番組活用コラム~しまった!を教科等の学習で効果的に活用するために~

インタビュー手法は、いつ、どの教科等で学ぶのか

東京学芸大学 准教授 高橋 純

インタビューは、「情報の収集」ための重要な手段である。
例えば、「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」(文部科学省 2010)など、総合的な学習の時間や探究的な学習に関わる3冊の実践事例をまとめると、最も多いのは「情報の収集」に関わる学習活動であり、その中で、インタビューは、「講話を聞く」についでに2番目に多い(高橋ら 2016)。

では、インタビュー手法は、いつ、どの教科等で学ぶのだろうか?

現行の小学校学習指導要領解説(文部科学省2008)を調べると、「インタビュー」という用語が記載されているのは、国語科では第3学年及び第4学年で2段落、第5学年及び第6学年で1段落、生活科では第1学年及び第2学年で4段落、家庭科では第5学年及び第6学年で3段落、総合的な学習の時間で6段落であった。
つまり、小学校では全ての学年で何らかのインタビュー活動が期待されている。

それらの記述を確認すると、国語科では、「本、インタビュー、アンケートなど調べるための方法も選ばせるようにする」「本や文章、リーフレットやパンフレット、音声や映像を利用したり、友達や地域の人々などにインタビューやアンケートを行ったりすることなどから、適切な方法を選択し調べるようにさせる必要がある」「取材の対象や方法としては、本や文章、パンフレットやリーフレット、雑誌や新聞、音声や映像、インタビューやアンケートなど様々なものを取り上げることになる」などの記述がある。
インタビューは、数ある調査や取材の方法の一つとして示され、インタビュー手法そのものを学習するようにあまりみられない。

同様に、生活科でも「働く人々や利用する人々にインタビューしたりする」、家庭科では「家庭での洗濯についての問題点を児童の具体的な生活経験と関連付けながら家族へのインタビューなどから探ったり」など、インタビューは手段として位置づけられている。
一方で、総合的な学習の時間では、「インタビューの仕方を工夫してインタビューが上手になったり、得られた多様な意見を比較、分析する方法を学んだりもする」「目的を明確にして調査したりインタビューしたりするような活動では、自覚的に情報を収集していることになる」など、インタビューそのものや、その特性を学んだりすることに言及がある。
さらに「国語科のインタビューの手法を発揮して」といった記述もあり、インタビュー手法そのものの学習は、国語科で期待されているようでもある。しかし、先にも述べたように、国語科の学習指導要領解説の記述は、それほど充実していない。

さらに国語科の教科書を調べると、3・4年生段階で、「話すこと・聞くこと」の一つとして、話の中心に気をつけて聞くこと等が扱われたり、「書くこと」の一つとして取材等が扱われたりしており、その上で、学年が進むと、それら身に付けたことを発揮する学習活動として、インタビューが扱われているものがあった。

また、塩谷(2016)が、学校図書館や図書館資料を活用することを通して育成される情報スキルを、小中学校の学習指導用要領と教科書から抜き出してまとめた表によれば、インタビューは、小学校5、6年生の国語科・社会科・総合的な学習の時間で指導可能としている。さらに中学校2年生の国語科では、その発展として「目的に応じたインタビューを行う」ことが指導可能としている。

以上から、インタビュー手法は、国語科で「話すこと・聞くこと」「書くこと」のそれぞれをしっかりと学習した上で、それらが実践的な場面で発揮され、統合されていくことで身についていくと解釈できるだろう。そのために小学校の中・高学年段階において、国語科或いは総合的な学習の時間で確実に習得できるように、各学校でカリキュラム・マネジメントをしていくことが望ましいといえる。

その際、本番組「しまった!」は、「話すこと・聞くこと」「書くこと」で学んだことを、実践的な場面で発揮する学習の前後で、特に役立つといえるだろう。

【参考文献】
文部科学省(2008)小学校学習指導要領解説
文部科学省(2010)今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開
高橋純,高山裕之,山西潤一(2016)探究的な学習過程を基軸にした児童1人1台PCの活用法の検討,日本教育工学会第32回全国大会講演論文集,pp.867-868
塩谷京子(2016) すぐ実践できる情報スキル50 学校図書館を活用して育む基礎力,ミネルヴァ書房