考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 普段何気なく目にしている虫を教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「ふしぎを見つける」ための展開

  • それぞれの虫が見つかりやすい場所を比べたときに気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、身の回りにあるふしぎを見つけることができます。

「ふしぎを見つける」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで、ふしぎに思うことが見つかる体験を通して、比較して問題を見いだすコツをつかむことができます。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) ふしぎを見つける準備
何かに注目して比べると「ふしぎの手がかり」が見つかると気付く

シート

ステップ(1)の流れ

3分

身の回りで見つけた虫を発表する。

教師の支援

身の回りにいる虫について交流することを通して、本単元の学習に関心を持つようにする。

この段階では、昆虫という言葉は用いず、ダンゴムシなどの昆虫に分類されないものも許容する。

5分

シート

動画①「番組シーン①~②」(0'00~3'43)を視聴する

番組を見て、虫がいる場所から「虫についてのふしぎ」を見つけるという課題を共有する。

  • いろいろな視点で比べてみたいな。
  • 運動場と学級菜園とか、いろいろ比べたい。
  • どんなふしぎが見つかるだろう。

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

虫がいる場所をくらべて ふしぎをさがそう

虫がいる場所をくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(2) ふしぎ探しのための材料集め
校内のいくつかの場所で虫探しを行い、虫の情報を集める

シート

ステップ(2)の流れ

25分

シート

運動場や学級菜園、中庭、観察池などで虫探しをし、虫を見つけたら、虫の写真を撮り、名前をメモし、見つけた場所を記録する。

教師の支援

見つけた虫について記録、整理するのが難しい場合には、下記のXチャートを使って支援することも考えられる。

記入シート①(Xチャート)を配布する。

観察する樹木がない場合はYチャート、水場がある場合はWチャートを使用するなど工夫するとよい。

教室に戻ったら、集めた写真や情報を記入シート①に整理することを説明する。

授業中に校内を散策する際のマナーや教室に戻る時刻について確認しておく。

グループで、写真や情報を共有する。

見つけた場所で分類して、記入シートに整理する。

教師の支援

緑のカードに虫の名前を書いて、Xチャートの視点(白のカードの見つけた場所)に沿って整理するように指導する。

カードの代わりに撮影した写真でもよいことを伝える。

番組静止画集を活用してもよいことを伝える。

ステップ(3) ふしぎの手がかりを整理
差異点と共通点を探して、「ふしぎの手がかり」を整理する

シート

ステップ(3)の流れ

6分

シート

共通点や差異点に注目しながら、気付いたことをカードに書いてXチャートに整理する。

教師の支援

共通点について気付いたことはピンクのカード、差異点について気付いたことは青のカードに書くなどすると何に注目してふしぎを見つけることができたか振り返りやすい。

ここでは気付きを書くとしているが、ふしぎについて書いていても許容する。

Xチャートを使って、ふしぎの手がかりを見つける方法がわかりにくい場合は、動画クリップ「理科の見方・考え方 分類するとき」をみんなで視聴する。

教師の支援

比べる方法がわかりにくい児童が多い場合は、Xチャートを使って、ふしぎの手がかりを探す方法を知るために、Wチャートの活用方法を解説したクリップを見る機会を作る。

気付きが出にくい児童は、動画②「番組シーン③」(3'43~5'13)を視聴する

教師の支援

見つけきれない児童の補助に動画を見る機会を作る。

6分

みんなの気付きを発表する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

他者の意見を聞いて、加筆などしてもよいことを伝える。

ステップ(4) ふしぎを見つける
「ふしぎの手がかり」を使って「ふしぎ」を見いだす

シート

ステップ(4)の流れ

6分

シート

動画③「番組シーン④〜⑩」(5'14~10'00)を視聴する

教師の支援

ふしぎを見つけるためのヒントとして、動画を見る機会を作る。

動画から得た情報や気付きを記入シート①(Xチャート)に付け加える。

教師の支援

モンシロチョウが花のないキャベツ畑にいるシーンは、校内では得にくい情報であり、成長過程についての学習につながるふしぎが生まれる可能性を含んでいるため、全体で共有する時間を取ることも想定しておく。

10分

シート

「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

記入シート②(ふしぎを見つけようシート)を配布する。

差異点と共通点から、「なんで違う?」「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。

体の色や食べ物などの「注目したこと」を書いてから、「ふしぎに思うこと」や「その理由」を書くように指導する。

10分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • カマキリとバッタは同じところにいるのに食べ物がちがうのはなんで?
  • どんな虫も食べ物があるところにいるのはなんで?
  • 明るいところと暗いところにいるちがいは何?
  • 花がさいていないキャベツ畑にチョウがいるのはなんで? など

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(5) 観察の計画
見つけたふしぎについて何を調べたらいいか、学習の見通しをもつ

シート

ステップ(5)の流れ

6分

ふしぎに思うことの中から、みんなで調べたいことをしぼる。

しぼったふしぎについて、何を調べたらいいか、考える。

確かめる方法を考える。

教師の支援

たくさんのふしぎの中からみんなで調べたいものをしぼる。その際、指導事項である成長過程や体のつくりに触れられるようなふしぎについても関心を持つことができるような切り返しをする。
【例】食べ物に関するふしぎから、それぞれの体の特徴との関係に関心を持つ。
【例】キャベツ畑にいるチョウのふしぎから、幼虫の時の様子などとの関係に関心を持つ。 など

3年生の段階では、具体的な方法でなくても、体の仕組みとの関係を調べるなど、学習を方向付けるようなものに留めておいてよい。

6分

ふしぎを確かめる実験・観察方法を発表する。

教師の支援

児童が考えた実験・観察方法を板書する。

ステップ(6) 考え方の振り返り
自分の「ふしぎ」が、どうやって生まれたかを振り返る

シート

ステップ(6)の流れ

7分

シート

これまでの活動を振り返って、どうしてふしぎに思ったのかについて、考える。

教師の支援

資料シート④の番組の児童のふしぎがどう生まれたかを参考にして、自分のふしぎが生まれたのは、何かに注目して、比べたからであると実感できるように支援する。

次時以降(3~4時間目)

  • 虫がいる場所の比較から生まれたふしぎについて、自分たちで考えた方法で観察をする。
  • 観察結果からわかったことを話し合い、昆虫の体のつくりや成長過程と見かける場所との関係性についてまとめる。
  • また、児童からの発想がでなかった場合は、追加で、上記の2つの事柄について確かめる実験・観察を行う。