨーソロー!]

 

新聞やテレビでは、中国共産党にとって都合の悪いことは、報道させません。

インターネットでは、個人の書き込みも監視し、批判はすぐに削除しています。

犯罪を取り締まる警察も、判決を下す裁判所も、中国共産党の方針に従います。

たとえ政府に不満があっても、自由な選挙はやりません。

 

中国共産党のメンバーは、中国に9000万人もいますが、中国の人口はその15倍の14億人近くもいます。

いくら目を光らせて抑え込んでも、すべての人を納得させることはできません。

中には反発する声もあって地方レベルでは、ときに不満が爆発することさえあります。

 

これは3年前に為井デスクが取材した、中国の農村部の様子です。

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まだ貧しい家も多く、貧富の格差への不満が根強くあることを実感しました。

人々の不満は、ときに政府に直接向かうこともあります。

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こちらは、地元政府が計画した工事に反発した住民の抗議活動です。

政府庁舎に乗り込み、計画を中止に追い込みました。

さらに、中国の少数民族の中には政府の政策が抑圧的だなどと不満を持つ人もいて、過去にはウイグル族による大規模な暴動につながったケースもありました。

中国政府は、いま、100万人ものウイグル族の人たちを不当に拘束していると、国際社会から批判を受けていて、くすぶる不満を力で抑え込もうとしています。

 

ただ、これまでは、国が発展するなかで、比較的多くの人はとりあえず自分の生活は良くなっているからと、受け入れてきた形です。

ただ、アメリカとの貿易戦争の影響で経済がさらに減速すれば、国民の生活への影響は避けられません。

また、そこに、香港の抗議活動も影響が飛び火すれば、批判の矛先は中国共産党にも向かいかねません。

 

うまく対応しないと、この「一党支配塔」がさらに大きく揺れかないってことなんですね。

そこで習主席がいま、一番頼りにしているのがこちら。

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「愛国心」です。

国民の愛国心を高めて「一党支配塔」を安定させようとしているです。

 

その様子を取材しました。

 

毎日、日の出とともに行われる国旗掲揚式では、建国70年を控え、これまでよりも多くの人々が訪れています。

中には、国旗掲揚の様子をスマートフォンで生中継している男性も。

「祖国ばんざい!国は豊かに、国民は強くなる!」。

 

国営メディアは建国70年に向けて、宣伝を強化してきました。

連日「国旗」を愛国心の象徴に見立てた歌を放送しています。

「国旗は私の誇りだ。国旗は私の生命以上に重要なのだ」。

 

さらに中国政府は、これまでの発展の成果を披露する展示会を開き、人々の愛国心を高めようとしています。

展示会には、建国以来の歴史とともに、世界で初めて月の裏側に着陸した探査機「嫦娥4号」や、初の国産空母の模型などを展示。

科学や軍事面での技術の進歩を強調することで、求心力を高める狙いがあります。

そして、アメリカとの貿易戦争で経済の減速が取りざたされる中でも、世界第2位の経済大国であると強調。

国民1人あたりの所得は40年間で24.3倍になったとして、成果を誇示し経済不安を払拭しようとしています。

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「米中貿易戦争を恐れていません」。

「これからも中国共産党は、国をさらに輝く時代に導いてくれると思います」。

 

 

このような愛国心の強い人々がいる一方で、中国共産党主導の愛国心をあおる宣伝に、冷めた見方をする人も少なくありません。

いまは、中国でもネットを通じて海外の情報がたくさん入ってきますし、年間1億人を超える中国人が海外旅行に行き、多様な価値観に触れる時代なので、露骨な宣伝だけでは、そう簡単に信じません。

このため、愛国心に染まる人と、冷めた見方をする人に分かれていっているようにも感じます。

 

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キーワードは「曲がり角?」。

中国は、課題を抱えるなかであさって建国70年の節目を迎えます。

習主席は一党支配の正しさを強調する演説をするはずで、私は、そこに現状への危機感がどのくらいにじむのか、注目しています。

共産党が、この先も、国民の支持をつなぎとめていくことができるのか。

70年目以降の今後のかじ取りは、これまでより格段に難しくなるはずです。

長い目でみると中国は、歴史の1つの曲がり角にきているのかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.お祝いムードのウラに課題も 中国建国70年

2.アメリカvsイラン 仲介のカギはあの国!?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年10月6日のゲストは、初登場!トラウデン直美さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:18:00 | 固定リンク


2019年09月26日 (木)

1人の少女から 広がる温暖化防止デモ

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2019年9月22日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの渡辺徹さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

