2013年03月31日 (日)涙ですっきり "涙活"


映画などを見て泣いてしまったけれど、その後、何となくすっきりしたという経験、ありませんか?すっきりしたい、日頃のストレスを解消したいという人たちが集まり、映画や音楽などを鑑賞して涙を流そうという活動、略して「涙活」が、今、注目されています。


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3月中旬の午後8時。都内のビルの一室に、20代から30代までの10人余りの男女が集まりました。職業は会社員や自営業などさまざまです。

20130331namida1tamago.jpg会場に、大切な家族がいなくなった後、一緒に過ごした日々を思い出すという悲しい内容の歌が流れると、1人の参加者から涙が流れました。

20130331namida2tamago.jpgこのイベント、涙を流す活動、略して「涙活」のために毎月開かれていて「泣き場所」を求める人たちが集まります。参加者は、歌のほかにも、動物や家族の死などを描いた動画を見たりして、涙を流していました。

20130331namida3tamago.jpg30代の自営業の男性は「ふだんは思い切り泣ける場所がないので参加しました。涙を流して気持ちが洗われ、すっきりしました」と話していました。また20代の会社員の女性は「最近は泣いていませんでしたが、イベントが始まると勝手に涙が出てきたので驚きました」と話していました。

涙活を企画した寺井広樹さんは「泣きたくても家では家族がいる手前泣く場所がないという男性もいて、そうした人にも泣けるような場を提供し、意識的に涙を流す時間を設けることで心と体をすっきりさせてほしいと思い企画しました。参加した人はほとんどが号泣し、知らない人同士も会話がはずみます。涙活を通して、『涙友』(るいとも)も作ってもらえればと思います」と話していました。 



音楽や動画などを鑑賞した時、私たちにはどんな変化が起きているのでしょうか。泣いた時の体の変化について研究している脳生理学の専門家、東邦大学医学部の有田秀穂教授に取材しました。これまでの研究から、体の機能を調節する自律神経のうち、リラックスした時に働く副交感神経が関係していると考えています。有田教授は「実験では、涙を流し始めると、心拍数が下がりました。私たちが起きている時は交感神経が働いていますが、涙を流している時は副交感神経が非常に活発に活動しています。副交感神経が一番強く働くのは寝ている時で、脳機能からすると休息している時、癒やされてリラックスしている時で、そうした状況を起きていながらにして涙が作っていると考えられます。積極的に精神的なストレスを解消させるという機構として、涙を考えていいと思います」と話していました。

20130331namida5tamago.jpgそもそも涙はどうして流れるのでしょうか。目の上の方にある「涙腺」で涙ができ、目頭から鼻に流れていきますが、大量に出ると目からあふれ出ることがあります。これが「泣く」という状態です。
20130331namida6tamago.jpgただし、どんな涙でもすっきりするわけではないといいます。例えば、タマネギを刻んで涙が出てもすっきりする効果はないといいます。まだ完全に解明されたわけではありませんが、大切なのは、感情の高ぶりで脳が働くこと。これがストレス解消には必要だということです。有田教授は「情動の涙である限り、すっきりした効果が出るということは私たちのデータでも出ています。いったん涙が出れば、効果はかなり続きます。ストレス解消という意味では、極めて優れた技法というか、私たちの脳が備えている優れたメカニズムと言っていいと思います」と話していました。

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あえて涙を流すことがすっきり、ストレス解消につながるようだということはわかりました。しかし、泣きたいと思っても、人前で泣くのは抵抗がありますよね。では、上手に泣いてすっきりするためにはどうすればいいのでしょうか。積極的に泣くことを勧めている産業カウンセラーの竹内好美さんは「泣くことで涙だけでなく喜怒哀楽の感情が自然に出るようになります。人前で泣けない分、家に帰って独りになったら泣いてすっきりするのがいいかなと思います」と話していました。

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まずお勧めなのが、心が動かされる共感の涙を流す方法です。スポーツや映画の名場面を見たり本を読んだりして泣くのですが、このとき重要なのは、できるだけリラックスした状況を作り出すことです。そのためには独りになることが大切だといいます。ヘッドホンを使えば、雑音が入らず集中できます。

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そして、照明を少し落とすと雰囲気が出て気持ちが入りやすくなります。何を見たり読んだりするかも重要です。自分の経験と重ね合わせられるものほど共感し、涙が出やすいといいます。一方で、つらい時や苦しい時も我慢せずに涙を流すと楽になるということです。

20130331namida10tamago.jpg竹内さんは、独りになった時に、手紙を書くことを勧めています。周りから心ないことばをかけられたり、仕事がうまくいかなかったりした時に、相手に言いたくても言えなかったことばや心の叫びをつづります。すると、その時の感情がよみがえって思わず涙がこぼれることもあるでしょう。その時は思い切り泣いてしまったほうがいいということです。もちろん本当に手紙を出す必要はありません。

20130331namida11tamago.jpg竹内さんは「泣くことは自分自身にとってすごくお得なことなので、自宅で泣いているかぎりは他の人に迷惑をかけないのでどんどん泣いてください」と話していました。

忙しい毎日、泣くための時間をとることはなかなか難しいかもしれません。取材した有田教授は、「感情の高ぶりで流した涙の効果は長続きするので、週に1回程度、ストレスがたまった後の週末、涙を流すといいのではないか」と話していました。その時のために「これなら以前、泣いたことがある」という映画やドラマ、本などをいくつか選んでおくといいですね。ストレス解消の方法は人それぞれだと思いますが、「涙活」、私も週末に実行してみようと思いました。

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投稿者:中村織恵 | 投稿時間:06時00分

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