2014年02月07日 (金)燃えにくいカーテン"燃えるおそれ"で回収
高層マンションなどで使用が義務づけられている燃えにくいカーテンの中に、一部、消防法の基準を超えて燃え広がるおそれのあるものが含まれているとして、総務省消防庁は、生地のメーカー4社に対し、製品を自主回収するよう指導しました。
しかし、どのメーカーの生地が使われているのか現状では追跡するのが難しく、専門家は、改善すべきだと指摘しています。
【燃えにくい「防炎物品」】
燃えにくいカーテンやじゅうたんは、おおむね11階以上の高層マンションやホテル・病院などで重大な火災を防ぐため、消防法で使用が義務づけられていて、「防炎物品(ぼうえんぶっぴん)」と名付けられています。
製品は、「防炎ラベル」の有無で見分けることができます。
【基準超えで回収指導】
こうした製品の性能を審査している「日本防炎協会」が調べたところ、一部、基準を超えて燃え広がるおそれのあるものが含まれていることが分かりました。
このため、総務省消防庁は生地のメーカー4社に対し、平成18年から平成24年に出荷した生地で作られたカーテンおよそ800枚分を自主回収するよう指導しました。
しかし、回収に向けては課題があります。
【生地の追跡は困難】
公表はしましたが、どこでどのように使われているか、特定するための手がかりが乏しいのです。
「日本防炎協会」の試験で消防法の基準を満たしたものには「防炎ラベル」が付けられますが、生地の段階で付けられたものとは別のものが縫製して製品にする段階で付けられています。
生地の段階のラベルには試験の番号がありますが、縫製して製品になったあとのものには、その番号がありません。
生地の段階で品質管理を徹底するという考え方から、このような仕組みになっていますが、問題のある生地が使われているかどうか、「防炎ラベル」から追跡するのは難しいのが現状です。
【リコール制度など追跡できるように】
製品事故に詳しい中村雅人弁護士は、リコール制度をつくるなど、製品となって市場に流通したあとの対応を改善すべきだと指摘しています。
「消費者のもとに届ける製品で、不良品や欠陥品が出る可能性は常にあるため、メーカーには、そのときにきちんと自分のところに取り戻せる方法を常に考えて物を作ってほしい」。
【取材後記】
最近、不具合の情報がどこかに集まっているのに公表されない問題が相次いでいます。美白化粧品の白斑や、冷凍食品の農薬混入は、そのために被害が広がった形です。
今回も、端緒をつかんでから、まず公表すればよいのではないかと取材を進めてきましたが、総務省消防庁も日本防炎協会も、混乱を避けるため、再試験の結果を踏まえてというスタンスに終始しました。
結果は、「火災を拡大させる原因となるおそれがある」という判断でした。
そうであれば、やはり、可能性があるものも含めて「基準を超えて燃え広がる製品があるという情報があり、再試験をしているが、気をつけてほしい」などと、まず公表すべきだったのではないでしょうか。
品質管理の徹底と追跡をする仕組みの検討はもちろんですが、公表の在り方については、人の命に直結する火災に関わるものだけに、今後の改善を望みます。
総務省消防庁の公表資料です。
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h26/2602/260205_1houdou/01_houdoushiryou.pdf
防炎物品など全般の問い合わせ先です。
▼「日本防炎協会」 03-3246-1663
生地メーカー4社と問い合わせ先は以下のとおりです。
▼「揚原織物工業」 0778-52-7333
▼「尾張整染」 0586-72-7826
▼「川越レース」 075-671-1305
▼「光洋合繊加工」 075―313―2101
投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:08時00分