考える授業の流れ

「観察の質」を高めるための事前思考

  • 事前に自分の考えを深める時間をとることで、観察をする際の視点を明確にし、観察の質を高めます。

「根拠のある予想」を立てるための展開

  • 番組の視聴を通してたくさんの気付きを生み出し、思考ツールを使うなどして整理することで、根拠のある予想がスムーズに立てられます。
  • 思考ツールに考えをまとめることで、視覚的に捉えられるようになり、友達に予想とその根拠を説明しやすくなります。

対話を通して自分の「考えをブラッシュアップ」

  • ペアやクラス全体で自分の考えを交流するたびに、小さなブラッシュアップを繰り返します。
  • 考えが練り直されるたびに、子どもたちは考えがまとまってくるので楽しくなります。

子ども自身が「学びの成長」を確認

  • 思考がどのように変化したのかに気付くことで、自ら学習を調整しようとする態度を養います。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで(1~5時間目)

  • 春の生き物の様子を観察するとともに、季節の変化との関係性について考察し、考えを深めておく。 

ステップ(1) 予備観察・問題把握
昆虫以外の生物について、あらわれる時期の比較から「ふしぎ」を見つけよう

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ステップ(1)の流れ

6分

春の生き物(昆虫の様子や植物の成長)について、学習したことを振り返る。

教師の支援

生き物の様子と春の気候の特徴を関係付けながら発言できるように、これまでの学習のノートや振り返りなど、考えたことが記されたものを見返すよう声かけをする。

4分

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動画①「番組シーン①-②」(0'00~1'58)を視聴する

動画を見て、「春になるとツバメがあらわれるのはどうしてか」という問題(予想のテーマ)を共有する。

教師の支援

ふしぎ(予想のテーマ)について児童に確認し、板書するなど整理して、全員が「ふしぎ」を把握できるようにする。

春になるとツバメがあらわれるのはどうして?

春になるとツバメがあらわれるのはどうして?

ステップ(2) 予想を立てる準備
「ふしぎ」について「予想の手がかり」を探そう!

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ステップ(2)の流れ

3分

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動画②「番組シーン③-⑤」(2'11~4'51)を視聴する

教師の支援

食べ物である小さな虫が出てきたからという予想に偏り、多様な考えが出ないことが考えられるため、動画を視聴し、「巣作り」や「ひなの世話」などの視点を持てるように支援する。

15分

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手がかりをもとに、春夏秋冬、それぞれの季節にツバメがあらわれたらどうなるか推論する。

教師の支援

予想の手がかりを見付けるのが難しい場合には、下記のキャンディチャートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(キャンディチャート)を配布する。

図の左枠には「もしツバメが春(夏、秋や冬)にあらわれたら」と仮定し、中央の枠に「できること」「できないこと(困ること)」などの推論したことを書く。そして、右枠には根拠を記すよう指示する。

動画②の静止画を参考にしてもよいと伝える。

活動の時間の確保が難しい場合は、春夏秋冬すべてではなく、春と夏に限定するなどして、比較しながら推論する活動に置き換えるなど、工夫する。

動画③「番組シーン⑥」(4'53 ~ 5'51 )を視聴してもよい

教師の支援

手がかりを見つけるのが難しい児童には、動画を見て加筆してもよいことを伝える。

4分

ペアで自分の考えを伝え合う。

教師の支援

他の人に伝えることで、自分の考えをしっかり持てるように支援する。

3分

他の人の意見を聞いて、自分の予想の手がかりを手直しするところはないか検討する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想の手がかかりを改善してもよいことを伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をしよう!

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ステップ(3)の流れ

10分

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自分の予想をまとめる。

言葉で説明が難しい場合は、イラストや図を用いる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

図やイラストを使って説明してもよいと伝える。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

キャンディチャートを用いて推論したことをもとに詳しく書くよう促す。

ステップ(4) 予想の改善
自分の予想を他の人に説明し、他の人の予想も聞いて、予想をバージョンアップさせよう!

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ステップ(4)の流れ

7分

前時で立てた自分の予想を見直す。

ペアで予想の交流する。

教師の支援

タブレット端末の画面を見せ合いながら、自分の予想を理由も含めて説明するように伝える。

必要に応じて記入シート①を示しながら説明してもよいと伝えておく。

ペアを変えながら複数回交流の機会を設ける。

他の人の予想について質問もするように助言する。

6分

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他の人の意見や予想を聞いて、自分の予想を手直しするところはないか検討する。

自分の予想の足りなかったところ(根拠の補強)や考え間違いなどを改善する。

教師の支援

他の人の意見も参考にして、自分の予想を改善してもよいことを伝える。

説明に使った記入シート②をコピーして、それを改善していくように伝える。もし、新たに書きたいという児童がいたら、新しい記入シート③を配布する。

9分

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動画④「番組シーン⑦~⑩」(5'51~10'00)を視聴してもよい

改善した予想を仕上げる。

教師の支援

予想を改善するためのさらなるヒントとして、動画を見る機会を作る。

15分

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みんなの予想の発表を行う。似た予想については、付け足しなどで内容を補充。

自分とは違う予想についても、理由がある予想であることを理解する。
※この段階では多くの予想に否定材料がまだないことを確認する

みんなの予想を聞いて、自分の予想に加筆修正をする。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

じっくり他の児童の考えを見る時間を取る。

クラス全体で児童の考えを発表、共有する。

予想は似通っていても理由は様々だと考えられるので、その多様性に気付けるようにするとともに、説得力のある理由の組み立て方についても話し合う機会を作る。

発表を聞いて、予想をさらにバージョンアップさせてもよいと伝える。

ステップ(5) 考え方の振り返り
自分の「理由のある予想」はどうやって生まれたかを振り返ろう!

シート

ステップ(5)の流れ

8分

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どうやって理由のある予想が生まれたのか、振り返って書く。

教師の支援

記入シート④(情報分析シート)を配布する。

予想する際、情報を結び付けることでどのような発見があったか振り返る。

  • 観察で気付いたことに、これまでの体験や知識をもとに他の季節を想像して、関係付けをしたから、理由がある予想ができた。
  • 他の人の意見を参考にして予想が補強できた。など

教師の支援

予想を組み立てる活動について振り返り、考え方のコツをつかめるようにする。

予想を組み立てる上で、「ふしぎについて気付いたこと」と「友達や動画から新たに得た情報」を上部の2つの枠に書き出し、その2つを関係付けて考えることでできた新たな考えを中段の枠に書くよう伝える。

下段の枠には、どうやって「根拠のある予想」がうまれたか、振り返って思ったことを書く。

資料シート⑤の番組児童がどうやって理由のある予想を生み出したかを参考にしてもよいと伝える。

根拠のある予想をする方法、説得力のある予想する方法を確認する。

エクストラステップ
ツバメの春~冬のようすを観察しよう!

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エクストラステップの流れ

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  • ツバメの1年の様子を継続観察しない場合は、動画クリップなどで春以降の様子を調べ、今後の昆虫などの成長に興味を持ち、意欲を持って継続観察できるようにしてもよい。

次時以降

  • ヘチマなどの植物を実際に植えて、成長の様子を継続観察し、「夏」の学習につなげる。