2013年03月08日 (金)「食べやすさ」に「見た目」も~最新の"介護食"


超高齢社会を迎えた日本。高齢者が増え続ける中、いま、食事に新たなニーズが生まれています。食べ物をかんだり飲み込んだりする機能が低下した人向けの食品です。食べやすさだけではなく、おいしく味わってもらうための工夫をこらした食品が次々と登場し、注目を集めています。
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高齢になって食べ物をかんだり飲み込んだりする機能が低下した人向けの食品を集めた展示会が2月19日と20日に東京で開かれました。出品したのはおよそ70の食品メーカーなどです。▼のどに詰まると危険な骨を取り除いて味付けした魚や▼野菜をミキサーなどを使って高齢者でもかみやすいかたさに固め直した食品などが並びました。

20130308kaigosyoku9tamago.jpg愛知県豊橋市のメーカーが高齢者用に開発した「ちくわ」は、飲み込む力が衰えた高齢者でも食べられるように、魚のすり身に、卵白や里芋、長いもを入れ、焼かずに蒸してあります。私も食べてみましたが、ふわっとしていて、口の中で溶けていく感じでした。

20130308kaigosyoku2tamago.jpg各社が目指しているのは、「かみやすさ」や「飲み込みやすさ」だけではありません。食欲をそそるようにと、「見た目のよさ」にもこだわっています。お年寄りの食事の世話をする、介護の現場で働く人たちも「昔と違って食べてもらうためには見た目が大事だと思う」と話していました。愛知県豊橋市のメーカーが開発した高齢者用の「ちくわ」も、焼いた普通のちくわに見えるように、しょうゆで色づけして焼き目の感じを出しているということです。静岡県と神奈川県のメーカーが合同で作った「すし」は、サーモンやホタテなどの魚をすりつぶしたものを固め、普通よりもやわらかく握った「しゃり」に載せています。ネタの形を整えれば、「すし」そっくりになります。

20130308kaigosyoku4tamago.jpg広島県の食品工業技術センターが開発した技術が使われたこちらの食品。

20130308kaigosyoku14tamago.jpg見た目は元の形を保っていながら、高齢者が舌や歯ぐきでつぶせるほどやわらかいのです。

20130308kaigosyoku13tamago.jpg冷凍し解凍した食材を酵素を溶かした水につけ込んだまま真空にすると、細胞と細胞の間の空気が抜けて酵素が中にしみこみます。つながっている細胞が酵素によって切り離されることで、やわらかくなる仕組みです。この技術を使えば、「見た目」はもちろん、食材本来の風味も保たれるといいます。

このほかにも、高齢者に人気がある和菓子も飲み込みやすいように工夫されたものが増えていて、山芋入りのどら焼きや餅の代わりにペーストしたサツマイモを使ったおはぎなどが並んでいました。

20130308kaigosyoku6tamago.jpg食べ物をかんだり飲み込んだりする力が衰えた高齢者は今後も増えるとみられています。民間の調査会社「富士経済」の予測では、やわらかい食品や流動食、栄養補給食品などの市場規模は、8年後の平成33年には1500億円を超える見込みで、おととし(平成23年)の1000億円あまりと比べて、10年でおよそ500億円拡大すると予測しています。

かんだり飲み込んだりする力が衰えたお年寄りが食事を取る上で大切なのは「安全」に食べられるかどうかです。食べ物を飲み込む力が落ちていれば、食べ物などが誤って気管に入り肺炎になる恐れもあるからです。しかし、ただ安全なだけでは、食べる意欲はわかないでしょう。今回取材した介護食は市販のものですが、「見た目のよさ」にこだわって食事を作る老人ホームや病院もあります。カラフルな食材を使ったり、いったんミキサーなどにかけた魚を、魚の切り身の形に固め直したりする施設もあります。食は生きるために必要不可欠なものです。栄養補給だけでなく、楽しみにもなります。食べやすく、味もよく、見た目もよい・・・高齢者が「食べたい」と思う食品が増えればいいと思います。

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投稿者:中村織恵 | 投稿時間:06時00分

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