授業例

「話す力を高める」の回を使った授業例

京都市立藤城小学校 教諭 堀川紘子

6年生 国語科「今、私は、ぼくは」光村図書

自分の好きなものや思い出に残っていることをスピーチする学習は、学年を問わず実践する内容である。しかし、いざスピーチに取り組むと、子どもたちは以下のように「しまった!」な問題と直面する。

  • スピーチで伝えたい内容が考えられない
  • 何を一番伝えたいか決められず、話がまとまらずだらだらと発表してしまう
  • 聞き手を意識した発表ができない(声、間の取り方など)

そこで、「第5回 話す力を高める」を活用し、相手に伝わる話し方について考え、人前でスピーチをする授業を実践した。

指導計画(全4時間)

《単元計画》
1時間目 教科書や「しまった!」を視聴することを通して、スピーチの仕方や原稿の書き方について学んだことをもとに、スピーチ原稿をつくる。
2時間目 スピーチ原稿を推敲し、原稿を仕上げる。
3時間目 スピーチの発表練習に取り組む。
4時間目 スピーチ大会

本時の展開(第1時/全4時間)

  学習活動 指導上の留意点
15分
  • 本時のめあてをつかむ。
  • 教科書で内容を確認し、児童が学習の見通しをもてるようにする。
小学校生活を振り返り、思い出に残っていることや伝えたいことをスピーチしよう
  • 小学校生活を振り返り、思い出に残っていることや友達に伝えたいことについて考える。
  • 黒板にイメージマップを書き、話す内容のイメージを広げる。板書を参考にしながら自分のワークシートにイメージマップを書き、自分の考えをまとめられるようにする。
10分
  • 「しまった! 話す力を高める」を視聴する。
  • 番組を視聴して学んだことや考えたことをワークシートにメモするように伝えておく。
5分
  • 番組を視聴して「スピーチ」のポイントについてわかったことや考えたことを交流する。
  • 必要に応じて、「しまった!」のクリップ動画やまとめのシーンを印刷して、振り返りがしやすくしておく。
15分
  • 学んだことをもとに、スピーチづくりに取り組む。
  • イメージマップの中から書きたい内容にランキング(1位から3位まで)をつけ、その中から書きたいテーマを考えられるようにする。
  • 原稿が書き出せない子には、イメージマップに思い出や印象に残っていることを書きたせるようにアドバイスする。

番組活用のワンポイント

ポイント1「イメージマップを活用してスピーチで伝えたいことを考える」

まずは板書にイメージマップの中心の言葉を書き、2〜3個思い浮かぶ言葉を書きました。次に個人のワークシートにイメージマップを書かせました。机間指導しながら、「いいな」と思う事柄は全体に伝え、イメージマップで思いが広がるようにしました。 イメージマップを書き始めた時は、「楽しかった行事」が多かったのですが、全体で交流する中で、お世話になった、友達や親、地域の方へ感謝の気持ちを伝えたいという意見が出てきました。

授業風景

ポイント2「クリップ動画を活用する」

「しまった!」ではクリップ動画が充実しており、今回使った「話す力を高める」の回では、原稿づくりとスピーチするときの話し方のコツに関するクリップが用意されています。原稿づくりや発表練習をするときに困ったら、個別で視聴したり、学級全体で視聴したりすることができます。今回の実践では、子どもたちは原稿づくりや発表練習のときに、クリップ動画を活用していました。

授業風景

ポイント3「付箋紙を活用する」

今回の実践では、イメージマップで考えを広げた後、すぐに原稿づくりに取り組みました。ワークシートに直接原稿を書くことで、そのまま発表練習できるよさもありますが、推敲しづらかったり、何から書けばいいか迷ったりしてしまう子もいました。そこで、番組で紹介されていた「付箋紙」を活用する方法も効果的だと思います。伝えたい内容を付箋紙に書き、それらを何度も並べ替えたり、新しく付け足したりしながらスピーチの構成を考えることができます。付箋紙をもとにすることで、「はじめ・中・終わり」の形式で原稿を書くこともスムーズにできると思います。

「番組を利用して一言」

番組に登場する子たちは、一生懸命スピーチに取り組みながらも、スピーチをするときによく起こる「しまった!」な場面を視聴している子どもたちに伝えてくれています。話がまとまらずにだらだらと発表してしまう、早口になってしまう、原稿ばかりみてしまうという「三大しまった!」は教室でも起こります。担任する子どもたちも「わかる!わかる!」と頷きながら視聴していました。「しまった!」を視聴することで、教える側が「こうしなさい」や「こんな失敗をしないように」とあらかじめ伝えなくても、「こんなしまった!にならないようにしよう」と気づくことができました。また、実際に原稿づくりに取り組む中で、「自分が何を伝えたいかわからない」や「発表するときの声の大きさや抑揚のつけ方がわからない」などの新たな「しまった!」が生まれた時には、友達にアドバイスをもらったり、いいスピーチを見て参考にしたりしながら、乗り越えていました。