2019年05月13日 (月)おやにいじめられているあなたへ 子どもが虐待を訴える方法


※2019年2月8日にNHK News Up に掲載されました。

おとうさんやおかあさんに、いじめられているあなたへ。
小学4年生の女の子が、しんでしまったのをしっていますか。おとうさんから、ぼう力をうけていたじけんです。学校で「たすけて」といったのに、だめでした。わたしたち大人は、とてもかなしんでいます。女の子をたすけたかった。まわりの大人がたすけてあげられず、ざんねんでなりません。だから、あなたのことは、なんとかたすけたいのです。

※子どもによんでほしいところは、小学1年生でならう、かん字だけをつかっています。かん字をよめない子どもは、まわりのおにいさん・おねえさんに、よんでもらって下さい。後半は大人向けのNewsUpです。

190208oya.1.jpg

190208oya.2.jpgおやにいじめられたら、だれにどうやって「たすけて」といえばいいのか、しらべてみました。

子どもをたすけるしごとの人たちにきいたら、みんな「ぜったいにあきらめないで!」と、いっています。

「いじめられるのは、あなたのせいじゃない。あなたは、わるくない」とも、いっていました。だから、あきらめずに、「たすけて」といいつづけて下さい!


<まず、だれにいえばいい?>

190208oya.3.jpgまずは、まわりの大人にいってみるのが、いちばんいいそうです。

なぜかというと、あなたやかぞくのことを、よくわかるからだって。
まわりに「なかがいい」「はなしやすい」「しんぱいしてくれる」大人はいますか?

がっこうの先生、ともだちのおとうさん、おかあさん、ちかくの人、ほかにもいるかもしれませんね。

「げんきないね、だいじょうぶ?」とか、「このけが、どうしたの?」って、きかれたことはありませんか?

その大人と、なかがいいなら、「たすけて」といいましょう。

だいじなこと。「じぶんがいったって、ばれないようにしてね」と、かならずおねがいしましょう。


<まわりの大人がだめなら、どうしたら?>
まわりに「なかがいい」大人がいないとか、いってもだめなときに、どうしたらいいのか、しらべました。

すこしむずかしいけれど、がんばって!


<▼子どもをたすける「189」にでんわする>
こんな子どもにおすすめ
○スマホ・けいたいでんわをつかえます
○じぶんのいえの「じゅうしょ」がいえます

どうやるの?
でんわで「189」をおすと、「じどうそうだんじょ」という、子どもをたすける人たちに、つながります。スマホからかけたときは、しばらくまちましょう。「プルル」という音がしたあと、でんわに出てくれます。

なにをいえばいいの?
まず「たすけて」といいましょう。
たぶん、いろいろきかれますが、わからなければ「わからない」といって、だいじょうぶです。
そのうち、「じゅうしょ」をきかれるので、こたえましょう。
そしたら、しばらくまつようにいわれます。でんわをきっては、だめですよ。
つぎの人がでんわに出たら、もういちど「たすけて」といいましょう。名まえや「じゅうしょ」も、きかれたらこたえましょう。

190208oya.4.jpg

<▼ネットでしらべて、メールやでんわでそうだんする>
こんな子どもにおすすめ
○スマホやパソコンで、「ネットけんさく」ができます
○じぶんの名まえを、いいたくありません

どうやるの?
ネットけんさくで「児童虐待(じどう・ぎゃくたい)」「相談(そうだん)」とうちこむと、いろいろなサイトが見つかります。
メール・チャット・でんわ、すきなやりかたを、えらべるのもあります。
じぶんの名まえはいわずに、はなしをきいてもらえる、というのがおおいです。

きをつけること
「すぐに、たすけてほしい子どもは、ほかのやりかたがいい」と、くわしい人たちは、いっています。

190208oya.5.jpg

<▼ちかくの「こうばん」で、おまわりさんにいう>
こんな子どもにおすすめ
○ほかに「たすけて」といえる大人がいません
○くるしくて、もうがまんできません
○「こうばん」のばしょがわかります

どうやるの? なにをいえばいいの?
「こうばん」にいきましょう。おまわりさんが、いないときもあります。いなかったら、つぎの日に、またいってみましょう。
おまわりさんがいたら、「たすけて」「おやにいじめられています。ぎゃくたいです」といいましょう。
あとは、きかれたことに、こたえて下さい。けいさつの「110」にでんわしても、おまわりさんが出てくれます。
「ほかのやりかたではだめで、どうしてもくるしいときは、でんわしてもいいんだよ」と、くわしい人たちは、いっています。

