2013年05月11日 (土)地方学生の就活ハンデ克服法


大学生の就職活動にかかる費用はいくらかご存じですか?民間の調査会社がアンケートしたところ、地方の学生ほど、交通費や宿泊費がかさんでいることが分かりました。そんな中、なるべく安く、効果的に就職活動しようと工夫する学生を取材しました。

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【地方の学生は金銭的負担大】
平均で15万4000円。民間の調査会社が行ったアンケートで、大学生が就職活動に使った金額です。年々減少傾向ですが、注目すべきは地域の差。関東の学生は平均で12万円だったのに対し、中国・四国地方は22万1000円、九州・沖縄地方は21万7000円とそれぞれ20万円を超え、2倍近い差があります。主な原因は交通費と宿泊費が都市部の学生に比べて大幅にかさんでいること。都市部に集中する企業の採用試験を受けるため、飛行機や新幹線を使って上京し、ホテルなどに宿泊しているのです。

20130511shukatsu_03.jpg【東京で就活する沖縄の女子学生】
野原理恵さんは沖縄国際大学の4年生。3月初めから東京に来て就職活動をしています。これまでに採用試験を受けた企業はおよそ20社。希望する仕事に就くために、できるだけ多くの企業を回りたいと考えています。しかし、東京にとどまって活動を続けるのに必要な費用が悩みの種です。野原さんは「交通費と宿泊費ですでに20万円くらい使いました。アルバイトで貯めたお金を取り崩しながらやりくりしています」と話します。

20130511shukatsu_06.jpg【宿泊費を節約する工夫】
少しでも負担を減らそうと、野原さんが宿泊先に選んだのは、就職活動をする地方の学生向けの「就活シェアハウス」です。台所や風呂は共同ですが、1か月の料金はビジネスホテルなどより、はるかに安い4万5000円。借り手が付きにくい古い賃貸物件を活用して、ことしから始まったサービスです。最大で6人が入居することができます。取材した当時は野原さんのほかに、石川県や宮崎県から来ている学生もいて、ほぼ満室状態が続いていました。

20130511shukatsu_07.jpg【シェアハウスならではのメリット】
就職活動中の学生が集まるシェアハウスならではのメリット、それはエントリーシートの書き方など情報交換ができることです。企業の採用担当者の目にとまるにはどうすればいいのか。分かりやすく印象に残る志望理由の書き方は?下書きを見せて互いに感想を言い合ったり、添削してもらうこともあります。野原さんは「就職活動がうまくいかず弱気になっていても、シェアハウスのみんなと話すことで1人じゃないという気持ちになる。気持ちが切り替えられるのでいい」と話します。

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【就活シェアハウスの夜】
4月上旬、シェアハウスで食事会が開かれました。野原さんが、車の販売会社から希望していた営業職で内々定をもらえたのです。野原さんは「悩んだり食べたりいろいろして、みんなのおかげ。1人で勝ち取った内々定ではないので、これからも残りのみんなで頑張ろう」と呼びかけました。野原さんは就職活動を終えていったん沖縄に帰りますが、近い将来、シェアハウスのメンバー全員が内定をもらい、再びみんなで集まってお祝いをするのが目標です。

20130511shukatsu_10.jpg【交通費を節約する工夫】
交通費を節約するため地方の学生が地元にいながらインターネットを通じて企業とやり取りできる取り組みも始まっています。都内のビルの1室で行われた会社説明会に学生の姿はありません。

20130511shukatsu_11.jpg実はこれ、インターネット上で映像を配信する「ウェブ説明会」と呼ばれる新しい形の会社説明会です。学生は、企業から事前に伝えられるIDとパスワードを入力して「ウェブ説明会」のサイトにアクセスします。チャット機能を使って質問をすることもできます。説明会が始まると、次々に学生から質問などが寄せられていました。大きな会場で質問をするのと違ってニックネームで気軽に書き込めることから、「学生の本音が聞ける」と企業側にも好評です。

20130511shukatsu_12.jpg【福岡から東京の企業を狙う】
福岡大学4年生の山田大樹さん。東京のベンチャー企業に興味があり、4月は2回、上京して企業の面接などを受けました。格安航空を利用し、宿泊はネットカフェ。それでも1回あたり最低3万円はかかります。

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山田さんは「1か月で就職活動に6万円使いました。アルバイトで生活費を稼いでいるのでかなりきついです」と話します。そんな山田さんが注目したのが、福岡にいながら就職活動できる企業。この日、福岡市の自宅で、東京のIT企業の面接を受けました。パソコンの前に座り、緊張しながら待っていると、画面に男性の映像が映し出され、「山田君、聞こえますか?」と呼びかけてきました。

20130511shukatsu_15.jpg呼びかけてきたのは東京にいる企業の採用担当者。「どうして東京のベンチャー企業を受けているんですか?」「これまでに力を入れていたことは何ですか?」。採用担当者からの質問に、1つ1つ丁寧に答えていきます。

20130511shukatsu_16.jpg山田さんは「話しだしたら止まらず、気持ちを熱く伝えることができました。ネット上で面接が受けられると金銭的な負担だけでなく時間が節約できるし、精神的なストレスも軽くて助かります」と話していました。

20130511shukatsu_17.jpg【企業も注目】
ネット上で行う面接は、東京の就職支援会社が地方の学生と都市部の企業をマッチングさせようとことしから始めたサービスで、これまでに50社が採用面接に導入しています。企業の採用担当者は「学生も東京に来なくていいし、我々も地方に行かなくてよくなるので、より多くの学生と接点を持てると期待しています。表情も見ながら話ができるので普通の面接と変わらない」と話していました。

20130511shukatsu_18.jpg【増える・費用を節約するサービス】
就職活動をする大学生向けのシェアハウスは都内を中心に増えています。東京の大手シェアハウス運営会社は、一般の社会人などが入るシェアハウスの空き部屋に大学生を一時的に無料で宿泊させるサービスを今年から始めました。シェアハウスの良さを知ってもらい、社会人になったら、入居してもらうのが狙いです。このほかにも、地方の国公立大学が運営費の一部を出して、学生がインターネットや更衣室を自由に使える施設が新宿駅近くにできるなど、地方の学生の就職活動を支援する動きが出てきています。

投稿者:吉川香映 | 投稿時間:06時00分

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