考える授業の流れ

「観察の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、観察をする際の視点を明確にし、観察の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。
  • 思考ツールに考えをまとめることで、視覚的に捉えられるようになり、友達に予想とその根拠を説明しやすくなります。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで(1時間目)

この時間の詳細

ステップ(0) 前時まで
春から夏までの植物の成長の記録を整理してふり返ろう!

シート

ステップ(0)の流れ

45分

学級で栽培しているヘチマなどの植物の様子を観察、記録する方法を確かめて、日常的に観察しておく。

教師の支援

休み時間や放課後などの時間で、栽培している植物の様子を観察するよう促し、その成長を実感できるようにする。

ヘチマなどのツルののびに目を向けるようにしておく。
※1日でののびの差に気付ける時期まで観察しておく

ステップ(1) 予備観察・問題把握
これまでの学習内容と観察して気付いたことの比較から「ふしぎ」をつかもう!

シート

ステップ(1)の流れ

5分

栽培している植物の様子について交流する。

教師の支援

発芽したときの写真と現在の様子を記録した写真を示し、視覚的にも成長について捉えやすくする。

5分

シート

動画①「番組シーン①~④途中」(0'00~3'14)を視聴する

動画を見て、「ふしぎ(予想のテーマ)」を共有する。

教師の支援

「ふしぎ」について児童に確認し、板書するなど整理して、全員が「ふしぎ」を把握できるようにする。

ヘチマのツルがすごくのびる日があるのはどうしてか?

ヘチマのツルがすごくのびる日があるのはどうしてか?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」を探そう!

シート

ステップ(2)の流れ

5分

シート

番組動画やこれまで観察したことから気付いた、ヘチマの成長について考えるヒントになりそうなことを、ピンクのカードに書き出す。

教師の支援

手がかりを整理し根拠のある予想をするために、下記のピラミッドチャートを使って支援するとよい。

記入シート①(ピラミッドチャート)を配布する。

手がかりを見つけるのが難しい児童には、日によってのびが違うというふしぎを再度確認し、日によって違うことは何かを考えるとよいことを伝える。

動画②「番組シーン④途中~⑥」(3'14~6'10)を視聴してもよい

教師の支援

手がかりを見つけるのが難しい児童には、動画を見てもよいことを伝える。

動画①や②の静止画を参考にしてもよいと伝える。

5分

シート

これまでの生活科・理科で学習したことや生活経験を振り返り、植物の成長のためにした世話を青のカードに書き出す。

教師の支援

カードを色分けしておくことで、より多面的に理由を考えられるようにする。

動画②の静止画を参考にしてもよいと伝える。

3分

手がかりを書いたカードをピラミッドチャートの下段にある程度グルーピングしながら整理する。

教師の支援

カードの色で分けるのではなく、似ている内容、関係しそうな内容ごとにグルーピングするよう促す。

組み合わせた情報から、どのようなことが分かるかを考えながらグルーピングするように促し、次の活動を意識できるようにする。

5分

下段に整理した複数の手がかりを○で囲んだり、中段に向けて矢印を書いたりして、予想を支える具体的な事実からどのようなことが言えるかを抽象的な言葉で、「予想のカギ」として中段にまとめる。

教師の支援

グループにした情報を組み合わせて、分かったことや気付いたことを白のカードに書くように指導する。

白いカードに抽象的にまとめることが難しい児童には、どのような理由でグループにしたか(何がにている、どのように関係しそうかという視点)を簡単にまとめるとよいと伝える。

「予想のカギ」は長い文にならないように促し、キーワード的に一言でまとめることも認めるようにする。

このとき、複数の手がかりや視点(ピンク、青のカード)をつなげて考えることでより説得力のある理由になることに気付けるよう支援する。

5分

中段の「予想のカギ」を用いて、上段に予想をまとめる。

教師の支援

「予想のカギ」が予想の理由に当たるところであること、すべての「予想のカギ」を使わなくてもよいことを伝える。

3分

時間があれば、ペアで自分の考えを伝え合う。

教師の支援

ピラミッドチャートの上段→下段(予想→理由)の順で説明しても、下段→上段(理由→予想)の順で説明してもよい。

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかり持てるように支援する。

2分

他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」から見つけたカギを使って「理由のある予想」をしよう!

