「考えを整理する」の回を使った授業例

「考えを整理する」の回を使った授業例

京都教育大学附属桃山小学校 教諭 木村明憲

考えを作る秘策「思考ツール」

思考ツールは物事を比べたり、順序立てたり、分類したりするなど情報を整理する際に使います。様々な形をした思考ツールがありますが、形によって深められることは違います。深めたい事柄から使う思考ツールを選び、思考ツールの図の中にアイデアを入れていくことで、新たな考えをつくる手助けをしてくれます。本番組では情報を整理する方法として思考ツールをわかりやすく紹介しており、情報を整理することの大切さや、どのような方法で考えを整理すれば良いかということを学ぶことができます。

4年生 国語科 「調べたことを整理し、発表しよう(全15時間)」光村図書

《単元計画》
1時間目 様々な人たちと「関わり合う」ということについて情報を集め、まとめた情報を伝えるというめあてをもつ。
2時間目 知りたいこと、調べたいことを交流し、学習課題を作り、課題を解決するための学習方法を明確にして学習計画を立てる。
3時間目 「関わり合う」ということについて考え、学習課題について友達と交流する。
4,5,6時間目 学習活動を基に情報を集める。
7時間目 集めた情報の整理の仕方について考える。(本時)
8,9,10時間目 整理した情報を基に、発表の順序を考えたり、発表資料を作成したりする。
11,12時間目 聞き手を意識しながらどのように伝えれば考えが聞き手に伝わるのかを考えながら発表の練習をする。
13,14時間目 発表を聞き合い、感想や意見を交流する。
15時間目 学習を振り返り、今後生かしていきたいことについてまとめる。

本時の目標: 集めた情報の整理の仕方について考える

学習活動 ○発問 ・児童の反応 ※支援

1.様々な方法で集めた情報を発表する上で、情報を内容ごとに整理する方法について考えるという課題をもつ。

◆ポイント1 知っている整理法を想起せよ。
2.情報を整理する方法について知っていることをワークシートに書き出し交流する。

  • 情報を整理する方法について知っていることを発表しましょう。


◆ポイント2 知っていることと発見を結べ。
3.「しまった!第5回考えを整理する」を視聴する。
  • 自分の知っていることとつなげて番組を見て見ましょう。

◆ポイント3 次の学習につなげよ。
4.視聴して気付いたことを交流し、次時の学習につなげる。
  • 「しまった!」を見て、気付いたことや、わかったことを交流しましょう。また、次の国語科の学習でどのように活用できるかを考えましょう。

5.学習のまとめをする。
  • 情報を整理することについて学習したことを振り返りましょう。 






  • 表などで情報を整理することがあります。
  • 図にして情報を整理したことがあります。
※イメージマップで板書することにより、児童の発表した事の関係を明確にすることができるようにする。



※視聴して発見したことをワークシートに記述する。

  • 情報を整理するときに思考ツールを使うとうまく情報を整理することができることが分かりました。
  • フィッシュボーンという思考ツールを次の国語科の学習で伝えたいことの根拠を明確にする際に使って見たいです。

番組活用のメリット

情報を整理する学習は、国語科で調べたことをまとめ、発表する授業で大切にされています。しかし、どのように情報を整理すれば良いかという事例は少ないように思われます。本番組を国語科の単元に組み込むことにより、視聴して学んだことを次の時間に使って経験することができます。情報を整理する活動は実際に経験をしなければ、児童にとって生きて働く力にはなりません。そのような面から考えても国語科の単元の中で本番組を視聴することは非常にメリットが大きいと思います。

番組活用のポイント

ポイント1 知っている整理法を想起せよ

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番組を視聴する前に、情報を整理することについてどのようなことを知っているかを明らかにする必要があります。情報を整理するということについて何も知らないと反応する児童に対しても、「情報を整理する」ということがどのようなことなのかということを考え、予想しておくことで、番組を視聴した際の気付きが豊かになるとともに、既存の知識や予想したことと番組を視聴して発見したことを結び付けて理解することができ、情報活用スキルに対する理解が深まると考えられます。

ポイント2 知っていたことと発見を結べ

番組を視聴する際は、気付いたことを書き込みながら視聴するとよいと思います。しかし、視聴しながら気付いたことを記述すると番組から情報を集めることが難しいときは、番組の途中(失敗例を示す場面と閣下がポイントを示す場面の間)で視聴を一旦止め、記述する時間をとったり、全てを視聴した後に記述する時間をとったりするとよいでしょう。気付いたことを記述させる際は、閣下が示す3つのポイントだけでなく、大切だと思ったことをたくさん記述させることが、情報活用スキルについて理解を深めることにつながると考えられます。

ポイント3 次の学習につなげよ

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番組を見て気付いたことを交流し合う場面では、番組の場面と結び付けながら発表することが大切です。このように発表することで情報活用スキルが、どのような力なのかを番組の場面と結びつけながら理解することができるからです。今回の思考ツールの学習では、国語科の単元の学習の中で本番組を視聴しました。交流を深める上で、ここで出てきたフィッシュボーン図を次の国語科の学習で活用することができるように、どのように使うのかを明確にする補助発問が必要です。例えば、「今回の学習で調べたことでフィッシュボーン図の魚の頭になる部分に入る言葉はどのような言葉でしょうか 」や「今度発表しようとしていることでは、どのような4つのテーマを入れますか」などの発問をおこなうことにより、その後の学習の見通しがもてるようなり、児童が積極的に思考ツールを活用するようになるのです。