2017年11月01日 (水)近づく台風 どうなる衆院選


※2017年10月19日にNHK News Up に掲載されました。

今度の日曜は衆議院選挙の投開票日。しかし今週末、季節外れの台風21号が勢力を増しながら日本列島に接近する見通しです。沖縄や鹿児島の奄美地方をはじめ、全国的に天気は大荒れになる見込みで、有権者の投票への影響を懸念する声も出始めています。台風直撃で選挙は無事にできるのか。そして、投票率はどうなるのでしょうか?

ネットワーク報道部記者 野町かずみ・角田 舞

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<季節外れの台風で選挙に影響か>
悪天候が予想される今回の衆議院選挙。気象庁によりますと、台風21号は現在、フィリピンの東の海上にあり、勢力を増しながら北上中で、週末にかけて日本に接近する見通しです。
秋雨前線や寒気の影響も受け、投開票日の22日は全国の広い範囲で大雨や強風となるおそれがあります。予想される台風の進路と重なる地域では、万一の場合に備えて急きょ、投票日を前倒しするなど対応に乗り出す自治体も相次いでいます。


<投票日を繰り上げる自治体も>
鹿児島県奄美地方にある瀬戸内町は18日の夕方になって、投票日を前倒しする決断をしました。
瀬戸内町は、奄美大島のほか3つの離島を抱える自治体です。開票作業が円滑に進むよう、一部の島ではもともと投票日を1日早めることにしていましたが、台風で海が荒れて投票箱を船で運べなくなるおそれもあるため、町の選挙管理委員会は3つの島の投票日をさらに1日ずつ前倒しすることにしたのです。

ch171019.2.jpgその結果、一部の島では、20日(金)に投票が行われる事態となりました。投票日まで時間がない中での急な決定だったため、町は立会人や選挙管理者に連絡を取って、日程変更を調整するのに大わらわだったということです。
住民への周知も課題で、防災無線で投票日の変更を呼びかけるなどして周知を図っています。
瀬戸内町では、地方選挙・国政選挙を通じて、悪天候のため投票日を繰り上げるのは初めてだということで、担当者は「とにかく安全に投票が行われ、投票箱が無事に開票所に届くようにしたい」と話していました。


<関係者はやきもき>
離島を抱える沖縄県竹富町でも同じ課題に直面しています。
町は8つの島から船で投票箱を回収する予定ですが、台風の大しけの中、果たして無事に回収できるのか、町の選挙管理委員会では天気予報をやきもきしながら見守っています。
台風が近づく前に投票箱を島に届けておきたいと、南端の波照間島には予定を早めて19日に投票箱を届けることにしました。また、島を結ぶ定期船が欠航した場合に備えて、民間の漁船に「もしもの時には投票箱を運んでほしい」とお願いしています。漁船も出られないほどの大しけになった場合は、海上保安庁の船や自衛隊のヘリコプターで運んでもらうことも検討しているということです。
竹富町選挙管理委員会の担当者は「1つでも投票箱が届かない事態になっては大変なので、輸送手段を何系統も想定し、複数の関係機関に協力を要請しています。無事に運べるとよいのですが…」と話していました。
ほかにも、選挙を当日に行えるかどうかの検討が各地で続けられていますが、仮に投票日を延期するケースが出た場合は、台風のため三重県内の2つの自治体で投票が7日間延期された昭和49年の参議院選挙以来、43年ぶりのこととなります。


<天気で投票率は左右されるのか>
鹿児島や沖縄のみならず全国に影響を及ぼしそうな今回の台風。選挙が無事に行われるかはもちろんのこと、投票率がどうなるかも気になるところです。
投票率は天候だけに左右されるものではなく候補者の顔ぶれや争点も大きく影響しますが、一般的に、天気が極端に悪い日の選挙は投票率が下がると言われているのです。
過去の衆議院選挙で、東京と大阪の投票率の推移を示したグラフのうち、投票率が低い選挙に注目して見てみます。

ch171019.3.jpgグラフ提供:ウェザーニューズ
東京で過去最低の投票率を記録した昭和54年の衆院選(投票率53.19%)は、今回と同じように10月に台風が接近する中で行われました。東京では総雨量が100ミリ前後に達する荒れた天気になり、それが低い投票率の一因と見られています。
そして、前回3年前の平成26年12月の衆院選。この時は、強い寒気の影響で日本海側を中心に雪が降り、全国平均の投票率は戦後最低を記録しました。冷え込みが強まった東京でも、過去2番目に低い投票率(54.36%)になりました。

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<まとめ>
今回の衆議院選挙は、補選を除いて初めて18歳以上の有権者が投票することになるため、投票率が特に注目される選挙でもあります。
総務省によりますと今月15日までに「期日前投票」を行った人は全国で410万7108人(全有権者の3.86%)で、前回選挙の同じ時期と比べて140万人余り増えています。
台風が近づく中での今回の選挙。各地の選挙管理委員会は、悪天候の影響を受ける前に、期日前投票の制度を活用して早めに投票するよう呼びかけています。

投稿者:野町かずみ | 投稿時間:16時38分

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