実践リポート

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”ごめん”って気持ち、言葉にしてみると…「いじめをノックアウト」

金子 実 教諭

金子 実 横浜市立杉田小学校教諭

言えそうで言えない「ごめんね」という言葉。いけないことをして謝るだけでなく、偶然、それも何かの拍子に意図しない行動で相手に迷惑をかけてしまうときにも使う言葉です。つまり、様々な場面に応じて使う「ごめんね」という言葉は、大切なコミュニケーションの一つです。そこで、自分たちの生活を見つめながら「ごめんね」という言葉が持つ意味について考え、お互いが気持ちのよい生活を送れるコツを考えていきます。

いじめをノックアウト【対象】小3~6・中学校/特別活動

いじめをノックアウト

いじめ予防・いじめ自殺防止に役立つ番組です。特別活動や道徳 の授業で、いじめの定義を学んだり、加害者・被害者・傍観者の立場で考えたり、SNSの使い方を考えるなど、クラスで話し合うのにピッタリなラインナップをご用意しています。

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活用のねらい

子どもたちは日常生活の中で、謝りたいけれども謝らず、そのままにしたために、いやな思いやつらい思いをしたという経験があると言います。日常生活では言おうと思っても必ずしも言えることばかりではありません。
そこで、言わなかったら、言えなかったらどうなるか、どうして言うことができなかったのかを話し合うことで、「ごめんね」と言うことの大切さと、日常生活の中できちんと言うことができる子になってほしいと考え、実践しました。

授業の様子

視聴中の様子は番組の場面や内容について時々隣と話をする児童もいますが、ほぼ全員が最後まで集中して視聴していました。
「ごめん」と言う言葉は、国語辞典によると「あやまち・非礼をわびる言葉」として定義されていますが、視聴後の話し合いでは、自分が悪いことをしたとき、わざとではないが迷惑をかけたとき、そして期待に答えることができない時などにも使うなど、実際の生活場面を思い出しながら言葉が持つ意味を考えて発言していました。
また、「申し訳ない気持ち」のように、自分の心情を伝える言葉として意識していることも発言の中から出てきました。

子どもの変容

番組を視聴する前までは、児童によっては「ごめん」という言葉を言うことは「自分が負けること」「相手より下になること」と言う意味に捉えていました。
また、その際には「悔しい」という感情があったと言います。しかし、話し合いが進む中で「ごめん」という言葉が、「わざとではなく、相手に迷惑をかけた時」にも自分の思いを素直に伝えることができる言葉であることを理解すると共に、話し合い活動が学級全体の雰囲気作りにつながり、「ごめん」という言葉がもつ意味の共通理解ができました。その後の生活の中でも「ごめん」という言い方が言い放つような言い方で謝意を上手く伝えられなかった子が、「わざとではないが、相手に迷惑をかけた時」に、きちんと立ち止まってあやまり、自分の思いを伝えることができるようになり、お互いに満足をした表情を浮かべるようになった姿を見ることができました。

実践を振り返って

授業のまとめの段階で、『これからの生活で「ごめん」という言葉を言う時に「あやまられなかった」ことがないようにするにはどうしたらいいか』という発問に対して子どもたちは、「まず、やらないこと」、「へんなことをしたら、すぐに謝ること」が大切とまとめました。そして自己反省のために「どうしてそうなったのか」を考え、謝る時の心構えとしての「思い切って言う気持ちが大事」という思いをもつこと、争いを拡大させないために「やられてもやり返さず、言葉で解決に向かうこと」といったセルフコントロールをすることの大切さについても自分たちで考えて出しました。
また、自分が感情的に即応できなかった場合の手だてとして「理由を考えて今日は言えなくても明日、相手が思っているうちに話す。」ということや、「自分でガマンして、できなくなったら大人に相談する」など、自己解決ができない場合の手だてまで挙げることができたことです。
番組を見ることで自分事として考えたことを自らの手でまとめることができる、これが番組活用のよさだと思います。

授業プラン(本時案)

・本時の目的 「ごめん」の3文字の意味を考え、協力しあって楽しい学級生活をつくるために必要な言葉としてとらえるとともに、言えることの大切さについて考える。
時間の
目安
学習の内容・展開・発問例 指導上の留意点、準備するもの等【☆】
02