東京・渋谷では、9月20日に地球温暖化に対するデモ活動が行われました。

「地球を守ろう」を合い言葉に、若者たちが大行進したんです。

この動きは、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアと世界中で広がっています。

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この大きく動いている地球温暖化について、国際部の花澤雄一郎デスクが解説しました。 03

デモは、全世界で合わせて400万人が参加する史上最大規模となりました。

世界中で、温暖化に対して危機感が高まっていて、特に若者が立ち上がっています。

 

あす(23日の月曜日)、国連で「温暖化対策サミット」が開かれるんです。(9月22日の放送日時点)

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8月25日のせかいまでも温暖化について解説しましたが、地球温暖化の原因は、増えすぎた温室効果ガス。

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温暖化の原因とされる温室効果ガスの「オンダンカデガス」が登場しました。

この温室効果ガスの影響で、世界の平均気温は、18世紀に始まった産業革命のころから、およそ1度上がっています。

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気温が上がっているために、水の循環が極端に、激しくなってきています。

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どういうことかというと、雨が降らないところはさらに乾いて干ばつが進み、雨が降るところは大雨になっているんです。

そこで、温暖化を食い止めようと決めたのが「パリ協定」でした。

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平均気温の上昇を、産業革命から1.5度に抑えようと各国が目標を作っています。

この1.5度は「これ以上、上がったら危険」というラインだと言われています。

しかし、パリ協定の対策では不十分で、このままでは温暖化が止められなくなると危機感を強めているのが国連です。

「温暖化対策サミット」では、パリ協定をさらに超える高いレベルの計画を発表してほしいと各国に求めています。

ここに招待されたのが、スウェーデンの16歳の少女です。

ヨーロッパでは、この少女の活動が若者たちに広がっているんです。

 

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「人類最大の危機に直面しているのに大人たちはきちんと対応していない」。

グレタ・トゥーンベリさんは、8歳のときから地球温暖化に関心を持ち、なぜ誰も深刻に考えないのか、疑問に思ってきたと言います。

「温暖化を止めるために学校を休む」。

グレタさんは去年8月、たった1人で議会の前に座り込み、温暖化対策を訴え始めました。

毎週金曜日に学校を休み訴えを続けていると、徐々に賛同する人が増えていきました。

活動は「未来のための金曜日」と呼ばれるようになり、今や世界中の若者たちに共感が広がっています。

 

先月、スイスで開かれたイベントには、およそ450人が集まりました。

イベントにはグレタさんも参加し、

「より大きな影響を受ける若い世代の人たちが立ち上がるべきだ」。

「未来は私たちのもの地球規模の問題に世界中の人が協力することが大切」と、訴えました。

 

グレタさんの訴えに強く共感したのが、デンマークから参加した、ラウラ・ビンストロップさんです。

グレタさんと同じ16歳。

温暖化対策は大人がやるべきことだと思っていたラウラさん。

しかし、同い年のグレタさんの活動を知り感動したと言います。

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「グレタさんは素晴らしいです。彼女が行動しなければ誰もここにいなかった」。

自分たちの世代が行動すべきだと感じたラウラさんは、デンマークでグレタさんのように訴えてきました。

「グレタさんの声に耳を傾けたことで、彼女の発言や行動が意義深いものだと理解できたんです。温暖化の影響を受ける全ての人そして未来の世代のために私は闘いたいです」。

 

 

グレタさんがたった1人で始めた行動が、ヨーロッパ、そして世界に広がって、温暖化への危機感が高まってきたんです。

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20日の金曜日、ニューヨークで行われたデモで、グレタさんが演説しました。

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「私たちはただ傍観するつもりはない。科学のもとに団結し、この危機がさらに悪化することを防ぐため出来る事は何でもする覚悟だ。私たちにも安全な未来を」。

 

グレタさんの活動は、若い人たちに影響を与えているだけではないんです。

ヨーロッパでは、政治も動かしているんです。

5月にEUの加盟国で作るヨーロッパ議会の選挙があったんですが、環境問題を訴える「緑の党」という政党が大躍進しました。

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グレタさんなどの活動が広がったことが温暖化対策を重視する政党が力を持つことにまでつながり、ヨーロッパでは、このエネルギーが大きな「うねり」となっているんです。

 

南太平洋の国々でも、先月、このうねりが影響する出来事があったんです。

この地域にあるツバルやマーシャル諸島などの島々は海面の上昇によって、すでに水没し始めています。

この島々は、南太平洋の国々の会議で温暖化について、世界に向けて積極的な行動を呼びかけるメッセージを出そうとしました。

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しかし、これに「待った」をかけたのが、オーストラリアです。

