考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 児童が自分たちで観察した物や撮影した写真をそのまま教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「ふしぎを見つける」ための展開

  • 写真などを見比べたときに気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、身の回りにあるふしぎを見つけることができます。

「ふしぎを見つける」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで、ふしぎに思うことが見つかる体験を通して、比較して問題を見いだすコツをつかむことができます。

見つけたふしぎの「原因を予想する」

  • 見つけたふしぎから、確かめたいふしぎをしぼり、上の学年で行う、ふしぎの原因(何が関係するのか、どんな決まりがあるのか)の予想や予想の確かめ方の初歩を体験します。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

前時まで(1時間目)

この時間の詳細

ステップ(0) 前時まで
何かに注目してくらべると「ふしぎの手がかり」が見つかることを知ろう!

シート

ステップ(0)の流れ

45分

シート

児童のもつ光の知識や光の当たり方のイメージから、光に興味をもてるようにする。

晴れた日と曇っている日にはどのような違いがあるのかを発表する。

教師の支援

色々なものに光がうつっている様子や、光が当たる理由などについて、日常の場面で注意喚起する。

意見を板書して整理する。(明るさ、日焼けする、かげができるなど)

動画⓪「番組シーン①②」(0'00~2'23)を視聴する

番組を見て、太陽が出ているときと出ていないときのふしぎを見つけるという課題を共有する。

  • いろいろな視点で比べてみたいな。
  • 校舎の中と外のちがいとか、いろいろ比べたい。
  • どんなふしぎが見つかるだろう。

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

「光の性質についてのふしぎ」を探すための材料集めのポイントを確認する。

教師の支援

みんなで手分けして複数箇所に分かれ、太陽が出ているときと出ていないときに同じ場所で写真を撮るように伝える。

外だけでなく、部屋の中や建物の天井にも注目するよう伝える。

天候を確認しながら、太陽が出ているときと出ていないときの写真を撮っておく。

教師の支援

写真は、同じ場所と分かるように、同じ方向から、同じサイズで撮影するように指導する。

ステップ(1) ふしぎ探しのための材料集め
太陽が出ているときと出ていないときに撮った写真を共有する

シート

ステップ(1)の流れ

4分

太陽が出ているときと出ていないときをくらべて ふしぎをさがそう

事前に撮影した太陽が出ているときと出ていないときの写真をみんなで共有する。

どこで撮った写真なのかを発表する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の写真を共有する。

太陽が出ているときと出ていないときをくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(2) ふしぎの手がかりを整理
差異点と共通点を探して「ふしぎの手がかり」を整理する

シート

ステップ(2)の流れ

3分

一覧表示した写真の中から、同じ場所の太陽が出ているときと出ていないときのペアの写真を2組選び、自分の端末に取り込む。

教師の支援

2組の写真は、片方は屋外の直接日光が当たっている場所、もう一方は建物の壁や天井に反射して当たっている場所を選べるように支援する。

ふしぎの手がかりを見つけるのが難しい場合には、下記のベン図を使って支援することも考えられる。

8分

シート

2組の写真をベン図の左右にはり、見比べて気付いたことを書き出す。

教師の支援

記入シート①(ベン図)を配布する。

ベン図の上部に2組の写真を置くよう指導する。

2組の写真の似ているところを中央に、違っているところを左右に、カードで書くように指導する。

すべての枠を埋めなくてもいいと伝える。

ベン図を使って、ふしぎの手がかりを見つける方法がわかりにくい場合は、動画クリップ「理科の見方・考え方 比較するとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

比べる方法がわかりにくい児童が多い場合は、ベン図を使って、ふしぎの手がかりを探す方法を知るために、クリップを見る機会を作る。

3分

シート

動画①「番組シーン③~⑤」(2'24~4'15)を視聴してもよい

教師の支援

見つけきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。

2分

番組を見て、新たに気付いたことをベン図に追加する。

教師の支援

太陽の有無、壁への光のうつり方、光が届く場所など、何かに注目して、違いを探していることを助言する。

5分

シート

みんなの気付きを発表する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の写真を共有する。

ステップ(3) ふしぎを見つける
「ふしぎの手がかり」を使って「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(3)の流れ

