2013年05月30日 (木)特別支援学校 子ども急増で... 


障害がある子どもたちが学んでいる特別支援学校。いま、通う子どもたちが急増しています。支援学校に通う子は、少子化にもかかわらず、この10年間で、40%近くも増えました。発達障害が広く知られるようになり、診断される子供が増えたこと。さらに、学習や就職への手厚い支援を求めて親が支援学校を選ぶケースが増えているのです。そうした中、特別支援学校ではいま大きな問題が起きています。

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東京・町田市の特別支援学校です。通っているのは、知的障害や身体障害がある、小学生から高校生およそ400人。この10年で1点5倍に増えました。

tokubetusien0529_6.jpg保護者は、「1人1人のペースに合わせてそれぞれにあった教育をしてもらえる」。「支援が手厚く、就職を考えるとやはり特別支援学校を選んだほうが良いと考えました」と話していました。

tokubetusien0529_21.jpg子どもが増える中、大きな課題となってきたのが「教室不足」です。教室が足りないため、1つの部屋をカーテンで仕切って2つの教室に分けて使っています。

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クラスを分けるのはカーテンだけ。かけ算の授業の最中も、隣りのクラスの声が筒抜けです。

tokubetusien0529_4.jpg高等部のクラスの半数は、こうしたカーテンやつい立てで仕切られています。体育をする場所もままなりません。この日の場所は玄関前の通路。クラスが増え、運動場や体育館の空きがないのです。

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図書室も教室に切り替えたため、本は廊下の一角に置かれていました。

tokubetusien0529_7.jpgさらに、来年も通う子どもが増える見通しです。このため、高等部の生徒が仕事の技能を学んでいる作業室もなくさざるをえません。

tokubetusien0529_8.jpg東京都立町田の丘学園の明官茂校長は、「今の状況はぎりぎりだと思います。一定の質の教育を提供することは非常に難しくなってくると思います」と話しています。

tokubetusien0529_9.jpg「教室が足りない」という学校は、全国に広がっています。特別支援学校の校長で作る団体が、学校施設の実態を調べようと、去年10月から12月にかけて全国の学校を対象に行い、およそ90%にあたる1004校が回答しました。それによりますと、「教室が足りない」と答えたのは541校で、全体の54%に上りました。

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特に知的障害の子どもが通う学校では63%が、「教室が足りない」と答えていて教室不足がより深刻になっています。

tokubetusien0529_11.jpg保護者も街頭で署名活動を始めました。強く求めているのは、国の設置基準です。通常の学校には校舎の広さや必要な施設を定めた国の設置基準があります。ところが、特別支援学校には、この基準がないのです。このため、子どもが増えても必要な対応が取られていないと訴えています。

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グループの鳥居順子副会長は、「ふつうの学校を見ている親からすると何でこんな狭いところにいるという状況だと思う。適正な学校数、適正な教室数は 確保してほしい」と話しています。

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設置基準がない中、空き教室を間借りして、やり繰りする自治体も出てきました。神奈川県では、高校の空き教室を支援学校の分教室にしています。

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文化祭などは、高校の生徒と一緒に行い、交流も生まれています。

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しかし、使える教室は5つだけ。このため職員室の一角には、保健室のベッドが置かれてます。専門的な実習の教室も確保できません。

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保土ヶ谷養護学校の内田豊校長は、「大規模化の解消ということで、分教室が設置されていますが、どうしても教育環境が制限されてしまう。今後、特別支援学校の過密化の問題は、国レベル、県レベルで対策を講じてほしい」と話しています。

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 専門家も支援学校に一定の設置基準を作らないと教育環境の改善は進まないと指摘しています。東京学芸大学の高橋智教授は、「設置基準がないために、特別支援学校の生徒の数が増えても、なかなか対応がされませんし、音楽室や理科室等の特別教室を、普通教室に切り替えたとしてもそのこと自体が問題にされない。まずは設置基準を作って一般の小中高と同じように学校運営をすることが最初の一歩だと思います」と話しています。

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特別支援学校に設置基準がないことについて、国は「障害の度合いに応じて必要な施設も違う。それぞれの実情に合った柔軟な対応が出来るようにするため」としています。 国は支援学校の建設に補助金を出し、自治体に整備を促していますが、子どもの増加に追いついていないのが実情です。保護者たちは、来月にも署名を国に提出し、早急な教室不足の解消を働きかけることにしています。

 

投稿者:森田拓志 | 投稿時間:06時00分

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コメント

すごく子どもたちの置かれている状況・環境が分かりやすく伝わりました。4年前、私も特別支援学校で働いていました。その頃でも、普通小学校から特別支援学校の中学部に転校してくる子どもたちがおり、「学習したい、分かりたい。」という気持ちでいっぱいで勉強していました。その学校で、昨年から教科学習対応のクラスが、2クラス増えたと聞きました。特別支援学校での教室確保は大変なものがあると思います。是非、早い対応をしていただき、学習保証をお願いしたいです。

投稿日時:2013年05月31日 21時42分 | 匿名

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