考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 児童が自分たちで実験して撮影した写真をそのまま教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「ふしぎを見つける」ための展開

  • 2つの写真を見比べたときに気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、身の回りにあるふしぎを見つけることができます。

「ふしぎを見つける」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで、ふしぎに思うことが見つかる体験を通して、比較して問題を見いだすコツをつかむことができます。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) ふしぎを見つける準備
何かに注目して比べると「ふしぎの手がかり」が見つかると気付く

シート

ステップ(1)の流れ

2分

豆電球をソケットに入れて、乾電池をどう線でつないだらどうなるのかを発表する。

教師の支援

大型モニターで、それぞれをつながず、素材のみ見られるようにする(豆電球、ソケット、乾電池、導線は全員分を配布しておく)。

6分

シート

動画①「番組シーン①~④」(0'00~3'26)を視聴する

番組を見て、あかりがつくときとつかないときのつなぎ方を比べて、ふしぎを見つけるという課題を共有する。

  • いろいろなつなぎ方をして比べてみたいな。
  • 豆電球とかん電池のつなぎ方は、どんな方法があるか、いろいろ比べてみたい。
  • どんなふしぎが見つかるだろう。

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

あかりがつく、つかないのつなぎ方に注目するとふしぎが見つかった。では、もっともふしぎを見つけるにはどうすればいいか、考えられるようにする。

あかりがつくときとつかないときのつなぎ方をくらべて ふしぎをさがそう

あかりがつくときとつかないときのつなぎ方をくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(2) ふしぎ探しのための材料集め
つなぎ方のアイディアを出して実験し、写真と記録をとる

シート

ステップ(2)の流れ

12分

シート

あかりがつきそうなつなぎ方、つかなそうなつなぎ方のアイディアを出す。

教師の支援

記入シート①(アイディアシート)を配布する。

乾電池、豆電球は固定して、導線のつなぎ方を考えるよう伝える。

アイディアのつなぎ方を実験し、あかりがつくときと、つかないときのつなぎ方について、写真と記録をとる。

つくとき、つかないときの両方のつなぎ方の結果の写真を、自分の端末に取り込んでおく。

教師の支援

つかなそうなつなぎ方のアイディアも出すように伝える。

アイディアが出にくい児童には、資料シート②の番組でのアイディアを参考にして実験し、写真と記録をとってもよいと伝える。

ステップ(3) ふしぎの手がかりを整理
差異点と共通点を探して整理する

シート

ステップ(3)の流れ

5分

シート

左の円の重ならない部分に、あかりがつくときのつなぎ方の写真、右の円の重ならない部分に、つかないときのつなぎ方の写真を置く。

教師の支援

ふしぎの手がかりを見付けるのが難しい場合には、下記のベン図を使って支援することも考えられる。

記入シート②(ベン図)を配布する。

ベン図の左の円の重ならない部分に「あかりがつくとき」、右の円の重ならない部分に「あかりがつかないとき」の写真をそれぞれ気になったもの2~3種類置く。

どこにつなぐ、どんなつなぎ方など、注目点を決めて比べて、それを横並びに置くように伝える。

番組からの結果写真を使ってもよいと伝える。

5分

あかりがつくとき、つかないときのつなぎ方を比べて、違うところをカードに書き出して、それぞれの円の中に置く。

教師の支援

あかりがつくときとつかないときのつなぎ方を比べて、違うところはどこか、その特徴を書くよう伝える。

10分

シート

あかりがつくとき同士、つかないとき同士の豆電球と乾電池のつなぎ方を比べて、似ているところはないか、気付いたことをカードに書き出して、それぞれの円の中に置く。

教師の支援

あかりがつくとき同士で、似ているところを探して、その特徴を書いてもよいと助言する。

すべての枠を埋めなくてもいいと伝える。

ベン図を使って、ふしぎの手がかりを見つける方法がわかりにくい場合は、「理科の見方・考え方 比較するとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

