考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 児童たちが普段目にしたことのある現象の写真や自分たちで実験して撮った写真を教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「ふしぎを見つける」ための展開

  • 2つの写真を見比べたときに気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、身の回りにあるふしぎを見つけることができます。

「ふしぎを見つける」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで、ふしぎに思うことが見つかる体験を通して、比較して問題を見いだすコツをつかむことができます。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) ふしぎを見つける準備
身近な音が出るものの実験や動画から、結果を記録する

シート

ステップ(1)の流れ

3分

これまでどんなところで「音」を聞いたことがあるのかを発表する。

教師の支援

大型モニターで、動画の静止画を見られるようにしておく。(木琴、鉄琴、エンマコウロギ、カンタン、ガラスコップの静止画)

4分

シート

動画①「番組シーン①~③」(0'00~3'10)を視聴する

番組を見て、音について、ふしぎを見つけるという課題を共有する。

音をくらべた実験から気付いたをメモする。

  • いろいろなもので、くらべてみたいな。
  • 音のちがいってどんなものがあるか、いろいろくらべてみたい。
  • どんなふしぎが見つかるだろう。

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

いろいろな音をくらべて ふしぎをさがそう

いろいろな音をくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(2) ふしぎの手がかりを整理
音の出るものの条件と結果の関係を整理して、「手がかり」を探す

シート

ステップ(2)の流れ

3分

シート

資料シート②(番組で行った比較をそれぞれセットにした写真)を使って「音のふしぎ」を見つけるため、情報を整理する。

例としておかれた昆虫を比べた場合と同じように、他に気になった比較の写真もクラゲチャートの足におく。

教師の支援

ふしぎの手がかりを見付けるのが難しい場合には、下記のクラゲチャートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(クラゲチャート1)を配布する。

資料シート②の番組での比較実験の写真から気になるものを、クラゲチャートの足において、そこからふしぎを探す手がかりを考えるように指導する。

全ての足を埋める必要はなく、全ての比較写真を使わなくてもよいと伝える。
※あとでクラスで共有できるので、1人では、昆虫に加えてもう1つ考えられればよい

3分

それぞれの足においた「音を比べた写真」について、何に注目して比べたものか、ピンクのカードに書いて、写真の下におく。

教師の支援

昆虫の種類、楽器の素材など、比べるときに「変えたこと(条件)」に注目するように助言する。

種類や素材という抽象的な言葉ではなく、エンマコオロギとカンタン、木琴と鉄琴など、具体的な違いで記述してもよいと伝える。

「注目したこと」は、どんな音が出るかを確かめるために、先に変えた条件であることを確認する。

10分

それぞれについて、音を比べて気付いた「ちがうこと」を青のカードに、「同じこと」を緑のカードに書いて、比べた写真の上におく。

比べるときの条件として変えていないことも「同じこと」として緑のカードに書いて、近くにおく。

教師の支援

音について「ちがうこと」「同じこと」は、音の特徴を書くとよいと伝える。

音のほかに「同じこと」として気付いたことから、変えたこと以外の条件は同じであることを確認する。

他の条件は変わっていないので、音についての「ちがうこと」は、注目したことを変えた結果だと考えられると助言する。

ステップ(3) ふしぎを見つける1
「ふしぎの手がかり」を使って「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(3)の流れ

7分

「注目したこと(かえたこと)」と音について気付いた「ちがうこと」「同じこと」を手がかりにして、ふしぎを探す。

見つけたふしぎを黄色のカードに書いて、クラゲチャートの頭の部分におく。

教師の支援

何を変えたときに、音の何が違って、何が同じなのかを手がかりに、ふしぎを探すように伝える。

比べた写真ごとに黄色のカードを作り、どの比較から見つかったふしぎなのかが分かるようにするとよいと伝える。

「ちがうこと」から「なんで違う?」を探すだけではなく、「同じこと」からも「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。

5分

シート

動画②「番組シーン④~⑦」(3'11~5'19)を視聴してもよい

番組を見て、新たに気付いたことがあれば追加する。

教師の支援

見つけられない児童に対して動画やその静止画を見る機会を作る。

変えた条件の楽器の素材やコップの大きさと、音の大きさ、響きなどを組み合わせて、ふしぎを探していることに気付けるよう支援する。

5分

シート

たくさん見つけたふしぎの中から、自分たちで調べられると思うふしぎを選んで、「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

記入シート②(ふしぎを見つけようシート1)を配布する。

記入シート①で見つけたふしぎの中から、自分たちで確かめられるかを考えて、調べたいふしぎを選び、○で囲って、記入シート②の「気になったところ」にはるように伝える。

選んだふしぎについて、昆虫の違い、コップの大きさなどの「注目したこと」を書いてから、「ふしぎに思うこと」や「その理由」を書くように指導する。

5分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • 虫が音を出すとき、なぜどちらも羽がふるえているの?
  • 楽器もコップもたたくと音が出るのはなんで?
  • コップの大きさや中のジュースで音の高さが変わるのがふしぎ
  • 木きん、てっきんは同じ形なのに音のひびきがちがうのがふしぎ

