考える授業の流れ

「実験の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、実験をする際の視点を明確にし、実験の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで(1~3時間目)

  • 金属を温めるとどうなるのかについて予想し、確かめる実験を行う。
  • 金属の熱の伝わり方についてわかったことを話し合い、まとめておく。

ステップ(1) 予備実験・問題把握
実験の前後を観察して気付いたことの比較から「ふしぎ」を見いだそう!

シート

ステップ(1)の流れ

5分

チョコレートをお湯でとかしたときの様子を観察して、どんな気付きがあったのか発表する。

教師の支援

鍋を火にかけ、お湯を沸かして、チョコレートを湯煎する(演示実験)。

気付きの要点を板書して整理する。
・鍋の底を熱しているのに、上の方のチョコレートがとけた?
・鍋の中の水は場所によってどんな温度になっている?
・お風呂のお湯ってどうだっけ?

5分

シート

動画①「番組シーン①~②」(0'25~2'47)を視聴する

動画を見て、水の熱の伝わり方についてのふしぎ(予想のテーマ)を把握する。

温まり方の結果について、前時までの鉄板の温まり方との違いを確認する。

教師の支援

番組となるべく同じ道具(ビーカー、ガスバーナー、温度計など)を用意して、実際に観察できるように準備する。

「ふしぎ」について児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。

水を下から熱したとき、どうやって上からあたたまるのか?

水を下から熱したとき、どうやって上からあたたまるのか?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!

シート

ステップ(2)の流れ

5分

シート

予想の手がかりを探すため、予備観察や動画から「気付いたこと」をカードに記していく。

教師の支援

予想の手がかりを見つけるのが難しい場合には、下記のウェビングシートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(ウェビングシート)を配布する。

観察した問題に関連して「気付いたこと」を中央の課題に近いところに、ピンクのカードで書き出すように指導する。

1つだけではなく、たくさん出せるようにゲーム感覚で。

教師が用意した道具で、実際に実験して観察し、動画にはない気付いたことを書き加えてもよいと伝える。

10分

シート

動画②「番組シーン③~⑤」(2'47~6'16)を視聴する

動画を参考にして、手がかりを追加する。

動画②のヒントから気付いたこと、そこから連想される「にていること」「関係ありそうなこと」を書き出す。

教師の支援

予想の根拠として、関係付ける手がかりを探すために、動画を見る機会を作る。

番組静止画も参考にしてよいと伝える。

他のものを熱したときの様子、熱したビーカーの水を詳しく観察した様子から気付いたこと、そこから連想されることを、青のカードでつなげて書くように指導する。

連想したことのうち、水の温まり方に「にていること」「関係ありそうなこと」を書くとよいと伝える。

これまでのものを熱したときの経験も思い出するように助言する。

さらに、連想したことについて「知っていること」を書き出す。

教師の支援

連想したことについて「知っていること」を、さらにつなげて、緑のカードで書き出すよう助言する。

つなげる方法がわかりにくい場合は、動画クリップ「理科の見方・考え方 関係づけするとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

つなげる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ウェビングを使って、予想の手がかりを探す方法を知るために、クリップを見る機会を作る。

2分

自分の予想の手がかりになりそうなものを○で囲む。

教師の支援

気になる「にていること(青)」「知っていること(緑)」の全てを囲うように、線を書くように伝える。

それらを「水が温まる場面で気付いたこと(ピンク)」と関係付けて、手がかりとし、予想の根拠を探すように、助言する。

2分

シート

動画③「番組シーン⑥」(6'16~7'20)を視聴してもよい

教師の支援

見付けきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。

番組静止画も参考にしてよいと伝える。

4分

時間があれば、ペアで自分の考えを伝え合う。

他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかりもてるように支援する。

他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をしよう! 

シート

ステップ(3)の流れ

12分

シート

自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!

シート

ステップ(4)の流れ

5分

前時で立てた自分の予想を見直す。

予想について、グループで話し合う。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

他の人の予想について質問もするように助言する。

5分

シート

他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。

5分

シート

動画④「番組シーン⑦~⑨」(7'20~8'56)を視聴してもよい

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

番組の児童の予想がどう生まれたかを参考にして、自分の予想の根拠も考えてみる。

10分

みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。

  • フライパンのようにビーカーの中を熱が通って上が先に温まる
  • たき火の上の空気のユラユラが、火の近くの水のモヤモヤとにているので、水も温まると上に動いて、上が先に温まる
  • あわは熱くなるとふえるので、あわが上に熱を運んで、上が先に温まる

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。
※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する

自分はどの予想のグループかネームカードを黒板に貼って宣言する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

板書しながら、クラス全体の予想をいくつかのグループにまとめる。

ステップ(5) 観察計画を立てる
同じ予想をしたグループで、その予想を確かめる方法を考えよう!

シート

ステップ(5)の流れ

3分

同じ予想した児童で、新グループを作る。

教師の支援

クラスの複数の予想について、児童をグループ分けして、席替えするように伝える。

水を下から熱したとき、どうやって上からあたたまるのか、予想を確かめる方法を考えよう!

12分

シート

予想に基づいた実験計画(予想を確かめる方法)をグループで話し合い、まとめる。

動画⑤「番組シーン⑩」(8'56~10'00)を視聴してもよい

(例)あわが熱を水面に運ぶと予想

  • 水の中に温度で色が変わるシートを入れる
  • あわの動きと温まり方をくらべる
  • ビーカーの外側にもシートをはって調べる
  • ユラユラの動きもよく観察する

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。

番組の色が変わるシートを使った実験を参考にしてもよいと伝える。

計画を立てるときに、関連しそうな動画クリップを紹介して、それを見て参考にすることも考えられる。
※実験結果も紹介されるので、それらを追試をすることになる

予想通りならどうなるはずかも考えておく。

  • あわは上にいくので、上だけが温まり、下の方は冷たいままのはず

水を下から熱したとき、どうやって上からあたたまるのか、予想を確かめる方法を考えよう!

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(6)の流れ

5分

シート

どうやって理由のある予想が生まれたのか、振り返って書く。

  • 観察で気付いたことと、これまでの体験や知識を関係付けをしたから、理由がある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。 など

教師の支援

記入シート④(情報分析シート)を配布する。

予想を組み立てる上で、「ふしぎについて気付いたこと」を上段左の枠に、「けい験や動画・交流で知った関係しそうなこと」を上段右の枠に書き出し、その2つを関係付けて考えることでできた新たな考えを中段の枠に書くように伝える。

資料シート⑦を参考にして、予想を組み立てる活動について振り返りを書くように伝える。

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

次時以降(6~9時間目)

  • 自分たちの考えた実験計画(水がどうやって温まっていくのかを確かめる実験)を実施し、記録を取る。
  • 水の熱の伝わり方についてわかったことを話し合い、まとめる。
  • 空気を温めるとどうなるのかについて、これまでに学んだことや経験をもとに予想し、確かめる。
  • 空気や水を冷やしたときの動きについても予想し、確かめる。
  • 金属と空気、水の温まり方の違いについて予想・実験し、わかったことを話し合い、まとめる。