考える授業の流れ

「身の回りにある」ふしぎを扱う

  • 普段何気なく目にしている虫を教材として使うことで、身近な問題として捉えることができます。

「ふしぎを見つける」ための展開

  • 2種類の虫のたまごを比べたり、虫の成長段階による様子を比べたりしたときに気付いたことを、思考ツールを使うなどして整理することで、身の回りにあるふしぎを見つけることができます。

「ふしぎを見つける」方法を知る

  • 対象について何かに注目して比べることで、ふしぎに思うことが見つかる体験を通して、比較して問題を見いだすコツをつかむことができます。

授業の流れ

〇 学習活動 ● 番組 ◎ 動画クリップ □ 教材
■ 記入式シートなど ◇ 支援

ステップ(1) ふしぎを見つける準備
何かに注目して比べると「ふしぎの手がかり」が見つかると気付く

シート

ステップ(1)の流れ

3分

シート

虫のたまごの写真を見て、何のたまごか考える。

教師の支援

写真に写っているたまごから何が産まれるかを考え交流することを通して、本単元の学習に関心を持つようにする。

すでに学級でチョウのたまごを手に入れて飼育を始めている場合は、その話題に触れることで関心を持てるようにしてもよい。

4分

シート

動画①「番組シーン①~②の途中」(0'00~1'24)を視聴する

番組を見て、虫のたまごを比べてふしぎを見つけるという課題を共有する。

教師の支援

比べることで、ふしぎの手がかり(おや? どうして? という違和感)が見つかることに気付けるよう支援する。

虫のたまごをくらべて ふしぎをさがそう

虫のたまごをくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(2) 手がかり整理とふしぎ発見
差異点と共通点から手がかりを整理し、「ふしぎ」を見つける

シート

ステップ(2)の流れ

8分

シート

2種類のチョウのたまごの写真を比べて、気付いたことをカードに書き出し、ベン図に整理する。

教師の支援

記入シート①(ベン図)を配布する。

たまごの見た目だけではなく、場所など写真から分かることについても気付きを書いてよいことを伝える。

気付きを書きにくい児童には、形や色などの比べる視点を示すようにする。

ベン図にカードを整理する際、同じ視点(形、色など)での気付きについては、ばらばらに貼るのではなく、横並びに貼ることで、見やすくなることを伝える。

気付きが出にくい状況であれば、ふしぎを見つける前にペア交流を入れてもよい。

5分

シート

整理した気付きを手がかりに、ふしぎを見つけてピンクのカードに書き出し、整理する。

教師の支援

共通点・差異点に着目してふしぎを探すように促し、着目した点の付近にピンクのカード(ふしぎ)を貼るように指示する。

差異点と共通点から、「なんで違う?」「どうしてみんな同じ?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。

動画②「番組シーン②の途中~③」(1'25~3'07)を視聴してもよい

教師の支援

ふしぎを見つけにくい児童には、動画②を見て参考にしてよいことを伝える。

5分

見つけたふしぎをペアで交流する。

教師の支援

整理したベン図を相手に示しながら見つけたふしぎについて、何に注目して見つけたふしぎなのか詳しく説明するよう指導する。

参考にしたい意見があれば加筆してよいことを伝える。

ステップ(3) ふしぎを選ぶ
自分たちで確かめられるかを考えて、「調べたいふしぎ」を選ぶ

シート

ステップ(3)の流れ

8分

シート

自身が見つけたたくさんのふしぎの中から1番気になるふしぎを選び、「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

記入シート②(ふしぎを見つけようシート)を配布する。

自分たちで確かめることができるかという視点も意識して選ぶように伝える。 

選んだふしぎについて、たまごの色、形やたまごが産み付けられた場所など「注目したこと」「ふしぎに思うこと」「その理由」を書くように指導する。

7分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • チョウの種類によって形がちがうのはなんで?
  • ちがうチョウなのに色は同じなのはなんで?
  • チョウの種類によってたまごを産む場所がちがうのはなんで? など

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(4) ふしぎに対する予想
ふしぎに対して自分なりに予想をすることで、解決への見通しを持つ

シート

ステップ(4)の流れ

5分

全体交流で出てきたふしぎについて、予想し、交流する。

教師の支援

あくまでも予想なので、理由が説明できるのであれば自由な発想について許容するようにする。

個別に予想する時間を設定し、個々に考えを持った上で交流することが望ましいが、3年生の段階では根拠のある予想までは求めないので、省略してもよい。

自身が見つけたふしぎについて予想したり、全体交流で出てきたふしぎの中から指定したものについて予想したりするなど、その後の展開を踏まえて柔軟に工夫することも考えられる。

