2011年08月11日 (木)福島から避難 子どもの支援を考える


震災の影響で避難してきた子どもへの支援について考える集会が、7日、東京都内で開かれ、震災後、子どもたちを連れて福島県から東京都へ避難してきた母親が、たび重なる転校や父親の不在で、子どもの心が不安定になっている深刻な状況を訴えました。

東京都教育委員会によりますと、先月26日現在、震災の影響で都内の幼稚園や小学校、中学校に転校してきた子どもの数は948人に上り、このうち8割以上は福島県から避難してきた子どもたちです。

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子どもの支援に当たる全国里親会など6つの団体が都内で開いた集会には、震災の影響で東京に避難してきた親子や、子どもの支援に当たる人など150人余りが集まり、この中で、親子で福島県から避難してきている母親たちが現在の状況などを報告しました。

20110811013.jpgこのうち、小学校低学年と幼稚園の男の子を連れて福島県いわき市から東京に避難している母親は、地元で働く父親との別居生活が長引き、子どものことを気軽に相談できる相手がそばにいないことや、東京で4回にわたって引っ越しをすることになり、今も段ボールに囲まれた落ち着かない生活を送っていることなどを話しました。
そして、新学期以降、長男の食欲がなくなり、学校に行きたがらなくなるまで、友人や先生との間でトラブルを抱えていることに気づかず、つらい思いをさせてしまったと述べました。
そのうえで、現在、避難生活を送っている母親の多くが、毎日の生活に追われ、子どもに向き合う余裕がないと述べ、子どもと遊んだり、子どもを褒めたりしてくれる人の存在が大切だと訴えました。

今回の集会を主催した全国里親会の青葉紘宇さんは「母親に元気がなければ、子どもも精神的に落ち着かないので、母親への継続的な支援を行うとともに、避難してきた親子たちが地域の中で孤立しないよう、横のつながりを作るためのお手伝いをしたい」と話していました。
集会では、子どもや親などが気軽に立ち寄って相談できる、公的な支援センターの創設を求めることなどを決めました。

集会に出席したいわき市の母親を避難先の住宅で取材させていただきました。
母親は、東京に来てから避難所やアパートを転々としました。いずれも、住む期間が決まっているなどの問題があったということです。

20110811011.jpg生活のめどが立たないため、家具をそろえることもできず、今も食卓テーブルや勉強机はありません。段ボールで作ったちゃぶ台と本棚を使っています。
転居に伴う手続きなど、書類の山に目を通すだけで一仕事だと言います。毎日のささいなことを気軽に相談できる相手はいません。
長男は東京で2つの小学校に通いました。4月に新学期が始まったころ、長男は食欲を失い、食べたものを吐くようになりました。しばらくすると、今度は学校へ行きたくないと言い出しました。母親が事情を聞いたところ、前の学校とのちょっとしたルールの違いからクラスで孤立するようになり、悩んでいたことを知りました。体重も減っていました。

母親は「子どもは何度も訴えていたのに、今は忙しいからといって、きちんと子どもの声に耳を傾けてあげられなかった。お母さんたちが笑顔になって、余裕をもって子どもに接することができれば、子どもも落ち着くと思う」と話していました。

【取材を通じて】
避難してきたお母さんと子どもたちに笑顔になってもらうために、何ができるのでしょうか。

その答えに対する鍵は、ご自宅で取材に応じてくださったお母さんのことばの中にあったように思います。 集会前日に4度目の引っ越しを終えたばかりのお母さんは、 玄関先のげた箱にテーブルクロスを掛け、震災前に撮った家族写真を飾っていました。 段ボールが山積みになった慌ただしい家の中で、そこだけは静寂があり、 何もなかったかのような「日常」がありました。
家族写真を見つめていた私に、お母さんは「玄関先にこういう空間があると、帰ってきたときにほっとするんですよね」と話してくださいました。 集会でも、多くのお母さんが、日々の暮らしの大変さや今後への不安に加え、 日常を失った喪失感を口にしていました。
「東京に来てからは、放課後に外で遊ぶお友達も少ないし、外遊びできる場所も少ない」とか、「同い年の子どもを持つお母さんの友達がいない」とか......

避難してきた人たちが日常を取り戻すことができるように、例えば、お母さんどうしの横のつながりを作るお手伝いをしたり、子どもたちがこれまでどおりに思いきり遊んだり、 習いごとをしたりできるよう環境を整えたり...さまざまな形での支援が広がっていくことが大切だと思います。

投稿者:伊達裕子 | 投稿時間:06時00分

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