オーストラリアは、石炭を主な産業にしています。

だから、温暖化対策を強く主張されると困ると見られています。

さらに、オーストラリアは、この島々に対して、毎年巨額の支援をしているんです。

ですから、島々の意見を抑えられると思ったのかもしれません。

しかし、温暖化への危機感は、オーストラリアの予想を超えて高まっていて、各国が激怒して会議の場でオーストラリアを非難する事態になったんです。

この一件で、温暖化対策をしっかりやらない国は何かの機会に非難を浴びかねない、と、世界各国が受け止めました。

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ここで「オンダンカデガス」が、アメリカのトランプ大統領の写真を取り出しました。

アメリカは、ここまで説明した流れとは逆行しているんです。

 

トランプ大統領は、パリ協定からの離脱を表明しています。

トランプ大統領に限らず、大統領を支える与党・共和党というのは、そもそも温暖化対策には乗り気ではないんです。

 

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[トランプ大統領を支える共和党は、そもそも温暖化対策に乗り気じゃないんだヨーソロー]

 

共和党にとって、温暖化の規制は、経済や雇用を邪魔する存在なんです。

それに、共和党はそもそも「規制」自体が嫌いな人が多いんです。

その根底には「政府が国民を縛るのは良くない」という考え方があります。

さらに、共和党の支持者は「科学自体をあまり信じない」という傾向もあるんです。

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例えば、半数の人は進化論を信じず「人間は神がつくった」と考えています。

トランプ大統領が温暖化対策に熱心ではないのは、こうした支持者たちの声を代弁しているとも言えるんです。

 

しかし、大統領の支持者の間でも温暖化対策への関心が高まってきています。

 

 

今月アメリカを襲った大型のハリケーン。

サウスカロライナ州にも被害が出て、一時、避難命令が出されました。

ここ数年、アメリカでも異常気象が相次いでいます。

サウスカロライナ州は、共和党の支持者が多い地域ですが「温暖化はでっちあげだ」というトランプ大統領の主張などに反対する人が増えています。

「人間が原因であろうと、なかろうと、災害はますます悪化していっている」。

「大統領は支持者が科学を否定するように仕向けている。信じられないよ。科学こそ唯一の頼みじゃないか」。

 

トランプ大統領の熱狂的な支持者デビー・ドゥーリーさんは、以前はトランプ大統領と同じように温暖化は起きていないと考えていました。

しかし、ここ数年身近な場所で自然災害が相次ぎ、意識が変わったと言います。

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「洪水はひどくなり、ハリケーンも頻繁に起きるようになった。海水温が上がっているからよ。温暖化は現実なのよ」。

ドゥーリーさんはホワイトハウスを訪問しました。

温暖化が心配だと伝えたいと考えたのです。

大統領は不在でしたがホワイトハウスの高官に共和党員の中でも、危機感が高まっていることを伝えました。

「共和党の支持者も温暖化を受け入れ始めている。私は決して諦めず、これからも訴え続けていくわ」。

 

 

この動きは、世論調査の数字にも表れてきています。

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こちらは「温暖化を信じる」人の割合です。

アメリカには、トランプ大統領の共和党と、野党の民主党があります。

民主党で、温暖化を信じる人は、90%ほどですが、トランプ大統領の共和党をみてください。

これまでは半数以下だったんですが、2015年から18年のわずか3年で、64%と急激に増えました。

共和党の現職の議員たちもトランプ政権に温暖化対策を働きかけるなど変わり始めているんです。

トランプ大統領は、立場を変えざるをえなくなるかもしれません。

というのも、来年11月に大統領選挙があります。

大統領と対立する野党・民主党は、温暖化問題は格好の攻撃材料だと見て、トランプ大統領への批判を強めていこうとしています。

アメリカ全体、そして共和党支持者の間でも、温暖化への危機感が高まってきてますから、方向転換の可能性はあると思います。

 

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「歴史の転換点」。

温暖化対策を求める世界の大きなうねりは、かつてないものです。

その中で行われる国連の「温暖化対策サミット」で各国がどんな姿勢を見せるのか、大きな焦点となります。

そして、「もう大人には任せておけない」という若者たちの声は私たちにも向けられています。

日本は、この問題への関心が高いとは言えないのが現状です。

こうした声にどう応えるのか。

私たちひとりひとりの覚悟も問われます。

 

 

【この日の時間割】

1人の少女から始まった 広がる温暖化防止デモ

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月29日のゲストは、虻川美穂子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:32 | 固定リンク


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