2014年12月08日 (月)ヒートショック 6割がリスク高い生活


冷え込む冬場に注意が必要なのが「ヒートショック」です。
風呂やトイレなど、家の中の温度差が原因で、血圧が急激に変化し心肺停止にもつながります。
専門家などがヒートショックについてアンケート調査を行ったところ、リスクの高い生活を送っている人が6割にのぼることがわかりました。
その対策をお伝えします。

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【入浴中の死者1万7000人 ヒートショックか】

入浴中に亡くなる人は年間1万7000人と推計されていますが、その多くがヒートショックによるものとみられています。
 
入浴時のヒートショックは、上の画像のような仕組みで起こります。
入浴前、寒い脱衣所で服を脱ぐと、血管が収縮し、血圧が上昇しますが、そのあと湯船につかると今度は、血管が広がり血圧が下がります。
急激な血圧の変化で心臓に負担がかかりショック状態になること、これが「ヒートショック」です。
失神したり意識がもうろうとしておぼれたり、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞などを引き起こして心肺停止にもつながります。


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【6割がリスクが高い生活】

ところが、こうした危険性があまり知られていないことがわかりました。
専門家などで作る団体「暖差リスク予防委員会」が、2014年10月に、全国の20代から70代までの2500人を対象にヒートショックについてアンケート調査を行ったところ、半数近い49%が言葉自体を知りませんでした。
また、家の中の温度差を意識することがあるかどうか尋ねたところ、「ある」と答えた人は41%、中でも70代はもっとも低く23%にとどまっています。
さらに、60%は、「暖房などで暖めるのはリビングなど、いる場所のみ」と答え、ヒートショックのリスクが高い生活を送っていました。
 
 
ヒートショックに詳しい東京都健康長寿医療センターの髙橋龍太郎副所長によりますと、入浴中に心肺停止状態となる人は、12月、1月、2月と寒い時期が多く、体の一部が裸になるトイレでも注意が必要だということです。


【危険性が高い人は?】


HSrisk2.jpgなかでも、特に注意が必要な人がいます。
高齢者や高血圧、糖尿病・脂質異常症の人はリスクが高まります。
▼高齢者は、血圧変化をきたしやすく、体温を維持する生理機能も低下しています。
▼高血圧の人は、血圧の急激な上下変動で低血圧症が起き、意識を失うこともあります。
▼糖尿病・脂質異常症の人は、血管の動脈硬化が進行していることがあるため、血圧のスムーズな維持ができないことがあります。


【対策は温度管理】


HSondo3.jpg対策は、まず、温度管理です。
▼脱衣所・浴室を暖め、廊下と続いて部屋になっていないところなどは、厚手のカーテンをつけるような、断熱性が高まる工夫をしてください。
▼シャワーで風呂にお湯はりをするのも有効です。高い位置に設置したシャワーから浴槽へお湯をはることで、浴室全体を温めることができます。
▼風呂の温度は41度以下にします。
▼旅先などでの露天風呂は、高齢者や高血圧の人は注意が必要です。


【入浴のタイミングは?】


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▼入浴のタイミングは、日没前です。日中は日没後と比べて、外気温が比較的に高いためです。万が一のときに対応してもらえるよう、家族がいる間に入浴するようにし、家族がいなければ、公衆浴場や日帰り温泉などを利用して、一人での入浴は控えてください。
▼食事の直後や飲酒時の入浴も避けます。
▼一方で、起床後に朝風呂に入るのは大丈夫だということです。



<取材後期>
 

入浴中に心肺停止状態になる人は、70歳以上の高齢者が85%を占めています。
お年寄りは、体温を維持する生理機能の低下だけではなく、皮膚感覚も衰え、寒さを自覚しにくくなっています。
リスクの高い人が自覚のないまま、リスクの高い行動を取ってしまっている形です。
 

2500人のアンケートでは、それぞれ悩みや対策も具体的に聞いています。
悩みで目立ったのは、「隙間風」という古い日本家屋ならではの問題です。対策が取り切れず、ストーブを消したら30分で外気温並みの室温になるという家庭もありました。

工夫の余地はあります。
隙間風対策としては、家中のドアや窓などの隙間に目張りをし、機密性を高めることが重要です。
寒さを遠ざけ、熱を逃がさないよう、窓ガラスに断熱フィルムを張ったり、床に断熱シートを敷いたりしている家庭もありました。
その上で、日光を活用しているという意見が多く、日中はカーテンを開けて日差しで部屋を暖め、部屋が暖かいうちに間仕切りのドアを閉めるといった対策は手軽にできそうです。
 

それでも、風呂場やトイレ、廊下は寒いかもしれません。
家の中で部屋を移動をするときには、厚着が重要です。ダウンのはんてんを着ているとか、毛布をかぶっているとか、靴下を3重にはいているという人もいました。
 
移動先の風呂場やトイレでは、電気ストーブなどで暖房をしておいたり、そのつどつけたりすることが大事です。その際、くれぐれも火事には気をつけてください。
 

家の中だけではなく、家を出入りするときにも注意が必要です。
専門家は、リスクが高い人に対しては、家から外に出る際には、すぐに体温が下がらないよう足踏みを5回くらいして、一度身体を温めてから外に出るよう指導したり、逆に、帰宅した時はすぐに暖かいところに行かずに、まず玄関でコートを脱いで、しばらくしてから部屋に入る、という指導をすることがあるそうです。
 

入浴時だけの推計で、年間1万7000人もの人が亡くなっています。
「ヒートショック」の危険性を知り、対策を取って身を守ってください。

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投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:08時00分

コメント

私は今介護を受けています。
デーサービスで風呂にはいります。
家にも風呂はありますが、外に風呂があるので、家の風呂ははおりません。デーサービスで風呂に入ったとき風呂から出たとき一瞬目の前が
真っ暗になりふらついたときがありました。
私は現在70歳です。

投稿日時:2014年12月12日 12時50分 | 山田秀紀

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