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の気付きを共有する。

条件を変えても、みんな「同じこと」があることからも「音のふしぎ」が見つかることを指摘する。

ステップ(4) 新たなふしぎの手がかり探し
楽器で条件を変えて実験した結果を、写真と記録にとって整理する

シート

ステップ(4)の流れ

12分

シート

動画③「番組シーン⑧~⑩」(5'19~10'00)を視聴する

教師の支援

前時に音を比べると「ふしぎ」が見つかったことを思い出し、音楽室でもっと「ふしぎ」を見つけたいと考えるきっかけとして動画を見る機会を作る。

さらに「音のふしぎ」を見つけるために、音楽室でトライアングルや太鼓、木琴や鉄琴などを使って、条件を変えて音を調べる実験をする。

教師の支援

ふしぎを見つける手がかりを探すため、音を出して比較する実験ができるよう準備する。

見たり、聞いたりするだけではなく、音の出ているものに触るなど、番組では見つからなかったことにも注目するように伝える。

音の大きさにも注目するとよいと伝える。

トライアングルや太鼓、木琴や鉄琴などで、条件を変えて行った実験の写真と記録をとり、写真は端末に取りこむ。

教師の支援

前時の番組のように、何かの条件を変えて音を比べ、気付いたことをメモできるように支援する。

3分

シート

例としておかれたトライアングルを比べた場合と同じように、他に気になった比較の写真もクラゲチャートの足におく。

教師の支援

記入シート③(クラゲチャート2)を配布する。

音を比較した実験の写真から気になるものを、クラゲチャートの足において、そこからふしぎを探す手がかりを考えるように指導する。

全ての足を埋める必要はないと伝える。
※あとでクラスで共有できるので、1人では、トライアングルに加えてもう1つ考えられればよい

資料シート⑤の番組の実験結果の静止画を使ってもよいと伝える。

3分

それぞれの足においた「音を比べた写真」について、何に注目して比べたものか、ピンクのカードに書いて、写真の下におく。

教師の支援

楽器の持ち方、叩くものの素材など、比べるときに「変えたこと(条件)」に注目するように助言する。

種類や素材という抽象的な言葉ではなく、ひもでつるすか手で持つかなど、具体的な違いで記述してもよいと伝える。

「注目したこと」は、どんな音が出るかを確かめるために、先に変えた条件であることを確認する。

7分

それぞれについて、音を比べて気付いた「ちがうこと」を青のカードに、「同じこと」を緑のカードに書いて、比べた写真の上におく。

触ったり、動画で見て気付いたことも書いて、写真の上におく。

教師の支援

「ちがうこと」「同じこと」は、音の特徴や楽器を触ったり詳しく見たりして気付いたことを書くとよいと伝える。

ステップ(5) ふしぎを見つける2
「ふしぎの手がかり」を使って「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(5)の流れ

7分

シート

「注目したこと(かえたこと)」と音について気付いた「ちがうこと」「同じこと」を手がかりにして、ふしぎを探す。

見つけたふしぎを黄色のカードに書いて、クラゲチャートの頭の部分におく。

教師の支援

何を変えたときに、音の何が違って、何が同じなのかを手がかりに、ふしぎを探すように伝える。

比べた写真ごとに黄色のカードを作り、どの比較から見つかったふしぎなのかが分かるようにするとよいと伝える。

「ちがうこと」から「なんで違う?」を探すだけではなく、「同じこと」からも「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。

見つけられない児童に対して、ヒントとして静止画を見てもよいと伝える。

4分

シート

たくさん見つけたふしぎの中から、自分たちで調べられると思うふしぎを選んで、「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

記入シート④(ふしぎを見つけようシート2)を配布する。

記入シート③で見つけたふしぎの中から、自分たちで確かめられるかを考えて、調べたいふしぎを選び、○で囲って、記入シート④の「気になったところ」にはるように伝える。

選んだふしぎについて、叩くものの違い、音の特徴の違いなどの「注目したこと」を書いてから、「ふしぎに思うこと」や「その理由」を書くように指導する。

4分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • なんでトライアングルは手で持つと音が出ないのか?
  • 音が出るとき、ものはみんなふるえるの?
  • 音の高さにはふるえの速さが関係しているの?
  • 音の大きさは、たたき方やふるえ方が関係するの?

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

ステップ(6) 実験の計画
ふしぎについて何を調べたいか決め、その確かめ方を考える

シート

ステップ(6)の流れ

5分

クラスで、ふしぎに思うことで確かめてみたいことを話し合う。

  • 音が出ているものは、みんなふるえているのか。
  • 音の大きさは、たたき方に関係があるのか。
  • 音の大きさがちがうと、ふるえ方もちがうのか。 など

教師の支援

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

どうすれば、確かめられるかも考え、発表する。

  • 太鼓を寝かせて、ビーズなど軽いものをまいて調べる。
  • 音が鳴ったとき、そこでどんな変化があるか見る。
  • たたいたときの、その部分のスロー動画を見る。
  • 音の大きさで、ふるえ方がちがうのか確かめる。 など

教師の支援

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

エクストラステップ 考え方の振り返り
自分の「ふしぎ」が、どうやって生まれたかを振り返る

シート

エクストラステップの流れ

シート

これまでの活動を振り返って、どうしてふしぎに思ったのかについて、考える。

教師の支援

資料シート⑦の番組の児童のふしぎがどう生まれたかを参考にして、自分のふしぎが生まれたのは、何かに注目して、比べたからであると実感できるように支援する。

自分のふしぎがどうやって生まれたかを発表する。

教師の支援

児童が考えた記入シート①③(クラゲチャート)、②④(ふしぎを見つけようシート)を見ながら考えるように伝える。

次時以降(3~5時間目)

  • 音のふしぎについて、自分たちで考えた実験方法で、予想を確かめる実験を行う。
  • 実験結果からわかったことを話し合い、音が出ているものは震えていること、音の大きさの違いにはものの震え方の違いが関係あることをまとめる。
  • 糸電話で声を伝え合うなどして、音を伝えるものも震えていることを実験で確かめる。
  • 音が出るときのものの様子について、わかったことをまとめる。