考える授業の流れ

「観察の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、観察をする際の視点を明確にし、観察の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) 予備実験・問題把握
タコと人の曲がるところを比べて「ふしぎ」を見いだそう!

シート

ステップ(1)の流れ

7分

シート

体の曲がるところがどこで、どんな曲がり方をするのかを観察し、気付いたことをメモしておく。

  • ひじの部分が曲がる
  • 指の部分が曲がる
  • ひざの部分が曲がる

教師の支援

体の曲がるところで気付いたことを発言するように促し、板書する。

たくさんの気付きが出るような雰囲気をつくる。

動画①「番組シーン①~②途中」(0'00~1'50)を視聴する

動画を見て、『うでの曲がる部分の中はどうなっているのか』という問題(予想のテーマ)を把握する。

教師の支援

ふしぎ(予想のテーマ)について児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。

人のうでの曲がるところ、中はどうなっている?

人のうでの曲がるところ、中はどうなっている?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」をさがそう!

シート

ステップ(2)の流れ

8分

シート

予想の手がかりを探すため、まずは、うでの曲がるところをさわって、気付いたことを書き出す。

教師の支援

予想の手がかりを見付けるのが難しい場合には、下記のウェビングシートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(ウェビングシート)を配布する。

予想の手がかりを探すために、まずは、うでの曲がるところをさわって気付いたことを、ピンクのカードに書いて、真ん中の問題の下に貼るように伝える。

うでの曲がらないところと比べて特徴を書くとよいと助言する。

動画②「番組シーン②途中〜④」(2'09~4'59)を視聴する

動画を見て、新たに分かった触ったときの気付きをカードで追加する。

教師の支援

うでをさわって気付きを見つけるのに苦労している児童のためのヒントと、さらに新しい手がかり探しのヒントとして、動画を見る機会を作る。

10分

シート

次に、身の回りのもので、うでと同じようにある部分で曲がるものについて、気付いたことをにつなげて書き出す。

教師の支援

ヒントの5つの写真のものを動かしてみて、気付いたことを、それぞれの写真に近いところに、青のカードで書き出すように指導する。

番組で登場したもの以外にも、似ている曲がるものを見つけたら、追加して考えてもよい。

ヒント画像

(1)折りたたみ式定規

(2)トング

(3)ストロー

(4)ねん土

(5)ペン立て

教師の支援

他に似ている曲がるものを探してヒントにしてもよいと伝える。

1つだけではなく、たくさん出せるようにゲーム感覚で。

折りたたみ式定規・トング・ねん土・ストロー・ペン立てなど、番組に登場する曲がるものをグループに1つ用意しておく。

5つのヒントは、うでの曲がり方と似ている身の回りのものだということを指摘する。
※似ていることを探すのが手がかり探しの第一歩

5分

シート

さらに、その気付きについて知っていることを書き出す。

教師の支援

気付いたことから連想することを、緑のカードでつなげて書くように指導する。

これまでの経験を思い出して参考にするように助言する。

連想したことについて知っていることを、さらにつなげて、緑のカードで書き出すよう助言する。

つなげる方法がわかりにくい場合は、「理科の見方・考え方 関係づけするとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

つなげる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ウェビングを使って、予想の手がかりを探すコツをつかむために、クリップを見る機会を作る。

5分

グループで自分の考えを伝え合う。

教師の支援

他の人と伝え合い、新たに知ったことを緑のカードで付け加えるように助言する。

身の回りの曲がるものを使って説明するとよいと助言する。

2分

自分の予想の手がかりになりそうなものを丸で囲む。

教師の支援

気になる「ヒントについての気付き(青)」と「連想したこと、それについて知っていること(緑)」の両方を囲うように、線を書くように伝える。

それらと、うでが曲がるところについて気付いたことを関係付けて、手がかりとし、予想の根拠を探すように、助言する。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をしよう! 

シート

ステップ(3)の流れ

8分

シート

自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!

シート

ステップ(4)の流れ

5分

前時で立てた自分の予想を見直す。

予想について、グループで話し合う。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

他の人の予想について質問もするように助言する。

5分

シート

他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入カード③を配布する。

10分

シート

動画③「番組シーン⑤~⑨」(5'00~9'07)を視聴する

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

番組の児童の予想がどう生まれたかを参考にして、自分の予想の根拠も考えてみる。

10分

みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充する。

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

板書しながら、クラス全体の予想をいくつかのグループにまとめ、共有できるようにする。

ステップ(5) 検証計画を立てる
みんなの予想を確かめる方法を考えよう!

シート

ステップ(5)の流れ

10分

人のうでの中を、予想を確かめる方法を考えよう!

予想を確かめる方法をグループで話し合い、まとめる。

(例)

  • 理科室の人体模型で確認する。
  • インターネットで調べてみる。
  • 模型を作って確かめたい。

教師の支援

クラスの複数の予想について、どんな視点で調べたらいいか考えるように伝える。

確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。

人のうでの中を、予想を確かめる方法を考えよう!

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(6)の流れ

5分

シート

どうやって理由のある予想が生まれたのか、それがどのようにして変化していったのか、どちらかを選んで、振り返って書く。

教師の支援

記入シート④⑤(情報分析シート)を配布する。

【予想の組み立て方を振り返る場合】

どうやって理由のある予想が生まれたのか、何を結び付けたのか、振り返って書く。

教師の支援

予想を組み立てる上で、「ふしぎについて気付いたこと」を上段左の枠に、「けい験や動画で知った関係しそうなこと」を上段右の枠に書き出し、その2つを関係付けて考えることで生まれた新たな考えを中段の枠に書くように伝える。

資料シート⑤を参考にして、予想を組み立てる活動について振り返りを書くように伝える。

【交流による予想の変容を振り返る場合】

どのようにして考えが変化していったのか、自分の最初の予想と改善した予想を比較して、振り返って書く。

教師の支援

左側に最初の予想、右側に改善後の予想を貼り付け、真ん中に、どう考えが変化したか書くよう伝える。

  • 動画を見て気付いたことと、これまでの体験や知識を関係づけをしたから、理由がある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想がより詳しくできた。

教師の支援

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

エクストラステップ
体の中を透かして見た様子から考える

シート

エクストラステップの流れ

シート

時間に余裕があれば……

動画④「番組シーン⑩」(9'07~10'00)を視聴してもよい

教師の支援

時間に余裕があれば、興味を広げるために動画を見る機会をつくる。

次時以降(3~6時間目)

  • 自分たちで考えた観察・調べ学習を行い、結果を整理して、骨と関節についてわかったことをまとめる。
  • うでやあしの骨や筋肉のつくりと動き方について、これまでに学んだことや経験したことを基に予想する。
  • 人の体の全身の骨や筋肉のつくりと動き方について調べ、人の体のつくりと動き方についてまとめる。
  • 動物の体のつくりと動き方について予想し、人と比べながら調べる。
  • 動物の体のつくりと動き方について、学んだことをまとめる。