2018年01月26日 (金)受験生の皆さん スマホの誘惑に勝てますか?


※2018年1月9日にNHK News Up に掲載されました。

今週末は大学入試センター試験。最後の追い込みの時期を迎えた受験生の皆さんの苦悩、同じ道を通ってきた者として痛いほどわかります。でも、受験勉強には集中力や時間を奪うさまざまな誘惑がつきもの。一昔前はテレビやマンガ、ゲームが主流でしたが、今どきの受験生の大敵はスマホですよね。ついついスマホに手が伸びてしまう誘惑をどう断ち切るか。さまざまな工夫を取材するとともに、「ビリギャル」の原作者でおなじみの坪田信貴さんにも話を伺いました。

ネットワーク報道部記者 高橋大地・戸田有紀

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<“スマホ断ち”宣言>
「しばらくツイッターやめます。志望校に行くためです。受験が終わったら戻るので皆さんお元気で」
「受験勉強のため2か月くらいツイートしません。合格して帰ってきます」
今の時期、SNS上にはこんな投稿があふれています。受験勉強中でもつい手が伸びてしまうスマートフォン。特に、友人と気軽につながったり近況を伝え合ったりできるSNSは、受験生にとって大事なツールであるとともに大きな誘惑です。

このため、SNSをしばらく使わない、スマホに触れないといった「SNS断ち」を宣言するツイートが一気に増えています。


<スマホ利用 1日平均3時間!>
そもそも高校生はどれくらいの時間、スマホを利用しているのでしょうか。

内閣府が行ったおととし(平成28年)の調査によると、インターネットに限ったスマホの利用時間はなんと1日平均2時間50分。ガラケーと言われる携帯電話が主流だった7年前に比べると2倍以上になっていて、3年間で40分近く増えています。1日に3時間以上利用している高校生も半数近い47%に上っています。


<学力低下につながる?>
今や高校生の日常生活の一部ともなっているスマホ。はたして、スマホの利用は学力に何らかの影響を与えるのでしょうか。

これについて、仙台市と東北大学でつくる研究グループが、学力検査の結果やアンケートなどをもとに調査を行っていました。市内のおよそ2万4000人の中学生を対象にした調査では「スマホを長時間使用すると勉強していてもよい成績をとれない」という結果が出たそうです。

juk180109.2.jpg例えば、1日に2時間以上、塾などを除き、自分で勉強した生徒の数学の平均点を見てみると、スマホの1日の利用時間が「1時間未満」の生徒が75点だったのに対し、「4時間以上」使っている中学生は60点を下回っていたそうです。
これは「スマホの利用は1時間未満だけど、勉強時間は30分未満」という生徒の平均点にも満たない数字でした。

また研究グループは、小中学生およそ4万2000人を対象に、LINEやゲーム、動画など勉強中に利用するアプリの「種類」や「数」と成績との関係も調べていました。その結果、「使用するアプリの数が増えるほど、国語・社会・数学・理科の4教科の成績が下がることが明らかになった」ということです。

juk180109.3.jpg仙台市学びの連携推進室は「少なくとも年単位で見た場合は、勉強中はスマホの使用を控えることが成績向上につながると言える。スマホをやめてすぐに効果が出るかわからないが、日頃から適切な使い方を身につけることが大切」と話しています。


<予備校もスマホ対策を指南>
受験シーズン到来を間近に控え、予備校もスマホ対策に乗り出しています。
全国展開している大学受験予備校の「武田塾」によりますと、この時期、生徒から「スマホを思わず使ってしまう」という相談を受けることが多いといいます。

そこで、それぞれの予備校の校舎では、通っている生徒や受験生のために、ホームページ上でスマホとの付き合い方を指南しています。例えば、神奈川県相模原市にある橋本校のブログでは「受験期にスマホ、使っていいの?」と題してアプリごとに具体的にどうすべきか解説しています。

juk180109.4.jpg武田塾 橋本校のブログ
それによると、ツイッターなどのSNSは「『○○時まで勉強してくる』などと投稿して画面を閉じるとよい」。

ゲームについては「1週間我慢してみる。そうすればゲームに対してのモチベーションを落とすことができる」と指南。難しい場合は「データをバックアップしてからアンインストールするのも手」といったアドバイスもありました。

武田塾橋本校の鈴木伸治校舎長は「スマホに取り込まれてしまうと、『合格』という目標を達成できなくなってしまう。自己管理ができるのなら、時間などルールを決めて使うことが大切。一方で、勉強アプリなどを有効に活用すれば、むしろ学習効果を上げることもできるので、自分なりの付き合い方を見つけてほしい」と話しています。


<これでスマホ“封印”>
予備校側もあの手この手で受験生にアドバイスしていますが、せっかくアプリを消しても再びインストールしてしまったり、使う時間を決めても守れなかったりする人もいて、残念ながら人間の意思はそれほど強くはないようです。

そんな人向けに物理的にスマホを“封印”するアイテムも開発されています。
その1つが一定の時間、スマホを使えなくするアプリ。時間とパスワードを設定すると、決められた時間まで画面にロックがかかり、電話機能以外は一切使えなくなります。途中でロックを解除しようとすると、100円が課金される機能がついたものまで出ています。

juk180109.5.jpg開発した会社によりますと、これまでのダウンロード数は合わせて10万以上に上るということです。

そこまでやってもスマホに手が伸びてしまうという人には奥の手もあります。

それが、袋の中にスマホを入れ、宣誓書に「いつまで」と目標を書いてシールで完全に封印する商品です。物理的にスマホに触れなくするのです。
神社の絵馬をイメージして作られたということで、無事、合格したあかつきに封印を解けば喜びも倍増するとか。この時期、親や友人がお守りと一緒に受験生に贈るケースが増えているそうです。

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<「ビリギャル」の原作者は>
涙ぐましい「スマホ断ち」への努力。
学年最下位の女子高校生が難関大学に合格する実話をもとにした映画「ビリギャル」の原作者で塾講師の坪田信貴さんは「今の受験生の最大の敵はスマホ」と指摘します。

juk180109.7.jpg「7割はLINEなどSNSの利用で、グループの中で次々にメッセージが送られてくると、返信しなければという強迫観念に陥りやすい。また、3割は動画サイトの利用で、こちらも次々と関連する動画が流れてきて、なかなかやめることができず、結果的に勉強に集中できなくなってしまう」と話す坪田さん。

受験生に対しては「本番の試験でスマホは使えないのだから、せめて直前のこの時期だけでも、本番の練習のつもりでスマホを封印してほしい。友達や家族にも『この期間はスマホを使わない』と宣言し電源を落とすだけでも勉強に集中できる。その努力が大切です」とエールを送ってくれました。

受験生の皆さん、頑張って!

投稿者:高橋大地 | 投稿時間:15時13分

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