考える授業の流れ

「実験の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、実験をする際の視点を明確にし、実験の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

本時までの宿題

  • はずむボールとはずまないボールを比べたり、自転車のタイヤチューブを観察したりして、閉じこめられた空気について、気付いたことをメモする。

ステップ(1) 予備観察・問題把握
実験の前後で、観察して気付いたことの比較から「ふしぎ」を見いだそう!

シート

ステップ(1)の流れ

5分

演示実験「へこんだボールにお湯をかけると?」を見る。

へこんだボールにお湯をかけたあとの様子を見て、どんな気付きがあったのか発表する。

教師の支援

ふくらんだボールに氷水をかける演示実験の準備もしておく。

気付きの要点を板書して整理する。

6分

シート

動画①「番組シーン①~④」(0'00~5'17)を視聴する

動画を見て、ものがあたためられたときの様子についての問題を把握する。

教師の支援

番組となるべく同じ道具(熱いお茶、線香、お餅)を用意して、危険なく観察できるようにする。

ふしぎについて児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。

中の空気がどうなってボールがふくらんだのだろう?

中の空気がどうなってボールがふくらんだのだろう?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!

シート

ステップ(2)の流れ

5分

シート

予想の手がかりを探すため、予備観察や動画から「気付いたこと」をカードに記していく。

教師の支援

予想の手がかりを見つけるのが難しい場合には、下記のベン図シートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(ベン図シート)を配布する。

観察した問題に関連して「気付いたこと」をあたためたときと冷やしたときのそれぞれに、ピンクのカードで書き出すように指導する。

1つだけではなく、たくさん出せるようにゲーム感覚で。

動画にはない気付いたことを書き加えてもよいと伝える。

8分

シート

気付いたことから連想される「にていること」「関係ありそうなこと」を書き出す。

教師の支援

気付いたことから連想される「にていること」や「関係ありそうなこと」を、青のカードでつなげて書くように指導する。

これまでの経験を思い出したり、ボールにお湯をかけたり氷水をかけたりしたときの様子を参考にするように助言する。

動画①の静止画を参考にしてもよいと伝える。

動画②「番組シーン⑤⑥」(5'17~7'03)を視聴してもよい

動画も参考にして、手がかりを追加する。

さらに、連想したことについて「知っていること」を書き出す。

教師の支援

見付けきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。

連想したことについて「知っていること」を、さらにつなげて、緑のカードで書き出すよう助言する。

6分

自分の予想の手がかりになりそうなものを丸で囲む。

教師の支援

気になる「気付いたこと(ピンク)」と「にているもの(青)」「知っていること(緑)」の全てを囲うように、線を書くように伝える。

それらを関係付けて、手がかりとし、予想の根拠を探すように、助言する。

3分

時間があれば、ペアで自分の考えを伝え合う。

教師の支援

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかりもてるように支援する。

2分

他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をしよう!

シート

ステップ(3)の流れ

10分

シート

自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ボールの中の空気のイメージは、色の濃さや粒、矢印などを使って表現するとよいと伝える。

ステップ(4) 予想を改善・評価する
他の人と予想を発表し合い、評価して、確かめる予想をしぼりこもう!

シート

ステップ(4)の流れ

5分

前時で立てた自分の予想を見直す。

予想について、グループで話し合う。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

他の人の予想について質問もするように助言する。

5分

シート

他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入カード③を配布する。

5分

シート

動画③「番組シーン⑦〜⑩」(7'03~10'00)を視聴する

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

番組の児童の予想がどう生まれたかを参考にして、自分の予想の根拠も考えてみる。

15分

みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。

予想に疑問や矛盾がある場合は、話し合い、確かめる予想に優先順位をつけてしぼりこむ。

  • 上に移動しただけなら、下の方が凹むのでは? など
    ※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する

自分はどの予想のグループかネームカードを黒板に貼って宣言する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

予想について疑問や矛盾を見つけたら、その予想を評価し、調べたい予想をしぼるように支援する。

確かめる方法があるかも、検討・判断材料とする。

板書しながら、クラス全体の予想をいくつかのグループにまとめる。

ステップ(5) 実験計画を立てる
同じ予想をしたグループで、その予想を確かめる方法を考えよう!

シート

ステップ(5)の流れ

3分

同じ予想をした児童で、新グループを作る。

教師の支援

クラスの複数の予想について、児童をグループ分けして、席替えするように伝える。

ボールをあたためたときふくらんだのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!

7分

シート

予想に基づいた実験計画(予想を確かめる方法)をグループで話し合い、まとめる。

(例)あたたまった空気が上にいき、それに押されてボールはふくらむという予想

  • 温度を急に下げたり、上げたりして変化を見る。
  • 試験管の口に石けん水の膜を貼る。
  • 試験管を熱湯につけて、石けん水の膜を観察する。
  • 試験管は上向きだけでなく、下向き横向きでも実験。
  • 試験管を氷水につけて、石けん水の膜を観察する。

予想通りならどうなるはずかも考えておく。

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。

計画を立てるときに、関連しそうな動画クリップを紹介してそれを見て参考にしてもよいことを伝える。

15分

シート

エクストラ活動 観察方法の整理(15分ほど)

自分たちの予想を確かめる方法を考えるために、これまでもっている情報を整理する。

教師の支援

計画立案前に、まず個人でこれまでの情報を整理する。整理を明確にするために下記のKWLを使って支援することも考えられる。

記入シート④(KWLシート)を配布する。

Kに「これまでに気付いたこと、知っていること」を、Wに「何を確かめたいのか、それには何を調べる必要があるのか、観察の方法」を書き出し、観察計画を立てる参考にするように助言する。
L「わかったこと」については、観察後に記入する。

KWLシートで考えたことをグループ内で共有する。

教師の支援

同じ気付きや考えはまとめるように助言する。

ボールをあたためたときふくらんだのはなぜか、予想を確かめる方法を考えよう!

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(6)の流れ

5分

シート

どうやって理由のある予想が生まれたのか、それがどのようにして考えが変化していったのか、振り返って書く。

  • 観察で気付いたことと、これまでの体験や知識を関係付けをしたから、理由がある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。 など

教師の支援

記入シート⑤(情報分析シート)を配布する。

予想を組み立てる上で、「ふしぎについて気付いたこと」を上段左の枠に、「けい験や動画・友だちから知った関係しそうなこと」を上段右の枠に書き出し、その2つを関係付けて考えることでできた新たな考えを中段の枠に書くように伝える。

資料シート④を参考にして、予想を組み立てる活動について振り返りを書くように伝える。

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

次時以降(3~7時間目)

  • 自分たちの考えた観察計画を実施し、記録を取る。
  • 空気があたためられたとき、冷やされたときの体積変化についてわかったことを話し合い、まとめる。
  • 水があたためられたとき、冷やされたときの体積変化について予想・実験し、わかったことを話し合い、まとめる。
  • 金属があたためられたとき、冷やされたときの体積変化について予想・実験し、わかったことを話し合い、まとめる。
  • 空気、水、金属について、温度による体積変化に違いがあることをまとめる。