「写真撮影」の回を活用した授業例
三重県松阪市立三雲中学校 指導教諭 楠本誠
理科の学習では実験、観察を行った後、科学的根拠をもとにして考察を行います。その際に、タブレットで実験や観察の結果を撮影し、記録しておくと、後から何度も見たり、拡大して見たりすることができ、考察を深めることに有効です。
また、ただ撮影するだけでなく、何のために、何を、どのように撮影すれば、考察時に有効であるかを事前に指導しておくことも重要になります。このようなスキルは、理科の学習においても年度初めに番組を活用して考えておくことで、年間を通して活用できると考えます。
授業例
《中学校理科 学習指導略案》 | |
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1 教科 | 中学校1年理科 |
2 単元 | 花のつくり |
3 本時の目標 |
番組を活用して、理科の実験や観察の様子や結果をタブレットで撮影する際のポイントを考える。考察時に、撮影した記録を活用して、考察を深めるにはどのような撮影をすれば良いか、生徒間の意見交流時に、撮影した記録を相手に示して、説得させたり、意見をわかりやすく伝えたりするためにはどのような撮影をすれば良いかを考える。 |
4 本時の流れ |
(1)番組を視聴し写真撮影に関するスキルを確認し高めあう (2)番組で扱った学習活動から理科の学習活動での活用につなげる |
5 予想される 撮影のポイント |
アップとルーズ |
番組活用のワンポイント
ポイント1 教科でのスキル活用につなげよう
番組では、子どもたちが鉛筆工場を見学し、工場の様子を撮影してわかりやすく記録することがテーマです。「撮影」の情報活用スキルは、こうした町探検のような学習活動はもちろんですが、様々な教科の場面でも取り入れることができます。番組で扱った学習活動だけでなく、理科の授業に置き換え、教科を超えた番組活用も可能です。教科の授業に情報活用のスキルを視点に入れることで授業デザインがひろがります。
ポイント2 「視聴」したら「活用」してみよう
番組を視聴し、考えたら、合わせて、実際にスキルを活用する場面を設定してみましょう。さらには、授業の中に、教師が設定したスキル活用の場面だけでなく、生徒がスキルを活用する場面を考えたり、スキルを選択して活用する場面などを取り入れたりすることでスキルの定着につながると考えます。
ポイント3 協働的な学びでスキルアップしよう
生徒が実験、観察の様子や結果を撮影し、この記録を活用して生徒間で意見交流を行い考察します。この後、活用した写真は相手を説得する資料となったか、他の人の写真は何がわかりやすかったか等を振り返ります。生徒の意見では、他者からの学びとして「結果の違いが大きく映してあったのでよくわかった」「背景と見たいものの色が重ならず、ハッキリしていてよくわかった」等、スキルの改善につながる意見が見られました。
さいごに
番組の活用後も、理科の授業で、「撮影」の情報活用スキルを活用した実践を続けてきました。生徒が撮影したタブレットの写真を見るとアップとルーズを使い分けて活用しています。実験の様子は全体をルーズで撮影し、例えばビーカーはいくつ必要であったか、どのように実験器具をセットしたかなど、俯瞰的に見られるように撮影し記録していました。一方、実験、観察の細部や変化の様子はアップで撮影し記録して考察で活用していました。番組をきっかけに継続した活用を取り入れることで生徒自身が活用に工夫を加え変化が見られています。「撮影」のスキルを、年間を通して活用するのであれば、年度当初に番組を視聴し活用することで、年間を通して学びをつなげていけると考えます。