1 導入

T:今日は、「ごめん」という言葉について考えてみたいと思います。最近気になっているのは「ごめん」という言葉の意味が分かっているのかなと感じます。まず、番組を見てもらいます。


○番組の内容については冒頭部にあるため、学習のめあてを説明したら視聴に移る。
10/12

2 「2018年度[第16回]”ごめん”って気持ち、言葉にしてみると…」
を視聴する。

○画面が見やすい場所に移動して視聴させる。
☆「"ごめん"って気持ち、言葉にしてみると…」(事前録画したもの、又はNHK for Schoolより視聴)
05/17

3「ごめん」という言葉には、どんな気持ちが込められているのか、ワークシートに自分の考えを書く。

  • 「ごめん」という言葉の意味を考えよう
T:「ごめん」という3文字には、どんな気持ちを込めたら相手に伝わるのかな。ワークシートに書いてみましょう。 ○ワークシートを配布し、記入は3分位で書かせる。
☆ワークシート(NHK for School より)
○机間巡視をしながら、どのようなことを書いているか確認する。
15/32

4 全員が自分の書いた中で一番の意見を発表する。

T:書いたことを全員に発表をしてもらいます。人と同じでも「同じ」でなく、自分が書いたことを発表してください。

○ワークシートに記入したことを座席順に発言させ、意見ごとに整理しながら板書をしていく。
全員の発表を板書に整理して示すことで、学級の思いを視覚化する。
07/39

5 「ごめん」という気持ちがあるのにあやまらないとどうなるかを考え、ワークシートに自分の考えを書いて発表する。

T:本当は謝らなければいけなかった。でも謝れなかったことで自分が傷ついていることってありませんか。


○自分がいやな思いをしたことなので、無理に発表はしなくてもよいことを告げる。
○ポイントになる発言は、板書上で整理してまとめる。
06/45

6 「ごめん」を言うときに大切なことは何かを考える。

T:これからの生活で「ごめん」という言葉を言う時に「あやまられなかった」ことがないようにするにはどうしたらいいか、ワークシートに書いて発表してください。

○板書に書かれた児童の発表をもとに、どんな気持ちを込めたらよいかについて確認する。
○ここでの発表が学習のまとめとなる。

木原 俊行

「いじめをノックアウト」を活用した金子さんの実践は…この実践も、学校放送番組を教材として、「考え、議論する道徳」を目指しています。金子学級の子どもたちは、45分の授業で、「ごめん」という文字の意味を考え、それを言えることの大切さを考えていきます。金子先生は、まず、子どもたちが「ごめん」という言葉の価値等を考える時間を十分に確保するために、導入に費やす時間を短くしています。換言すれば、導入のための手だても番組の内容や構成に委ねています。そして、この実践のもっとも特徴的なことですが、金子先生は、子どもたちに、自分の思考を何度も「書かせて」います。番組の内容を参考にして、子どもたちは、「ごめん」という言葉の価値に加えて、それを発する際の留意点、その実践化のための工夫といったことを書き続けていきます。書く過程で、あるいは書いたことを発表し、他者のそれと比較検討することを通じて、子どもたちの思考は磨かれたり、膨らんだりしていきます。金子先生の実践は、「書くことによって学ぶ」ことの可能性を物語っています。(木原 俊行)

木原 俊行

「いじめをノックアウト」を活用した金子さんの実践は…この実践も、学校放送番組を教材として、「考え、議論する道徳」を目指しています。金子学級の子どもたちは、45分の授業で、「ごめん」という文字の意味を考え、それを言えることの大切さを考えていきます。金子先生は、まず、子どもたちが「ごめん」という言葉の価値等を考える時間を十分に確保するために、導入に費やす時間を短くしています。換言すれば、導入のための手だても番組の内容や構成に委ねています。そして、この実践のもっとも特徴的なことですが、金子先生は、子どもたちに、自分の思考を何度も「書かせて」います。番組の内容を参考にして、子どもたちは、「ごめん」という言葉の価値に加えて、それを発する際の留意点、その実践化のための工夫といったことを書き続けていきます。書く過程で、あるいは書いたことを発表し、他者のそれと比較検討することを通じて、子どもたちの思考は磨かれたり、膨らんだりしていきます。金子先生の実践は、「書くことによって学ぶ」ことの可能性を物語っています。(木原 俊行)

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