比べる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ベン図を使って、ふしぎの手がかりを探す方法を知るために、クリップを見る機会を作る。

5分

みんなの気付きを発表する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の気付きを共有する。

ステップ(4) ふしぎを見つける
「ふしぎの手がかり」を使って「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(4)の流れ

5分

シート

つくときとつかないとき、つなぎ方の違いを比べて気付いたことを手がかりにして、ふしぎを探す。

あかりがつくときのつなぎ方同士を比べて、その共通点からも、ふしぎを探す。

教師の支援

記入シート③(ふしぎを見つけようシート)を配布する。

前時に見つけた、似ているところや、違っているところを手がかりに、ふしぎを探すように伝える。

5分

「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

差異点と共通点から、「なんで違う?」「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。 

つなぐ場所や導線の色などの「注目したこと」を書いてから、「ふしぎに思うこと」や「その理由」を書くように指導する。

5分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • つく場合はいつもつなぎ方がわになっているのがふしぎ
  • つなぎ方によってあかりがつく場合とつかない場合があるのはなんで?
  • プラスとマイナスの両はしにつなげないとあかりがつかないのはなんで?
  • どう線の色のちがいでも、つくのはなぜ? など

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(5) 予想と実験の計画
ふしぎについて決まりを予想し、さらに何を調べたいか考える

シート

ステップ(5)の流れ

10分

自分の見つけたふしぎについて、あかりがつくつなぎ方には、どんな決まりがあると思うのか、自分の予想を発表する。

  • どう線の色を変えてもあかりはつく。
  • 両はしにつなげないとあかりがつかない。 など

教師の支援

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

5分

シート

動画②「番組シーン⑤~⑧」(3'27~7'15)を視聴する

番組を見て、あかりがつくつなぎ方の決まりを確認する。

教師の支援

検証実験で決まりを確認する時間がない場合は、番組動画で確認する。

7分

あかりがつく決まりについて、さらに確かめてみたいことを話し合う。

  • ほかのつなぎ方でもあかりはつくのか。
  • どう線の長さが長いとどうなるのか。
  • どう線がねじれていたらどうなるのか。

教師の支援

考えた予想に対して、さらに特別な場合を提示し、確かめてみたいことを、決めるように促す。

8分

シート

番組③「番組シーン⑨~⑩」(7'17~10'00)を視聴してもよい

導線を長くしたつなぎ方や、導線の形を変えたつなぎ方、電池2個にしたつなぎ方などから、あかりがつく決まりをさらに探す。

教師の支援

番組児童がさらに決まりを見つけようとしている姿に刺激を受けるよう、動画視聴の機会を設ける。 

時間があれば、(もしくは、先に進んでいる児童には)番組の実験を追試して、さらなる決まりを探す支援をする。

エクストラステップ 考え方の振り返り
自分の「ふしぎ」が、どうやって生まれたかを振り返る

シート

エクストラステップの流れ

シート

これまでの活動を振り返って、どうしてふしぎに思ったのかについて、考える。

教師の支援

資料シート⑤の番組の児童のふしぎがどう生まれたかを参考にして、自分のふしぎが生まれたのは、何かに注目して、比べたからであると実感できるように支援する。

自分のふしぎがどうやって生まれたかを発表する。

教師の支援

児童が考えた記入シート②(ベン図)、③(ふしぎを見つけようシート)を見ながら考えるように伝える。

次時以降(3~6時間目)

  • 自分たちが考えたあかりがつく決まりを確かめる実験を行い、豆電球にあかりがつくつなぎ方と回路についてまとめる。
  • テスターに身の回りのものをつないで実験し、電気を通すものの決まりを探す。
  • 金属は電気を通すことをまとめる。
  • 豆電球にあかりがつく回路のつなぎ方と電気を通すものについて、学んだことをまとめる。
  • 電気の性質を使った物作りをしてもよい。