2018年10月12日 (金)台風で「見合わせる日」に


※2018年9月3日にNHK News Up に掲載されました。

「非常に強い」台風21号。4日には四国から紀伊半島に、勢力を保ったままかなり接近し、上陸するおそれがあります。もし「非常に強い」勢力で上陸するとなれば、平成に入って3回目、25年ぶりのことに。台風の進路にかかる地域では、すでに運休を決める交通機関や臨時休業するデパートなど影響が出ています。中には外来の診察を見合わせる病院も…。安全を守るために「見合わせる」動きを取材しました。

ネットワーク報道部記者 和田麻子・飯田耕太・國仲真一郎

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<「非常に強い」とは>
台風で「非常に強い」とはどれくらいの怖さがあるのでしょうか。

平成で最初に「非常に強い」勢力で国内に上陸したのは、平成3年の台風19号でした。
長崎県に上陸したあと、日本海に出て北海道に再上陸。全国での死者は62人、約17万棟の住宅に被害が出ました。
この台風の特徴は猛烈な風で、最大瞬間風速は広島市で58.9メートル、石川県輪島市で57.3メートルと、走っているトラックが横転するほどの風が吹きました。

青森県などでは収穫前のリンゴが落ちる被害が相次ぎ「リンゴ台風」という名前で呼ばれました。

tai180903.2.jpg次は、平成5年に鹿児島県に上陸した台風13号。

九州南部から四国、中国地方を経て山陰沖に抜けましたが、大雨による被害が相次ぎました。

特に九州南部では1日の雨量が500ミリを超える大雨となり、鹿児島県では土砂崩れが相次いで33人が亡くなるなど、全国で48人が犠牲になりました。

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<見合わせや休業 広がる>
おそろしい台風の被害。

それを見越して、業務を「見合わせる」動きが広がっています。

台風の進路にかかる関西や四国を中心に、鉄道各社は4日は午前中から列車の運行を取りやめることにしました。

tai180903.4.jpgJR大阪駅
また、多くのデパートやテーマパークが利用客や従業員の安全を確保するために臨時休業を決めたほか、工場などでも操業を休止するところが広がっています。小中学校の臨時休校も相次いでいて、4日は、まさに「見合わせる日」になりそうなのです。


<外来休止の病院も>
今回は、これまでと違う対応を取るという病院もありました。

大阪・吹田市にある大阪市立弘済院附属病院。
患者の安全を確保するため、台風を理由としてははじめて4日の外来の診察を終日、取りやめることを決めました。
診察の予約を入れていた患者については翌日以降に振り替えることにし、看護師など一部のスタッフについても自宅で待機してもらうことにしました。

tai180903.5.jpg病院のホームページ
一方で、およそ50人いる入院患者に対応するため、医師や検査技師、薬剤師などは通常どおり出勤することになっていることから、もし急患が訪れた場合には、こうした医師たちが応じることにしています。

病院管理課の東谷彰浩課長代理は「台風で外来を休止にしたのは初めてで、4日はそれだけ台風の影響が心配されます。急を要する患者には通常どおり対応するので、ご理解いただきたい」と話しています。


<出社は無理せず柔軟に>
安全のために取り組む業務の「見合わせ」。

大阪の企業のなかには、安全確保を第一に出社の判断を柔軟に決めたところもあります。

tai180903.6.jpg大阪・中央区にある老舗のゲームソフト会社「カプコン」は、3日午後3時半ごろ、大阪エリアに勤務するおよそ1900人の社員に向けて通知を出しました。

大前提は「無理な出社は控える」。

また、公共交通機関の運行状況などが改善したとしても出社するかどうかは、安全を第一に考えながら、それぞれの社員が判断することにしました。

そして、出社を見合わせたり、遅れて出社するとした場合は、状況も含めて上司に連絡するようにしました。

カプコン広報IR部は「前回の台風では、帰宅時間を早める対応をしましたが、ゲームを開発する開発部門などは、仕事の進捗状況の判断など、個人の裁量にゆだねられている社員も多く、出社の判断も任せることにしました。今回はJRや私鉄の一部が運転を見合わせる予定で、多くの社員が休みを取るとみられますが、安全第一で無理な出社はしないでほしい」と話しています。

投稿者:和田麻子 | 投稿時間:15時53分

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