2017年10月17日 (火)パンダの赤ちゃん 君の名は?


※2017年9月25日にNHK News Up に掲載されました。

東京・上野動物園でことし6月に産まれたジャイアントパンダの赤ちゃんの名前が25日、「シャンシャン(香香)」に決まりました。上野動物園の歴代のパンダには、トントン(童童)やユウユウ(悠悠)のように、同じ音を繰り返す名前が選ばれてきました。命名に際してルールが設けられているのかなど、気になる点を取材しました。

ネットワーク報道部記者 管野彰彦

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<命名にルールは?>
今回の命名を受けて、同じ音を繰り返す決まりがあるのか、上野動物園を所管する東京都に直接尋ねてみました。

すると「必ずしもそのような決まりはない」との回答。実際、選考段階で絞り込まれた8つの候補の中には「シンリー」や「リーシン」といった、音を繰り返さない名前も残っていたのです。

ただ、選ばれたのはやっぱり同じ音を繰り返す「シャンシャン」。これについて、都や上野動物園は「ルールではないものの、名前を決める際に考慮する要素の1つにはなっているかもしれない。そもそも応募があった名前自体が音を繰り返すものが多いので、選ばれやすいのではないか」と話しています。そのうえで、都は「今後、新たにパンダが誕生した場合などは、違った名前のつけ方になる可能性も十分ある」としています。


<名前に中国の意向も?>

pa170925.2.jpgもう1つ気になっていた点は、どのパンダも中国っぽい名前である点。これについても聞いてみました。

すると、パンダの名前をつけるには中国側の同意が必要だとのこと。そもそもパンダは中国から貸し出しを受けています。その際に結ぶ協定で、中国側の同意が必要と定められているのです。今回の選考でも、中国の「野生動物保護協会」と協議しながら候補を絞り込んできましたが、過去に中国側の意向で決定が覆されたことは一度も無いということです。

ただ、ある専門家は、いずれパンダが中国に返されることも念頭に置いて、現地でも受け入れられやすい名前がつけられているのではないかと指摘しています。


<ほかの動物園では>
国内のほかの動物園ではどうなのでしょうか?15頭のパンダの繁殖に成功した和歌山県の動物公園、アドベンチャーワールドにも取材しました。

こちらでは、去年産まれた「結浜(ゆいひん)」や3年前に産まれた「桜浜(おうひん)」と「桃浜(とうひん)」の双子など、すべて漢字の「浜」がつく名前が採用されています。

担当者の説明によりますと、17年前に初めてパンダの赤ちゃんが産まれた際に、地元・白浜町の町名から一字を取って名付けたことが始まりだということです。ただ、ルール化しているわけではなく、飼育スタッフなどでつくる命名委員会がそのつど選ぶことにしています。

また、この動物公園でも、パンダに名前をつける際は中国側に事前に報告して意見をもらうということです。

pa170925.3.jpg結浜


<名前が2つあるパンダも>
国内でパンダを飼育しているもう1つの動物園、神戸市の王子動物園ではパンダに2つの呼び名があります。

いま飼育されているのはメスのタンタン(旦旦)。名前は一般から募集して選ばれ、新しい世紀の幕開けという意味を込めてつけられました。
しかし、中国生まれのタンタンには、日本に来た時にすでに別の名前がつけられていました。中国名は「ソウソウ(爽爽)」といいます。来園当初、中国からも飼育の専門家がたびたび訪れて繁殖に向けたトレーニングに取り組んでいたため、混乱させないよう中国名で呼んでいました。その名残で今も動物園のスタッフは中国名を使っているそうです。


<動物園ごとに命名の流儀>

pa170925.4.jpgさまざまな願いや思いを込めて名前をつけられるのは、パンダだけにかぎりません。上野動物園や王子動物園では頭数の少ないゾウやキリンなどの赤ちゃんが産まれた場合、名前を募集することがあります。

名前をつけられた動物は来園者にもわかるよう、おりのところに書いてあるほか、飼育員に聞けば教えてくれます。

一方、アドベンチャーワールドではパンダ以外の動物の名前は公表しておらず、来園者が問い合わせても答えられないということです。その理由は動物そのものに関心を向けてもらいたいからだと話していました。

今回、すてきな名前をもらったシャンシャン。命名されただけでこれだけ注目を集めるのは、やはり人気者の証しです。早くその愛らしい姿で私たちの目を楽しませてもらいたいものです。
ことし12月に予定されている一般公開が待ち遠しいですね。

投稿者:管野彰彦 | 投稿時間:15時48分

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