考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 児童が驚くような現象や目にしたことがある現象の写真を教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「見つけたふしぎを予想し確かめる」ための展開

  • 現象の写真やこれまでに体験したことから気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、見つけたふしぎについて予想し、それを確かめる方法を考えることができます。

「ふしぎを見つけ、予想する」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで「ふしぎに思うこと」が見つかり、それをこれまでの体験と結び付けることで「予想」ができることを、体験を通してつかむことができます。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) ふしぎの把握
巨大こいのぼりが泳ぐときと泳がないときの違いから「ふしぎ」をつかむ

シート

ステップ(1)の流れ

2分

これまでに体験した風で起きたことを発表する。

教師の支援

風でものが動くことがあることに興味を持てるようにする。

3分

シート

動画①「番組シーン①~②」(0'00~1'52)を視聴する

番組を見て、巨大こいのぼりが持ち上がる前とあとを比べて、何の力で動いているのかという問題(予想のテーマ)を共有する。

  • 風にはものを動かす力があるのか?
  • 300kgもある重いものを動かせるのは、どんな風のときか?

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

ふしぎ(予想のテーマ)について児童に確認し、板書するなど整理して、全員がふしぎを把握できるようにする。

巨大こいのぼりが泳ぐのは、どんな風のとき?

巨大こいのぼりが泳ぐのは、どんな風のとき?

ステップ(2) 予想を立てる準備
たくさんのこいのぼりやススキと風の関係から「予想の手がかり」を探す

シート

ステップ(2)の流れ

8分

シート

どんな風の場合があるかを考えて、そのときに巨大こいのぼりがどうなるか推論し、そこから予想の手がかりを探す。

教師の支援

予想の手がかりを見つけるのが難しい場合には、下記のキャンディチャートを使って支援することも考えられる。

記入シート①-1(キャンディチャート)を配布する。

どんな風の状況があるかを思い付かない児童には、「もし~なら」の部分が記入された記入シート①-3、①-4を配る。

キャンディチャートの一番上の「風がなかったら」の例を参考にして、他にどんな風の場合があるかを考えて緑のカードに書いて、「もし~なら」の列におく。

教師の支援

どんな風の場合があるかを3つ以上思い付く場合は新しいキャンディチャート(記入シート①-2)を配布して、そこに書き込むよう伝える。

12分

シート

動画②「番組シーン③」(1'53~3'03)を視聴する

番組を見て、他のものが風で動く場面を思い出し、巨大こいのぼりがどうなるかを考えるヒントを探す。

それぞれの風の場合ごとに、巨大こいのぼりがどうなると思うかをピンクのカードに書いて、あめ玉部分の「どうなる?」の列におく。

教師の支援

たくさんのこいのぼりやススキが風によって動き方が変わることを見て、「考えた風の場合に、巨大こいのぼりがどうなるか」を考えるヒントを探すように伝える。

資料シート②-1の参考にした写真をあめ玉部分にはってもいいと伝える。

書き方は、一番上の「風がなかったら」の例を参考にするよう助言する。

キャンディチャートは、左側には仮定・条件(もし~なら)をいれ、真ん中のあめ玉には結果(どうなる?)、右側には結果を導き出した理由・根拠(なぜなら~)を書くことを説明する。

