2017年10月06日 (金) "長寿記録"更新か 台風5号の秘密


※2017年8月7日にNHK News Up に掲載されました。

あまりに動きが遅く長生きな台風5号。進路も迷走を極め、「台風どこ」というワードがネットで大きな話題となったほどです。また発生したのは先月21日。この状態が続けば、9日午後には過去の最長長寿記録を抜く勢いです。なぜ迷走し、長寿になったのでしょうか。その秘密です。

ネットワーク報道部 野町かずみ

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<平均寿命の3倍超>
まず聞き慣れない言葉“長寿台風”って何なのでしょうか。台風5号の対応で大忙しの気象庁の担当者に思い切って聞いてみました。

「定義はありません。ただ台風の平均的な寿命は5、6日程度です。(平均5.3日)それが10日以上になると長寿と言ってもよいのではないでしょうか」。

台風の「寿命」は、台風の発生した日から消滅した日までを指します。今回の台風5号は8日の午後4時の時点で実に18日と7時間。平均寿命の3倍以上です。
9日の午後3時には昭和61年の台風14号の(19日6時間)最長長寿記録に並ぶことになります。

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<定まらない進路予想 話題に>
taihu170808.3.jpg今回の台風5号。速度の遅さに比例して、進路の予想が難しいのも特徴で早い時期から話題になっていました。

特にネットで話題になったのがこちら。
発生から10日、先月31日時点で、ウェザーニューズがまとめた「世界の13の機関による進路予想」です。
西行きを予想したり東行きを予想したり、予想がまさにばらばらで、はっきりした傾向も見られません。進路が定まらない台風に、ネットには「親近感がわいた」というツイートも次々と登場しました。

「台風5号の進路決まらない感じ俺に似てる」

「進路決まらないし迷走するし、進みめっちゃ遅いし、いろんな意味で強いし、台風5号は絶対私や」

「まるで進路の決まらない受験生みたいだ…」

台風5号を自身になぞらえている人も多かったようです。


<高気圧はどこに?>
進路が定まらなかった要因は太平洋高気圧の場所を巡って見解がわかれたからと見られています。

日本は、この時期、通常は、太平洋高気圧に“広く”覆われています。夏の台風はふつう、太平洋高気圧の周りを回って、日本に向かって北上します。

ところが、太平洋高気圧が日本に張り出しておらず、その場所が通常と異なった場所にありました。果たしてその場所がどこなのか、各機関の評価が分かれ、進路予想もばらばらになったのです。

さらに西日本に高気圧があったことも進路予想を難しくさせたようです。


<迷走ぶりも話題>

taihu170808.4.jpgまた進路図を見るとその動きのユニークさもわかります。先月21日に南鳥島の近海で発生したあと、一度、円を描くように迷走。その後、いったん、北上。今度は、小笠原諸島の東側を通り、のろのろと千鳥足で南下。海水温の高い小笠原近海で勢力を増したあと、奄美大島のほうに徐々に北上していきました。

進路予想は日本に近づいても難しかったようで当初は九州北部、長崎あたりに上陸するという予想されていましたが、これを裏切り、結局、和歌山に上陸。

予想も迷走しました。


<なぜ寿命が延びたのか>
ではなぜ台風5号が長寿となったのか気象庁の担当者に聞くと。

「台風5号は、通常と違う位置にある太平洋高気圧や西日本にある高気圧などに進路を阻まれ、なかなか北上できなかったんです」。

どういうことなのか、NHKの気象予報士の荒木真理子さんに図で示してもらいました。

taihu170808.5.jpg右にあるのが、機関によって場所の見解が分かれた太平洋高気圧。

左が西日本にある高気圧。台風5号は太平洋高気圧のふちにそって動いた後、西日本の高気圧にも行く手を阻まれなかなか北上できなかったのです。

さらに台風が”風”に乗れなかったことも大きいと言います。

「台風は日本付近まで来ると通常は偏西風と呼ばれる強い西風に乗って、台風は速度を上げます。しかしこの偏西風が平年より北を(北海道や東北付近の上空)流れていました。このため日本に近づいても偏西風に乗れず、屋久島付近に停滞するなど、ゆっくりと遅いままになったんです」(気象庁担当者)

長い間、日本に居座り、西日本を中心に大雨をもたらしている長寿台風の台風5号。まだ当面は、厳重な警戒が必要です。

投稿者:野町かずみ | 投稿時間:13時47分

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