2013年04月03日 (水)食物アレルギーでもみんな一緒の給食を


教育や保育の現場で、食物アレルギーの子どもたちが、誤ってアレルギーの原因となる食品を食べる事故を防ぐにはどうしたらいいか、今問題となっています。

小中学校などの給食では、アレルギーのある児童や生徒に個別のメニューを出すことが多くなっています。しかし、幼い子どもが通う保育園では自分のアレルギーへの認識が薄いことなどから、間違って友だちの給食を食べてしまうなど、事故を防ぐには対応がより難しいのが実情です。こうした中、大阪のある保育園では、アレルギーの原因となる食材をなるべく使わず、みんな一緒の給食を食べることで、事故をなくす取り組みを始めています。

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大阪・門真市にある「おおわだ保育園」です。

tamago20130403-2.jpg園児およそ200人のうち、1割近い16人に何らかの食物アレルギーがあります。この日の給食はハンバーグ。通常、つなぎに、牛乳や卵を使います。

tamago20130403-3.jpg3歳の男の子は卵アレルギーがあり、食べると全身にじんましんが出てしまいます。しかし、この給食のハンバーグは食べられるんです。

tamago20130403-4.jpgなぜならこの保育園は、毎日の給食に、アレルギーを持つ子どもが多い卵と牛乳を、一切使っていないからです。

tamago20130403-5.jpgみんなで食べられるので、保育園では「なかよし給食」と名付けています。

tamago20130403-6.jpg卵と牛乳を使わずに、どうやってハンバーグを作るのでしょうか。実はつなぎとしてかわりにじゃがいもを使っているのです。卵や、牛乳に浸したパン粉の代わりに使うのが「すりおろした」じゃがいもと「ゆでてつぶした」じゃがいもです。

tamago20130403-7.jpgその工夫について栄養士は「じゃがいもはすり下ろすと粘りが出るし、ゆででつぶすとふっくらする効果があります。おろしたじゃがいもを卵の代わりにして、ゆででつぶしたじゃがいもでパン粉と牛乳の代わりとなるつなぎを作るんです」と説明してくれました。こういったひと手間で卵と牛乳を使わない給食を実現しています。

tamago20130403-8.jpgこの保育園でも、1年あまり前までは、アレルギーのある子どもには、個別に、食べられない食品を除去した給食を作っていました。調理の際、間違いのないよう細心の注意が必要でしたが、せっかく個別のメニューを用意しても配膳のときに間違ってしまったり、目を離したすきにアレルギーのある園児が隣の子どもの給食を食べてしまうこともあったといいます。

tamago20130403-9.jpg馬場耕一郎園長は、「防いでも防ぎきれない事故の可能性があるので、その可能性をゼロにするには、まったく危険な物質が入っていない給食が一番安全だと考え、まずは卵と牛乳を使わない給食作りに乗り出した」と話していました。

tamago20130403-10.jpg試行錯誤の末に今の給食の形ができあがり、毎日、卵や牛乳を使わない給食が出るようになったことで、多くの子どもたちが一緒の給食を食べられるようになり、給食の時間が楽しみになったといいます。また保育士も「以前はおかわりと言われてもアレルギーのある子には断らなくてはいけなかったが今ではおかわりあるよって渡せるようになったんで、それがすごくうれしいです」と話していました。

tamago20130403-11.jpg一方、食物アレルギーのない子どもの保護者に、どう理解してもらうかという課題もあります。保育園では、まず給食費など保護者の負担が増えないよう、スーパーで一般的に手に入る食材だけを使うことにしました。スープの素やハムなど加工品にも卵や乳成分が使われていることが多いので成分表を取り寄せチェックを徹底していますが、アレルギー対策の専門店でしか手に入らない高価な食材は使いません。

tamago20130403-12.jpgまた、ホームページ上にある保育園のブログで、食材と調理法を紹介しています。卵や牛乳を使わなくても必要な栄養素が足りていることを知ってもらうためです。

tamago20130403-13.jpg玄関先に給食のサンプルを置き、栄養士が直接説明もしていました。栄養士は「卵や牛乳を抜いたからおいしくない、見た目が悪いとは言われたくない。ほかの食材で補っておいしくなるよう工夫していることを知ってほしい」と話していました。

tamago20130403-14.jpg保護者からは「先生たちが熱心に関わってくれているので特に心配はしていない」という声が聞かれました。特に食物アレルギーのある子どもの親からは「みんなで一緒に給食を食べられることがうれしいです」と話していました。

tamago20130403-15.jpg保育園ではさらに今、メニューを増やせないか、模索しています。卵と牛乳だけでなく、大豆や小麦アレルギーの子どもにも、安心して食べてもらえるメニュー作りに取り組んでいます。というのも以前はシチューの牛乳のかわりに豆乳を使っていました。しかし新たに大豆アレルギーと診断された子どもがいたため、豆乳を使えなくなってしまったからです。独特のとろみを出すため、野菜のゆで汁や米粉、そしてクリーム状のコーンを組み合わせて試してみたところ非常においしくできあがりました。栄養士は「見た目もわからない。何も知らないで食べたら普通のシチューだと思うと思います」と話していました。

tamago20130403-16.jpg馬場園長は「同じ釜の飯を食べるというのが 私は仲良しの大前提だと思ってますんで、食べることに対して興味を持ってくれるような給食をめざしたいと思っています」と話していました。

tamago20130403-17.jpg日本保育園保健協議会の調査によりますと1年間で保育園の29%が間違ってアレルギーの原因食品を食べる「誤食事故」を経験しているという調査結果もあります。それだけに、事故防止とおいしい給食の両方を実現したこの取り組みは関係者の間で注目されています。

食物アレルギーはまず正しい専門医にかかり何が食べられて何が食べられないのかきちんと診断をしてもらうことが大前提です。その上でショック症状が起きてしまうなど避けなければいけない食品については、誤って食べないよう、学校や保育の現場と保護者との事前の確認や連携を行って子どもたちを守るための方策を考える必要があると思います。

投稿者:山本未果 | 投稿時間:06時00分

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