2013年01月25日 (金)「押し買い」来月から規制へ


業者が高齢者などの自宅を訪れて、貴金属や着物を強引に買い取っていく、「押し売り」ならぬ「押し買い」の問題。これまで規制する法律がありませんでしたが、「押し買い」を規制対象にする法改正が行われ、来月から施行されます。法改正で何が変わるのでしょうか。どんな課題があるのでしょうか。

oshi1.jpg

【「押し買い」の被害とは?】

「押し買い」の被害はどのように起きるのでしょうか。
独り暮らしの70代の女性のところに、突然、「不要な着物を買い取ります」と電話がありました。

oshi2.jpg処分してもよい着物があったので、女性は訪問を認めました。すると若い業者がやってきて、着物を300円で買い取ると言われた後、「ついでに貴金属を鑑定してあげる」「他のものも見せてほしい」と女性にしつこく迫りました。

oshi4.jpgやむをえず指輪など3点の貴金属を見せると、10万円以上したものなのに一方的に値段を1700円に決めて買い取ったということです。女性は「怖くて断れなかった」と話しています。

oshi5.jpgこうした「押し買い」に関する相談は、ここ数年急増し、国民生活センターによりますと、昨年度は4144件、寄せられています。被害者の多くがお年寄りで、金の値上がりなどが背景にあるとみられています。

oshi6.jpgこうしたトラブルを防ごうと、国は去年「押し売り」などを規制する「特定商取引法」を改正し、「押し買い」の規制を新たに盛り込みました。

【法改正で何が変わる?】

今回の法改正の主なポイントです。
①「不招請勧誘の禁止」
消費者からの依頼がないと、業者は買い取りを求めることができなくなります。悪質な業者を消費者に近づけないためです。

oshi7.jpg②「クーリング・オフの適用」
契約から8日以内なら解約できるクーリング・オフの制度を適用して、被害に遭っても品物を取り戻せる仕組みにします。例えば、業者にいったん貴金属を渡してしまうと、あとで返してほしいと言っても、「すでに溶かしてしまった」などと返品されないケースが多いためです。クーリング・オフの期間中なら、転売先に対しても所有権を主張できるようになります。

oshi8.jpg③「書面の交付義務」
このほか買い取り価格などを記した書面を交付することが義務づけられます。

oshi9.jpgこれらに違反した業者には業務停止などのペナルティが課せられます。この法律は来月から施行されます。

【一部は規制対象外に】

この規制は貴金属や着物だけでなく、原則すべての品目を規制対象としていました。しかし、法律を所管する消費者庁が規制から外すべきものはあるか検討を進めた結果、5つを対象から外すことになりました。

oshi10.jpg▼大型家電と▼家具(骨董品を除く)は、これまで深刻なトラブルがなく、かさばって持ち運びも大変なため貴金属のような悪質業者は今後も出にくいと、除外しました。
▼自動車、▼書籍・CD・DVD・ゲームソフト類、▼有価証券は、「規制が流通に著しく影響を与える」として除外しました。書籍を例にすると、業者に自宅で古本を買い取ってもらう場合、数十冊や百冊単位のまとめ買いが一般的です。しかし、あとで「1冊だけ返品してほしい」というようにクーリング・オフが適用されると手続きが煩雑になりすぎて流通を妨げると判断されたのです。

【“自動車を除外”に反対も】

また、自動車については、実際にトラブルの相談が寄せられているため、規制対象から外すことに消費者団体から反対の意見が出ています。

oshi11.jpg国民生活センターによりますと、自動車の買い取りをめぐるトラブルの相談は、昨年度、1674件ありました。このうち2割程度が「押し買い」とみられています。

oshi12.jpg消費者団体「主婦連合会」の佐野真理子事務局長は、「自動車の買い取りに苦情があるとわかっているのに規制から除外するのは、問題を放置するのと同じだ。消費者庁にはぜひすべての品目を対象にしてもらいたい」と話しています。

oshi13.jpg一方、自動車の買い取り業者の団体「日本自動車流通研究所」は、「クーリング・オフが適用されると、その間の転売が難しくなるが、車の保管にはスペースが必要で業者の負担が大きい。問題に対しては、業界として改善する取り組みを進めている」と話しています。
このように、規制から外す品目については、意見が分かれています。しかし、まずは貴金属の「押し買い」の被害を防ぐため速やかに規制することが重要だとして、内閣府の消費者委員会は、消費者庁の案を原案どおり認めました。ただし、対象から外した品目に被害が広がっている場合は、見直すよう求めています。

oshi14.jpg

【「押し買い」の被害に遭わないために】

最後に「押し買い」の被害に遭わないための注意点です。規制が始まれば貴金属などの押し買いの被害は減るとみられますが、注意が必要なことは変わりません。
▼見知らぬ業者を家に入れない。
▼自分から依頼した場合でも、業者への対応は1人でなく、できるだけ家族や近所の人に同席してもらう。
▼買い取りに納得できなければ、契約せずはっきり断る。
もし困ったことがあったら、できるだけ早く最寄りの消費生活センターに相談してください。消費者ホットラインの電話番号は0570-064-370です。
来月の法律の施行をきっかけに、「押し買い」の被害や規制の内容について広く知ってもらい、今後、同様の被害に遭う人が減ってほしいと取材を通じて感じました。

oshi15.jpg

投稿者:橋本知之 | 投稿時間:06時00分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