青天を衝け

特集

Special Column
演出・黒崎博が語る「青天を衝け」徳川家康の存在
人間・家康さま

家康さまには、幕末という時代のオブザーバーであるだけでなく、慶喜の祖父(の祖父の祖父の…)のような目で見守ってほしい、さらにその最後の家臣となる渋沢栄一を優しく厳しく見ていてほしい、と思っています。
慶喜がひとつの時代を閉じ、栄一が新しい時代をつくっていく。家康の見たことのない時代がはじまる。家康は目を見張って喜んでくれるでしょうか。こんなはずじゃなかった、と怒ってしまうでしょうか。
初めての打ち合わせの折、北大路欣也さんは「家康の感情を大事にしたい」とおっしゃいました。誰かに共感したり、同情したり、少し怒ったり。人間・家康でいたいのだと。これまで幾度となく家康を演じてこられた北大路さんだからこその役の捉え方だと思います。すばらしいです。時空を超えて物語を見つめる、人間・家康さま。「家康コーナー」の演出方針が決まりました。

動く襖たちは家康の「分身」

第1回の家康さまは「まず日本の歴史です」と一気に総括します。それを、家康ならではの世界観で表現したかった。そこで考えたのが江戸城の「襖」です。襖って左右にスライドしますよね? 襖を年表に見立てれば、家康さまが時代を自由に行ったり来たりできるのではないか?と。コンピューター・グラフィックスを使って年表を見せるのではなく、アナログな表現にこだわりました。

思い切ってお声をかけさせていただいたのが、小野寺修二さんです。演劇を中心に振り付けをされている方で、僕はずっと以前から、幾度となく小野寺さんの舞台を見るたびに感動してきました。人間の体と、テーブルや椅子などのモノを自在に動かし、ストーリーや感情を表現されるんです。その発想は自由そのもの。演劇界の天才だと、僕は確信しています。
小野寺さんが操る襖は、扉になったり、屏風(びょうぶ)になったり。まるで家康さまの「分身」であるかのように動き出します。第2回では、一枚の布が地図、書状、船そして海原へと変化します。さて、第3回は? これからもいろいろなモノを何かに見立て、表現していきます。家康さまと一体化して時代を語る「分身」たちにもご注目ください。

北大路さんが演じる家康さまは、時代を俯瞰(ふかん)する先人として、またときにはまるで視聴者のような目線で、この青天の物語が昔ばなしであるだけでなく、現代の私たちにつながる物語であることを示してくれると思います。

Back number

スペシャルコラム

Special