シート

ステップ(3)の流れ

7分

シート

自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!

シート

ステップ(4)の流れ

7分

前時で立てた自分の予想を見直す。

ペアで予想の交流する。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

必要に応じて記入シート①を示しながら説明してもよいと伝えておく。

ペアを変えながら複数回交流の機会を設ける。

他の人の予想について質問もするように助言する。

6分

シート

他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。

動画③「番組シーン⑦~⑪」(6'10~10'00)を視聴してもよい

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

動画③の静止画を参考にしてもよいと伝える。

12分

みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。
※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有し、予想のキーワード(雨・太陽・気温など)を板書しておく。

予想は似通っていても理由は様々だと考えられるので、その多様性に気付けるようにするとともに、説得力のある理由の組み立て方についても話し合うよう伝える。

みんなの予想を聞いて、自分の予想に加筆修正をする。

教師の支援

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

ステップ(5) 観察計画を立てる
検証するために何をどのような視点で観察するかについて話し合い、見通しを持とう!

シート

ステップ(5)の流れ

5分

交流した予想について、みんなで調べたいことをしぼり、どのように調べればよいかなど、確かめる方法を考える。

教師の支援

板書しておいた予想のキーワードをもとに、どのように調べればよいかを考えるよう促す。

予想をペアで考えるようにするなどして、それぞれが考えを持てるようにする。

8分

予想を確かめる観察方法を発表する。

教師の支援

児童が考えた観察の視点を板書する。

条件制御による対照実験のようなアイデアについても許容するが、ここでは予想の検証のために、今後の観察、記録をする際に、どのような視点(天気・気温など)で観察することが必要かを確かめ、実践することに焦点をあてるようにする。

4年生の段階では、根拠のある予想をすることが目的なので、検証方法を考える活動については学級の実態に応じて縮小、省略してもよい。

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(6)の流れ

7分

シート

どうやって理由のある予想が生まれたのか、振り返って書く。

予想する際、情報を結び付けることでどのような発見があったか振り返る。

教師の支援

記入シート④(情報分析シート)を配布する。

予想を組み立てる活動について振り返り、考え方のコツをつかめるようにする。

予想を組み立てる上で、「ふしぎについて気付いたこと」を上段左の枠に、「けい験や動画・交流で知った関係しそうなこと」を上段右の枠に書き出し、その2つを関係付けて考えることでできた新たな考えを中段の枠に書くよう伝える。

下段の枠には、どうやって「根拠のある予想」が生まれたか、振り返って思ったことを書く。

資料シート⑥の番組児童がどうやって理由のある予想を生み出したかを参考にしてもよいと伝える。

  • 気付いたことと、これまでの体験や知識を関係付けをしたから、理由のある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。など

教師の支援

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

次時以降(4~5時間目)

  • ヘチマなど、実際に育てている植物の成長の様子について、予想に基づいて設定した観察、記録の視点を持って、観察活動を継続して行う。
  • 予想の検証のための観察計画を立てた際、雨などの条件が挙げられた場合は、天気予報も確認しながら観察を行う。
  • 動物、植物それぞれ2種類以上の生物について、活動や成長の様子を調べるとともに、 栽培している植物の葉の数や大きさ、茎の伸びと気温の関係などを調べるようにする。
  • 動物の活動や植物の成長を実際に温度計を使いながら観察し、気温との関係について記録をとるようにする。
  • 観察が充分に行えない場合は、図鑑や動画などで調べる。
  • 観察して分かったことについて交流し、植物の成長について考察し、まとめる。