考える授業の流れ

「考えのまとめの質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、考えをまとめる際の視点を明確にし、考えのまとめの質を高めます。

「より妥当な結論」を作り出すための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、より妥当な結論がスムーズに作り出せます。
  • 思考ツールに考えを整理することで、視覚的に捉えられるようになり、友達に考えとそう考える理由を説明しやすくなります。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで(1~2時間目)

  • 冬から早春の様子を比較して、このころの植物や動物について話し合う。
  • このころの植物や動物の様子を観察し、記録する。

教師の支援

写真や学習の足跡が分かる記録などを用いて、冬の様子を想起するようしておくことで、比較しながら早春の様子を観察できるようにする。

ステップ(1) 問題把握
これまでの学習を振り返り、課題をつかもう!

シート

ステップ(1)の流れ

8分

シート

ヘチマなど学級で育てた植物の成長の記録を振り返る。

教師の支援

これまで記録したグラフや思考ツール、写真などを用いて、成長の様子について視覚的に捉えることができるようにする。

動画①「番組シーン①」(0'00~3'43)を視聴する

動画を見て、課題を共有する。

教師の支援

動画から、さまざまな動植物の成長や活動の様子を捉えられるようにすることで、課題解決への見通しを持つことができるようにする。

季節によって生き物全体ではどう変化していくと言えるか?

季節によって生き物全体ではどう変化していくと言えるか?

ステップ(2) 情報の整理
考えをまとめるための手がかりを思考ツールや図などを使って整理しよう!

シート

ステップ(2)の流れ

5分

シート

どのようなツールが活用しやすいか全体で共有する。

  • 情報を整理する・・・マトリクス、Xチャート
  • 変化を捉える・・・プロット図、折れ線グラフ

(ある程度考えが整理できている状況で)

  • 考えを構造化する・・・ピラミッドチャート
  • 情報を整理し、構造化する・・・フィッシュボーン

教師の支援

個々に思考ツールを選択して使用する活動を日常的に取り入れている場合は、この活動は省いてもよい。

記入シート①-1~6(複数のツール)を配布する。

17分

シート

ツールを選択し、それを用いて情報を整理したり、考えを組み立てたりする。

教師の支援

複数のツールを配布し、個々に使いやすいものを選んで使うよう指示する。その際、ツールを使う目的(活用したい思考スキル)に沿って選ぶように促す。

動画②の静止画を参考にしてもよいと伝える。

カードの色を工夫することで、季節・生き物を比べて、にているところ、ちがうところが見つけやすくなることを助言する。

冬の次には再び春がやってきて、季節はめぐっていることに意識が向くよう支援する。

季節の移り変わりを矢印などで表現すると分かりやすくなると助言する。

気温の変化の表を折れ線グラフにして、組み合わせて考えることができるように支援する。

動画②「番組シーン②~③」(3'43~6'33)を視聴してもよい

教師の支援

手がかりを見つけるのが難しい児童には、動画を見てもよいことを伝える。

5分

ペアでどのように整理したか交流し、まとめ方の見通しをもつ。

教師の支援

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかり持てるように支援する。

他の人の意見を聞いて、自分の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 考えをまとめる
整理した手がかりをもとに、季節と生き物の変化を関係付けながら考えをまとめよう!

シート

ステップ(3)の流れ

10分

シート

自分の考えをまとめる。

教師の支援

記入シート②(まとめワークシート)を配布する。

自分の考えを書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(2)で使用したシートは考えを説明する際にも活用できるので、ここでは簡潔にまとめるように指導する。

ステップ(2)で作成した図やイラストを根拠として活用し説明できるように提示する順についても考えておくよう伝える。

次時に考えを説明する上で必要となるグラフや表などがあれば、追加で作成してよいことを伝える。

ステップ(4) 考えの改善
考えの交流を通して、考えを広めたり深めたりしよう!

シート

ステップ(4)の流れ

5分

前時でまとめた考えを見直す。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の考えを理由も含めて説明するように伝える。

必要に応じて記入シート①や追加したグラフなどを示しながら説明してもよいと伝えておく。

10分

ペアで考えの交流する。

教師の支援

ペアを変えながら複数回交流の機会を設けることで、考えの多様性について気付けるようにする。

他の人の考えについて質問もするように助言する。

5分

シート

自分の考えに加筆したり、修正したりしてブラッシュアップする。

教師の支援

選択した思考ツールによっては、生き物の1年間の変化の共通点にのみ着目したまとめ方にもなり得るため、動植物の様子の多様性など新たな気付きについても取り入れることができるように考えを見つめ直す時間を設定する。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。

動画③「番組シーン④~⑦」(6'33~10'00)を視聴する

教師の支援

考えを改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

5分

考えを改善し、仕上げる。

ステップ(5) 気付きの共有・まとめ
それぞれの考えに対して気付いたことを交流し、生き物の1年についてまとめよう!

シート

ステップ(5)の流れ

10分

みんなの考えの発表を行う。似た考えについては、付け足しなどで内容を補充。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

似た考えについて近くに板書したり統合したりしながら板書することで、考えの共通点や差異点を捉えやすくする。

10分

それぞれの考えに対して気付いたことを交流し、まとめる。

  • 気温が高くなるとすごく成長したり活動が活発になったりするし、寒くなると枯れたり冬眠したりする。気温の変化に合わせて次の季節の準備をしている。
  • 冬の越し方は生き物によって違う。1年で死んでしまうのもいるし、次の年も生きているものもいる。
  • 1年で枯れたり、死んでしまったりする生き物もいるけれど、種を残したりして次の春に命をつなげているのはどの生き物も一緒。

教師の支援

板書する際は、「次の季節への準備」や「命をつなげる」など短くまとめてキーワード的に書くことで、児童が自分の考えにその大切な要素が入っているか欠けているかを比較しやすくする。

学級としての最適解として、1つの文章にまとめて板書してもよい。

動植物の多様性については、番組内でも多少触れられているが情報が少ないので、気温の変化以外からも影響を受けている生き物を例示し、多様性への気付きをさらに広げる展開も考えられる。

エクストラステップ 考え方の振り返り
自分の考えがどのようにまとまっていったか振り返ろう!

シート

エクストラステップの流れ

シート

自分の考えがどのようにまとまっていったかを振り返って書く。

教師の支援

記入シート④(情報分析シート)を配布する。

思考ツールを選択する際、どのようなことを意識したかについて振り返るように伝え、課題解決に向けて適切な思考スキルの選択をする力を養う。

考えをまとめる上で、手がかりとなる情報を上段に書き出し、それらの情報をどのような思考スキルを活用して(どのような考え方をして)整理していったかを中段に書くよう指導する。

下段の枠には、そのプロセスからどのような考えに至ったかを書くことで、考えをまとめていく思考の流れを構造化し、振り返ることができるように指導する。