2012年05月22日 (火)「住宅診断」って知っていますか?


きょうのテーマは、「住宅診断」です。
「住宅診断」ということばを初めて聞く方もあるかもしれません。住宅診断とは、名前のとおり、一戸建てやマンションなど、その住宅がどのような状態なのか、専門家に診断してもらうことです。

国土交通省によりますと、価格の安さなどから中古住宅の人気は高まっているということですが、古い住宅でも、状態がよい物もあれば、比較的新しくても劣化が進んでいるものもあるなど、築年数だけでは判断できません
そうした住宅の状態を個々に診断するのが住宅診断で、今、注目されています。

その専門家とは、どんな人でどんなところを見てくれるのでしょうか。
建築士やリフォーム業者などが行うこともありますが、4年前、NPO法人が設立されて、「住宅診断士」を認定するようになりました。現在、全国で440人います。チェックするのは、耐震や構造上の問題ではなく、水回りや換気の状態など、ふだんの生活に深く関わる部分で、そうしたところに問題がないかどうかチェックします。
診断の様子を取材しました。

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ことし1月、マンションを中古で購入した夫婦を取材させていただきました。
建築後23年がたっていたため、購入にあたって住宅診断を依頼しました。「築23年で、それなりに経年劣化があると思いました。自分自身で外側を見ても何も分からないですから」と当時を振り返ります。

住宅診断士の塩澤正幸さんです。そのときの診断を再現してもらいました。診断は、壁や柱、サッシ、水回りなど、多岐に渡ります。欠陥や劣化の具合を見極め、将来、修繕が必要になると予想される箇所が見つかった場合は、その時期や費用の目安も助言します。一方で、優れている点があればそれも指摘します。

jtsh3.jpg壁をたたいて遮音性をチェック。「コンクリートのじか貼りなので、遮音性が高い」と評価します。ヒビ割れや壁紙がはがれていないか、隅々まで確かめます。床を踏んで、沈んだり、きしんだりしていないかを確認。水平や垂直を測る道具を使って、建物の傾きを調べることも大事なポイントです。

とりわけ重要なのが、床下や天井裏などの隠れた部分です。
「排水経路ですが、漏水はありません」
排水管周辺などは、最もトラブルが多いところですが、購入者が自分でチェックすることはめったにありません。素人だと、問題があるかどうかも、ほとんど分からないといいます。

jtsh2.jpg塩澤さんは
「チェックして、すぐ修理をしなければならないところが見つかるかもしれません。ただ、そのままでも使えるところもあります。その辺の現状の比較をさせてもらって、的確なアドバイスができればいいと思っています」と話しています。

jtsh4.jpg診断の結果は一冊の報告書にまとめられます。100項目以上にも及ぶ診断結果が、問題の「あり」「なし」で示されています。指摘された箇所は、現場の写真にコメントが添えられています。
浴室の天井裏に問題がありました。天井裏を開け、換気設備を点検したところ、ダクトと呼ばれる管の接続が悪く、空気が漏れ出していることが分かりました。そのままにしておくと、湿った空気が充満し、カビが発生するおそれがあります。

jtsh5.jpg壁紙のはがれや、洗面台の脇の隙間などの不具合も指摘されました。売り主と交渉して、隙間など数か所を直してもらうことができました。

jtsh6.jpg診断は、あくまでも住宅の現状報告にとどまるので、診断士は、購入者に代わって売り主と修理や値引きの交渉を行うことはありません。結果を受けて、購入者が自分で売り主と交渉することになります。

夫婦は
「家を買うのは大きな買い物なので、お願いしてよかった」
「しっかりと不具合も見つけていただきました。さらに、今後起こりうる可能性というのも示唆していただいたので、かなり助かり、安心感も得られました」
と話していました。

jtsh7.jpgこうした住宅診断の料金は、業者によっても違いますが、1回当たり5万円ほどで、2、3時間程度かかるそうです。診断は、売り主や不動産業者が行う場合もありますが、購入者からすれば、売る側から出された情報より、自分が選んだ業者の診断を信じるという傾向があり、購入する側からの依頼が全体の8割を占めているそうです。
購入前だと、住宅はまだ売り主のもので、診断にあたっては売り主の許可が必要ですが、売る側にとっても、あとのトラブル防止につながるので、診断は双方にメリットがあると言えると思います。

その一方で、課題もあります。住宅診断士は国家資格ではないため、診断を行う人の技能や、診断方法などに公的な基準が確立されていないのが現状です。
このため、国土交通省は、国としての基準を作り、統一の評価方法などを示したガイドラインを今年度中に作ることになりました。ガイドラインには、診断に当たる人に必要な技術や能力のほか、調査項目や評価方法などが盛り込まれる見通しだということです。

投稿者:天間暁子 | 投稿時間:06時00分

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