「その予想が正しいかを知るためには何を調べればよいか」と切り返すことで、成長過程について観察すればよいという解決の見通しを持てるようにするとともに、次時の活動を予告し意欲を高めるようにする。

ステップ(5) ふしぎ探しのための準備
新たなふしぎ探しのテーマをつかむ

シート

ステップ(5)の流れ

3分

前時に見つけたふしぎやそれに対する予想などを交流する。

教師の支援

たまごがふ化してからの様子を観察することが解決への手がかりになるという前時の話し合いの内容にも触れるようにする。

3分

シート

動画③「番組シーン④」(3'09~4'44)を視聴する

動画を見て、虫の成長の様子についてそれぞれの段階を比べてふしぎを見つけるという課題を共有する。

虫の成長の様子をくらべて ふしぎをさがそう

虫の成長の様子をくらべて ふしぎをさがそう

ステップ(6) 手がかり整理とふしぎ発見
成長にともなう様子の変化から手がかりを整理し、「ふしぎ」を見つける

シート

ステップ(6)の流れ

7分

シート

成長過程のそれぞれの段階の様子について気付いたことを青のカードに書き出し、ステップチャートに整理する。

教師の支援

記入シート③(ステップチャート)を配布する。

すべての写真に気付きを見つけて青のカードを貼ることを強制しなくてよい。

前時に見つけたふしぎの解決の手がかりとなる気付きについても許容するようにする。

【例】たまごがある場所が違ったのは、たまごからかえって葉っぱを食べるときに虫によって好きな葉っぱがあるからかもしれない。

6分

シート

気付いたことをもとに、ふしぎを見つけてピンクのカードに書き出し、ステップチャートに整理する。

教師の支援

ふしぎを見つけるもとになった気付き(青のカード)の下にピンクのカードを貼り、対応させるよう指導する。

成長にともなう様子の変化から、「なんで違う?」など、「おや?」と思うものを見つけるように助言する。

動画④「番組シーン⑤~⑦」(4'45~7'18)を視聴してもよい

教師の支援

ふしぎを見つけにくい児童には、動画④を見て参考にしてよいことを伝える。

5分

見つけたふしぎをペアで交流する。

教師の支援

整理したステップチャートを相手に示しながら見つけたふしぎについて、詳しく説明するよう指導する。

参考にしたい意見があれば加筆してよいことを伝える。

ステップ(7) ふしぎを選ぶ
自分たちで確かめられるかを考えて、「調べたいふしぎ」を選ぶ

シート

ステップ(7)の流れ

10分

シート

自身が見つけたたくさんのふしぎの中から1番気になるふしぎを選び、「注目したこと」や「ふしぎに思ったこと」、「その理由」をまとめる。

教師の支援

記入シート④(ふしぎを見つけようシート)を配布する。

「自分たちで確かめられるか」、「どんな決まりがあるのか」などを考えて選ぶように伝える。 

選んだふしぎについて、色、形の変化など「注目したこと」「ふしぎに思うこと」「その理由」を書くように指導する。

7分

どんなふしぎを見つけたのかを発表する。

  • なんで体が緑色になるの? 葉っぱを食べるのが関係しているの?
  • なんでこんなに形が変わっていくの?
  • 葉っぱを食べるけれど、チョウの幼虫によって好きな葉っぱがあるのかな?
  • たまごがある場所はそれで決まっているのかな? など

教師の支援

大型モニターと児童のタブレット端末に同時に一覧表示。

クラス全体で児童の考えを共有する。

意見を板書して整理する。

ステップ(8) 考え方の振り返り
自分の「ふしぎ」が、どうやって生まれたかを振り返る

シート

ステップ(8)の流れ

4分

シート

これまでの活動を振り返って、どうしてふしぎに思ったのかについて、考える。

教師の支援

資料シート⑤の番組の児童のふしぎがどう生まれたかを参考にして、自分のふしぎが生まれたのは、何かに注目して、比べたからであると実感できるように支援する。

本時だけでなく、前時に行ったたまごの比較を通して見つけたふしぎについて振り返ってもよいことを伝える。

シート

時間に余裕があれば……

動画⑤「番組シーン⑧~⑩」(7'19~10'00)を視聴してもよい

教師の支援

時間に余裕があれば、興味を広げるために動画を見る機会をつくる。

次時以降(3~9時間目)

  • チョウをたまごの状態から飼育し、成長の様子について観察・記録をする。
  • 観察結果からわかったことを話し合い、昆虫の成長過程についてまとめる。
  • 適切な時期に、バッタやトンボなどについても、幼虫から成虫まで飼育し、成長の様子について観察・記録をする。
  • チョウと比べることで、昆虫の成長過程の共通点・相違点を調べ、育ち方についてまとめる。