190208oya.6.jpg

<子どもが虐待を訴える方法 小4女児死亡事件が問う“大人力”>

190208oya.7.jpg千葉県野田市の小学4年生の女の子が死亡した事件。女の子は、小学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」「先生、どうにかできませんか」と、みずから虐待を訴えました。これがきっかけで、女の子は児童相談所に一時保護されました。さまざまないきさつで、自宅に戻ることになった女の子。その後、みずから声を上げたことを示す事実は、これまでのところ明らかになっていません。女の子の声なき悲鳴を、キャッチするすべはなかったのか。子ども本人が虐待を訴えるには、どんな方法がよいのか。児童虐待の専門家たちに取材しました。
(虐待問題取材班 高橋圭太・佐藤寿康・黒川あゆみ)


<「家にいたい」「両親は優しい」と言うけれど…>

190208oya.8.jpg千葉県の柏児童相談所は、亡くなった女の子が一時保護の期間中などに「自宅にいたい」という意向を示したと説明しています。

こうした子どもの気持ちについて、児童相談所で法律業務にあたる磯谷文明弁護士に分析してもらいました。

190208oya.9.jpg磯谷文明弁護士
「虐待を受けている子どもは、『それでも家にいたい、両親は優しい』と考えてしまいがちです。客観的にみて『そうではない』と、子どもを説得することが大切です」
また児童相談所の元職員である専門家は「虐待を受けるのは自分が悪いからだ」と、子どもが思い込んでしまうこともあると指摘します。

「両親は優しい」、「自分が悪い」と思い込んでしまった子どもに声を上げてもらうのは、たやすいことではありません。

専門家は「虐待を受ける子どもが悪いのではない、悪いのは親だ」というメッセージを、ふだんから子どもたちに伝えることが重要だと指摘します。このことが、声なき悲鳴をキャッチすることにもつながるのです。


<最初の相談相手は“周囲の大人たち”>
では、虐待されている子どもの声をまず受け止めるのは、誰の役割なのか。専門家が口をそろえるのが“周囲の大人たち”です。
その理由について、児童相談所の元職員はこう説明します。
「大人はつい『公的な相談窓口もある』と考えがちですが、子どもにとって、相談窓口は”知らない大人”です。相談のハードルは、相当高いといえます」
また別の専門家も「まずは子どもが『話しやすいな』と思える大人が、相談相手になるのが望ましい」と話します。
190208oya.10.jpg例えば小学生なら、学校の先生は最も身近な大人のひとりです。塾の先生、友だちの親、近くのおじさん・おばさん、親戚…読者の皆さんも、さまざまな立場で、子どもと関わっているでしょう。相談しやすい大人、信頼される大人でありたいものです。

「もしも、相談されたらどうしよう…」

その不安、わかります。専門家は子どもの訴えに真摯(しんし)に耳を傾けることが大切だとしています。そのうえで、虐待が少しでも疑われるのであれば、最寄りの児童相談所に連絡するのが、まわりの大人の責務だと強調します。


<“最後のとりで”「189」「110」>

190208oya.11.jpg厚生労働省が設ける児童虐待の電話相談窓口として、全国共通ダイヤル「189」があります。語呂合わせは「いちはやく」。

各地の児童相談所につながり、電話をきっかけに一時保護などの対応が取られることもあります。

虐待を打ち明けられた“周囲の大人たち”が電話する番号でもあります。この窓口は、虐待に苦しむ子ども本人からの相談も、もちろん受け付けています。

圧倒的に多いのは大人からの相談です。例えば、固定電話では自動音声案内に従って操作が必要な場合があるなど、子どもが自分でかけるのは難しい印象です。子どもにとって、もっと使いやすくなるような、改善や周知が望まれます。

専門家たちは「深刻な状況にあり相談相手のいない子どもは、110番通報など、警察への通報もためらってはいけない」と話します。

過去の虐待事件では、子ども本人が警察に通報して発覚したケースもあります。子どもがみずから「189」「110」に電話し、交番に駆け込むのは、いわば”最後のとりで”といえます。

その前に、周囲の大人が“声なき悲鳴”をキャッチして、行動を起こせるかーーーわたしたちの“大人力”が、試されています。


<“子ども向け記事”執筆から見えた難しさ>
今回、子どもたちに向けて前半の記事を書いてみて、子どもが大人に虐待を打ち明けたり、みずから窓口に相談したりすることの難しさを、改めて痛感しました。

告白の心理的なハードルの高さはもちろん、相談窓口の電話対応方法なども「うちの子には難しいと思う」という声が、筆者のまわりの母親たちから相次ぎました。

加えて、相談のいわば“ノウハウ”を、子ども向けにかみ砕いて説明する難しさも見えてきました。

子どもへの虐待がこれだけ増える中、「だれに」「どこに」「どのように」相談したら「たすけて」もらえるのか、子どもが理解できるように教えるのも、大人の大切な役目だと感じさせられました。

投稿者:らいふちゃん | 投稿時間:14時59分

ページの一番上へ▲