2012年04月10日 (火)"レバ刺し" 提供禁止の波紋


焼き肉店の人気メニュー「レバ刺し」。
牛の生レバーの飲食店での提供について検討してきた厚生労働省の部会は、食中毒を防ぐ有効な予防策がないとして、禁止すべきだという結論をまとめました。
厚生労働省は、食品安全委員会に意見を聞いたうえで、違反した場合は罰則を伴う新たな基準を作り、ことし6月にも飲食店での提供を禁止することにしています。

rvs4.jpgなぜ、これまで広く食べられてきたものが、突然、メニューから消えるのでしょうか。
きっかけは、富山県や福井県などの焼き肉チェーン店で、ユッケを食べた人に広がった集団食中毒事件です。

厚生労働省は、事件を受けて、ユッケを作るのに必要な生の牛肉の加工基準を厳しくする一方、以前から食中毒の危険性が指摘されていた牛の生レバーに ついても、飲食店に提供の自粛を呼びかけるとともに、規制の検討を始めました。
その結果、牛の生レバーの内部から、重い食中毒を引き起こすおそれのある、 O157などの病原性大腸菌が検出され、食中毒の増える夏を前に、一気に提供禁止の流れになりました。

rvs5.jpgしかし、人気メニューが突然消える影響は小さくありません。
取材した東京・台東区の焼き肉店では、レバ刺しの自粛で落ち込んだ売り上げを回復させよ うと、代わりに、レバ刺しに味や食感を似せた「こんにゃく」をメニューに加えました。レバ刺しを食べる雰囲気を少しでも楽しんでもらいたいという思いからです。

rvs2.jpgしかし、レバ刺しが好きな客からは「本物の味を思い出してしまう。レバ刺しが禁止されると焼き肉店に行く回数も減ってしまう」という声も聞かれました。

また、この店では、牛肉を使ったユッケも、加工基準が厳しくなったことから、馬肉のユッケに切り替えていますが、牛肉のユッケの売り上げには及ばないということです。
焼き肉店の経営者は「ユッケとレバ刺しは一番の人気商品だったので、これをそぎとられると、かなりつらい。残念だ」と話していました。

また、研究機関と連携して、生レバーを安全に食べる方法がないか、方法を探している全国食肉事業協同組合連合会の小林喜一専務理事は「厚生労働省は最初から禁止ありきで、われわれと一緒に安全なものを提供する手段を考える姿勢が一切無かったのが残念だ。生レバーを食べるという食文化を否定しないでほしい」と話していました。

食の安全を守ることはもちろん重要です。しかし、食べる楽しさを守ることも大切です。一時的な規制は仕方がないとしても、今後、行政の側も、業界団体などと協力して生レバーを安全に食べるための手段を探す努力をしてもらいたいというのが、レバ刺しの好きな人たちの願いではないでしょうか。

投稿者:中島沙織 | 投稿時間:06時00分

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