2012年04月09日 (月)手術前の点滴が無くなる? 新たな取り組み


病院で手術を受ける前に、水分補給のために行われてきた「点滴」。点滴は、血管に針を刺すので、患者にとっては痛みもありますし、移動の際も大変です。
経験した人なら「できれば避けたい」と思うのではないでしょうか。
その点滴をやめて、手術を控えた患者の負担を減らそうという取り組みが医療現場に広がり始めています

神奈川県海老名市にある海老名総合病院です。朝6時。手術を受ける患者の点滴が始まります。
「おはようございます。点滴をやりたいのですが、いいですか?」

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手術中に吐いたりしないよう、患者は手術が始まる8時間前から何も食べられません。3時間前からは飲むこともできません。体の中の水分が不足し、手術中に血圧が下がるのを防ぐため、点滴で水分を補うのです。トイレに行くときは、点滴のボトルをつるした台車と一緒に移動します。手術着への着替えも、管が付いているので一苦労です。

ttk1.jpg患者の負担が大きくても、長年、当たり前のように行われてきた手術前の点滴。
この常識を覆す研究結果が、最近、相次いで報告されました。点滴を行わなくても、安全で効果的に水分を補給できるというのです。点滴と同じ成分で出来た経口補水液を飲む方法です。

ttk6.jpg手術前に飲めば、血管に直接水分を入れなくても、血液中の水分量が確保され、心配されていたおう吐も実際には起きないことが分かりました。

ttk4.jpg海老名総合病院栄養サポートチームの石井良昌室長は「今まで私たちは点滴をして手術室に行くことが普通のことだと思っていたんです。最近では、飲んでもいいんだよというのが、エビデンス(科学的根拠)として出てきたので、流れが変わりました」と話しています。

ttk3.jpgこの病院では、先々週から一部の患者に経口補水液を使い始めています。
あごの骨の手術を受けるため入院した61歳の女性は、 夜から朝にかけて、経口補水液を1リットル飲むように指示されました。
「どうですか?飲めました?」
「だいぶ飲めました。一本飲み終わりました」
女性は「味もとても飲みやすくてよかったです。あと、点滴だと煩わしさがあるんですけど、移動もとても楽です」と話しています。
点滴を経口補水液に切り替えることは、患者の負担を軽減するだけではありません。看護師の業務や針刺し事故などのリスクも減らします。
海老名総合病院では、今後、可能なかぎり、経口補水液に替えていきたいとしています。
石井室長は「患者さんのストレスが減り、病棟の看護師の業務が減るということは、それだけ患者さんの術前のケアをすることができるということで、すごく画期的なことだと思います」と話しています。

ttk2.jpgこの経口補水液、手術前の患者だけでなく、これまで点滴を受けていた熱中症や下痢などで脱水を起こしている患者の治療にも使われ始めています。手術前に行っていた点滴を経口補水液に切り替える取り組みは、全国の病院の1割ほどで進められているということです。

投稿者:松岡康子 | 投稿時間:06時00分

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コメント

アメリカ在住が長く、日本の医療に疎くなってきている状態です。ちょうど先日整形外科系の手術をアメリカでしました。もちろん手術前も、手術後も点滴を続けました。アメリカの点滴は手の血管を使い、針は刺した後には抜いてしまい、後は細いプラスティックが血管に入っている状態です。針ではないので手を動かすのも楽ですし、あまり気を使わなくてもよいのです。
点滴は水分、栄養分補給だけでなく麻酔薬、痛み止めを注入するのにも使うのですが、点滴を一切しない場合はどのようになるのでしょうか?私の場合は手術後痛み止めのモルヒネや、又普段服用している薬も点滴を通じて投入されたようです。そちらも踏まえての記事を書いていただきたかったです。

投稿日時:2012年04月11日 00時36分 | アメリカ在住

コメントありがとうございました。

今回の記事は「手術前の水分補給として行われる点滴」についてお伝えしました。

点滴をしないのは手術前で、手術室に入れば、麻酔薬や睡眠薬を注射するので、点滴が行われています。手術のあともその点滴を使って薬の投与が行われ、必要なくなれば抜去されています。
これまでは、この点滴が手術日の早朝から行われていました。
患者さんは動くのが大変で、転んだりする危険もあり、針刺し事故のリスクもありました。
そうした弊害をなくすためにも、せめて手術の前だけでも点滴は無くそうというのが今回の取り組みです。

投稿日時:2012年04月12日 14時43分 | sugawara

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