2012年01月30日 (月)花粉症 ことしの最新事情は


「花粉症」の方には厳しい時期が近づいてきました。
環境省が27日に発表した予測では、スギの花粉が飛び始める時期は、例年より遅くなり、最も早い九州や四国、それに中国から関東にかけての本州の南部では来月中旬ごろです。
スギやヒノキの花粉の飛ぶ量は、去年に比べて少ない見通しです。花粉症で悩んでいる人にとっては、少し安心できる情報です。
しかし、油断は禁物です。今や日本人の3人に1人が花粉症とみられ、これまで花粉症になりにくいと考えられていた、子どもやお年寄りでも花粉に悩む人たちが増えてきているといいます。

花粉症を巡る最新の動きを取材しました。

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横浜市にある、赤ちゃんや子ども用品の専門店です。先週、花粉症のコーナーが設けられました。
花粉症になる人が増えるなか、子どもの患者も増加しています。専門家によりますと、早い場合には2歳ぐらいで発症するケースも出てきているということです。

kf13.jpg小さな子どもを連れた女性の客は
「子どもにマスクをしたり、耳鼻科にも行って、アレルギーの薬をもらったりしています」と話していました。

一方、これまで患者が少ないとみられていた高齢者でも、花粉症に悩む人が増えつつあります。
東京・渋谷区の高齢者ケアセンターが花粉症対策をテーマに開いたセミナーには、定員を超える申し込みがありました。参加者は
「涙とかくしゃみがすごいんです。マスクをしたら、だいぶ違いました」「最初はかぜだと思っていたんです。どうも花粉症の感じで、病院に行ったら花粉症でした」などと話していました。

これまではよく分かっていなかった花粉の動きを正確に知ろうという取り組みも進んでいます。

kf9.jpg携帯電話会社は、通信設備など全国およそ 3000地点に花粉センサーを設置しました。取り込んだ空気に光を当てて花粉の量をリアルタイムに測定します。センサーで計測した花粉の量は、スマートフォンなどで見ることができます。

kf8.jpg画面にある丸いマークがセンサーのある場所です。電話に付いているGPS機能を使って、最も近いセンサーが自動に表示され、自分のいる場所の花粉の量を常に知ることができます。センサーは10キロ四方ごとにあり、これから出かける場所の花粉量も把握することができます。

センサーがとらえたデータを基に、きめ細かい予報も可能になりつつあります。
気象予報会社は、風の向きや強さなど、気象条件による花粉量の変化を分析しています。

kf12.jpg飛散が多かった、ある1日の花粉の動きを再現したものです(今シーズンではありません)。赤い部分が花粉の飛んでいる量が多い地域です。空気中の花粉の量は気象条件によって刻一刻と変わっていました。
こうしたデータを蓄積し、地域や時間ごとのより詳細な予報を出そうとしています。

kf10.jpg横田匡彦社長は
「何時ごろ、どこに花粉が多いということを聞けば、マスクをするとか、薬をちゃんと飲むとか、細かい対策ができるようになると思います」と話していました。

さらに、こうしたデータを使って、個人が浴びる花粉の量を推測し、治療に役立てようという実験も始まっています。

kf11.jpg千葉大学大学院の米倉修二医師は、生活パターンによって個人が1日に浴びる花粉の量の違いと、それが症状にどんな影響をもたらすのか、把握したいと考えています。

kf7.jpg実験に協力した女性です。17年ほど前から毎年花粉症に悩んでいます。実験では、外出時にGPS機能付きの携帯電話を持ち歩いてもらいました。女性がいる場所を把握し、最寄りのセンサーが観測したデータを蓄積していきます。
さらに、くしゃみや鼻づまりなど自分の症状を携帯電話に入力してもらいます。

kf4.jpg米倉医師は、54人の患者が1日平均であびた花粉量と症状との関連を調べました。
花粉を浴びる量は、同じ千葉市内に住む人でも、仕事で外出が多いかどうかなどで最大で9倍の差があり、症状の出方も個人によって大きな差があることが確認できました。

kf5.jpg米倉医師は
「個人が、ふだんの生活でどの程度の花粉を浴びたら、どれだけの症状が出るのか、そういったデー タを蓄積すると、個々人の対策を練ることができると思います。つまり、画一的な治療ではなく、いわゆるテーラーメイドのアレルギー性鼻炎の治療ができるのではないかと思います」と話していました。

この花粉症、今のところ根本的な治療は難しいのが現状です。
そこで、早めに、予防的に薬を飲むことで症状がひどくなるのを抑える「初期療法」と呼ばれる対応が重要とされています。

kf2.jpg初期療法では、主に花粉の飛散が始まる頃、または、少しでも症状が出た段階で薬を服用します。使う薬は、主な症状が、鼻づまりの場合と、くしゃみ・鼻水のケースでは違うこともありますので、自分の症状をしっかりと医師に伝えることが大事です。

ところで、ことしは、花粉に含まれる放射性物質について、心配する声があります。
確かに、林野庁が去年12月にまとめた報告では、福島県の警戒区域にあるスギの雄花の部分から、1キログラム当たり25万ベクレルという極めて高い濃度の放射性セシウムが検出されています。一方で、林野庁によりますと、この花粉が1立方メートル当たりおよそ2000個の高い濃度でシーズン中の4か月にわたって飛散したとしても、吸い込んだ人の累計の被ばく線量はおよそ0.553マイクロシーベルトで、林野庁では「健康に大きな影響があるとは考えられない」としています。
それでも、少しでも体内に入れたくないという人は、 マスクを着けるなど一般の花粉症対策をすることで体内に入る量を減らすことができるということです。

投稿者:中島沙織 | 投稿時間:06時00分

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