2018年2月 1日

2018年02月01日 (木)

首都認定で揺れるエルサレム

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2018年1月28日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの古坂大魔王さん、国際部藤井俊宏デスクです。

 

宗教や民族、そして外交が複雑に絡み合う難解なエルサレム問題を、藤井デスクが解説しました。

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地中海の東側、ヨーロッパとアジアと北アフリカをつなぐ場所に位置するエルサレム。

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そのエルサレムでも特に重要なのがこちら。

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旧市街とよばれる城壁に囲まれた1平方キロメートルほどの地区に、3つの宗教の重要な聖地が隣り合っています。

 

ユダヤ教の聖地となっているのは「嘆きの壁」、2500年ほど前に建てられた神殿の跡です。

キリスト教の聖地となっているのは「聖墳墓教会」、イエス・キリストの墓とされています。

イスラム教の聖地となっているのは「岩のドーム」、預言者ムハンマドがこの地から天に昇り神から言葉を授かったという場所です。

 

この3つの宗教の対立、さらには大きく分けてユダヤ人とアラブ人という民族がこのエルサレムをめぐって対立しているのです。

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3000年前から、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教と支配者が変わっていき、もともと住んでいたユダヤ人たちは、徐々に世界各地へ離散していきました。

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しかしその先々で迫害を受け、ナチスドイツによる迫害では600万人が犠牲になったこともあり、ヨーロッパのユダヤ人の間で「神から与えられた土地、エルサレムへ戻ろう」という機運が高まりました。

 

ユダヤ人がエルサレムに戻ると、エルサレムにはアラブ人が住んでいたため、当然のように衝突が起きました。

 

この時、この地を保護領としていたのがイギリスなんですが、エルサレムをめぐる争いに手が負えなくなり、国連に助けを求めました。

その結果、1947年の国連総会で「国連決議」が採択、それぞれが住む地域を決め、エルサレムについてはどちらとは決めずに国際管理下に置くことに。

 

しかし、アラブ人側は「数千年前にここに住んでいたからと言って、今住んでいる人を追い出すのは許せない。」と激怒し、国連決議を拒否。

ユダヤ人側が「イスラエル」の建国を宣言したため、戦争に発展しました。

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この中東戦争は1948年から1973年までの25年間に、4回起こりました。

結果的にユダヤ人(イスラエル)が勝利し、支配を拡大、悲願だった聖地の奪還を事実上達成しました。

さらに新しい住居地を作って移り住み強硬姿勢を崩しませんでした。

それにより、多くのアラブ人が難民となり周辺国などに逃れました。

今も530万人余りが国連などの支援を受けて生活しています。

 

そして1980年代後半には、占領下にあるアラブ人たちの大規模な抵抗運動が始まったのです。イスラエル軍に石を投げ、タイヤを燃やして交通を遮断。

こうした民衆蜂起に世界中の視線が注がれ、国際社会でもイスラエル国内でも、事実の打開を求める声が高まりました。

 

そこで打開に向けて、和平への秘密交渉が行われ、合意に達します。

それが、パレスチナ暫定自治合意、いわゆる「オスロ合意」です。

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[イスラエルとパレスチナのオフロ…いや、「オスロ合意」についてオレがお風呂で説明するヨーソロー。]

 

エルサレムをどう扱うか明確にされていない今、トランプ大統領が「エルサレムをイスラエルの首都と認定し、アメリカの大使館をエルサレムに移転する」と発表しました。

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つまり仲介役であるアメリカがイスラエルに肩入れをした形です。

 

実は、“エルサレムをイスラエルの首都と認め、大使館を移転するということは、アメリカの歴代大統領が選挙の際に言及してきたことなんです。

しかし、和平交渉への影響も考えて実施を見送ってきたんですが、トランプ大統領は“実行する”と言っています。

 

なぜ、大使館移転にこだわるのか。ここでキーワードとなるのがキリスト教の「福音派」です。

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「福音派」には、トランプ大統領が所属する共和党の支持者が多いのです。

また、ペンス福大統領も福音派で、エルサレムの首都認定を後押ししたと言われています。

 

これにパレスチナ自治政府は敏感に反応、「オスロ合意」を凍結しました。

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これに対してトランプは、パレスチナ難民530万人余りに支援を行っている国連機関への拠出金の一部の支払いを凍結しました。

 

中東和平交渉で重要な役割を果たしてきたエジプトやシリアも、2011年に起こった民主化運動「アラブの春」により政権が崩壊し、今はそれどころではありません。

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トランプ大統領の決定を受けて先月国連総会が開かれましたが、エルサレムについてはあくまでもイスラエルとパレスチナの交渉で決められるべきだという国際社会の姿勢が鮮明になりました。

 

エルサレムの扱いは数千年前から長い民族の歴史や宗教が背景にあり、最も解決が難しい問題とされてきました。

トランプ大統領はいわゆるパンドラの箱を開けたとはいえ、中東和平の道のりはより一層不透明になったと言えます。

 

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年2月4日のゲストは、初登場!川野太郎さんです。

  

投稿者:スタッフ | 投稿時間:16:13 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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