2012年05月29日 (火)避妊薬のピル "不妊の予防"にも効果


きょうは「ピル」についてお伝えします。ピルというのは低用量の経口避妊薬。もちろん、避妊のための薬です。ところが、今、このピルが「不妊の予防」のためにも使われるようになっています。

120529011.jpg東京に住む28歳の女性は、医師に子供が出来づらいと診断され、不妊治療を受けています。
その理由が「子宮内膜症」です。

女性は
「ずっと子供が欲しかったですし、結婚する前から主人と絶対授かりたいねと言っていました。診断と同時に、子供が授かりにくいと言われたので、すごく怖くなりました」と話していました。

120529013.jpgこうした子宮内膜症の予防薬として注目されているのがピルです。

子宮内膜症の有力な原因とされているのが生理。排卵によって子宮の内膜は次第に厚くなり、妊娠しなければ、はがれ落ちて生理が来ます。

120529014.jpgこのとき、内膜の一部が逆流し、卵管の先から出てきてしまうのです。

120529016.jpg120529017.jpgこれがきっかけとなって、卵巣の中など子宮以外に内膜が出来て増殖するのが子宮内膜症です。
受精や排卵を妨げるなど、不妊につながると考えられています。

ところが、ピルを飲むと排卵が止まって内膜が膨らまなくなり、はがれる量も僅かになります。
このため、子宮内膜症になるリスクが小さくなるというのです。

120529015.jpg女性は最近、ピルで予防できると知り『もっと早く知っていれば』と後悔しています。
「ピルは子宮内膜症に有効だと思うので、あのとき、してればよかったとか考えて自分を責めることもあります。不妊に直面するたびに抱えていた不安が爆発して、すごく落ち込みます」と、今の心境を話していました。

不妊につながる子宮内膜症。その症状に悩む女性は増え続け、今や10人に1人がかかるといわれています。

その早期の治療と予防を呼びかけようという医師の組織が立ち上がり、今月22日、初めての記念講演が行われました。メンバーは全国の産婦人科医70人です。ピルで予防できることを知ってもらい、不妊に悩む女性を1人でも減らしたいといいます。
この組織の実行委員長を務める聖路加国際病院の百枝幹雄医師は「今の日本では、ピルに対する抵抗が強いですけれど、将来、妊娠したい方が何もしないまま放置して不妊になってしまうケースが非常に多い。ピルは避妊薬ですが、将来的な不妊を防ぐという意味があるんです」と話していました。

120529012.jpgこの子宮内膜症、日本ではこの40年間増え続けていて、全国で200万人以上がかかっているとみられています。
増えている理由の一つが、生理の始まる年齢が早くなっていること。もう一つが、出産する年齢が遅くなっていることです。この結果、現代の女性は、最初の出産までに経験する生理の回数が増えています。生理自体が子宮内膜症の原因のため、 子宮内膜症にかかるリスクが高まっているのです。さらに、出産までに子宮内膜症になってしまった場合、百枝医師によると、4分の1程度の人は、不妊治療を受けるなど、子どもが出来にくくなってしまうということです。

120529019.jpgそこで、予防として、10代の頃からピルを飲むケースも出てきています。
三重県に住む19歳の女性は、不妊対策にピルを使い始めました。先月から毎日1錠、寝る前に飲んでいます。女性は「飲む前は避妊っていうイメージしかありませんでした。やっぱり他人に知られたくないとか抵抗がありました」と言います。

120529020.jpgピルを飲み始めるきっかけを作ったのは、子宮内膜症をわずらっている母でした。娘の生理痛がひどく、吐くこともあったのを心配して、産婦人科に連れて行ったのです。
「これはひょっとしたら自分の病気と同じかもと、すごく不安になりました。痛みもそうですが、不妊につながるので、将来のある娘が不妊で苦しむのはかわいそうだと思ったんです」と話していました。
診断の結果、女性は子宮内膜症ではありませんでした。しかし、予防のため、今からピルを飲んだほうがよいと医師に勧められました。

診察した産婦人科の川村真奈美医師は「月経痛の強い人、ひどい人は、将来、子宮内膜症になる可能性が普通の人より高いと言われています。ピルは子宮内膜症を予防できるので、不妊を予防することもできます。若い人には積極的に飲んでほしいです」と話していました。

女性がピルを飲み始めて1か月。心配していた副作用は今のところありません。
「思い切って飲んでみて、生理痛も軽くなりました。前の自分みたいに『ピル=避妊』というイメージを持っている自分ぐらいの年頃の人たちにも、分かってもらえたらいいなと思います」と話していました。

10代でピルを飲むことに不安を感じる人も少なくないと思いますが、ピルの服用について、日本産科婦人科学会が作っているガイドラインでは、基本的に生理が来ている年齢であれば服用できるとしています。

今回の取材を通して、不妊につながる子宮内膜症が、女性の一生を左右する重大な病気だということを再認識しました。
ホルモン剤を、長期間、飲み続けることについて賛否は分かれると思いますが、さまざまな理由で若いときに出産せず、不妊に苦しむ人が少なくないなか、リスクを減らす手段として知っておいてもいい知識だと思いました。
もちろん、ピルは薬ですので、高血圧の方ですとか使用できない人もいます。また、激しい生理痛は、別の病気の可能性もあります。一度、婦人科に相談していただきたいと思います。

投稿者:内田明香 | 投稿時間:06時00分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