2019年9月19日

2019年09月19日 (木)

イギリス国民うんざり EU離脱進まない議論

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2019年9月15日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのパックン、国際部の佐伯敏デスクです。

 

今週金曜日、ラグビーワールドカップが、いよいよ日本で開幕します。

ラグビー発祥の地は、イギリスだと言われているんですが、そのイギリスが大変なんです。

EU離脱をめぐって、大もめしています。

2か月前に就任したばかりのボリス・ジョンソン首相は「何が何でも離脱する」と、意気込んでいます。

 

離脱が決まった国民投票から3年、なかなか進まないEU離脱を、国際部・ヨーロッパ担当、佐伯敏デスクが解説しました。

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ラグビーのセットを使って説明していきます。

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左側が首相になったばかりのジョンソン首相、右側がイギリス議会です。

今、もめているのが、「どうやって離脱するか」です。

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離脱の期限は10月31日。50日を切っています。

 

それぞれのチームのスローガン見ていきましょう。

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ジョンソン首相の主張は「期限内に必ず離脱」。

期限内に必ず離脱、必ず来月末には離脱するというものです。

対する、議会の主張は「離脱延期」。

この離脱をまた延期しようというものなんです。

 

それぞれどういうことなのか、具体的に見ていきます。

まず、ジョンソン首相の主張、こちらご覧下さい。

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「のたれ死んだほうが、まだましだ」。

「10月31日に離脱する!」。

 

そもそも、なぜこれまで離脱できなかったのでしょうか。

離脱したあとのことについて、イギリスとEUの間で話がついておらず、合意ができていないからなんです。

離脱に備えて、イギリスとEUは新しいルールを決めておかなければいけません。

貿易や国境を通るときの手続きをどうするかなどを、1つの文書にまとめることになっているんです。

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でもその文書が、あと少しのところで合意できていません。

 

これまで合意できなかったのに、10月31日までにできるのでしょうか。

ジョンソン首相は、がんばるとは言っています。

でも、がんばっても期限までに合意出来ないかもしれません。

それでも、ジョンソン首相は「かまわず離脱する」と言っているんです。

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つまり「合意なき離脱」でも強行する、と。

議会チームは「合意なき離脱」には猛反対しています。

だから、とりあえず離脱の期限を延期することで、何とか「合意なき離脱」だけは避けようという作戦なんです。

 

ここで試合が始まりました。

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先に攻撃をしかけたのは、ジョンソン首相です。

ジョンソン首相は議会からの反対の声を封じ込めようとしました。

そこでとった手段が、議会そのものを閉めてしまうという強硬手段です。

これは、かなり異例のことです。

 

次は、議会チームが押し返しました。

どういう作戦かというと、議会側は議会が閉会する前のわずかな時間を使って、ある手を打ちました。

ジョンソン首相の動きを法律の力で縛ってしまおうという作戦です。

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それが「離脱延期法」です。

これは、ジョンソン首相に「合意がまとまらなければ、EUに離脱の期限を3か月間先延ばしにするようお願いしなさい」と命じるものです。

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これにより「合意なき離脱」が押し通されるのを防ごうというのです。

実はジョンソン首相側の与党の議員のなかにも「合意なき離脱」は心配だという人もいて、その結果、20人以上が寝返って、法律が成立したんです。

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もしジョンソン首相がこれを無視して「合意なき離脱」をしたら、法律違反になります。

そうなれば逮捕される可能性すらあるんです。

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これで「合意なき離脱」の可能性はなくなったように見えますが、そうでもないんです。

議会の言いなりになりたくないジョンソン首相は、議会を解散して選挙をしようと提案しました。

しかし、これはうまくいきませんでした。

それでもジョンソン首相はあきらめずに「期限の延期は絶対にしない」と言っていて、今は法律違反にならない抜け道を探しているのではないかとみられているんです。

だから「合意なき離脱」の可能性は消えていないんです。

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ジョンソン首相は、まだトライへの執念を捨てていません。

 

「合意なき離脱」が本当に実現したらどうなるのでしょうか。

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イギリスがEUから合意なき離脱をしたらどうなるのか、オレが説明しヨーソロー

 

手続きが増え道路は大渋滞。

イギリスに入ってくる荷物は、これまでの半分以下になってしまうかもしれません。

いろんなモノが手に入りにくくなり、値段も上がってしまうかもしれません。

EUの国々に行きたい時だって、手続きが増え、駅も空港も大混雑。

デモが起きて、イギリス国内は大混乱するかもしれません。

 

イギリス市民はどう思っているのか、ロンドン支局の向井支局長に聞いてみました。

 

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市民生活への影響は、連日報道され、大きな関心が集まっています。

そこで、今、市民が離脱についてどう思っているのか。

街頭で、ひとことで表現してもらいました。

 

『Happy』(うれしい)…離脱を心待ちにしているよ。イギリスのことはイギリスが決められる国になるんだ。

『Leave』(離脱して)…国民投票の結果なんだから。離脱すべきだ。

『Terrible』(ひどい)…輸入が難しくなるでしょう。経済にとってよくない。

『Frustrated』(イライラ)…合意なき離脱は反対。首相のやり方は問題です。

 

そして取材していて、最近よく聞くのが、次のような声なんです。

『Sorry』(残念)…ごたごたが長引いて、本当に疲れたわ。

『Confused』(混乱)…国民は混乱しているわ。今の状態も今後もわからないもの。

 

ジョンソン首相は今も、ことあるごとに来月末に離脱すると言っていますから、どんな混乱を招こうとも、何らかの手を打って強行する可能性があります。

というのも、ジョンソン首相にしてみれば、これで公約を守ることができれば、みずからの求心力を強めることができるからです。

ただ逆に守れなかったとなると信用を失ってしまいます。

実のところ、ジョンソン首相にとっては、背に腹は代えられないということかもしれません。

一方で、離脱を巡る市民の疲れやいらだちは、いよいよ高まっています。

この声を首相と議会がどう受け止めるのか。

3年に及ぶ議論は、来月の期限に向けていよいよ大詰めを迎えています。

 

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「ノーサイドのない試合」。

ノーサイドとは、試合が終われば敵味方はない、という精神です。

離脱のためなら、なりふり構わないジョンソン首相の登場で、試合終了がもしかしたら近づいてきているのではないか、と言う雰囲気です。

でも結果がどっちに転んでも、試合が終わって握手と言うことは、もはやなさそうです。

EU離脱は経済などの側面にとどまらず、イギリスが誇った民主主義をおとしめた出来事として記憶されるかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.イギリス国民うんざり #EU離脱 進まない議論

 

2.異例の再選挙で政権は どうなる?イスラエル

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イスラエルの再選挙も、佐伯敏デスクが解説しました。

 

3.エチオピアで人気の歌 歌詞に日本の地名が…

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月22日のゲストは、初登場!渡辺徹さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:00 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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