番組活用コラム~しまった!を教科等の学習で効果的に活用するために~

タブレットがやってきたらまず写真を撮ろう!

国立教育政策研究所 総括研究官 福本 徹

学校にタブレットがやってきた

「タブレットが学校にやってきたが、どう使っていいかわからない」という方も多いのではないだろうか。教育委員会からタブレットが40台届いたが使い方がわからないため、倉庫に眠っている、ということも耳にする。

カメラ機能はどのタブレットにも付いているといってよいであろう。タブレットだけで使うことができる。デジタルカメラのような小さな画面ではないし、画面が大きいので撮影対象がわかりやすい。みんなでのぞきこんで見ることができる。
とにかく何かを撮影してみよう。デジタルカメラのようにパソコンに取り込んで、そのためにはケーブルをつないで操作して、なんて必要もない。撮影したらそのまま他の人に見せることもできるし、編集も簡単だ。

まずは撮ってみよう

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自分で気付いた何かを撮影して、何かを誰かに伝える。
生活科の「秋たんけん」や、総合的な学習の時間の「防災マップ作り」では使いやすい。「秋たんけん」であれば、自分が気付いた秋の様子を撮影し、写真を見せながら友達に伝える。「防災マップ作り」であれば、危険な個所を撮影し、写真を印刷して模造紙に貼り込んだり、タブレット内の文書ソフトに貼り付ける。無線LANで使える電子模造紙があれば、写真をクラスで共有できる。

体育の器械体操(マット運動、跳び箱)やダンス活動でのフォーム確認には大変有効である。動作中の動きはなかなか自分ではわからないものだ。自分のフォームを撮影してもらった動画を見ることで、どの点に気を付ければよいのかすぐにわかる。わかったことを次の試技に生かす。うまくできれば、もっとやりたいにつながる。流行の言葉で言えば「学びに向かう力」の育成であろうか、良いことばかりである。

国語や外国語、総合的な学習の時間などでよく行われる、プレゼンテーションのチェックにも便利である。
その様子をカメラで撮影することで、どこを向いて話しているのか、口癖になっている言葉はあるか、様々な確認をすることができる。「相手意識」を持って、他者に伝えるということはどういうことなのか、を自分で確認することができる。

理科の実験の様子を記録することもできる。理科室で行う実験を撮影し、後日の授業で(理科室でなくても)見直しながら考察ができる。実験のことを思い出しながら考察するよりも、気付く点は多いであろう。

たくさん撮ったその次に

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いろいろと撮影してみると、なんだかわかりにくい写真や動画が多いことにも気づく。何を撮ったのか、何のために撮ったのか、どうにも仕方がない。そこで、何のためにこの写真を使うのか(誰かに伝えるためなのか、自分のために記録するためなのか、など)を考えることが必要になる。撮影してから「しまった!」にならないように、番組を参考にしてほしい。

無線LANがなくても、プロジェクタと接続すれば大きく映すことができる。撮影した写真を大きく映して、クラス全体で共有する。そのことで、友達の思考に触れることができ、自分の思考が深まる。

とにかくまずは撮ってみよう、失敗したら消せばよい。フイルムではないのだから。ただし、他人や他人の所有物を撮影する際には注意がいる。番組でもあったように、撮影には許可が必要だ。肖像権等も併せて教えるべきであろう。ここも「相手意識」である。