どうしてそうなると思ったのかの理由を青のカードに書いて、「なぜなら~」の列におく。

教師の支援

理由「なぜなら~」は、たくさんのこいのぼりやススキの動き方から気付いたことや、これまでの体験から知っていることを書くとよいと伝える。

資料シート②-2の参考にした写真を理由の部分にはってもいいと伝える。

5分

シート

動画③「番組シーン④~⑤途中」(3'04~4'26)を視聴してもよい

教師の支援

たくさんのこいのぼりやススキの動き方と風の関係について、気付けない児童がいる場合には、動画を見る機会を作る。

5分

みんなの考えた「風の条件」と「そのときの結果」、「そう考えた理由」を発表する。

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の気付きを共有する。

参考になった意見は、手がかりに加えてもよいと伝える。

ステップ(3) 予想を立てる
「予想の手がかり」を使って「理由のある予想」をする

シート

ステップ(3)の流れ

10分

シート

様々な風の条件の場合に、巨大こいのぼりがどうなると思ったかを手がかりにして、自分の予想をまとめる。

教師の支援

記入シート②(予想ワークシート)を配布する。

記入シート①で、予想の手がかりになりそうなことを○で囲んで、そのシートを記入シート②の上の枠にはるように指導する。

自分の予想を書く時間が足りない児童には仕上げるように宿題とする。

ステップ(4) 実験の計画
予想を通して生まれた新たなふしぎについて、確かめる方法を考える

シート

ステップ(4)の流れ

5分

シート

動画④「番組シーン⑤途中~⑥」(4'27~6'26)を視聴する

番組を見て、巨大こいのぼりの風の条件を予想することで見つかったふしぎ(調べたいこと)を理解し、どうすればそれが確かめられるか、考える。

教師の支援

前時の活動で、予想をしたことで見つかった新たなふしぎを把握できるように、動画を見る機会を作る。

グループ毎に、番組で実験に使う送風機や風車を用意し、触りながら考えられるようにしておく。

風の強さで動き方がかわるかどうか、たしかめる方法は?

10分

風の強さで動き方が変わるかを確かめる実験方法について考えるために、まずは風の強さで動き方がどうなると思うか予想する。

その予想を確かめる実験方法について意見交流をする。

  • 風車を使って、風の強さで回り方がどう変わるか、実験する。
  • 風の強さは、送風機の強・弱の切り替えで比べる。

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何かを意識して、そのための計画になるよう助言する。

風の強さで動きに違いがあるか比べるとき、何を変えて、何は同じにするのか、どの結果に注目するのか、考えられているか確認するように伝える。

予想通りならどうなるはずかも考えておく。

風の強さで動き方がかわるかどうか、たしかめる方法は?

ステップ(5) 実験の実施と改善
自分たちの考えた実験を行い、結果から考察して、よりよい実験方法を考える

シート

ステップ(5)の流れ

15分

シート

自分たちの考えた実験計画を実施して、記録を取る。

動画⑤「番組シーン⑦〜⑧」(6'18~8'33)を視聴してもよい

風の強さの違いによるものの動き方の違いについて、実験の結果、分かったことをまとめる。

教師の支援

自分たちが確かめたいことは何か、何を変えて、どの結果を記録したらいいかを意識するよう伝える。

実験がうまくいかない場合や注目点がうまく観察できない場合に、動画を見る機会を作る。

8分

実験結果から分かったことを発表する。

  • 風が弱いときは、風車はゆっくり回る
  • 風が強いときは、風車は速く回る
  • 風の強さによって回る速さがちがう
  • 風が弱いときは、送風機からはなれると回らない
  • 風が強いときは、送風機からはなれても回る

教師の支援

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

まだ分からないこと(風の強さでどのくらい動きに差があるのか)を発表し、それを確かめるにはどうしたらよいか考える。

  • 風車の回転では、風の強さで動き方がどれくらいちがうのか、分かりにくかった
  • 風で動くきょりがはかれれば、確かめられるかもしれない

教師の支援

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(6) 実験計画の把握
帆のついた車で、風の強さによる動きの違いを確かめる実験方法を確認する

シート

ステップ(6)の流れ

7分

シート

クリップを見て、帆のついた車を使って、風の強さの違いで動く速さや距離が変わるかを確かめる実験の方法を確認する。

教師の支援

風で動く車の実験についてのクリップ集を見られるようにする。

動く速さや、動くきょりに注目すると、風の強さの働きを調べるどんな実験ができるか考えるように助言する。

風の強さで、動きがどう変わるかを調べるとき、風の強さ以外は変えていないことに気付けるよう支援する。

次時以降(3~7時間目)

  • 風の強さや向きを変えて、帆付きの車を動かす実験をして、風の強さの違いによる、ものの動き方の違いについて、分かったことをまとめる。
  • ゴムで動く車を作り、ゴムがどんなときに車がよく走るのかを予想し、確かめる実験方法を考える。
  • ゴムの伸びや本数を変えて、車を動かす実験をして、ゴムの力の強さの違いによる、ものの動き方の違いについて、分かったことをまとめる。
  • ゴムを伸ばす長さを調整して狙った距離の場所に車を止めるゲームを通して、ゴムの伸びと進む距離について、量的・関係的に捉えられるようにする。