5分

シート

記入シート①や番組児童の気付きを参考にして、ふしぎを見つける。

光がうつっているものに注目して比べると、違いがあることからもふしぎを探す。

相違点だけでなく、共通点からもふしぎが見つかることを知り、自分の手がかりから、ふしぎを探す。

教師の支援

記入シート②(ふしぎを見つけようシート)を配布する。

光がうつっているものにも注目して、ふしぎを探してもよいと伝える。

差異点と共通点から、「なんで違う?」「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。 

15分

「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

光の動きや、日光が当たる場所かどうか、などの「注目したこと」を書いてから、「ふしぎに思うこと」や「その理由」を書くように指導する。

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • 太陽が出るときだけ、みんな光がうつるのはなんで?
  • 窓の光だけ太陽が見えるのはなんで?
  • 光は、波打ったり、丸くなったり、曲がって進む?
  • 光は広がったまま、まっすぐ行くのか?
  • 普段は太陽が当たらない壁や天井に光が当たるのはなんで?
  • 水面のユラユラと天井のユラユラが同じ動きなのはなんで?
  • 水面に当たった太陽の光がなぜ天井に行ったのか? など

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(4) 考え方の振り返り
自分の「ふしぎ」が、どうやって生まれたかを振り返る

シート

ステップ(4)の流れ

5分

シート

自分の見つけたふしぎを確認する。

これまでの活動を振り返って、どうしてふしぎに思ったのかについて、考える。

自分のふしぎがどうやって生まれたかを発表する。

教師の支援

資料シート③の番組の児童のふしぎがどう生まれたかを参考にして、自分のふしぎが生まれたのは、何かに注目して、比べたからであると実感できるように支援する。

児童が考えた記入シート②(ふしぎを見つけようシート)を見ながら考えるように伝える。

ステップ(5) ふしぎをしぼり、予想する
確かめたいふしぎを決めて、その原因を予想する

シート

ステップ(5)の流れ

5分

シート

たくさん出たふしぎから調べるふしぎを決めるために、動画を見る。

動画②「番組シーン⑥⑦」(4'15~7'02))を視聴する

確かめる「ふしぎ」について、内容を把握する。

教師の支援

前時で見つけたふしぎについて、クラスで調べることを決めると伝える。

ふしぎを振り返り、調べるふしぎを絞り込むために、動画を見る機会を作る。

「確かめたいふしぎ」について児童に確認し、板書するなど整理して、全員が「ふしぎ」を把握できるようにする。

水面に当たった太陽の光がなぜ天井にいったのか?

10分

コップの有無での光の出方が違うことを手がかりに、太陽の光がどう進むのか、予想する。

教師の支援

動画の手がかりを頼りに、予想するよう呼びかける。

そう予想する理由が言えるとさらによいと伝える。

番組の静止画を参考にしてもよいと伝える。

5分

ふしぎに対して、自分の予想を発表する。

  • 最短距離をまっすぐ進むと思う
  • ユラユラしているので、光も波打っている
  • 途中にものがあっても届きそうだから少し広がる
  • 途中が見えないのでどんな通り方もあり得る

教師の支援

どう確かめたらよいかも考えながら予想してもよいと伝える。

水面に当たった太陽の光がなぜ天井にいったのか?

ステップ(6) 実験の計画
ふしぎについて考え出した予想に対して、確かめる方法を考える

シート

ステップ(6)の流れ

15分

シート

予想を確かめる方法を考える。

  • 水面の代わりに、太陽の光をかがみに当てて、太陽の光をはねかえして、実験できないか?
  • 途中の通り道を見る方法はないか?
  • 途中に紙などをはさんだらどうだろう? など

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための方法になるよう助言する。

動画③「番組シーン⑧~⑪」(7'02~10'00)を視聴してもよい

教師の支援

予想を確認したり、その確かめ方を考えたりする際のヒントとして、番組を参考に見ることもできるようにする。

5分

シート

予想を確かめる実験方法を発表する。

(例)光は太陽から鏡に当たって、鏡からはまっすぐ壁に届くと予想

  • 鏡を使って太陽の光を手の届く範囲の壁に当てる。
  • 間に紙をはさんで、光の通り道を追う。
  • 予想通りなら、紙でまっすぐ追えるはず。 など

教師の支援

児童が考えた実験方法を板書する。

次時以降(4~7時間目)

  • ふしぎについて考えた予想に対して、自分たちの考えた「予想を確かめるための実験」をする。
  • 鏡を使った実験も行い、光の進み方、光の反射について、わかったことを話し合い、まとめる。
  • 跳ね返した光が当たったところの明るさや温度について「ふしぎ」を見つけ、調べることで、わかったことを話し合い、まとめる。
  • 虫めがねで日光を集めたところの明るさや温度について「ふしぎ」を見つけ、調べることで、わかったことを話し合い、まとめる。
  • 日なたと日かげを調べた結果も合わせ、太陽について学んだことをまとめる。